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解題 東北大学対応委員会の告発審査開示文書におけるトリプルスタンダード

フォーラムは、「最新情報」 (105) でお知らせした『金属』誌の高橋禮二郎世話人らの論説

「井上明久氏の日本金属学会論文賞( 2000 年度)受賞論文の研究不正疑惑 東北大学対

応委員会『回答』の論理破綻 」をご覧になった読者から、この論説で批判されている東北

大学対応委員会の「回答」について質問が寄せられたのでその趣旨を踏まえ、論説著者の

協力を得て、以下のQ&Aを作成すると共に、「回答」を編集して公表することにしました。

Q1:告発は東北大学ではなかったのですね?

A:論説の著者らは、 1999 年論文の告発は、 2010621 日付けで、同論文に関す

る研究に資金を提供した科学技術振興機構(以下、JST)に対して行いました。J

STに告発したのは、東北大学が、研究不正告発への対応ガイドラインに存在しない

委員会(対応委員会)で扱うなど、不公正・不公平が目立ったからです。JSTはこ

の告発をうけて、告発を正規に受理して審査する必要があるとしました。しかし、J

STそのものは研究機関ではないので、内規に従い、被告発者が当時所属していた東

北大学に「確認と調査」を依頼したのです。

Q2:東北大学からJSTに対して回答があったのを知ったのはどのような経緯からですか?

A:半年以上経過しても回答がなかったので、論説著者らは、 「日野秀逸ほか 3 氏(大

村泉、高橋禮二郎、松井恵)による井上明久氏に対する研究不正告発に関して、科学技

術振興機構が東北大学との間で交わした文書の一切 (科学技術振興機構発信、 及び東北

大学発信文書、 双方の文書一切) 」という同一内容の情報開示請求を、JSTおよび東

北大学にそれぞれ 20101219 日付け、 201114 日付けで行いました。論説

著者らには、この請求に対する回答に先立って、 201116 日 付 け で JS T から 、

上記「確認と調査」に関する東北大学の「大学としての回答書を受け取りました」と

の連絡がありました。しかし回答書の添付がなかったので、この時点では、回答内容

は全く不明でした。

Q3:東 北 大 学 の回 答 はJSTと東 北 大 学 から、また箕 西 氏 か らも入 手 されたとのことですが、

この経緯はいかがですか?

A:開示文書はJSTのからは 2011215 日付けで、東北大学からは 37 日付

けで届きました。いずれの開示文書も墨塗りされた部分が多くどのような文書が隠さ

れているのか想像さえできないものも多数ありました。他方、論説著者らの告発から

は独立に箕西靖秀氏が 2010 年秋に、 1999 年論文について東北大学に対して研究不正

告発をされていて、この告発に対する回答が、 2011126 日付けで東北大学対応

委員会から箕西氏宛に送られてきたのです。 この回答は、 東北大学がJST宛に 2010

127 日付けで送付した回答からの抜粋で代用されていました。東北大学は、箕

西氏の告発内容が論説著者らの告発内容と一部重なるからという理由でこのように

措置したのです。この手続きを不審に思われた箕西氏から連絡があり、論説著者らは

初めて東北大学の回答を-全てではありませんが-知ることになりました。 (この回

答そのものは箕西氏の了解を得て既に公表されています。 日野秀逸ほか 『東北大総長お

やめください研究不正と大学の私物化』 、 社会評論社、 20113 月、 pp.199-206 、 参照 )

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Q4:開示文書は墨塗り部分が多かったとのことですが、 どのような具合だったのでし

ょうか?

A: 「ダブルスタンダード」という言葉はよく聞きますが、この場合は「トリプルスタ

ンダード」でした。これは2つの情報開示文書を相互に、またこの2つと、大学が箕

西氏宛に送った回答抜粋の内容を比較、検討することから明確になったものです(比

較・検討結果の詳細は、別紙「 1999 年論文の告発に関連する東北大学からJSTへの

報告文書」を参照下さい) 。 「トリプルスタンダード」とは、一言で言えば、墨塗り(隠

蔽) 箇所が①東北大学の箕西氏宛への回答文書、 ②JSTからの情報開示文書、 ③東北

大学からの情報開示文書の順に増えると言うことです。

Q5:墨塗りが① ③の順に増えると言うことですが、箕西氏宛の回答でも墨塗りがあっ

たのですか?

A:一箇所ですがありました。 学外委員3名の名前が伏せられていました。 この3人と

は、委員長が竹内伸氏(東京理科大学学長・当時) 、委員2名は、新宮秀夫氏(京都大

学名誉教授) 、小野寺秀博氏(物質材料研究機構グループリーダー)であることが論説

著者らと井上明久氏との名誉毀損裁判で明らかになりました。この 3 人は金属ガラス

の専門家です。 裁判に提出された井上氏らの準備書面によると、 委員長を務めた竹内氏

は井上氏の共同研究者でかつ「JSTのERATO事業の選考委員長及び評価委員長」

であったことが明らかにされています。 新宮氏は 「ERATO井上過冷金属プロジェク

ト事後評価」 の委員代表です ( http://www.jst.go.jp/erato/evaluation/20030710/02-prj2.html

小野寺氏は、 井上氏を研究代表者とする科研費特定領域研究の計画研究班のメンバーで

した。 要するに、 3人とも、 利益相反の観点からこうした委員会委員に就任する資格が

ない人物でした。 3人を委員会委員に推薦した人物は、 岸輝雄氏 (東北大学総長選考会

議長・当時)であったことも上記準備書面から知られます。

Q6:そもそもどんな理由で不開示にしたのでしょうか?

A : 箕西氏宛の東北大学回答で外部委員3氏の氏名が不開示になっている理由は不明で

す。何も示されていません。

JSTの情報開示文書に添付されていた不開示理由をみると、 3氏の氏名は 「個人

情報」であり、オープンにすると、 「当該個人の東北大学に対する信頼を損ない、ひいて

は今後同様の調査等への協力が得られなくなるなど、東北大学の業務の遂行に支障がでる

おそれがある」からだ、と言っているように読めます。しかし研究不正告発に関する調

査報告の場合、 とくに不正にあたらずとの報告ならばなおのこと、 被告発者の名誉のた

めにも、 その報告内容を担保する専門家の氏名を公表しないということは、 全く理解で

きません。 言い換えると、 この3人は名前を公表されると不都合を生じるということだ

ったのでしょうか?

Q7:墨塗り部分の特徴はいかがですか?

A : 墨 塗 り 箇 所 は 東 北 大 学 の 方 が J S T よ り 遙 か に 多 い の で す が 、 興 味 深 い の は

黄色+波線つまりJSTおよび東北大学双方に共通している墨塗り部分です。 該当する

のは、論文タイトル、 井上氏の共著者の氏名と関連する記述等です。注意すべきは、以

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下の例示のとおり、 この部分を丁寧に読むと、 JSTも東北大学同様、 本質隠蔽的です。

黄色+波線:JSTおよび東北大学公開文書ともに墨塗りされた部分

灰色+網掛け:東北大学公開文書のみで墨塗りされた部分

1)告発 1 について

「論文1、論文 2 ともに、実際に試料作成に携わったのは Zhang Tao 氏であるこ

とが本委員会の聞き取り調査により確認され、この事は井上氏も認めている。 Zhang

Tao 氏は 1997 年当時の母合金の作製では、 induction melting arc melting を併用

して作製していたと述べており(井上氏も同様回答) 、論文での記述が不十分であっ

たと反省の弁を述べている。 しかし、 ・・・・途中省略・・・・考えられる。 Zhang Tao 氏は、

母合金の再溶解は、両研究で同様で、induction melting で行ったと述べている(井

上氏も同様回答) 。読者の理解を容易にするために、母合金の再溶解法に関しても明

確に記述すべきであった。 」

[注:「Zhang Tao 氏は1997年」の「は」、「Zhang Tao氏は、母合金」の「は、」は、東北大学開示文書では 墨塗りされていない]

2)告発 2 について

「論文 2 の図1に示す写真は、明らかに論文 1 の図2の写真に並べて Ag10%試料

(1.5mφ)の外観写真を切り貼りしたものと判断される。また、井上氏もその事実を認

めている。論文 2 が・・・・途中省略・・・・なお、Zhang Tao 氏と井上氏によると、論文 1

においては induction melting arc melting を併用していたが、主には論文 2 と同

じ arc melting を用いていたと回答しており、記載が不十分であったことを認めてい

る。 」

3)告発3について

「なお、論文 2 では論文 1 を引用しており、読者は論文 1 がオリジナルであるこ

とは推定できる。しかし、論文 2 において図の説明箇所に明確に論文 1 からの転載で

あるとの記述が無いのは、ともに本人の論文であるとはいえ、説明不足のそしりを免

れない。

なお、両X線図形の説明文にて、焼鈍時間が異なる記述があるが、これはミスで、

同一焼鈍時間であり、 1999 年論文での記述が正しく、 1997 年論文での記述が誤りで

あると井上氏と Zhang 氏は述べている。このような詳細な点にも十分注意を払って記

述すべきである。 」

この墨塗り箇所のキーワードは、 「 Zhang Tao 氏」 (張濤北京航空航天大学教授・元

東北大学金属材料研究所助手) です。 情報開示に関わったJSTおよび東北大学の関係

者は、 「 Zhang Tao 氏」は研究不正で告発された論文の共著者だが、同氏の証言は保護

すべき「個人情報」であり、オープンにすると、 「当該個人の東北大学に対する信頼を

損ない、ひいては今後同様の調査等への協力が得られなくなるなど、東北大学の業務の遂

行に支障がでるおそれがある」という理由から、同氏に関連する記述を全て黒塗りにし

たのでしょう。 そして、 良い口実が出来たとばかりに

、、、、、、、、、、、、、

、 関係する井上氏の証言内容も

塗り = 隠蔽したのではないでしょうか。事実、 「 Zhang Tao 氏」証言に続く、 「井上氏も

同様回答」 、 「井上氏もその事実を認めている」 、 「井上氏と Zhang 氏は述べている」等

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が全て墨塗りされています。

これによって、 情報開示に関わったJSTおよび東北大学の関係者は、 例えば、 1999

年論文では、試料外観写真が出典を明記することなく、別論文( 1997 年論文)の写真

を台紙にして、 新たな写真が切り貼りされ、 この切り貼り写真のそのまた写真

、、、、、、

が試料外

観写真として用いられていること、 すなわち 99 年論文では写真が改ざん流用されている

ことを、井上氏「も」 「認めている」ことを隠すようにしたと考えられます。わが国で

は、 STAP 細胞に関する研究不正問題の報道を通じて、出典を明記せずに同じ写真を使

う(流用する)ことが、もっとも典型的な研究不正行為であることが、研究者の枠を遙

かに超える多くの人々の共通認識になっています。 それだけに、 井上氏がそのような事

実関係を 「認めている」 ことを隠すのは重大な問題です。 箕西氏が同氏宛の東北大学回

答を公開する決断をされなかった場合、 この事実は、 闇から闇に葬られる恐れがあった

ことになります。

Q8:『金属』誌の論説から東北大学回答の欺瞞性と論理破綻は明解ですが、日本金属学会

との関係はいかがでしょうか?

A:日本金属学会は、井上氏らの 1999 年論文に対して、 2000 年度に論文賞(物性部門)

を授与していました。論説著者らは 2011621 日付けでJSTに井上氏を研究不正で

告発をした後、 99 年論文では研究不正が余りにも明白なことから、 同年 628 日付けで、

同学会の理事会宛に、 学会の名誉と信頼回復のために、 論文賞の授賞取消を申し入れま

した。 しかし同学会は、 JSTへの告発を理由に自ら審議することを拒否しました。 2010

年秋に、 箕西氏は東北大学と共に、 同学会へも告発されていましたが、 同学会は東北大

学に告発していることを理由に告発を受付することさえ拒否したのでした。

2010 7 月に、同学会は、「学術誌の不正行為対応規程」の告発受付条項を変更し、

研究不正告発は、 「…研究機関又は当該の資金配分機関(以下当該研究機関等という)に…

告発すべきものとする」(第3条第1項)としたのです。以前の規程では告発は同会に対

しても行うことが可能であると読めたのですが、 告発受付条項を、 全ての告発をシャッ

トアウトするような条項に変更していたのでした。 そうはいっても、 「本会が発行する

学術誌の社会的信用度又は名誉を著しく貶める掲載論文の不正行為が存在する場合に

は、 これを学会が告発を受け付けることができる」 (同第2項) という条項が同時に新

たに加えられていたので、論説著者らは2012年4月9日付けで新たに明らかになった井

上氏の 7 編の疑惑論文について同学会に研究不正告発をしました。告発対象論文には二

重投稿で不正認定を受けた論文も含まれており、 新規条項に合致すると考えられたので

告発したのです。しかし当時の宮崎修一会長は「告発すべき」条項を理由に告発を受付

ませんでした。 規程変更時の学会長であった三島良直氏に対して99年論文には研究不正

が 「確実視される」 根拠を列挙して、 なぜ 99 年論文には第2項適用が出来ないのか問う

と「『不正行為が存在すること』が第2項の適用の要件のひとつであり」、 「『改ざん

やねつ造が確実視されている』 の記載では、 不正行為ではない可能性を排除できており

ませんので、 要件を満たしていないと見なされます」 、 という回答がありました。 我が

国を代表する金属材料の学会 (公益財団法人) の対応としては驚きを隠せない内容です。

2016年2月24日

井上総長の研究不正疑惑の解消を要望する会(フォーラム)

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1999 年 論 文 の 告 発 に 関 連 す る 東 北 大 学 か ら J S T へ の 報 告 文 書

北 大 研 研 総 第 9 3 号 平 成 2 2 年 1 2 月 7 日 独 立 行 政 法 人 科 学 技 術 振 興 機 構

理 事 長 北 澤 宏 一 殿

国 立 大 学 法 人 東 北 大 学 理 事 ( 研 究 担 当 ) 飯 島 敏 夫 公 印

井 上 明 久 氏 ら に 関 す る 研 究 不 正 告 発 に つ い て の 調 査 依 頼 に つ い て ( 回 答 )

本 学 は 貴 機 構 よ り 、 平 成22430日 及 び 平 成2277日 に 貴 機 構 に 対 す る 告 発 に つ い て 調 査 依 頼 を 受 け ま し た 。こ れ に 対 し 東 北 大 学 は 以 下 に 記 す 委 員 会 を 設 置 し 、 調 査 を 進 め て ま い り ま し た 。 同 時 に 、 外 部 委 員 会 を 設 置 し 、 委 員 各 位 に は 本 学 と は 独 立 し た 立 場 か ら 告 発 内 容 に つ い て 検 討 し て い た だ き ま し た 。 こ の 度 、 そ の 結 果 が 纏 ま り ま し た の で 、 以 下 の 通 り ご 報 告 申 し 上 げ ま す

[結 論]

本 件 告 発 事 項 は 、 い ず れ も 科 学 的 合 理 的 理 由 が 示 さ れ て い る も の で は な い と 判 断 さ れ る 。

も っ と も 、 対 象 論 文 に は 論 文 作 成 上 の 不 正 確 さ や 記 述 の 不 十 分 性 が 認 め ら れ 、 告 発 内 容 の 一 部 に は 、 そ れ に 起 因 す る も の も あ る と 考 え ら れ る 。 本 件 の 対 象 論 文 が 1 0 年 以 上 前 に 発 表 さ れ た も の と は い え 、 論 文 作 成 上 の 不 注 意 や 記 述 の 不 十 分 性 に つ い て は 著 者 等 も 真 摯 に 反 省 し て 誤 っ て 掲 載 し た 図 の 削 除 を 学 会 編 集 局 に 依 頼 し 、 受 理 さ れ て い る 。

論 文 作 成 上 の 不 注 意 や 記 述 の 不 十 分 性 は 明 ら か に 研 究 不 正 と は 区 別 さ れ る も の の 、 い た ず ら に 読 者 の 混 乱 や 誤 解 を 招 く も の で あ る 。 そ の 指 摘 は 委 員 会 の 本 来 の 任 で は な い が 論 文 著 者 等 は 当 該 研 究 領 域 を 自 ら 開 拓 し 指 導 的 立 場 に あ る こ と に 鑑 み 、 敢 え て こ の 機 会 に 自 省 を 促 す も の で あ る 。

本 学 と は 独 立 な 立 場 で 検 討 さ れ た 外 部 委 員 か ら も 同 様 の 回 答 が 寄 せ ら れ て い る 。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * *

注 : 上 記 の 送 付 文 書 に は 、 以 下 に 示 す 委 員 名 に 続 け 、 「 告 発 内 容 の 確 認 ・ 調 査 報 告 1 」 お よ び 同 「 2 」 が 添 付 さ れ て い た 。 東 北 大 学 の 箕 西 靖 秀 氏 へ の 回 答 で は 、 こ の 「 告 発 内 容 の 確 認 ・ 調 査 報 告 2 」 が 流 用 さ れ 、 別 紙 「JSTへ の 告 発 内 容 の 確 認 ・ 調 査 報 告 よ り ( 抜 粋 ) 」 と し て 黒 塗 り 部 分 な し で 添 付 さ れ て い た 。 ま た 、 箕 西 氏 提 供 文 書 に は 「 5 ) 告 発 5 に つ い て 」 を 欠 い て い た の で 、 東 北 大 学 お よ び J S T か ら の 開 示 文 書 か ら 再 現 を 試 み た 。 し た が っ て 、 「 5 ) 告 発 5 に つ い て 」 で は 、 一 部 解 明 で き な い 箇 所 が 生 じ て い る 。

凡 例

は 、 改 ペ ー ジ を 示 す

黄 色 + 波 線 ): J S T お よ び 東 北 大 学 公 開 文 書 と も に 墨 塗 り に な っ て い た 箇 所 灰 色 + 網 掛 け : 東 北 大 学 公 開 文 書 で は 墨 塗 り に な っ て い た 箇 所

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2 / 6 記

委 員 会 は 、 告 発 内 容 を 確 認 ・ 精 査 す る た め 、 以 下 に よ っ て 構 成 さ れ た 。 委 員 長 飯 島 敏 夫 東 北 大 学 理 事 ( 研 究 担 当 )

野 家 啓 一 東 北 大 学 理 事 ( 広 報 ・ 校 友 会 ・ 学 術 贋 報 担 当 ) 兵 頭 英 治 東 北 大 学 則 学 長 ( 法 務 コ ン プ ラ イ ア ン ス 担 当 ) 新 家 光 雄 東 北 大 学 金 属 材 料 研 究 所 長

河 村 純 一 東 北 大 学 多 元 物 質 秤 学 研 究 所 長 東 北 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科 長 花 輪 公 雄 東 北 大 学 大 学 院 理 学 研 究 科 長

本 雅 之 東 北 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 長

( 学 外 委 員 )

委 員 長 竹 内 伸 東 京 理 科 大 学 学 長 新 宮 秀 夫 京 都 大 学 名 誉 教 授

小 野 寺 秀 博 物 質 材 料 研 究 機 構 グ ル ー プ リ ー ダ ー ● ●

注 : 東 北 大 の 箕 西 氏 へ の 回 答 で は 、 別 紙 「JSTへ の告 発 内 容 の 確 認 ・ 調 査 報 告 よ り ( 抜 粋 ) 」 が 添 付 さ れ て お り 、 そ の 別 紙 1 ペ ー ジ に 、 【 委 員 会 】 の 表 記 が あ る が 、 竹 内 伸 、 新 宮 秀 夫 、 小 野 寺 秀 博 の 三 氏 の 名 前 は 空 欄 で 伏 さ れ て い た 。 ま た 、 「 * ● ● 」 氏 は 、 「 平 成 22 年 4 月 30 日 付 け H22 科 振 総 務 2 8 - 1 号 に つ い て の み 」 関 与 し て い る と あ り 、1999 年 論 文 に 関 す る 告 発 審 議 に は 関 わ っ て い な い 。

告 発 内 容 の 確 認 ・ 調 査 報 告 2

( 平 成2277日 付 け 、H22科 振 研 倫 ・ 監 第93-2号 分 )

[ 平 成 22621日 付 け 告 発 ]

( 1 )委 員 会 開 催 経 過

平 成 2 2 年 7 月 1 3 日 第 1 回 7 月 1 5 日 分 科 会

7 月 2 6 日 分 科 会

8 月 3 0 日 面 談 調 査 ( 於 北 京 ) 9 月 2 8 日 分 科 会

1 0 月 1 3 日 分 科 会 1 0 月 2 1 日 第 2 回 1 1 月 8 日 分 科 会 1 2 月 5 日 第 3 回

( 学 外 委 員 )

平 成 2 2 年 1 1 月 9 日 、 1 0 日 、 1 2 日

( 2 ) 告 発 内 容 の 整 理

【 告 発 内 容 】

1. 異 な る 作 成 法 な の に 同 じ 結 果(写 真 やX線 回 折 図 形)を 得 る こ と は 理 解 で き な い 。

(7)

3 / 6 2. 論 文2の 試 料 写 真 が 、 論 文1に 使 わ れ て い る も の の 使 い 回 し で あ る 。

3. 論 文2X線 回 折 図(元 ガ ラ ス)が 、 論 文1に 使 わ れ て い る も の の 使 い 回 し で あ る 。 4. 論 文2X線 回 折 図(結 晶 析 出 ガ ラ ス)が 、 論 文1に 使 わ れ て い る も の の 使 い 回 し で あ る 。

5. 論 文2の 破 壊 強 度 が 論 文 1 の 破 壊 強 度 の1.6倍 な の は 同 じ 組 成 の ガ ラ ス な の に お か し い 。

【 対 象 論 文 】

論 文1. A.InoueT.Zhang and Y.H.Kim: Synthesis of High Strength Bulk Amorphous Zr-Al-Ni-Cu-Ag A11oys with a Nanoscale Secondary Phase.

Mater. Trans. JIMvo1.38No.9(1997)pp.749-755.

論 文2. A.InoueT.ZhangM.W.Chen and T.Sakurai : Mechanical Properties of Bulk Amorphous Zr-A1-Cu-Ni-Ag A11oys Containig Nanoscale Quasicrystalline Particles.

Mater. Trans. JIMvo1.40,No.12(1999)pp1382-1389.

[ 参 考 論 文 ]

論 文3. M.W.ChenT.Zhang, A.InoueA.SakaiT.Sakurai : Quasicrystals in a partially devitrified Zr65Al7.5Ni10Cu12.5Ag5 bulk metallic glass

Applied Physics Letters (1999)pp1697-1699.

( 3 ) 平 成2277日 付 け 確 認 ・ 調 査 依 頼 へ の 回 答

は じ め に

学 術 論 文 は 、 そ の 時 々 で 当 事 者 と し て は 最 善 で あ る と 判 断 し た 実 験 結 果 ・ 解 析 ・ 結 論 を 記 載 す る も の で あ り 、 後 世 の 目 か ら 見 る と 過 ち や 不 十 分 な 点 が 見 い だ せ る 事 は 避 け が た く 、 む し ろ 科 学 技 術 研 究 の 発 展 の 証 と さ え 言 う こ と が で き る 。

あ る 物 質 群 に つ い て 、 過 去 に 発 表 し た 研 究 論 文 が 、 当 時 と し て は 重 要 な 研 究 成 果 で あ っ た が 、 そ の 後 の 研 究 発 展 に よ り 予 想 外 の 発 見 が 得 ら れ 、 以 前 の 論 文 に つ い て も 新 た な 視 点 か ら 解 析 や 再 評 価 が 必 要 に な る 場 面 は 、 研 究 の 発 展 過 程 で は し ば し ば 発 生 す る 。本 件 で 指 摘 さ れ た 、論 文12の 関 係 、参 考 論 文3は 、こ の よ う な 状 況 下 で の 井 上 氏 ら に よ る 研 究 発 展 へ の 対 応 と し て 注 意 深 く 検 討 す る 必 要 が あ る 。

本 告 発 で 類 似 点 が 指 摘 さ れ た 論 文 ( 1 ) は1997年 に 公 表 さ れ 、

Zr65-A17.5-Cu12.5-Ni10-Ag5 か ら な る バ ル ク 金 属 ガ ラ ス が 熱 処 理 に よ り 微 結 晶 析 出 す る と 機 械 的 強 度 が む し ろ 増 加 す る こ と を 見 い だ し た 報 告 で あ る 。 そ れ ま で 、 均 一 な 合 金 ガ ラ ス の 機 械 的 強 度 に 着 目 し て 研 究 開 発 が 進 め ら れ て き た 当 時 の 研 究 状 況 に お い て 、 こ れ は 予 想 外 の 新 た な 発 見 で あ っ た 。 当 時 、X 線 回 折 の 結 果 な ど か ら 、 析 出 し た 微 結 晶 はZr3(A1,Ag)2相 か ら な る 通 常 の 結 晶 で あ る と 帰 属 し 、論 文(1)の 本 文 な ら び に 図6中 に そ れ を 記 載 し て い る 。

そ の 後 、Chen 氏 ら に よ り 、 論 文(1)X 線 回 折 の 結 果 が 通 常 の 結 晶 相 で は な く 、 当 時 、世 界 的 に も 注 目 さ れ て い た 「 準 結 晶(quasi-crystal)」 の 存 在 を 示 す の で は 無 い か と の 指 摘 が あ っ た 。 そ の 観 点 か ら 析 出 相 の 電 子 顕 微 鏡 に よ る 詳 細 な 解 析 を 行 っ た 結 果 、 析 出 相 は 単 純 な 結 晶 で は 無 く 準 結 晶 で あ る 事 が 判 明 し 、 参 考 論 文(3)に 示 す Applied Physics Letters(App1. Phys. Lett., 1999)に 公 表 さ れ た 。

[注 : こ こ で 、 「 誌 」 は 東 北 大 学 開 示 文 書 で は 墨 塗 り さ れ て い な い]

こ の よ う な 新 た な 知 見 を 踏 ま え る と 、論 文(1)で 報 告 さ れ た 機 械 的 強 度 の 向 上 と い う 結 果 は 、 通 常 の 結 晶 相 で は な く 準 結 晶 の 析 出 と し て 考 え る こ と で 、 よ り 適 切 に 理 解 で

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4 / 6 き 、 そ の 発 見 の 重 要 性 が 更 に 高 ま る 事 が 分 か っ た 。

論 文(2)は 、そ の よ う な 時 代 背 景 に お い て 、論 文(1)の 成 果 を 基 礎 に 、論 文(3)の 解 析 を 考 慮 し 、 機 械 的 強 度 に 関 す る 再 実 験 の 結 果 と 、 他 の 組 成 の 準 結 晶 析 出 ガ ラ ス (Zr65-A17.5-Cu7.5-Ni 10-Ag10)と の 比 較 を 交 え て ま と め ら れ た も の で あ る 。 従 っ て 、 論 文(2)の 記 述 に 論 文(1)の 結 果 が 一 部 再 掲 さ れ る 事 は 当 然 あ り 得 る 事 で あ る 。

な お 、「 準 結 晶 」 は 、結 晶 と も ガ ラ ス と も 異 な る 第3の 固 体 物 質 と し て1984年 に 発 見 さ れ た 極 め て 珍 し い 構 造 体 で あ り 、1996年 に はZr 系 金 属 ガ ラ ス の 結 晶 化 過 程 で 準 結 晶 が 準 安 定 相 と し て 析 出 す る こ と が 報 告 さ れ て い た が 、 論 文 1 の 執 筆 の 時 点 で 著 者 ら は 気 づ か な か っ た も の と 思 わ れ る 。

以 下 、 こ の よ う な 研 究 の 推 移 も 勘 案 し て 、 本 告 発 内 容 を 個 別 に 検 討 し た 。

1 ) 告 発 1 に つ い て

論 文1で は 母 合 金 の 作 製 は ア ル ゴ ン ガ ス 雰 囲 気 に てinduction meltingで 行 わ れ 、 論 文2で は ア ル ゴ ン ガ ス 雰 囲 気 に てarc melting で 行 わ れ た と 記 述 さ れ て お り 、 両 論 文 で 母 合 金 の 溶 解 方 法 が 異 な っ て 記 述 さ れ て い る に も 関 わ ら ず 、 後 述 の 写 真 や X 線 回 折 図 が 同 一 な の は お か し い と い う の が 告 発 者 ら の 指 摘 で あ る 。

論 文 1、 論 文 2と も に 、 実 際 に 試 料 作 成 に 携 わ っ た の は Zhang Tao 氏 で あ る こ と が 本 委 員 会 の 聞 き 取 り 調 査 に よ り 確 認 さ れ 、こ の 事 は 井 上 氏 も 認 め て い る 。Zhang Tao 氏 は1997年 当 時 の 母 合 金 の 作 製 で は 、induction meltingarc meltingを 併 用 し て 作 製 し て い た と 述 べ て お り( 井 上 氏 も 同 様 回 答 )、論 文 で の 記 述 が 不 十 分 で あ っ た と 反 省 の 弁 を 述 べ て い る 。 し か し 、 両 論 文 で 最 終 研 究 試 料 と な る バ ル ク 金 属 ガ ラ ス は 、 母 合 金 を 再 溶 解 し 鋳 型 に 鋳 込 ん で 作 製 す る こ と か ら 、 再 溶 解 条 件 が 同 様 で あ る 限 り 、 母 合 金 の 化 学 組 成 は 同 じ で あ る の で 、 母 合 金 の 作 製 方 法 に 寄 ら ず 同 様 の バ ル ク 金 属 ガ ラ ス が 得 ら れ る と 考 え ら れ る 。Zhang Tao 氏 は 、 母 合 金 の 再 溶 解 は 、 両 研 究 で 同 様 で 、 induction meltingで 行 っ た と 述 べ て い る ( 井 上 氏 も 同 様 回 答 )。 読 者 の 理 解 を 容 易 に す る た め に 、 母 合 金 の 再 溶 解 法 に 関 し て も 明 確 に 記 述 す べ き で あ っ た 。

[注 : 「Zhang Tao 氏 は1997年 」 の 「 は 」 、 「Zhang Tao氏 は 、 母 合 金 」 の 「 は 、 」 は 、 東 北 大 学 開 示 文 書 で は 墨 塗 り さ れ て い な い]

)告 発 2 に つ い て

論 文2の 図1に 示 す 写 真 は 、明 ら か に 論 文1の 図2の 写 真 に 並 べ てAg10%試 料(1.5mm φ)の 外 観 写 真 を 切 り 貼 り し た も の と 判 断 さ れ る 。ま た 、井 上 氏 も そ の 事 実 を 認 め て い る 。論 文2が 準 結 晶 の 析 出 し や す いAg10%試 料(1.5mmφ)の バ ル ク ガ ラ ス を 加 え て 、以 前 に 論 文 3 で 準 結 晶 析 出 が 確 認 さ れ て い る Ag5%試 料(345mmφ)の バ ル ク ガ ラ ス と 並 べ て 外 観 写 真 を 示 し た と い う 意 味 で あ り 、新 た に 本 論 文 で も Ag5%試 料 の 外 観 写 真 を 撮 り 直 さ ね ば な ら な い と い う 必 然 性 は 無 い 。

し か し 、 論 文2の 実 験 手 続 き の 欄 に は 、 論 文1と ほ ぼ 同 じ 内 容 が 記 さ れ て い る も の の 、 そ れ を 直 接 引 用 説 明 は し て い な い 。 ま た 、 論 文1に は バ ル ク ガ ラ ス 作 成 用 の 母 合 金 はinduction melting で 作 成 し た と 書 か れ 、 論 文 2 で は そ の 母 合 金 を arc melting で 作 成 し た と 書 か れ て い る こ と か ら 、 論 文2で は 全 て の 組 成 に つ い て 、 新 た に 試 料 合 成 を 行 い 解 析 し な お し た と 誤 解 さ れ か ね な い 問 題 を 含 ん で い る の は 事 実 で あ る 。な お 、 Zhang Tao 氏 と 井 上 氏 に よ る と 、 論 文 1に お い て は induction meltingarc melting を 併 用 し て い た が 、 主 に は 論 文2と 同 じ arc meltingを 用 い て い た と 回 答 し て お り 、 記 載 が 不 十 分 で あ っ た こ と を 認 め て い る 。

3 ) 告 発 3 に つ い て

告 発 内 容 3 つ い て は 、 明 ら か に 同 一 図 で あ り 、 試 料 組 成 の 表 記 も 同 じ で あ る 。 井 上

(9)

5 / 6 氏 も 同 一 図 と 認 め て い る 。 従 っ て 、 告 発 者 ら の 指 摘 は こ の 部 分 の み を 見 る と 正 当 で あ る 。

し か し 、 前 述 し た 論 文1と 論 文2の 公 表 経 緯 な ら び に 論 文2の 位 置 づ け を 理 解 す る と 、 論 文2の 主 題 は 論 文1の 結 果 の 再 解 析 が 主 な 目 的 で あ り 、 ガ ラ ス のX線 回 折 図 が 同 一 だ か ら と 言 っ て 論 文2が 捏 造 で あ る と は 言 え な い 。 な お 、 論 文 2で は 論 文1を 引 用 し て お り 、 読 者 は 論 文1が オ リ ジ ナ ル で あ る こ と は 推 定 で き る 。 し か し 、 論 文2に お い て 図 の 説 明 箇 所 に 明 確 に 論 文1か ら の 転 載 で あ る と の 記 述 が 無 い の は 、 と も に 本 人 の 論 文 で あ る と は い え 、 説 明 不 足 の そ し り は 免 れ な い 。

な お 、両 X 線 図 形 の 説 明 文 に て 、焼 鈍 時 間 が 異 な る 記 述 が あ る が 、こ れ は ミ ス で 、 同 一 焼 鈍 時 間 で あ り 、1999年 論 文 で の 記 述 が 正 し く 、1997年 論 文 で の 記 述 が 誤 り で あ る と 井 上 氏 とZhang氏 は 述 べ て い る 。 こ の よ う な 詳 細 な 点 に も 十 分 注 意 を 払 っ て 記 述 す べ き で あ る 。

)告 発 4 に つ い て

告 発 内 容 4 に つ い て は 、 確 か に 同 じX線 回 折 図 が 用 い ら れ て い る が 、 問 題 は 無 い と 判 断 さ れ る 。 論 文1のFig.6は 析 出 結 晶 をZr3(A1,Ag)2に 帰 属 で き る も の と し て 解 析 し た 面 指 数 な ど が 記 入 さ れ て い る が 、 論 文2のFig.6に はX線 回 折 図 は 同 一 で も 準 結 晶 に 帰 属 で き る と い う 新 た な 知 見 を 元 に110000面 な ど と 新 た な 帰 属 を 記 入 し て お り 、 単 な る 同 一 図 の 再 掲 で は な い 。 強 い て 難 点 を 言 え ば 、 論 文1の 図 を 再 掲 し て 帰 属 を 改 め て い る 事 を 文 中 や キ ャ プ シ ョ ン に 明 示 す べ き と 言 え る 。 論 文1を 参 考 文 献 と し て 引 用 し て い る が 、 こ の 図 に 関 し て 直 接 的 な 引 用 の 記 述 が 無 い の は 説 明 不 足 で あ る 。 5 ) 告 発 5 に つ い て

論 文 1 と 論 文 2 で 、 同 様 の 金 属 ガ ラ ス 試 料 の 引 張 強 度 に 約 30%の 差 が 認 め ら れ る こ と か ら 金 属 ガ ラ ス の 引 張 強 度 の 値 の 信 頼 性 が 疑 わ れ る と の 疑 義 で あ る 。 ● ● ● ● ● ●

● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 5 9 字 抹 消 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ●

● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● を 委 員 会 は 確 認 し た 。 委 員 会 の 結 論 か ら 述 べ れ ば 、 ガ ラ ス や 微 結 晶 ( 微 準 結 晶 ) 析 出 ガ ラ ス の 力 学 的 破 壊 強 度 が 、 同 一 組 成 で あ っ て も 、30%程 度 異 な る 事 は 、十 分 に 起 こ り う る こ と で あ り 、学 術 的 に は 興 味 深 い が 、そ れ を も っ て 捏 造 の 根 拠 と は 全 く な ら な い 。

ガ ラ ス や 微 結 晶 析 出 ガ ラ ス は 熱 力 学 的 非 平 衡 状 態 に あ る た め 、 平 衡 状 態 に あ る 結 晶 な ど と は 違 い 、 作 成 時 の 微 妙 な 条 件 の 差 に よ り 物 理 的 性 質 が ば ら つ く 事 は あ り う る 。 論 文 2 の 破 壊 強 度 の 結 果 が 論 文 1 の 結 果 と 異 な る 事 は 、 試 料 中 に 含 ま れ る 不 純 物 や 欠 陥 の 量 や 表 面 の き ず な ど の 違 い に よ り 説 明 で き る 範 囲 で あ り 、 捏 造 を 疑 う 根 拠 と は な り 得 な い 。

欠 陥 に 関 し て さ ら に 言 及 す れ ば 、 両 論 文 の 金 属 ガ ラ ス 試 料 は 鋳 造 法 で 作 製 さ れ て い る こ と か ら 、 鋳 造 欠 陥 が 含 ま れ る 。 鋳 造 欠 陥 は 製 造 法 が 同 様 で も 試 料 毎 に 量 や 大 き さ が 異 な る こ と は 容 易 に 想 像 で き る 。 ● ● ● ● ● ● 1 4 字 抹 消 ● ● ● ● 。 鋳 造 法 で 試 料 が 作 製 さ れ て い る こ と か ら 、 鋳 造 に 精 通 し て い る 読 者 で あ れ ば 容 易 に 鋳 造 欠 陥 の 存 在 が あ る こ と を 考 え 付 く で あ ろ う 。 し か し 、 鋳 造 欠 陥 の 定 量 化 は 別 と し て 、 せ め て 鋳 造 欠 陥 の 存 在 が あ ろ う こ と の 簡 単 な 記 述 を す る こ と が 望 ま れ る 。

[結 論]

今 回 の 研 究 不 正 告 発 に 挙 げ ら れ た 事 項 は 、 以 上 、 項 目 1 ~ 5 の 回 答 に 示 し た 理 由 か ら 、 い ず れ も 不 正 と す る 科 学 的 合 理 的 理 由 と は な り 得 な い と 判 断 さ れ 、 委 員 会 は 研 究 不 正 が あ っ た と は 認 め ら れ な い と 判 断 す る 。 こ の 結 論 は 外 部 委 員 会 の 意 見 と も 一 致 す る も の で あ る 。

(10)

6 / 6 写 真 や 解 析 結 果 の 一 部 に 、 先 行 し て 発 表 し た 1 9 9 7 年 の 論 文 ( 論 文 1 ) の も の が 使 わ れ て い る が 、 そ れ ら は 、 告 発 対 象 論 文 ( 1 9 9 9 年 発 表 の 論 文 2 ) で も 同 様 の 材 料 を 使 っ た 事 を 示 す た め に 用 い ら れ た も の で あ り 、当 該 論 文 の 新 た な( オ リ ジ ナ ル な ) 主 張 の 、 ま た 価 値 を 決 定 す る 構 成 要 素 と な っ て い な い こ と は 明 ら か で あ る 。 こ れ ら 2 つ の 論 文 発 表 の 間 に は 、「 準 結 晶 相 析 出 の 発 見 」と い う 重 要 な 論 文 発 表( 論 文 3 )が あ る 。 そ の 論 文 に は 今 回 、 告 発 対 象 と な っ た 論 文 の 著 者 が 全 て 関 わ っ て い る 。 こ の 論 文 は 告 発 対 象 論 文 の 性 格 を 正 し く 理 解 す る 上 で は 見 逃 す こ と の で き な い も の で あ り 、 一 連 の 研 究 の 連 続 性 を 理 解 す る こ と に よ り 告 発 対 象 論 文 が 、 よ り 明 確 に 理 解 で き る 。

し か し な が ら 、 後 続 論 文 で 前 論 文 を 引 用 は し て は い る も の の 、 後 続 論 文 と 前 論 文 と の 関 連 が ま っ た く 記 述 さ れ て お ら ず 、 前 論 文 の 解 釈 の 誤 り に つ い て も ま っ た く 記 述 さ れ て い な い 。 こ の こ と が 今 回 の 告 発 の よ う な 誤 解 を 生 む 要 因 と な っ て い る こ と を 著 者 ら は 反 省 す べ き で あ る 。 ま た 、 前 論 文 の 測 定 結 果 と の 相 違 に つ い て も 、 当 然 後 続 論 文 で そ の 原 因 を 考 察 す べ き で あ っ た 。

論 文 作 成 に お け る こ れ ら 不 十 分 性 の 指 摘 に つ い て は 委 員 会 の 本 来 の 任 で な く 、 さ ら に 、 本 件 は 1 0 年 以 上 前 の 事 項 で は あ る が 、 当 該 研 究 分 野 を 開 拓 し て き た 著 者 ら で あ る か ら こ そ 他 研 究 者 へ の 影 響 も 思 慮 さ れ る の で 、 敢 え て こ の 機 会 に 自 省 を 求 め る も の で あ る 。

参照

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