... . .
慶田 昌之
すでに述べたように、ケインズ派マクロ経済学の特徴は新古 典派が考えるようには均衡しない市場が存在することである。
ケインズ派マクロ経済学の体系は次のようにまとめられる。 I(r) + ¯G = S(Y − ¯T)
M
P = L(Y, i) Y = F ( ¯K, N) dF
dNd = W
P i = r + π W = W¯
各式は次のような意味を持つ。 1番目の式は財市場の均衡式。 2番目の式は資産市場の均衡式。 3番目の式は生産関数。
4番目の式は労働の需要を表す式。
5番目の式は名目金利の決定式。フィッシャー方程式と呼ば れる。
6番目の式は名目賃金が一定であることを表す式。
新古典派マクロ経済学の体系では、労働市場の均衡式から労 働量 N が決定し、その後、順番に生産量 Y までが決定する 構造であった。
ケインズ派マクロ経済学の体系では、5つの方程式によって 生産量 Y、実質利子率 r、名目利子率 i、物価水準 P、労働 量N が同時に決定する構造を持っている。
まず、物価水準 P = ¯P が一定であると考える。 このことは物価上昇率 π = 0 であることを意味する。
したがってr= iであり、実質利子率と名目利子率は等しい。
財市場の均衡式と資産市場の均衡式についてのみ注目する I(r) + ¯G = S(Y − ¯T)
M
P¯ = L(Y, r)
この2つの式から、生産量 Y と実質利子率 r が決定する。 これは、後に IS-LM 分析として詳しく見る。
さらに、実質利子率r も一定であると考えよう。
ケインズ派は、消費関数が次のような形状をしていると仮定 する。ケインズ型消費関数と呼ばれる。
C= C0+ cY
説明を単純にするために、税収 T = 0、財政支出G= 0と 仮定する。
c は限界消費性向と呼ばれる。
所得が1単位増加したときに、どれだけ消費が増加するかを 表す。
δC δY = c
平均消費性向は
C Y =
C0
Y − c である。
このとき、貯蓄は
S = Y − C
= Y − C0− cY
= −C0+ (1 − c)Y
となる。
したがって、限界貯蓄性向は(1 − c)、平均貯蓄性向は S
Y = − ( C0
Y )
+ (1 − c)