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国際金融 Keida's Website slide if unit12

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Academic year: 2018

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国際金融

unit 12為替リスクを考慮する

(2)

為替リスク

カバーなし金利平価式においては、内外債券が完全代替であ ることを想定している。

これは、自国と外国の資産の期待収益率が等しければ、どち らを保有しても無差別であることを意味している。

しかし、外国資産の期待収益率には為替レートの期待変化率 が含まれているので、為替レートに予想外の変化が生じる と、予期せざる収益や損失の可能性がある。

これは、為替レートの不確実性に起因するリスクであるの で、為替リスクと呼ぶ。

(3)

為替リスク

しかし、多くの経済主体は、期待収益率が等しいならば、為 替リスクのない自国の債券を保有したいと考えるであろう。 このように、期待収益率が等しければ、リスクを避け確定的 な収益を得ようとする経済主体をリスク回避的と呼ぶ。

(4)

為替リスク

以下では、リスク回避的な経済主体を想定し、内外債券不完 全代替の場合の為替レート決定理論であるポートフォリオ・ バランス・モデルを解説する。

(5)

リスク・プレミアム

内外債券が不完全代替である場合には、カバーなし金利平価

式はunit 10で解説したような単純な形では成立しない。

たとえば、アメリカが日本に対して経常収支赤字である場合 を考える。

この場合、アメリカは経常収支分の金融資産を日本に引き渡 す必要がある。

日本は債権者となり、アメリカは債務者となる。

日本の債権者はドル建て債権を保有するならば為替リスクを 負い、同様にアメリカの債務者が円建て債務を保有するなら ば為替リスクを負う。

日本の債権者は円建て債権を好み、アメリカの債務者はドル 建て債務を好が、両方を満たすことはできない。

(6)

リスク・プレミアム

このような状況で、日本の債権者が進んでドル建て債券を保 有するためには、ドル建て債権の収益率が円建て債権の収益 率を上回る必要がある。

it< it +

eet+1− et

et

一方、アメリカの債権者が進んで円建て債務を保有するため には、円建て債務の費用がドル建て債務の費用を下回る必要 がある。

it

eet+1− et

et

< it

(7)

リスク・プレミアム

この2つの式を同時に満たすためには、あるρの値が存在 して、

it+ρ = it+e

e t+1− et

et

と、内外債券不完全代替を仮定した場合には、カバーなし金 利平価式は修正される必要がある。

ρ (ロウ)は、日本の債権者にとっては為替リスクを補うた めに必要な収益率の上乗せ分である。

また、アメリカの債務者にとっては為替リスクを補うための 費用の減少分を表す。

ρ はリスク・プレミアムと呼ばれる。

(8)

ポートフォリオ・バランス・モデル

ここで、リスク・プレミアムがどのような要因によって決定 するかを考察する。

マネタリー・モデルでは、自国通貨建て債券と外国通貨建て 債券が完全代替であったため、これらが取引される市場を債 券市場として、ひとまとめに分析できた。

ポートフォリオ・バランス・モデルにおいては、自国通貨建 て債券と外国通貨建て債券は不完全代替であるため、貨幣市 場、自国債券市場、外国債券市場の3つの市場が存在するこ とになる。

(9)

ポートフォリオ・バランス・モデル

このとき、一定の収益率を確保しながらもリスクを最小限に 抑えたいと考える合理的な投資家は、自らの資産を貨幣、自 国債券、外国債券に分散投資するであろう。

したがって、各投資家にとって最適な自国通貨建て債券に対 する外国通貨建て債券の保有比率

etBt

Bt

が存在する。

Btは自国に存在する自国通貨建て債券の残高

etBt は自国に存在する外国通貨建て債券の残高を自国通貨建 てで表示したもの

この保有比率をポートフォリオ・バランスと呼ぶ。

(10)

ポートフォリオ・バランス・モデル

ポートフォリオ・バランスと内外期待収益率格差(すなわ ち、リスク・プレミアムをマイナスで表示したもの)は負の 関係にある。

したがって、ポートフォリオ・バランスとリスク・プレミア ムは正の関係にあり、次の式のように表せる。

it+ρ( etB

t

Bt

)

=it +e

e t+1− et

et

(11)

ポートフォリオ・バランス・モデル

これは、外国通貨建て債券が増大し、ポートフォリオ・バラ ンスがetBt/Btが上昇すると、自国の投資家は、より大きな 為替リスクに直面することとなる。

この為替リスクを補うためには、より大きなリスク・プレミ アムが必要となることを意味する。

(12)

ポートフォリオ・バランス・モデル

ここで、自国に存在する外国通貨建て債券の残高Bt は、経 常収支黒字の累積額に依存することに留意しなければなら ない。

なぜならば、unit 2で解説した国際収支表に基づけば、ある 期間における資本の純流出額(資本収支の赤字額)は、ある 期間における対外純債権の増加に相当するが、これは、その 期間における経常収支黒字額に等しいからである(外貨準備 の増減を無視した場合)。

したがって、経常収支黒字の累積額が増加(減少)すると、 対外純債権が増加(減少)するため、リスク・プレミアムは 上昇(低下)することがわかる。

(13)

ポートフォリオ・バランス・モデルの解釈

1980年代における円ドル為替レートの動向とアメリカにお ける「双子の赤字」を例に、ポートフォリオ・バランス・モ デルの意味を解釈する。

図4-3は、1980年第1四半期から1989年第4四半期までの 円ドル為替レートの期末値を示したものである。

円ドル為替レートは、1980年代前半においては円安・ドル高 基調で推移したが、1985年のプラザ合意以降急速に円高・ド ル安基調となったことがわかる。

(14)

ポートフォリオ・バランス・モデルの解釈

(15)

ポートフォリオ・バランス・モデルの解釈

1980年代前半においてアメリカでは財政赤字が拡大し(図 4-4)、これを国債の発行によってファイナンスした。

アメリカにおける国債の増大は、国債価格を低下させ、アメ リカの金利を上昇させた。

図4-6は、1980年第1四半期から1989年第4四半期までの アメリカと日本の10年物国債利回りの推移を示している。 図4-6より、アメリカの国債利回りは高い水準にあったこと がわかる。

この結果、アメリカに資本が流入し、ドルが世界通貨に対し 全体的に増価し、円ドル為替レートも円安・ドル高基調で推 移した(図4-3)。

(16)

ポートフォリオ・バランス・モデルの解釈

(17)

ポートフォリオ・バランス・モデルの解釈

(18)

ポートフォリオ・バランス・モデルの解釈

このドルの増価はアメリカの経常収支赤字を拡大した(図 4-5)。

この時期のアメリカの財政収支赤字と経常収支赤字は「双子 の赤字」と呼ばれた。

同じ時期、アメリカは日本に対しても貿易収支赤字の状態に あったことが分かる(図4-7)。

(19)

ポートフォリオ・バランス・モデルの解釈

(20)

ポートフォリオ・バランス・モデルの解釈

(21)

ポートフォリオ・バランス・モデルの解釈

アメリカの対日貿易赤字の増大により、日本に存在するドル 建て債券の残高Btが増大した。

このため、日本にとっての最適なポートフォリオ・バランス が崩れ、日本の投資家は、より大きな為替リスクに直面する ことになった。

このため、日本の投資家は、円建て債券買い・ドル建て債券 売り圧力を強めた。

その結果、1980年代後半は円高・ドル安が進むとともに(図 4-3)、リスク・プレミアムが上昇したと考えられる。

このように、ポートフォリオ・バランス・モデルは1980年代 の円ドル為替レートの動きを説明することができる。

参照

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