ナノ構造を使って新しい素子とLSI を創る

Loading....

Loading....

Loading....

Loading....

Loading....

全文

(1)

ナノ構造を使って新しい素子と LSI を創る

大学院情報科学研究科 教授

本久

も と ひ さ

順 一

じゅんいち

(工学部情報エレクトロニクス学科電子情報コース)

専門分野 : 電子工学

研究のキーワード : ナノテクノロジー,半導体ナノ構造,電子デバイス,光デバイス,LSI

HP アドレス : http://impulse.ist.hokudai.ac.jp

何を目指しているのですか?

みなさんの身の周りにはたくさんの電子機器がありますよね?その動作を司っているの

が集積回路(LSI)を中心とした様々な電子部品です。LSIにも色々な種類がありますが、

それはすべて、半導体の素子あるいはデバイスと呼ばれるものが沢山集って動作していま す。そして、携帯機器がどんどん小さくなっていくように、半導体デバイスもどんどん小

さくなり、今ではナノメートル、すなわち10億分の1メートルという、原子を数10個から

数個程度並べただけの世界で、1つ1つの原子や分子を巧みにあやつりながらデバイスを

作製しています。このようなナノテクノロジーの世界の中で、私は新しい半導体ナノ構造

を生みだし、それをさまざまな高性能のデバイスへと応用する研究を進めています。

現在の研究を始めたきっかけは何ですか?

小学生のころから、ラジオ、テレビやステレオなど、身近な電子機器に興味を持ってお り、将来はそのような電子機器をつくる職業につきたいと思っていました。夢かなって、 電子工学を専門とする学科に進学し勉強をすすめているうちに、非常に小さいはずの原子 が顕微鏡で1つ1つ目に見えたり、簡単に扱えるとは思っていなかった原子が、さまざま な工夫をすると自在に運動を制御できてナノメートル寸法の構造をつくれたり、そして実 際につくった半導体ナノ構造が普通の半導体とは全く違った性質を示したりすることがわ

かってきました。そのときから、ここにはまだ誰も知らない世界があるに違いないと思い、

半導体ナノ構造に興味を持ち、それを対象に研究をしています。そして実際、半導体ナノ 構造には新しい世界を常に示してもらっており、エキサイティングな研究分野です。

図1 半導体ナノワイヤの作りかたと、作製したナノワイヤの電子顕微鏡写真。髪の毛よりもっと細いナノメートル断面寸法の針 のような半導体の結晶が試料から垂直に成長しています。作り方としては、半導体の基板にナノメートル寸法の穴をあけて、穴 のところだけに結晶が成長するようにしているだけです。簡単そうに見えますが、実はいろいろな秘密が隠されています。

出身高校:土佐高校(高知県)

最終学歴:東京大学大学院

工学系研究科

電気・機械/ミクロの世界/情報

(2)

どんな装置を使ってどんな実験をしているのですか?

半導体ナノ構造の作製には、分子線エピタキシーや有機金属気相成長装置といった、原 子数個分しかない半導体の超薄膜の結晶を作製するために必要な装置を使います。その上

で、横方向も原子数個分のナノ構造とするために、結晶成長のスタートとなる試料(基板)

をナノメートル寸法で加工する装置を使います。最近私が主に行っているのは、半導体ナ

ノワイヤという、断面寸法が数100から数ナノメートル程度の非常に細い細線構造を作る

ことです(図1)。そして作ったナノワイヤを電子顕微鏡で観察したり、レーザ光を照射し

て、ナノワイヤから放出される光を観察したり、あるいは電極をつけて電気を流したりす るなど、ナノワイヤの特性を評価する実験を行っています。

今後、どのような成果が期待できますか?

半導体ナノ構造は、誰も予期していなかった物理現象が発見されるなど、常に新しい世 界を提供してくれましたし、これからも新しい発見があると思います。それだけでなく、 半導体ナノ構造は新しく高性能なデバイスをつくりあげるための基本構成要素です。デバ

イスには、大きくわけると、LSIの中でたくさん使われているトランジスタのような電子

デバイスと、発光ダイオードやレーザ、あるいは太陽電池のような光デバイスとの2種類

がありますが、私が現在研究しているナノワイヤはそのいずれにも応用可能で、高性能で 非常に小さな電子デバイス・光デバイスを実現することができます。現在、多数の研究者 が半導体ナノワイヤの研究を進めており、近い将来、半導体ナノワイヤを用いたデバイス

やLSIが私たちの身の周りで使われるようになると思います。そして、半導体ナノ構造は、

現在ある電子デバイス・光デバイスを高性能化・小型化するだけでなく、新しい原理で動 作する超高効率の太陽電池や、非常に低消費電力の回路・センサーなど、これからの社会 にとって重要な省エネルギー技術の鍵となる材料としても注目が集まっているところで、 この分野での成果も期待できます。

図3 レーザ発振しているナノワイヤの 光学顕微鏡像。レーザに特有な光の干 渉パターンが観測されています。白い 棒は2ミクロンのスケールを示していま す。

図2 ナノワイヤを用いた縦型のトランジスタの電子顕微鏡写真と断面模式図。 サイズが小さいので、高密度に集積化して大規模な LSI が実現可能になります。

Updating...

参照

Updating...

関連した話題 :