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Space Habitation 2013 b

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宇宙での居住

山下雅道・ Raymond M. Wheeler

Chapter 17 in

International Handbook of Space Technology Springer, 2013

圏外宇宙に人類の活動舞台を拡大することは、宇宙工学の始まった初期から そ の工学が実現しようとする主要な目的としてあった。人間は宇宙飛行を古くから夢見 てきたし (Tsiolkovsky 1926)、宇宙やわれわれの太陽系の起源、そしてどのように地球 で生命が始まったかについて好奇の対象としてきた。近年になされた多くの太陽系外 の惑星の発見から、地球という惑星は他に例の少ない生命を宿す天体であることがわ かってきた。生物はその活動によって地球の環境を改変してきており、生存可能性の 維持を支えている。宇宙船や他天体で建設される探査基地の内部には地球生命圏と同 様な環境が生命維持工学により創出される。クルーの人数やシステムの運用年数が将 来に拡大すると、物質の再生利用やその「ループを閉じる」ことが「オープン」な系 に対して 経済的 に優位となるだろう。生命維持工学にとって最もクリティカルな指 標は、宇宙クルーの存命性を確保することにあるのだが、ライフ・マネージメント、 すなわち生活の質を確保することは人間の要求を満たすうえで重要である。

1. 生命維持のための環境制御

我々の地球生命圏は地球の長い歴史のなかで進化してきたものであり、生物はその環境によく適応して いる。それぞれの生物種はその生命の維持を、大気の成分や熱的な環境などの環境条件のパラメータのある 範囲のうちでおこなっている。宇宙での生命維持システムは 宇宙クルーやコンパニオン生物のために 環 境を合成してこの範囲に環境条件を維持する。

1-1. 船室の空気

宇宙船室は基本的に与圧構造であり、その内部に大気を保持する。船室から漏れる気体は 貯気槽から 補充しないといけない。貯気槽の大きさと補充の頻度は、宇宙クルーによる消費速度および船室からの漏れ の速度により決まる。漏れの速度は船室内の圧力を低くすれば減ずることができる。したがって、船室の内 圧は、減圧下のヒトの生理と漏れ速度を減ずる工学とのあいだのトレード・オフにもなる。通常の大気組成 でのヒトの一般居住可能な高度は海抜4000mであり、短時間であれば8000mでも生存できる。気体の全圧 と酸素の分圧でみた耐えられる範囲を 図 1に示す。減圧条件では酸素の比率を高くして 低酸素症を防止し ないといけない。高酸素条件も健康リスクをもたらすので、酸素レベルはその限界以下にしないといけない。 加えて、火災のリスクを極少とするにも酸素の分圧や気体中の割合をある閾値より低くすることも重要であ る。発火や燃焼の伝搬を防止するには、酸素は不活性な気体種で薄めないといけない。


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図1 全圧と酸素比率で示した 低酸素、高酸素の危険ゾーン 

(From Tobias, 1967)

NASA/SP-2010-3407 Human Integration Design Handbook (HIDH) (2010).

船外活動(EVA)での減圧症は船室内圧を選ぶ際に考慮されるもうひとつの要素である。いくつかの理由 でEVAスーツの中の圧は30kPaと低くまた純酸素であることから、船外活動の前に呼吸圧力を船室内圧から 徐々に減じないといけない。減圧速度が速すぎると、血管内で不活性気体(主としてチッ素)の泡が発生す る。この気泡発生を防ぐために、船外活動前のよく準備された手順、すなわち呼吸圧力を段階的に減ずる手 順にしたがう必要がある。純酸素を準備呼吸で吸うことは気泡発生を防ぐのに有効であることがわかってい る。 EVAスーツ内の圧力が船室内の圧力とことなるひとつの理由は、真空下で EVAスーツの関節部の柔軟 性を確保するためである。この柔軟性の確保のための工学のアプローチとして、 EVAスーツに「パワー・ア シスト」機能を付与することを考慮しても良い。

図2 EVAスーツ、極小スケールの生命維持システム(NASA)

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二酸化炭素と水蒸気は船内空気の微量成分である。二酸化炭素の分圧が高いと頭痛や吐き気をもよおす。 二酸化炭素の許容される分圧の値は曝露時間の長さによる。1時間では2kPa、7から180日では0.7kPaで ある( Law, et al. 2010)。水蒸気分圧は主にクルーの快適さにしたがって調節される。船室に放出される可 能性のある一般的な毒性気体種はSpacecraft Maximum Allowable Concentrations for Airborne

Contaminants (SMAC) (NASA JSC, 1999)にまとめられている。これらの有害ガスは、船内の物質から放 出されたり、あるいは火災などの事故によって発生する。そのようなリスクの大きい物質の利用は避けない といけない。リストに含まれる毒性の気体の発生が避けられない場合には、その濃度を監視し、もし規定の 濃度を超えた時には自動的に警報を起動する。

表1 微量気体の検出限界と精度

International Space Station Flight Crew Integration Standard (NASA–STD–3000/T) SSP 50005,

(1999).

微小あるいは低重力環境においては、浮力により誘起される気体の自然対流は抑制されるので、船室内 の空気は強制循環することにより、船室内部で消費されたり生成することによりうまれる気体種の不均一な 分布の発生を防がないといけない。これに相当する気体種は、酸素、二酸化炭素、微量の代謝産物 たとえ ばケトン、有機酸やエステルである。強制循環は船室内をすべて掃くように、よどむ部分のないようにしな いといけない。換気の経路には上記気体種の濃度の勾配が形成される。

理想的には 船室内の空気はそれぞれのコンパートメントから 形成されるかもしれない濃度勾配を考 慮してサンプリングしないといけない。主成分(酸素、二酸化炭素、水蒸気)の監視は 生命維持機能の管 理維持(ハウスキーピング)にとって重要である。SMACに規定される気体種はガスクロマトグラフ質量分

化学種 限界

(mg/m3)

メタノール 0.5

エタノール 5

2-プロパノール(イソプロパノール) 5

2-メチル-2-プロパノール 5

n-ブタノール 5

アセトアルデヒド 0.5

ベンゼン 0.1

キシレン 10

トルエン 3

ジクロロメタン 0.5

ジクロロ・ジフルオロメタン (Freon 12) 10 クロロジフルオロメタン (Freon 22) 5 トリクロロ・フルオロメタン (Freon 11) 10

1,1,1-トリクロロエタン 1

1,1,2-トリクロロ-1,2,2-トリフルオロエタン (Freon 113)

5

n-ヘキサン 5

n-ペンタン 10

メタン 180

2-メチル-1,3-ブタジエン 10

アセトン 1

2-ブタン 3

水素 10

一酸化炭素 2

ヘキサメチル・シクロトリシロキサン 10

トリメチルシラノール 3

2-ブトキシエタノール 1

トリフルオロブロモエタン (Halon 1301) 10

硫化カルボニル 0.5

酢酸 0.5

4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン 1

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析( GC/MS)、フーリエ変換赤外分光( FTIR)などの分析機により分析でき、それらのいくつかは軌道 上で試験され運用されている。詳しい評価をおこなうには、地上でオフライン微量分析をおこなう。

1. 2 水の管理

水は、飲用、乾燥食品への加水、衛生、医用などにクリティカルな資源である。スペースシャトルでは、 水素ー酸素の燃料電池が電力発生源であったことから、その副産物として水があり それを利用することが できた。国際宇宙ステーション(ISS)では、電力は太陽電池で発生している。水は生命維持のなかでもっ とも多く消費される物質(クルーの生理的要求として一日一人あたり3 kg、衛生、手洗い、洗濯や食器洗い でその他に26 kg使う可能性)であることから、ISSの中でリサイクルされる。再生処理された水がクルーに 受容されるかはクルーの心理にとり重要な要素であり、生命維持工学において考慮すべきことである。

水質は軌道上で監視され、飲用水の水質要求を満たすかが検査される。無機成分と有機物の許容限界を 表2にまとめて示す。NASAなどの機関による現在の基準は、微生物の汚染について バクテリアは 50 Colony Formation Unit (CFU) / mlで、大腸菌、カビ、寄生性の原生動物は100mlで検出されないこととなっ ている。定義された汚染物質や菌については、軌道上に実時間監視できる装置を備えることが求められる。 仮に分析手段が不十分な場合には、全有機炭素( TOC)が水質の汚濁を代表する指標として使われる。

表2 飲用水の物理・化学的基準

1,000-day SWEG in Johnson Space Center (JSC) 63414, Spacecraft Water Exposure Guidelines. NASA/SP-2010-3407 Human Integration Design Handbook (HIDH) (2010).

化学種 基準 (mg/L)

アンモニア 1

アンチモン (Sb) 2

バリウム (Ba) 10

カドミウム (Cd) 0.022

マンガン (Mn) 0.3

ニッケル (Ni) 0.3

銀 (Ag) 0.4

全ヨウ素(I) 0.2

亜鉛 (Zn) 2

全有機炭素(TOC) 3

アセトン 15

アルキルアミン類 (di) 0.3

アルキルアミン類 (mono) 2

アルキルアミン類 (tri) 0.4

ベンゼン 0.07

カプロラクタム 100

クロロホルム 6.5

ジ (2-エチルヘキシル) フタレート 20

ジ-n-ブチル フタレート 40

ジクロロメタン 15

エチレングリコール 4

ホルムアルデヒド 12

ギ酸 2500

2-メルカプトベンゾチアゾール 30

メタノール 40

メチルエチルケトン (MEK) 54

フェノール 4

n-フェニル-β-ナフチルアミン 260

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微生物の監視は 地上に回収した収集サンプルをオフラインで分析することにより実施されてきた。 船 室の清浄さを監視するために 軌道上で微生物種を同定しその菌数を自動分析するシステムが開発されてい る。そのシステムでは、懸濁したバクテリアを微小流体デバイスのなかで染色して蛍光顕微鏡により検出す るというものである。水の配管内部にバイオフィルムが形成されることが多々あり、重大な汚染源となる。 ヨウ素や銀イオンが殺菌剤として水貯蔵システムに加えられ、微生物の菌数密度の上昇を抑制する。これら の化学種の濃度は継続して監視され、規定される濃度範囲に維持される。長期に宇宙放射線に曝露されるこ とにより、耐性の強いバクテリアに変異する可能性もあり、代替の抗バクテリア手段を準備しておく必要も ある。

1.3 照明

照明は、宇宙クルーが宇宙船室や実験室で作業する際の視覚認知に影響する。光量と色のスペクトルは 宇宙クルーの心理や生理的なパフォーマンスにとり重要な要素となる。仮に人を完全な暗黒下にすこし長い 時間おくと、精神状態がとても落ち込んだり障害をうける。適切な色温度の白色光は 白熱球、蛍光灯、 LEDランプによって供給することができる。ランプの光度、電力の光変換効率、寿命は、照光システムを設 計するうえで考慮する工学的な要素である。最低の照光レベルへの要求は、どのようなタスクを実行するか に依存する。睡眠時の夜間照明では 光強度は落とされる。

自然の太陽光の宇宙船内への導入には、開かれた窓 あるいは太陽光集光システムが用いられる。この ようなシステムの応用のひとつは、クルーの日光浴である。強い光は正常な概日性生物リズムを維持するの に有効なキューとなる。この目的のために自然の太陽光を用いる場合には、クルーに対する有害な効果を避 けるために 短波長の紫外光部分を除去する必要がある。もし熱的な負荷を抑制する必要があれば、光の赤 外部分を除去するのがよい。太陽光集光システムは、入射する太陽光をレンズあるいは鏡で光ガイドの入力 端に集光する。レンズをつかいその色収差を使うか、光を導く材質の透過特性により有害な紫外、および赤 外部を取り除き、光学系を適正に調節することで可視光部分のみ宇宙船室内へと導くことが可能である。

1.4 音響

音響は周囲からの情報を感知する媒体として有用であるし、他のクルーや地上の要員と交信するにも有 効である。ミッション・フェーズの宇宙船室内の音響環境は、打ち上げや帰還時の騒々しさと比べれば穏や かなものである。ミッション・フェーズ中は音圧レベルはそこそこ低いのだが、クルーの生活するキャビン での気に障る雑音は抑えて、仕事中の散漫を防ぎ、また良い睡眠やくつろぎを確保するのがよい。音響環境 の基準は可聴周波数域について規定する。しかし、低周波および超音波のいずれの雑音も、聴くことはでき ないものの、漠然とした症状を誘起する。換気のファンやその他の機械的、電気的な器具は宇宙船室内の低 周波雑音の発生源となりうる。クルーの健康のために、これらが容認できるかを注意深く評価しないといけ ない。

1.5 宇宙放射線

1.5.1 宇宙放射線の特質

放射線は、非電離放射線と電離放射線に分類される。電磁波で放送用の周波数から可視光までは、分子 をイオン化できる状態まで励起するにはエネルギーが不足するので非電離放射線である。もし放射線の影響 が熱的なエネルギーを与えるということに局限されるのであれば、地球の生命体は地表への太陽光エネルギ ーの入射密度と等価の 1 kW / m2の熱入力まで耐えられる。しかし、熱的な効果以外の生理的な応答の可能 性は長波長の電磁波であっても否定することはできない。体表面からどれだけの深さまでエネルギーがしみ

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入るかは、波長による。この効果を勘案して、電磁波への被曝基準は電磁波の周波数を参照して規定され る。

紫外線やX線、ガンマ線など短波長の電磁波は、分子をイオン化の閾値を超えて励起することにより分子 をイオン化することができる。入射する粒子が分子をイオン化するのに十分なエネルギーをもっていると き、それも放射線と呼ぶ。電子(β線)、中性子、陽子 およびヘリウム(α線)をふくむ他の原子核が  この放射線の主なものである。太陽や銀河系での高エネルギー現象により、まだ完全には理解されてはいな いが、大きなエネルギーをもつ光子が放出され、また荷電粒子が加速される。これらを宇宙線とよぶ。地球 の表面への宇宙線の入射は、厚い大気により減衰し、また強い地磁気による荷電粒子の軌跡の偏向によって も減衰する。このような遮蔽効果は地球外の宇宙では期待できないので、宇宙クルーは厳しい宇宙放射線に 直接に曝露される。宇宙放射線は、地球表面ではあまりない エネルギーの強い光子と重い原子核のきびし い照射として特徴づけられる。大きな原子番号(Z)と高いエネルギーの裸の原子核は、ほとんどが銀河起源 であるのだが、頭文字をとって HZEと呼ばれる。

太陽風の主たる成分は エネルギーの大きな電子と陽子であるのだが、これらは地球の磁場の作用で地 球の周囲に捕捉される。低地球周回軌道(LEO)は高度300から500kmであるが、残留大気によるドラッグ を避けれるだけの高さで しかしこの捕捉放射線ベルトよりは低い高度として選ばれている。有人宇宙活動 には、クルーの放射線被曝を制限するために放射線ベルトの下限より低い300から400kmの高度をとること が望ましい。

図3 太陽と地球の磁場 捕捉された放射線ベルト

1.5.2 宇宙放射線の生物影響

放射線の生物影響は放射線の線種とエネルギーのレベルにより変わる。放射線は、熱的な効果の他に化 学結合を切断し、フリーラジカルや過酸化物などを生成し、細胞内の生化学的なプロセスに影響する。宇宙 線の相対的生物影響度(RBE)は あまりよくはわかっていないのだが、宇宙での有人活動の曝露線量基準 を定めるのに重要な要素である。HZEは染色体のDNA二重鎖切断を高率で引き起こす。核以外の細胞質や 細胞小器官への放射線の障害は顕微鏡下での照射実験が可能になってよく研究されるようになった。

放射線の生物影響について照射率への依存性が考慮されている。人体の健康への急性影響は0.5Sv以上の 線量で引き起こされる。Svは生物影響を評価するための線量の単位で、GyにRBEを乗じたものである。と ても低い線量であっても放射線障害は確率的に引き起こされる。科学的なアセスメントの曖昧さを考慮し て、一般公衆の放射線被曝基準は1mSv/yearと定められている。人間にとってもっとも大変なリスクは 

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発がん性と遺伝影響である。放射線による細胞への障害は NOといった信号伝達物質の拡散により周囲の細 胞に伝搬する。この副次的効果により、直接放射線がヒットした細胞より多くの細胞が障害をうけることと なり、線量への非線形的な依存性をもたらす。反対に、障害を受けたDNAを細胞サイクルのあいだに修復す ることもある。これによれば 低線量率で修復過程がおこることで より高い積算線量が許容されることと なる。

国際宇宙ステーションでの放射線の線量率は 太陽活動が平穏な時期には 平均で 1 mSv/day である。 地球表面での自然放射能の線量率は典型的には2.4 mSv/year であり、LEOでの値のおよそ1/100である。 生物システムは この自然放射能の線量率に対して進化の過程で順応してきた。LEOを周回するISSに滞在 すると、国際的な職業被曝の基準である 1年であれば50 mSv、あるいは5年で100 mSv を軽く超えてし まう。宇宙飛行士には 生涯被曝の基準として1200 mSvが 初めて宇宙飛行が40歳以降の男性宇宙飛行士 に、600 mSvが若い女性宇宙飛行士に対して定められている。地上での職業被曝の基準とちがって、妊娠し た宇宙飛行士に対する基準は制定されていない。妊娠時に宇宙飛行というケースは許されていない事情によ る。念入りなクルーの健康ケアと生涯にわたる監視が宇宙飛行士の健康リスクを緩和している。高度10km で飛行しているときには地上にとどまる人間に対しておよそ10倍の線量に曝露されるので、 商業航空会社 のクルーについての疫学的な研究がなされている。航空会社のクルーでは 皮膚ガンと乳ガンが多いのだ が、重篤なガンの総数は地上の対照群よりも少ない。ひとつは与えられる健康ケアの差異に帰属されてい る。

宇宙での放射線監視の技術の開発は有人飛行の歴史とともに進められてきた。たとえばプラスチック板 や熱蛍光線量計(TLD)などの受動的線量計測とともに、軌道上では実時間の線量計測がなされている。線 量計を埋め込んだ人体模型であるファントムによる計測は、生物組織の吸収係数を宇宙特有の放射線質につ いて見積もり、また体の各部分の放射線線量をマッピングするのに鍵となる。

1.5.3 宇宙放射線への防護策

地球周辺の放射線環境は太陽活動によって大いに支配されている。主として陽子である荷電粒子が太陽フ レアの先につくられる磁気再結合現象により加速される。加速された粒子が大量に撃ちだされるのをSolar Particle Event (SPE)とよぶ。1 Gy(Gy:単位質量あたり沈積されるエネルギーで測る線量の単位)にも及 ぶ高い線量が典型的には数日の短い期間に与えられる。太陽表面の太陽活動を観測することにより、たくさ んの高エネルギーの粒子の放出を予測することができる。もし過酷なSPEの予報警報を受け取ったときに は、船外活動(EVA)を中断したり、重篤な場合には地球への緊急帰還を考慮しなければならない。さほど でないSPEイベントのときには、宇宙船室のなかで最も遮蔽された場所に退避する。

遮蔽が宇宙放射線への一般的な対策である。地球の大気層は放射線遮蔽ということでは10mの厚みの水 の層と等価である。高エネルギー粒子と遮蔽物質との相互作用により、速い中性子をふくむ二次放射線のシ ャワーが形成される。このような二次放射線は宇宙船室の内部で経験される宇宙放射線の特徴のひとつであ る。受動的な遮蔽物質の層の厚みが充分でないと、大砲で局限された部分に障害を受けるかわりに 多くの 小さな障害が散弾銃による攻撃を受けたように広い範囲でおこる。

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図4 高エネルギー粒子の相互作用により生成する二次的な粒子のシャワー

地球磁場による宇宙線の遮蔽と同じように、強い磁場や急峻な電場を宇宙船の周囲に形成して入射して くる宇宙線粒子を偏向したり減速するという能動的な遮蔽の概念が提案されている。遮蔽のための場を形成 するということの技術的な実現可能性の検討に加え、遮蔽のための場が好ましくない生物学的影響を与えな いかについて注意深く評価しないといけない。強い電磁場の健康リスクについてはあまり研究されていない が、神経活動や初期発生に曝露の影響がることがわかっている。

耐放射線の医薬の開発は期待できる取り組みである。極限生物は放射線を含むさまざまなストレスに耐 性がある。それらは 障害を受けた染色体を修復する分子的なしかけを持っている。修復に関係する遺伝子 を過剰に発現させれば、放射線障害を防いだり治癒することができるだろう。発ガン過程を抑制するか、あ るいは、これらの現象について生きている細胞のシステム生物学の理解がすすむのであれば、障害を受けた 細胞の細胞死(アポトーシス)を促進することも有効な対策になるだろう。

1.6 生物学的環境

他の生物体は宇宙クルーにとっての環境の一つである。宇宙船室の生物学的な汚染を防御するために強 度な制御を加えるにせよ、クルーそれ自身は滅菌できないし、船室内でのさまざまな微生物の発生源となり うる。カビやバクテリアが 船室内の空中に浮遊したり、飲料水の中や船室表面で検出される。微小重力下 では沈降することがないので、空中を浮遊するバクテリアが宇宙船室内では支配的になる。病原性のバクテ リア、原生動物、アレルギーを引き起こすカビの胞子などを監視し許容範囲内に制御しないといけない。カ ビは船室内の表面や エアダクトの内部で増殖すると、シックビルディング症候群と同じような症状を引き起 こす。宇宙船室システムは感染防除や消毒ができるようにしておかないといけない。

われわれの惑星の防御には、可能性はあるが現在では未知の地球圏外の生命体と有機化合物のリスクの 評価を含めねばならない。このようなリスクは そもそもその性質からして 特定できるものではないのだ が、圏外の生物が地球へと運ばれるいかなる機会について 生命圏の生物体や生態系に対するリスクの観点 から 入念に推定しないといけない。しかし、圏外の生命と有機物質は自然的な過程によっても地球に運び 込まれる。すなわち、宇宙塵は有機物質を含んでいるが、地球大気に供給される量は4 2 x 107 kg/year  と推定されている。星間塵やそれよりは大きな物体に圏外の生命がいないとはいえない。たしかに宇宙活 動は、もしもなんらかの圏外生命がいるならば、圏外生命の飛行時間を縮めたり、射出や突入の際に経験す る厳しい条件から防御することにより、このリスクを増大させる。圏外天体上での船外活動を終えて宇宙船

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室に戻る際に細かなレゴリス粒子を持ち込むならば、その高い化学的な活性故に、健康リスクとして微細粒 子は認識されている。

1.7 火災安全

火災は重大な安全の問題であり、死亡事故につながる可能性がある。宇宙船室内での火災を防止するた めに、船室をつくるのに使用される材料やその中に入れられるものは火災を防止する材料から製作しないと いけない。それらの発火温度は高くないといけないし、燃焼は決して伝搬してはいけない。船室の空気のな かの酸素の濃度は30%以下に維持し 火炎の伝搬のリスクを低減する。ホットスポットや火花のもとは注意 深く除去しないといけない。それは設計により、また試験によって実証しないといけない。燃焼により一般 的に発生する毒性の化学種には、一酸化炭素、シアン化水素、塩化水素などがある。火災検知システムにお いては、 自然対流は微小重力下では気体の検出の助けにはならないので、 空気の強制的な流れを作るのが 必要であり、これら毒性の気体や煙を運ぶ(除去する)こととする。

宇宙船室で火災が発火したときには、船室のその部分への電力を遮断しないといけない。閉鎖された環 境での使用に適合する無毒な化学物質で消火する。使った全ての化学物質は鎮火後に取り除かないといけな い。これらの要求を満たすには、二酸化炭素と水の組み合わせをベースとした消火器が宇宙船室に選ばれる。 火災発生中には、影響を受けるコンパートメントは隔離し避難させる。もし火災事故の重要度が高い場合に は真空にして鎮火する。宇宙船のすべてのコンパートメントには、緊急避難の際に 安全な場所への避難ルー トが確保されないといけない。船室の設計や各部分のレイアウトは安全上の要求に適合しないといけない。

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2. 物質のリサイクル

宇宙クルーには 生命を維持するために必要な消費物、すなわち 酸素、水、食品などの継続した供給 が要求される。同時に、気体、液体、固体の廃棄物が閉鎖した宇宙船室に蓄積するので、これを適切に管理 し処理しないといけない。短期間の地球近傍での有人宇宙ミッションには、生命維持のための消費物は地上 から宇宙に運ばれ、廃棄物は地上にもどされるか あるいは捨てられる。低地球周回軌道(LEO)でのより 長期のミッション、たとえばミールや国際宇宙ステーションだが、尿を物理化学的に再生する技術により水 のリサイクルがなされる。オープンな物質ループでは水がもっとも質量の増加ということでペナルティとな るからだ。惑星間飛行や圏外天体上の前進基地など、LEOを超える将来の宇宙ミッションには、生命維持シ ステム技術はもっと先進的でなければならない。より長く また地球からの距離がより遠い場合には、オー プン・ループの生命維持のコストは高くなる。これは、再生式あるいは物質の閉鎖循環ループによる生命維 持技術の開発が駆動する。表3は人間の生命維持のための物質の標準的な入力速度と廃棄産物の出力の一人 あたりの値である。

表3 一人あたりの生命維持の要求  NASA SPP 30262 Space Station ECLSS Architectural Control Document.

再生式生命維持は消費物の供給のコストを大きく減ずることができる。しかし、閉鎖した再生循環シス テムを建設する初期投資、また規定されたミッション期間中それを運用するためのコストは、生命維持の

「経済」として検討しないといけない。より長くより大規模な有人ミッションでは、再生利用システムのコ ストはオープン・ループの生命維持システムでの消費物の総積算量よりも安くなると推定されている。生命 維持システムの運用や制御に要する資源は、オープンと閉鎖する概念の比較検討において考慮すべき追加の 要素である。おそらく 物質循環の閉鎖の程度に最適なレベルがあるのだろうし、あるいはオープンと閉鎖 のふたつのよい組み合わせがあるかもしれない。生命維持システムとその運用の「経済」は、システムが使 用する 質量、電力、容積 およびクルー・タイムで測られる。自己維持や再生循環する技術を採用するこ とは、長期にわたるミッションのコストを低減するばかりでなく、自律性のレベルを上げることによりミッ ションのリスクを低減することにもなる。しかしながら、生命維持システムの工学の最大の優先度と基準 は、システムがロバスト(堅牢)であることとクルーの存命性にある。

人間の生命維持の要求

入力 出力

一日あたりの要求(全質量に対する% ) 一日あたりの要求(全質量に対する% )

kg kg

酸素 0.83 2.7 二酸化炭素 1 3.2

食料(乾量) 0.62 2 固形代謝産物 0.11 0.35

水 (飲用および食 料の調製)

3.56 11.4 水 29.95 96.5

水 (衛生, 水洗, 洗 濯, 食器洗い)

26 83.9  代謝 /尿  12.3

 衛生 /水洗 24.7

計 31  洗濯/食器洗い 55.7

 潜在 3.6

計 31

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2.1 物理化学的なリサイクル・システム

廃棄物の再生を物理化学的なプロセスによりおこなうことは、よく確立した技術である。システム工学 の観点からは、物理化学的なコンポーネントのシステムとしての特質は生物学的な要素に比べてよく規定す ることができる。水と酸素のリサイクルは物理化学的なプロセスで達成されている。

図5 物理化学的な再生による環境制御・生命維持システムの模式図 (FS-2002-05-85-MSFC NASA Facts. NASA MSFC, 2002 より改変)

2.1.1 水のリサイクル

国際宇宙ステーション(ISS)では、かなりの水は地球から供給されている。熱交換器の凝縮部で集められ る水も ろ過して水処理装置を通し利用される。尿は 化学的に安定化しながら貯蔵し 廃棄されるか地上 に持ち帰られるか、あるいは蒸留システムに送られる。蒸留した水は ろ過ベッドを通される。精製された 水には 微生物の汚染のリスクを減ずるために 殺菌剤としてヨウ素が使われる。微小重力下で水のように 液体を扱うのは、特に水から気体を分離するとか 工学的な挑戦である。月面や火星表面でのミッションに は、低重力環境にあるので より従来型の水の扱いを適用できる。

廃棄水を蒸留するのに要する質量や電力は 宇宙での水処理において究極的には低減しないといけない。 水のリサイクルについて、根本的に異なる取り組み、たとえば逆浸透膜技術などをつかうのがよいのかもし れない。尿を含む廃棄水は、いまのところ 強酸で前処理してアンモニアの蒸発や微生物の活動の抑制をは かっている。この酸はクルーにとって安全性の問題を投げかけるので、尿の安定化について代替の方法を考 慮する必要がある。生物学的な前処理により 有機物を酸化して二酸化炭素にしたり、チッ素化合物を硝酸 態かチッ素ガスに変換することを試みるのもよいだろう。物質のリサイクル・システムに生物学的な処理を 含む場合には、飲料水への変換やその維持のための殺菌剤の代替法と その効果をしらべることも高い重要 度をもっている。

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2.1.2 空気の再生

宇宙船室内の空気中の二酸化炭素の従来の制御方法は、水酸化リチウムといった強アルカリ反応剤で除 去したり、あるいは吸収していた。水酸化リチウムのフィルターは一回きりしか使えず、それが消費される と交換しないといけない。モレキュラーシーブ(ゼオライト)などの吸収剤への吸収は、吸収剤を適切に再 生すれば、繰り返し使える。吸収剤の再生は、温度を上げるか 圧力を下げるか あるいはその両方でなさ れる。強アルカリにせよ再生可能な二酸化炭素吸収剤にせよ、二酸化炭素とともに水蒸気も吸収するので、 二酸化炭素吸収ベッドに船室内空気を送る前に 空気から水を除去する前処理が要る。この前処理によりリ サイクルのための水捕集もできる。ISS内の水蒸気は熱交換器を船室内空気の露点以下とすることにより収 集する。吸収ベッドで回収した二酸化炭素は、サバティエ反応器で水素により還元して、メタンと水を反応 生成物として得る。メタンは排出し、水蒸気はリサイクルする。この二酸化炭素還元技術は、水の再生ルー プの閉鎖性を高め、水の供給源の一つとなる。もう一つの方法はボッシュ法であり、二酸化炭素と水素を触 媒で反応させて炭素と水を生成する。

酸素は地上から 圧縮気体 あるいは「酸素キャンドル」と呼ばれる固体の酸素発生剤の姿で供給され る。固体酸素発生器は典型的には非常事態用に備えられ、塩素酸と過塩素酸からできている。水の電気分解 が酸素の供給源として ミールおよびISSでつかわれた。水の電気分解で生成する水素はサバティエ反応で の二酸化炭素の還元に使われるので、空気と水のリサイクルループのさらなる閉鎖ができる。

2.1.3 微量の汚染物質と塵の制御

宇宙船室と居住空間は、微小あるいは低重力のもと ぴっちりと閉鎖された環境であることから、空気 中に浮遊する微量の汚染物質や塵が高濃度で蓄積される。これらが安全性や健康影響を引き起こすことから、 塵のフィルターや活性炭のフィルターがほとんどの宇宙機において使われてきた。いくつかの汚染物質は、 二酸化炭素除去用の吸収剤や、熱交換器の表面に凝縮する水のなかに溶け込む。水再生プロセスで微量の汚 染物を取り除くための技術はとても挑戦的なものである。熱触媒が有機物を酸化(鉱物化)して二酸化炭素 と水にするのにISSで使われている。この方法は、吸着ではむずかしい小さな有機分子 たとえばメタンや ホルムアルデヒドを効果的に除去できる。

微量の汚染物を処理する際のエネルギー消費を低減するために、酸化チタン触媒を紫外線下でつかう光 触媒効果による除去や生物学的なろ過など代替の概念が検討されている。もし塵や粒子の除去のためのろ過 層が再生できるのなら、生命維持のコストを低減できる。静電的な原理による新しい方法の実現可能性検討 がこの目的のためになされるだろう。

2.2 生物学的・生態学的システムによる生命維持

生物学的・生態学的システムにより生命維持機能を実現する宇宙農業は、将来の多人数で長いミッショ ン期間の有人ミッションのための先進的な概念である。一般的に生態系は3つの要素、生産者、消費者、分 解者 から構成される。人間は農業生態系の頂上の消費者である。主要な生産者は光合成する植物などの生 物で、太陽光をバイオマスのなかの化学的な形態として変換する。宇宙農業における植物は水の蒸留装置と しても働く。処理された廃棄水は灌漑され、植物体にとりこまれ、葉から蒸散する。生態系における分解者 は消費者と生産者のあいだをとりもち、物質の循環を駆動する。宇宙農業生態系では人間の排泄物と非可食 のバイオマスがバクテリアにより堆肥化され 土壌を肥沃にするか肥料成分を含む液を灌漑してより多くの 作物を育てる。

2.2.1 宇宙農業での水と気体の再生

食料、酸素、水を人間に供給するのが宇宙居住のための工学への根本的な要求である。もしリサイクル のループから元素がまったく抜け落ちないのであれば、廃棄物から同じ量の食料を再生できるはずである。 再生ループでは、生産されるバイオマスと化学量論的な関係で酸素がつくられる。食料生産がクルーの食事 の50%以上を超えるスケールになれば、人間の代謝により生成した二酸化炭素は 宇宙クルーの生理学的要 求に十分に応えるだけの酸素に変換される。水のリサイクルは、植物の自然な蒸散により効率的にできるだ ろう。植物の蒸散係数は、水の蒸散量と光合成によるエネルギーの固定量(乾量)の比である。農業区の空

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気中から凝縮できる水の量は 通常の作物植物の蒸散係数から推定できる。植物により生産される食料と酸 素が宇宙クルーの要求を満たすのであれば、農業システムの空気から回収できる水の典型的な量は一人あた り200リッターを超え、これは地上で人が1日あたり消費する量に近い。しかし、周囲の空気の湿度や二酸 化炭素濃度が 蒸発気体の濃度勾配や葉からの水蒸気流束の抵抗に関係することから 植物の蒸散は これ らに直接に影響される。

図6 火星居住のための宇宙農業の概念 現地資源を使うなら 100%以上のリサイクルが可能になる (Yamashita et al. 2005).

閉鎖生態系による生命維持 あるいは制御された環境による生命維持システムのいずれかの略語である CELSSの工学では 物質のリサイクルにおける閉鎖の度合いが その指標として長く使われてきた。地上の 農業と同じように、もし天体上で農業システムの外部に資源が得られるならば、それを宇宙農業の運用のた めに利用する。水、二酸化炭素、および生元素が農業のための自然の物質資源である。これらの「その場」 資源を取り込むことにより100%以上の「閉鎖」を実現できる。別の言葉でいえば 手に負えない部分につ いてはいくらか廃棄しても物質循環のバランスを保つことができる。また 物質再生循環のループの規模を 最初の入力量よりも拡大することを可能にする。これは、現地資源の利用(ISRU)と呼ばれるものの一つで ある。要求される生元素のほとんどを火星で得ることができると考えられている。宇宙農業が確立され成熟 すると、システムは拡大され 樹木を含めることで余剰の酸素を生産して 炭素を居住区の内壁材などとし て使う木材の形で循環ループから引き離す。樹木の葉や他のセルロース資材で昆虫を飼育したりして バイ オマスの活用をはかり、タンパク豊かな食材を供給する。

2.2.2 宇宙での生命維持のための農業生態系

作物種を選定することが 宇宙農業システムを設計する基本的なステップの一つである。食物材料と作 物種は、健康な生活を送るための栄養要求(3.1.1に記述する)を満たすように選定する。宇宙で農業生産 のために得られる空間の大きさは限られていて、宇宙居住での大切な資源の一つであるので、作物の単位面 積・容積、時間あたりの収量を極大にすることには 高い優先度がある。宇宙クルーの存命性は、作物の成 長や生産がロバスト(強健)であることに大いに依存する。タフであること、農業作物植物の環境変移影響 からの立ち直りや耐病性もまた 隔絶された惑星上での生命維持には重要である。図7は これらの指針に

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したがい設計された食用作物の選択のひとつである。この組み合わせは、代謝のためのエネルギー、食物繊 維、タンパク、脂質などの栄養要求を満たす。

図 7. 1人の1日あたりの栄養要求をみたすモデル食物:コメ (300 g)、ダイズ (100 g)、サツマイモ (200 g)、緑黄色野菜(コマツナ)(300 g)、クワの葉で育てたカイコのサナギ (50 g)、水田で養殖し たドジョウ (120 g)、食塩 (3 g) (Yamashita et al., 2007).

図 8. NASA ケネディ宇宙センターのバイオマス生産チャンバーで育てられたレタス (Wheeler, 2010)

宇宙の厳しい条件を考慮し、農業を始めるための段階的な戦略を提案している。このシナリオを策定す るために、水耕栽培と土壌をベースにあいた農業の比較検討を 宇宙農業の発展や構築のいろいろな段階に おいて実施しないといけない。初期の段階では、生命維持機能は 物理化学的システムと植物の水耕栽培の 組み合わせで実現される。そこでは植物は高価値の補助的な生鮮食品としてのみ供給される。水耕栽培は、 肥料成分、溶存酸素レベルや他の植物の根に対する環境要素を強度に制御することからロバスト(強健)で ある。非可食のバイオマスの堆肥化は、だんだんと土壌を創生して拡張した農業を支えるのにつかわれるだ

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ろう。水耕栽培と土壌ベースの農業には良いこと悪いことがそれぞれにある。土壌を使うことの利点の一つ は、土壌中の生態系での植物と微生物の共生にあり、それは植物の根を助けて主要な元素を得て 植物の成 長に有利な環境をつくることにある。土壌のバクテリア、菌類やその他の生物により構成される生態系は、 土壌の物理的ならびに化学的な性質とともによく調べられてきた。その知識は 土壌ベースの宇宙農業をは じめる根本的な基礎となる (Ming and Henninger, 1989)。 いくつかの準備のための調査ミッションが火 星において実施され、レゴリスの鉱物が農業土壌に変えられるかどうかを判定するための重要な情報が集め られてきた。

微小あるいは低重力での植物の生理は宇宙農業の工学のために研究すべき重要な事項である。植物は2 つのしかたで重力に反応する。植物は重力ベクトルを感受して 植物の構造の発生をつかさどり、重力屈性 により伸長する方向を決める。また植物は重力の強さに反応して細胞壁を硬くし、植物体の自重をささえる。 重力屈性と重力耐性反応のいずれについても 細胞内の機構は重力生物学の活発な対象となっている。重力 のない状態 あるいは低重力では 重力以外の要素 たとえば光や湿度による屈性がより重要になる。光は 光合成を支配する要素であることから、植物の生理に多くのしかたで影響する。ある種の植物では、 長日・ 短日の光周期性による花芽形成とか貯蔵器官の形成タイミングを決める 光の昼/夜の長さのサイクルを制御 する。

船室内の空気と同じように、農業区の大気圧や空気の組成は地球上で我々が呼吸する空気と同じである 必要はない。宇宙での居住区とともに、農業モジュールを低圧とすれば 機械的な構造への負荷を低減し  気体の漏れを減らすことができる。植物を育成するための気体の圧力と組成の限界が この理由で調べられ てきた。ほとんどの植物種では酸素の分圧の低圧限界は 10kPa近くであろう。二酸化炭素の分圧の至適範 囲は C3植物では 100-200 Paであろう。このレベル以上では、光合成反応は飽和し、蒸散する水の量は増 大する (Wheeler et al., 1998)。加えて とても高い二酸化炭素分圧は作物のちかくで作業する人間のパ フォーマンスに悪い影響を与える。水蒸気はもうひとつの微量だが重要な気体成分であって、植物の蒸散の ために制御しないといけない。それは大気と葉の間の水蒸気圧の差が蒸散速度に直接影響するからである。 閉じきられた環境では、生理活性物質の蓄積も 仮に宇宙の農業生態系で自然の分解作用がはたらかないの であれば、考慮しないといけない。エチレンは特に重要で、植物ホルモンとして働き 花をつけたり熟すの を促進するが、高濃度では有害なことがある。エチレンは 触媒による酸化 あるいは生物学的な方法で除 去することができる。

低い大気圧、異なる大気組成、微小あるいは低重力といった風変わりな環境では 熱・物質輸送現象も 変わる。植物体の周囲の微気象は これらの条件で変化し、植物の生理にいくつかのしくみで影響する。浮 力により駆動される自然対流による熱・物質輸送は微小重力で大きく抑制される。これは、植物体各部の過 熱を誘起し、葉での気体交換を抑制する。これらの効果は、植物生産域のすべてに空気の適当な強制対流を 維持することにより代償することができる。酸素、二酸化炭素、水蒸気と他の気体種の移動は低圧で促進さ れる。植物の減圧実験で共通にみられるのは 蒸散速度のであるが、いくつかの植物は異なる圧力に順応す ると蒸散速度を調節する能力があるかもしれない。

虫媒花の植物種でより高い品質の生産をおこなうには、送粉動物を導入しないといけない。送粉昆虫の 飛翔能力を 低重力で減圧した大気圧で確かめる必要がある。そのような環境下では流体力学と浮力への要 求が ともに地上での条件でのそれらと異なるからである。浮力と推力を飛翔のマヌーバーのために調節す るには、アタック角か翅のうごきの軌跡を制御する ステアリング筋への指令による。昆虫の飛翔マヌーバー は 視覚器の情報により制御される。パラボリック飛行実験で マルハナバチは火星重力である1/3 Gはな んとかこなしたが、月の重力である1/6 Gは困難であるのがわかった。送粉動物をつかうかわりに、単為結 実か自家受粉する作物種を宇宙応用では選択したり開発するのがよいかもしれない。送粉目的のほかにも  動物の飼育は宇宙農業でいつかは必要になるかもしれない。それはクルーの栄養要求として動物起源の食材 が求められることによる。いくつかの栄養素は植物のみの食材から得るのは困難であり、昆虫と魚がその供 給源の候補である。

いくつかの昆虫種が宇宙食に提案されている。カイコはよく確立された家畜化された昆虫種であり、非 可食のクワの葉を可食の物質に変換する。養殖できるたくさんの魚種のなかから ティラピアとドジョウが 提案されている。ドジョウとイネの共栽培はたくさんの場所で行われている。ドジョウは頑健な魚種である。 ドジョウは空気を消化管のなかに呑み込み、酸素と二酸化炭素のガス交換を腸のなかでした後に 肛門から

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排出する。冬の乾ききって水田から水のなくなる季節には、ドジョウは深い泥の層に潜って春を待つ。さら に、ドジョウは高い栄養価をもつ。選んだ植物とカイコの組み合わせにドジョウを加えたモデル食はほとん どの栄養要求項目をみたす。

2.3 廃棄物処理

2.3.1 固体廃棄物処理

これまでの固体廃棄物の処理は 固めるか あるいは 安定化してから 宇宙に廃棄するか地球に戻し てきた。この廃棄物には パッケージにつかった物質、捨てた衣類、食物の残渣、人間の排泄物などが含ま れる。これらの廃棄物は、臭気や病原性の微生物の発生源となる可能性がある。これらのリスクを減ずるた めに、廃棄物は脱水され、融着できるプラスチックによって不活性な平板やレンガ状にする。この廃棄物を リサイクルするという目的で、超臨界湿式酸化法が盛んに研究された。有機物質はこの方法により簡単に分 解し酸化することができる。しかし、たくさんの電力を要したり 高圧高温をあつかうことが超臨界湿式酸 化の主たる弱点となっている。

図 9 ゴミ袋と空の食品容器がISS USノード1モジュールに格納されている様子  NASA/ SP-2010-3407 Human Integration Design Handbook (HIDH) (2010).

2.3.2 生元素のリサイクルのための堆肥化

固体廃棄物は宇宙居住と農業にとって 資源ともなりうる。安定化した物質は放射線の遮蔽としても使 えるし、農業のために無機化した堆肥を生成するにも使える。この無機化は、物理化学的な焼却や湿式酸化  あるいは微生物による生物学的酸化のいずれかで実行できる。ミネラルの部分的なリサイクルのとりくみは、 固体廃棄物を好気的あるいは嫌気的な撹拌するバイオ反応器のタンクのなかで処理するもので、その後養分 豊かな生成物を食物と酸素を生産するための作物に送る (Mackowiak et al., 1997)。より確実な取り組みは、 超高温好気堆肥化である。これは高温で好気の条件による発酵にもとづいている。この新しい堆肥化システ ムは 従来の嫌気の堆肥化システムより高温で動作する。超高温堆肥装置のバクテリアは100℃近く ある いはさらにそれ以上の温度で活動し生きている。このタイプの堆肥化は、高速の好気的な代謝経路により、 また高温での速い化学反応ということもあって速い処理速度を示す。

反応層に空気を強制送気すると、生物的な燃焼は熱を発生させて反応層の温度をあげる。微生物の活性 は高温(たとえば100℃以上)では落ちるので、反応層の温度は最適な温度の領域に自然に調節される。こ のような自然の調整が有効にはたらくのは、反応層の容積がその表面積にくらべて大きなときである。この 堆肥化のバクテリアの生態系は、多くの種の間での強度な共生のネットワークにより構築されている。固体

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廃棄物から主要な養分(元素)を植物生産システムに植物の根によるアクセスが可能な化学的形態でリサイ クルするというデモンストレーションが地上でいくつかなされている。根による取り込みには、土壌中の微 生物や菌根菌が土壌中の共生的な生態系において主要な構成メンバーとして働いている。このような土壌生 態系は土壌ベースの農業の基本的な優位性のもとになっている。

作物植物の肥料として、有機物中のチッ素は 超高温好気発酵によりアンモニウム・イオンに変換され る。有機質のチッ素は、典型的にはアミノ化合物や複素環の生化学物質としてあり、アンモニウムに変換さ れるか、あるいは堆肥のなかに未消化な形態として残る。超高温好気堆肥化におけるリン酸塩の運命はまだ 詳細にはあきらかにされていないが、リン酸カルシウムの沈積が反応器のなかにみられる。肥料成分の元素 がリサイクルのループから抜け落ちていく速度は、ループの閉鎖の度合いを高く保つために 注意深く確か めないといけない。カリウムは肥料として3つの主要な元素のうちのひとつである。粘土鉱物のなかに形成 されたリング状の空隙構造は、空隙の縁をとりまく酸素原子と相互作用するカリウムイオンを包摂する。こ のような部位へのカリウムイオンの高い親和性は、イオンと空隙の縁の酸素原子との間の相互作用に起因す るのだが、カリウムの貯蔵として機能し、水による洗い出しへの抵抗としてはたらく。

宇宙農業生態系は 人間の尿などの排泄物が物質リサイクルのループで処理されるにつれて塩が集積して いく。塩集積は作物にとってストレスとなり、生産性は低下する。人間は体液の成分を維持するためにナト リウムを要求し、余分のナトリウムは尿中に排出される。植物の生産性の低下を防ぐには、ナトリウムを分 離し 堆肥や肥料から減じないといけない。これはN、K、Pと他の有益なミネラルを廃棄物の流れのなかか ら回収することを試みながらする挑戦である。いくつかの取り組みが宇宙農業でのナトリウム問題を解決す るために提案されている。ひとつは、物理化学的に2つの元素を分離するもので、ナトリウムとカリウムの 塩の溶解度の温度依存性の違いをつかい、溶解と析出のサイクルを温度を変えることで行い 分離すること ができる。代替として生物学的なプロセスでカリウムや他の有益な元素からナトリウムを分画することも可 能である。この目的のための方法の候補のひとつは、海藻を培養してカリウムと他の生元素を培養液からと りこみ、人口海水中のナトリウム濃度を高めることである。もうひとつの方法は耐塩性の好塩植物を農業作 物としてえらぶことである。

2.3.3 惑星防護

アストロバイオロジーの探査のために圏外天体にむけた宇宙ミッションを計画するときには、対象の天 体を防護して 地球の生物や有機物質により汚染しないよう考慮しないといけない。宇宙研究の国際委員会 であるCOSPARには 審査パネルがあり、宇宙科学のコンセンサスにより、ミッション計画を査定する。こ の規制により、火星あるいはアストロバイオロジーで興味ある他のすべての天体に飛行するいかなる宇宙機 でも有機廃棄物を放出することはできない。超高温好気バクテリアは圏外環境をアストロバイオロジーの探 査のために保護するのに助けとなる。蓄積された有機廃棄物は超高温好気バクテリアにより迅速に堆肥化さ れ、滅菌された産物を得ることができる。ひょっとして船外活動が 天体表面の探査基地の周辺を汚染して しまうかもしれない。このような将来のミッションでは 対象の惑星や天体を安全あるいは人間が踏み込ま ない領域を仕切って、それらの手つかずの自然を保護しないといけないかもしれない。

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表 4. 提案されている 太陽系天体の分類とミッションのタイプ (Rummel et al. 2002)

カテゴリー 1 カテゴリー 2 カテゴリー 3 カテゴリー 4 カテゴリー 5 ミッションのタ

イプ 地球への帰還以外のいずれか 地球への帰還以外のいずれか 直接の接触なし(フライバイ、あ る種の周回機)

直接の接触(着陸 機、探査機、ある 種の周回機)

地球への帰還

対象天体 フライバイ、周回 機、着陸機:金 星、月、未分化あ るいは変成した小 天体(アステロイ ド)、その他  TBD

フライバイ、周回 機、着陸機:彗 星、炭素質コンド ライト小天体、木 星、土星、天王 星、海王星、冥王 星/冥王星の衛星カ ロン、カイパーベ ルト天体、その他 TBD

フライバイ、周回 機 :火星、エウロ パ(木星の衛星) その他 TBD

着陸機ミッショ ン: 火星、エウロ パ(木星の衛星) その他 TBD

すべての地球帰 還.  “制約された

(安全でない)地 球帰還: 火星、エ ウロパ(木星の衛 星)その他;

“制約されない

(安全な)地球帰 還”:月; その他 TBD.

関与の度合い なし 計画された衝突の 確率と汚染制御対 策についての記録

衝突の確率の制限 受動的な生物学的 負荷の制御

正規でない衝突の 確率の制限 生物学的負荷の制 限(能動的な制 御)

制約された地球へ の帰還の場合

地球あるいは月 への衝突はなし

帰還した装置の 滅菌

すべての試料の 封じ込め

要求の代表的範

なし 文書のみ(すべて簡潔)):

惑星防護計画

打ち上げ前報告

打ち上げ後報告

遭遇後報告

ミッション終了 報告

文書 (カテゴリー II に加え)

コンタミネーシ ョン制御l

有機物の一覧

(必要に応じ 手順の組入れ たて) とえば:

軌道のバイアス

(制御できない 場合には外れる ような軌道をと る)

クリーンルーム

生物学的負荷の 低減(必要に応 じて)

文書 (カテゴリー II に加え)

コンタミネーシ ョンの確率分析

• 微生物分析計画計画

有機物の一覧 手順の組入れ た とえば:

軌道のバイアス

クリーンルーム

生物学的負荷の 低減

接触する装置の 部分的な滅菌

(必要に応じ て)

生物学的な遮 生物学的分析によ る生物学的負荷の 監視

送り出し対象天体への送り 出しミッションと 同じ

迎え入れ制約された地球へ の帰還:

文書 (カテゴリ ー II に加え)

コンタミネーシ ョンの確率分析 計画

微生物低減計画

微生物分析計画

軌道のバイアス

帰還する装置の 滅菌あるいは封 じ込め

プロジェクトの 活動の継続した 監視

プロジェクト前 段での先進的調 査/研究. 制約されない地球 への帰還:

•  なし

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3. 宇宙における生活管理

宇宙クルーの日常生活は 単に宇宙船室内での生物学的な生命の維持にとどまらず、それ以上のものを 要求する。クルー・メンバーが彼らの宇宙ミッションの目的を達成しようと高く動機づけされているときで あっても、生活管理の質を高めれば クルーの生産性は向上する。こうした管理には 宇宙でよくバランス のとれた健康で文明的な人間生活をおくるための広範な事項を含んでいる。

3.1 食料

現在の低地球周回軌道(LEO)の宇宙ステーションへの宇宙ミッションでは、食料は貯蔵され 定期的 に地上から補給される。新鮮な果物と野菜は貨物船でISSに輸送されるが、数日で消費されてしまう。野菜 やその他の作物の小規模な生産は宇宙で試験されてきた。しかし 宇宙での生命維持のための大規模な作物 生産システムを開発するには 複雑な統合問題を解くべく挑戦する必要がある。補助的に野菜や他の食料を 生産することが 宇宙での生命維持システムを設計する端緒となる (MacElroy et al., 1992)。食材の好まし い選択は クルーの背景や食文化に大きく依存する。2.3で述べた食材選択のように、いずれの食材選択で もきほんてきな栄養要求に合致する必要がある。

3.1.1 栄養要求

食料は分子の化学的形態での代謝エネルギーの源を提供し、身体の作り変えの要求をみたし、生化学的 プロセスに重要であるが我々の体の中では合成できない物質を補給する。栄養要求は表5に ここに規定し た3つの部分にわけてリストする。

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表 5 宇宙飛行のための主要栄養素および微量栄養素のガイドライン

NASA/SP-2010-3407 Human Integration Design Handbook (HIDH) (2010).

主要栄養素 一日あたりの食事摂取

タンパク 0.8 g/kg

1日あたりのエネルギー摂取の ≤ 35% 以下 2/3 は動物性タンパク、 1/3 は植物性タンパク 炭水化物 1日あたりのエネルギー摂取の 50–55% 脂質 1日あたりのエネルギー摂取の 25–35% Ω-6 脂肪酸(リノール酸など) 14 g

Ω-3 脂肪酸(ドコサヘキサエン 酸など)

1.1–1.6 g

飽和脂肪酸 全カロリーの 7%以下 トランス型脂肪酸 全カロリーの 1%以下 コレステロール < 300 mg

食物繊維 10–14 g/4187 kJ

ビタミンやミネラル 一日あたりの食事摂取

Vitamin A 700–900 μg Vitamin D 25 μg

Vitamin K Women: 90 μg, Men: 120 μg Vitamin E 15 mg

Vitamin C 90 mg Vitamin B12 2.4 μg Vitamin B6 1.7 mg

チアミン (B1) Women: 1.1 μmol, Men: 1.2 μmol リボフラビン (B2) 1.3 mg

葉酸 (B9) 400 μg

ナイアシン (B3) 16 mg ナイアシン等価 ビオチン (B7)
 30 μg

パントテン酸 (B5) 30 mg

カルシウム 1200–2000 mg

リン 700 mg and ≤ 1.5 x カルシウム摂取

マグネシウム Women: 320 mg, Men: 420 mg and ≤ 350 mg from supplements only

ナトリウム 1500–2300 mg

カリウム 4.7 g

8–10 mg

0.5–9 mg

マンガン Women: 1.8 mg, Men: 2.3 mg フッ素 Women: 3 mg, Men: 4 mg

亜鉛 11 mg

セレン 55–400 μg

ヨウ素 150 μg

クロム 35 μg

図 9  ゴミ袋と空の食品容器がISS USノード1モジュールに格納されている様子  NASA/ SP-2010-3407 Human Integration Design Handbook (HIDH) (2010).
表 4.  提案されている 太陽系天体の分類とミッションのタイプ (Rummel et al. 2002)  カテゴリー 1 カテゴリー 2 カテゴリー 3 カテゴリー 4 カテゴリー 5 ミッションのタ イプ 地球への帰還以外のいずれか 地球への帰還以外のいずれか 直接の接触なし (フライバイ、あ る種の周回機)  直接の接触(着陸機、探査機、ある種の周回機) 地球への帰還 対象天体 フライバイ、周回 機、着陸機:金 星、月、未分化あ るいは変成した小 天体(アステロイ ド)、その他  TBD フライバイ
表 5 宇宙飛行のための主要栄養素および微量栄養素のガイドライン
図 10.  ISS上での生鮮食料の供給と パウチされた食料と飲料  (NASA)  3.2 衣料 衣料の選択は、文化的な好み、クルーの快適さと物理的な怪我からクルーの体を防護することでなされ る。クルーの衣服の布地の材料の選択では、毒性をもったり可燃性であってはならないし、宇宙船室内で使 われる他の材料に適用される安全性の基準と同様な基準を満たさないといけない。追加されるべき考慮は  化学的な安定性、湿気の吸収、水との相性、強度、摩擦耐性、汚れ落としの容易さ、静電気、綿ぼこりのな さ などである。衣料のデ
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