古典液体論入門 佐々木祥介
1. ファンデルワールスの状態方程式の発見で、初めて、液体を論じ
ることができるようになった。
(それまでは、体験として、液体を知っていただ けで、熱力学的には、きちんとした議論ができなかった。現に、理想気体には液体状態は存在 しない。)2. 液体・気体には臨界点(後で説明する)があること、
液体・気体での蒸発凝縮での体積比、など基本的な事項が、ファ
ンデルワールスの状態方程式を使って、議論できる。
3. ほとんどの液体(水、炭酸ガス、液体窒素、エタン、など)で、
臨界状態量との比(比体積、比温度、比圧力)で状態を表すと、
物質によらず同じ関数形をしている。
(ファンデルワールスの状態方程式は、これを満たしている)
4. ファンデルワールスの状態方程式を、現実の液体の実験値と比較
すると、一致しない。臨界点付近の関数形で、顕著に不一致が表
れる。
(内容概略)
液体の謎に挑戦
ファンデルワールスの状態方程式
JD van der Waals - Academic Thesis, Leiden, 1873
ファンデルワールスは、 1873 年に実在気体の圧力と体積の関係を近似
する実験式を考案した. ( それ以前は理想気体の式 PV=RT しか無かっ
た。 )
温度一定で圧力 P と体積 V の上式での関係を曲線で書くと,下図のようになる.臨界点
赤丸
比圧力
比体積
水平線とファンデルワール スの曲線で囲まれた二つの 部分の面積が同じ
V b RT
V
P a
2この水平線が液体気体の2相共存線である
。
臨界点 赤丸以上の温度では
、体積が増えると、圧力は
単調に減少する。
臨界温度以下では、次のよ
うな水平線が引ける
ファンデルワールスの法則の理論的説
理論的説明をするのに 90 年以上かかった。 明 NG Van Kampen - Phys. Rev, 1964
現実の液体では,温度が変わると、この確率密
度の関数形も変わり、熱力学諸量が計算できな
い.
論文の一部: It is also the picture on which Van der Waals' theory is based, and in fact we shall find the Van der Waals equation of state. ... In Sec. 2 all one-phase states are found, ie, states for which the density is homogeneous. They obey the Van der Waals equation.
分子 A
分子 B
距離 r
半径
d
Van Kampen 近似
確率密度
r/(2d)
P a
V
2
V b RT
すると、計算ができて,その結果は,ファンデ
ルワールスの状態方程式と同じものが導出でき
た.
実験値
液体・気体が共存する領域は下図の曲線の下側
液体気体の共存領域
液体・気体が共存する領域の実験値
液体水素での実験値
温度
密度 比温度
この実験値と右の重い原子 比密度
の実験値を重ねてみる
この結果、量子効果が表れやすい液体水素も、同じカーブに重な る。すなわち、量子効果なし、相互作用の形に依存しない。
実験値
液体気体が共存する領域は曲線の下側
液体気体の共存領域
未解決の問題
ファンデルワールスの式
液体気体が共存する領域
結局、沸騰現象すら,未解決です.
数値計算してそれを外挿するなどの仕事があるが、メカニズムが分からない。超臨界領域での化学反応が注目されているが、この領域の基礎を解明することは大切で
す.
T
c T
c 3
T
c T
c
2液体気体の共存領域は、赤放物線の下 赤線は2次式、青線は3次式の絶対値
赤はファンデルワールス、青は実験値