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Ichimiya Radiation 20110410 BW

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(1)

福島第一原子力発電所被災に

よる放射能を理解する

2011.4.10

一宮 亮 / 高エネルギー加速器研

究機構

(ryo@post.kek.jp)

1

2011.7.27 修正版+白黒対応版

(2)

最低限知っておいて欲しいこと

• 放射線に被曝にした人が他人に被曝させる事(放射化)

は有り得ません * 。つまり、放射線はウイルスなどと

違って伝りません。

• 放射性物質が衣服や身体に付着し、 スクリーニングで除

洗が必要なレベルを超したとしても、それはその人の健

康を害する可能性が有るという基準を超えたということ

に過ぎず、周囲の人に影響を及ぼすレベルでは有りませ

ん。花粉と同じように払う事などで容易に除去できます

• なので、決して避難地域から来られた方を差別しないで

下さい。お願いします。

α線、 γ 線、 β 線では放射化は起こりません。中性子は人体を構成する物質を放射化しますが運転中の炉心 付近しか存在しない上、 http://www.cs.kyoto-wu.ac.jp/~mizuno/q-and-a-20011023.html の計算によると、致死 量以上 (100Gy) の中性子被曝をしても、すぐ全く影響無いレベルになります。

2

(3)

はじめに

• 今日、日本の電力の 30% を原子力発電で作っており、我々の

生活になくてはならないものになっています。 他方、その

中身はあまり理解させてきませんでした。

– そのため、誤解や無知による恐怖感を持たれる方も少なくありません

– 逆に原子力に携わる人々も批判を恐れるあまり、非合理的な『絶対安

全』を謳ってきました。

– どちらも正しい態度ではないと思います。この場では、冷静に核エネ

ルギーを生み出す仕組みを学び、どのように向き合っていくかを共に

考えてゆきたいと思います。

放射線防護の原則:

– ALARA(As Low As Reasonably Achievable)

– 不要な被曝は合理的に可能な限り避ける。

3

(4)

原子力発電の割合

4 電気事業連合会 Web ページより転載

各国の総発電電力量に占める各電源の発電の割合

http://www.iae.or.jp/energyinfo/energydata/data3030.html

(財)エネルギー総合工学研究所の Web ページより転載

http://www.fepc.or.jp/present/nuclear/setsubi/index.html

• 原子力発電を無くした場合、現在の中国のような化石燃料の大量消費社 会になる羽目になる。化石燃料の資源枯渇・大気汚染の問題は依然とし て存在する。グリーン電力は原子力発電量を賄えるほどの総出力には達 していない。

• 少なくとも、風力・太陽光・地熱などは「現時点で」代替出来る規 模にない。

• 長期的には色々な可能性が考えられるものの、現時点では即廃止出 来る状況ではない。

(5)

5

原子力発電の原理と構造

ウランの核分裂を利用

– ウラン 235 に熱中性子を吸収させると核分裂し、

減少した質量分が熱エネルギーとして発生する。

• ウラン 1mol (235 グラム ; 1 2cm3 ;PET ボトルの蓋の大き さ ) の発生エネルギーは、

 と 534 万 kWh が熱として発生する。 100 万 kW の原子 力発電所 1.5 時間分の発電量に相当 ( 熱効率:約 30%)

– 原子力発電所では、この発生熱で

水蒸気を作り、タービンを回して発電する。

安全のため、水蒸気温度・圧力を低く設定   してあり火力発電所 (50% 超も)ほど熱効率   は高くない。

MeV

200

~

139

2

95

235

U n Y I n

] kW [ 10 34 . 5 ]) kWh/eV [

10 5 . 44 ( ]) [ 10 6 ( MeV

200   23   27   6

( 核分裂の一例 )

( 核分裂の一例 ) 中性子

中性子

(6)

原子力発電の安全性確保策

• このように、現在の原子力発電所 ( 軽水炉 ) は、チェルノブイリ原発など の黒鉛炉と違い、構造的にも原理的にも安全になるように作られています。 でも、今回の東北地方大地震では、地震自体ではなく、大津波による冷却 機能喪失により、福島第一原子力発電所だけは深刻な事態になりました。

それ以外の東北地方の原子力発電所が必死の努力で安全に維持されている事もまた事実

です。 6

• 物理的封じ込め • 核分裂反応の自己安定性

http://www.chuden.co.jp/torikumi/atom/more/safe_shikumi.html

中部電力 Web ページより転載

(7)

放射能と放射線

• レントゲン撮影は、放射線 (X 線 ) を受けます。

• ラドン温泉のお湯(の中のラドンガス)は、放射線を出す放射性物質です。

厳密には正しくありませんが、放射性物質の事を放射能と呼ぶ場合があります。

7

出典:「原子力・エネルギー」図面集  2009   6-1 http://www.fepc.or.jp/learn/houshasen/houshanou/index.html

(8)

放射線の種類

• レントゲン撮影をするときに、鉛のエプロンをするのは X

線を遮蔽するため。

• 原子炉の炉心は水で覆われているので、運転中でも上に立

つことが出来る。

8

出典:「原子力・エネルギー」図面集 2009   6-2

(9)

単位について

• 扱う数字の範囲が大きいため、 k( キロ ), ( マイク

ロ)などの補助単位を使用します。

– G (ギガ) 10

9

= 1,000,000,000 = 10 億

– M (メガ) 10

6

= 1,000,000 = 100 万

– k (キロ)  10

3

= 1,000 = 1 千

– m (ミリ)  10

-3

= 0.001 = 1 千分の 1

–  (マイクロ)  10

-6

= 0.000001 = 100 万分の 1

– n (ナノ)  10

-9

= 0.000000001 = 10 億分の 1

• 欧米では 1,000 毎に言葉を換える( thousand, million, trillion,...)

• 東アジアでは 10,000 毎に言葉を換える ( 万、億、兆、京、 ...)

9

(10)

放射能の単位

• 放射能を測る単位「ベクレル」( Bq )

– 放射能 ( 放射性物質)が放射線を出す能力を表します。

放射線は放射性物質が崩壊するときに発生しますが

、「ベクレル」は1秒間に放射性物質が崩壊する数

を表します。

10

http://www.mhi.co.jp/atom/column/radiation02.html

• ラジウム泉として有名な三朝温泉は、 ~9,000Bq/L なので、 20,000L の浴槽では 180MBq.

• 60 %塩化カリウム肥料は、 ~9,600Bq/kg なので、 20kg 袋で 192kBq. 三朝温泉

(11)

放射性物質は崩壊して減少する

• 半減期の短いものほど、同じ質量でも多くの放射線を出す (比放射能が大きいと言う)

• ウランのように半永久的なものもある。相対的な放射能の量(比放射能)は

少ない。 11

出典:「原子力・エネルギー」図面集 2009   6-3

(12)

放射線の単位

• 放射線を測る単位1「グレイ」( Gy)

– 1kg あたり 1 ジュールのエネルギーを吸収したときの

線量 ( 吸収線量 ) をいう。物質や組織が放射線のエネ

ルギーをどれくらい吸収したかをあらわす。

• 放射線を測る単位2「シーベルト」( Sv)

– 1 グレイの γ 線によって人体の組織に生じるのと同じ

生物学的影響を組織に与える放射線の量をいう。人

体が放射線によって受ける影響は、部位や放射線の

種類によって異なるため、 γ 線を基準にしている。

生物に対する影響をあらわすときに使う単位。

• γ 線よりも、中性子線・陽子線・重イオン線の方が 10 倍以

上人体に影響が大きいとされる。これらを用いると、より

効果的ながん治療が出来る。

12

(13)

放射線の人体に与える影響

13 出典:筑波大学三明康郎先生

「放射線の基礎と応用」 p37 より引用

放射線

確率的影響(晩発障害)

確定的影響(急性障害)

– 紫外線と同様に、物質(人体)中の原子を電離(イオン

化)する

• 人体の細胞の DNA を損傷させ、細胞分裂を阻害する。

• 細胞分裂の活発な臓器への影響が大きい。

• ( 骨髄(造血)、腸壁、生殖器 ), 乳幼児。

– ただし、 DNA には自己修復機能がある。

概ね 1Sv/h 程度の線量率では傷つけられた DNA の大多数は   回復するため、医学的にはほぼ影響がないとされています。    ( 東大病院放射線科 中川惠一先生による)

– ごくまれに、 DNA の修復ミスが起こる。

がんの発生の原因の可能性がある。(学問的には   仮説の段階である事に注意。)

– 大線量を被曝した場合、修復が追いつかない。

 

(14)

大線量の被曝をした場合の影響

( 確定的影

響)

• 数十 Gy 以上 : 神経中枢が破

壊され、数日で死亡(神経

死)

• 5-15Gy: 腸管出血で約 1 週間

で死亡(腸死)

• 1-10Gy: 骨髄造血機能減少に

より約 1 カ月で死亡

– JCO 臨界事故

• A さん: 20Gy ( 死亡)

• Bさん: 10Gy ( 死亡)

• C さん : 4.5Gy ( 生存 )

• 0.5Gy: 血中のリンパ球が減少

• 0.1Gy(Sv) 以下では確率的影

響のみ考えれば良い。

本ページの出典:筑波大学三明康郎先生 14

「放射線の基礎と応用」 p38 より引用 ( 孫引き)

(15)

放射線量と危険度は比例するか?

( 確率的影

響)

• 前述のように、低線量率では傷ついた DNA は殆ど自己修復機能により回復しま す。それでもある確率で修復ミスが起こり癌を引き起こすのではないかとの説 もあります。ただ、それ以外の影響の方が大きく、良く分かっていません。

– 放射線防護では、もっとも影響を大きく見積もった「どんなに少ない線量で も被曝した線量に比例して危険が増える」というモデルで安全基準を立てて います。

15

• 大線量の時のデータなどを用いて推定した全致死ガンの確率 * : ~5 x 10-

2 /Sv

• 10mSv 被曝時に致死ガンの発生率は、約 30%( 日本人 ) ⇒ 30.05% になる

• Sv 被曝時の致死ガンの発生率は、 10-6 増加。

出典:筑波大学三明康郎先生

「放射線の基礎と応用」 p40 より引用

この数字をどうとらえれば良いのか?

この数字をどうとらえれば良いのか?

*ICRP Publ. 60 (1990 勧告 ) における名目確率係数 [normal fatality probability coefficients] (全集団(公衆));

余剰絶対リスク (EAR) 他に http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC283495/

(16)

10 -6 (100 万分の 1) の危険( ~100S

v )

• 何をやっても、やらなくてもリスクがある。

• リスクを比較して評価し、「判断」。

– 不安をずっと持ち続けることによる健康への悪影響は大きい!

• Quality of Life の低下

16 出典:筑波大学三明康郎先生

「放射線の基礎と応用」 p42 より引用

• 同じ事実のを別々に表現したもの:

99.9999% 安全。

1 億2千万人中に約 120 人発症。

(17)

放射線とアルコールとの比較

• 少量では薬となり多量では毒となるものとして、ア

ルコールと比較してみましょう。

– アルコールのヒト推定致死量 ( 経口 ) は成人で 5 ~ 8g/kg

• よって、成人では 300g-500g が致死量となります。ビールで 6-

10L.

– 結核予防の放射線検診では 0.05mSv で、致死量 (5Sv) の

  10 万分の 1 。 →ビール (5%) で、 0.1ml に相当。

– X 線 CT で被爆する量は 6.9 m Sv で、致死量 (5Sv) の 700

分の 1 。 →ビール (5%) で、 14ml に相当。

– 教育を受けた放射線従事者が一年間に被爆することが許

容されている最大量は 50mSv で、致死量の 100 分の1。

      →ビール( 5%)

で、 100ml に相当。

• 正しく管理されている限り、 50mSv でも十分に余

裕を持った安全な量であることが分かります。

17

(18)

つくば市の現在 (4/10) までの放射線

• 高エネ機構 (KEK, 茨城県つくば市大穂)での 3/16 からの連続測定結果

– 今後も新たな放出が無い限り、順調に減っていく事が予想される。

• これまでの積算線量を計算してみると ( 全期間 ~0.2Sv/h と平均近

似 ):

– 0.2Sv/h * 24[h/day] * 30 [day] ~= 150 Sv

18

原子炉ガス放出 ( ベント)による影響

降雨により、大気中の物質が降下。 4/9 の降雨ではもう線 量の増加は見られない

10

-6

(100 万分の 1) の危険 ( 前々頁 )

http://rcwww.kek.jp/norm/

(19)

食品・水による被曝について

• 放射性物質を体内に取り入れた場合、崩壊するか、排出されるまで体内で被曝を され続けるため、体外被曝に比べると比較的危険とされています。

• その影響についても Sv 単位で評価出来るよう、間違っても過小評価をしないよ うな換算係数があります。厚生労働省 web: http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001558e-img/2r98520000015cfn.pdf‘

ヨウ素 131( 茨城県産検体の一つ、厚労省 ) 4100 Bq/kg>2000 Bq/kg( 暫定基準値)

成人が、 (8 日の半減期を考慮せず)同じ放射性物質量のホウレンソウを毎日平均 20g の食べたとします。

– 4100 Bq/kg * 20g/1000g * 1.6 x 10-5 mSv/Bq [ 実効線量への換算係数 ] = 1.3 Sv.

– 4100 Bq/kg * 20g/1000g * 3.2 x 10-4 mSv/Bq [ 甲状腺の等価線量への換算係数 ]=26Sv.

• 以上のように、暫定基準値を数倍超過した食物を摂取した時のリスクは 10-6(100 万分の 1 ) 程度と分かります。

• これが、今政府の言う、「直ちに健康に影響はない」です。

確率的影響を最大限考慮。

• 繰り返し言いますが不要の被曝はもちろん可能な限り避けた方が良いです。でも – 根拠のない不安をずっと持ち続けることによる健康への悪影響は大きい!

• Quality of Life の低下

*内部被曝の計算方法は http://guskant.github.com/bgs/efficace.html  にも詳しく説明があり19 ます。

(20)

日常生活での放射線被爆量

致死量は、 3-5Gy(=Sv, 半数死亡 ) とされ、一年間の自然放射線量の 2,000 倍。

がん治療の照射量は、 40-80Gy 。

ラドン温泉などでは、多くても数 μSv/h で、この図の一番下のレベルの 1/10 程度。

年間数 mSv 程度の違いは、癌の発生率に影響が見えていない。(統計上の事実)

20

自然界では ,

1mSv/ 年 –  10mSv/ 年 の幅がある 。

⇒ 10mSv/ 年であっても 癌の発生率に差はない。

(21)

放射線防護の3原則

http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/09/09040109/01.gif 21

(22)

一家に一台放射線検出器が理想

22

簡易放射線測定器「はかるくん」は、 学校教育支援を目的とした事業です。 そのため、「はかるくん」の貸出しは 小学生、中学生、高校生、学校等に限 定されます。ご了承下さい。

http://hakarukun.go.jp/index.html

原子力機構による家庭用放射線メータの開発例

1. 安価であること(製作費の目安として一万円を超えない)。 2. 自然放射線の存在を知覚できる感度を有すること。

3. 放射線の異常な上昇を知覚できること(緊急時の警報機としての機 能を有すること)。

4. ノイズ等に強く安定な動作が保証されること。 5. 測定値の意味づけができる限り明確であること。  

  http://rphpwww.jaea.go.jp/senryo/research/meter-1.htm

持っているだけでは意味が無い。

持っているだけでは意味が無い。

測定値から正しくリスクを評価出来る知識が不可欠(本スライドの目的)

測定値から正しくリスクを評価出来る知識が不可欠(本スライドの目的)

(23)

• 放射線・放射能が人体に確定的な影響を与えるレベルは十 まとめ

分に理解されていて、誰もが計算可能です。

• 一方、福島県の避難区域以外の日本全国の放射線量は、食

物・水による内部被曝を含めても十分に低く、確率的影響

のみを考慮すれば良いとされます。

• これまでの所、最大限見積もって百万分の 1 級のリスクで

あり、これからも新たな放出が起こらなければ放射線量は

減少して行くことが期待されます。

– この被曝は不要なものであり、 ALARA (As Low As Reasonably

Achievable) の原則通り、可能ならば減らした方が良いのは確かで

す。もし避けられない時は、どれだけのリスクかを冷静に判断し

ましょう。(「想定される被害は高々この程度」という考えを持

ち、状況判断をすれば、パニックは回避出来ます。)

– このわずかなリスクを避けようと関東・東北地方の基準値以内の

農水産物さえ敬遠することは、地震の被災者の経済的復興を妨げ

ているという事です。この事実を認識し、理性的な行動をお願い

します。

23

(24)

Appendix

24

(25)

参考になる本

25

• 放射線取扱の基礎―第 1 種放射線取扱主 任者試験の要点  [ 単行本 ]

•日本アイソトープ協会  ( 編集 )

•放射線取扱主任者試験のための参考書 だが、放射線・放射能についての知識 が万遍なく記述されている。勉強つい でに受験するのも良いアイデア。(合 格すると実習が出来る)

• 放射能を考える 危険とその克服  [ 講談社ブルーバックス B568] ( 絶 版? )

森永晴彦 ( 著 )

•1984 年に書かれた本だが、内容 は今でも新鮮な提言に満ちている

•「具体的にどのような方策によっ て放射能の危険を克服しうるか」

(26)

神は言われた。「光あれ。」こうして、光が

あった *

• 約 50 億年前、銀河系内で巨大な星が死

に、超新星爆発を起こし、宇宙空間で水

素の雲となります。

• この水素ガスと宇宙塵の雲が自らの重力

で収縮し、どんどん高温になりました。

• 約 46 億年前、中心温度が 100 万度に達

した時、水素の核融合が始まり、高温高

圧の膨大なエネルギーを放つようになり

ました。これが太陽の誕生です。

* 創世記 1.3 26

太陽       ©NASA

太陽は原子力エネルギーで光り、太陽系のエネルギーの源となっています。太陽は原子力エネルギーで光り、太陽系のエネルギーの源となっています。

核エネルギーでなければ、生物誕生核エネルギーでなければ、生物誕生(40(40億年前億年前)) から今までの長期間に渡って地から今までの長期間に渡って地 球を育むことは不可能でした。

球を育むことは不可能でした。

温泉や火山の源である地球の地熱も、天然放射性元素温泉や火山の源である地球の地熱も、天然放射性元素((放射能放射能))の崩壊熱がそのの崩壊熱がその 大半です。

大半です。

地震の原因となるマントルの移動のエネルギー源も核エネルギーが源です。地震の原因となるマントルの移動のエネルギー源も核エネルギーが源です。

(27)

原子力の歴史(黎明期)

• 1895 年、レントゲンが真空管 ( クルック

ス管 ) で陰極線を研究中に、 X 線を発見。

• 1896 年、ベクレルが机の引き出しにウラ

ン鉱石と写真乾板を入れておいたところ

、写真乾板を感光させる未知の放射線を

発見。

• この研究に興味を持ったキュリー婦人が

、 ウラン鉱石 ( 貨車 2 台分! ) からラジ

ウムと  ポロニウムの分離を行った。

(1898 年 )

– マリー・キュリーが放射能 (Radioactivité) や 

   放射線といった用語を命名した。

27

©wikipedia

©wikipedia

ピッチブレンド(ウラン鉱石)

http://uranglass.gooside.com/UranHistory/UranHistory.htm

(28)

原子力の歴史(黎明期)

• 1900 年前後はその後も華々しい発見の連続であ

り、レントゲンがノーベル物理学賞の第一号を

受賞して以来、半数以上が関係した研究結果と

なりました。

• まさに、人類の歴史を変える時代でした。

– 1895 レントゲンによる X 線の発見

– 1 900 プランクの量子論

– 1905 アインシュタインの相対性理論

– 1930 ローレンスによるサイクロトロン ( 加速器 ) の

発明

– 1933 エンリコ・フェルミのベータ崩壊理論

28

(29)

核分裂の発見( 1939 )

• 歴史的背景 : 1939 年 9 月、ドイツがポーランド進攻を開始し、

第二次世界大戦が始まった。

– 1939 年 1 月 2 日、イタリア人物理学者エンリコ・フェルミが、ノーベル 賞の受賞会場からアメリカに亡命。ラウラ婦人がユダヤ人であったため

、 ムッソリーニ政権のイタリアに帰らず。

– ドイツではヒトラーのユダヤ人追放と全体的な反科学的な態度のため、 この時期の研究はあまり進まなかった。一方、アメリカには亡命した物 理学者がナチスドイツの核武装を恐れて、ルーズベルトに核開発の新書 を送る。 (1939 年 10 月 , レオ・シラード+アルバート・アインシュタイ ン)

• ドイツ人化学者オットー・ハーン、フリッツ・シュトラスマン

– 中性子を照射したウランの中にバリウムを発見。

• マイトナー、フリッシュ

– 核分裂と推定、その際のエネルギー開放を予測

ジュリオ・キュリー

– 核分裂の際の 2-3 個の中性子の発生を指摘   →核分裂の連鎖反応の実現の可能性

http://kan5.sakura.ne.jp/gosan/kouwa/2007/2007_02/index.html  より年表を転 29 載。

(30)

マンハッタン計画と初の原子炉

• 1941 年 11 月 マンハッタン計画開始

– ニューメキシコ州のロスアラモスに秘密研究所 ( 現:ロスアラモス国立

研究所 ) が立てられ、グローブス将軍指揮の下で多くの物理学者(ロ

バート・オッペンハイマーなど ) を動員して核兵器の開発を進めた。

• 1941 年 12 月 日米開戦

• 1942 年 12 月 2 日 シカゴ大学の運動場の地下の実験室で、ウ

ランの核分裂の連鎖反応を達成。原子炉第一号(シカゴ・パイ

ル 1 )

– この研究は、マンハッタン計画の支援を受けて行われ、その後フェルミ

の手を離れて大型の原子炉 ( ハンフォード炉 ) が作られ、プルトニウム

生産が進められた。

http://kan5.sakura.ne.jp/gosan/kouwa/2007/2007_02/index.html  より年表を転 30 載。

シカゴ・パイル シカゴ・パイル 11

© Argonne National Laboratory, U.S. DOE

(31)

マンハッタン計画と疑心暗鬼の時

• 1943 年 1 月、理化学研究所の仁科芳雄博士を中心に二号計画を

 開始。ウランの熱拡散法によるウラン製造。

– 並行して、京大の荒勝文策教授グループも F 研究としてウラン濃縮に取

り組んでいた。これらは、終戦時でも実用化からは程遠いものであった

– これらの研究は当時の日本の原子物理学者がほぼ総動員され、湯川秀樹

も含まれていた。

• 1943 年 8 月 ルーズベルト米大統領とチャーチル英首相がケ

ベック協定を締結。

– 原爆をお互いに対して使わない。

– 双方の同意がない限り原爆を第三国に使用しない。

– 双方の合意がない限り原爆情報を第三国に与えない。

など 5 項目。

• 1944 年 9 月 ニールス・ボーアがルーズベルト米大統領と

チャーチル英首相に核の国際管理を提唱するが拒否される。

31

(32)

マンハッタン計画と原爆投下

• 1945 年 5 月 ヨーロッパで戦争が終結。

• 1945 年 7 月 16 日 ニューメキシコで初の核実験 ( プルトニ

ウム型 ) が行われた。トリニティ実験。

– これと同型の原爆が長崎へ投下された。

– 広島 ( ウラン型 ) は実験すらせず、初爆発となった。

• 1945 年 8 月 6 日広島へのウラン型原爆投下。

– 仁科芳雄博士らが、数日後に東京から現地入りし、カウンターで放

射能を確認。

• 1945 年 8 月 9 日長崎へのプルトニウム型原爆投下。

©wikipedia 32

(33)

冷戦と核拡散

• 1949 年 8 月  ソ連、初の原爆実験

• 1952 年 10 月 英国、初の原爆実験

• 1957 年 7 月  国際原子力機関( IAEA) 設立

• 1960 年 2 月  フランス、初の原爆実験

• 1963 年 8 月  米英ソ、部分的核実験禁止条約に署名

• 1964 年 10 月 中国、初の原爆実験;

パンツを履かなくても核開発

• 1968 年 7 月  核不拡散条約( NPT) に米英ソなど 62 カ国が調印

• 1974 年 5 月  インドが初の核実験

• 1976 年 6 月  日本が NPT 加盟(批准)。(署名は 1970 年 2 月)

• 1992 年 3 月  中国が NPT 加盟

• 1992 年 9 月  フランスが NPT 加盟

http://kan5.sakura.ne.jp/gosan/kouwa/2007/2007_02/index.html  より年表を転 33 載。

(34)

NPT (核不拡散条約)とは?

• 1967 年 1 月 1 日時点で核兵器を保有していた米、ソ、

英、仏、中の 5 カ国 ( 現:国連安全保障理事会常任理事

国 ) のみを核兵器保有国とし、それ以外の国の核兵器の

受領・製造を禁止するもの。 :5 カ国の既得権は維持。

• 現在の加盟国 :190 カ国。

– 南アフリカは核兵器を放棄し、リビアも開発計画を放棄し

た。

非加盟国:

• インド     1974 核実験

• パキスタン  1998 核実験

• イスラエル 核保有疑惑 

• 北朝鮮    2006 核実験

©wikipedia34

(35)

原子力発電の歴史

• 1951 年 12 月 世界初の原子力発電(アメリカ)高速増殖炉

– 出力は、たった 800W 。(200 W 電球 4 個分)

• 1953 年 12 月 アイゼンハワー、原子力の平和利用を提唱

• 1955 年 12 月 原子力基本法公布

– 基本方針を平和目的と定めた

• 1956 年 5 月  世界初の商業炉(イギリス)  GCR(6 万 kW )

• 1961 年 8 月  日本発の原子炉: JRR-1 臨界。

• 1963 年 10 月 26 日 日本発の原子力発電に成功。原研・動力試験

– 10 月 26 日は原子力の日となった。

• 1965 年5月 4 日  日本発の商業炉:原電・東海一号炉 (16 万 kW)

• 1979 年 3 月 スリーマイル島原子力発電所事故

• 1986 年 4 月 チェルノブイリ原子力発電所事故

• 1999 年 9 月  JCO 臨界事故

• 2011 年 3 月 福島第一原子力発電所事故

35

(36)

JCO 臨界事故

http://www.asahi-net.or.jp/~ZS2T-IKHR/article/jco6.htm  より転載。 36

• 原子力科学館 ( 東海村)の模型

ウラン溶液を手作業で大量に投入した結果、

臨界 ( ウランの連続核分裂 ) が起こった。

(37)

JCO 臨界事故はなぜ起こった

• 厳格な法規に則った作業規則を作り、教育をしていた。 か?

• にも関わらず、現場ではルールを守らず事故が起こった。

なぜ?

1. 末端の作業者が、核燃料物質の特性について十分理解

していなかった。

2. ルールを作る人が、事なかれ主義で現場で守れないほ

ど厳しすぎるルールを作り、結果守られないものと

なった。

駐車場などにある、誰も守らない速度標識 37

http://trafficsignal.jp/~mori/joyful/joyful.cgi?page=25

誰もが正確な知識を持ち、合理的

誰もが正確な知識を持ち、合理的

な態度で向き合うことが重要。

な態度で向き合うことが重要。

ALARA (As Low As Reasonably Achievable) ALARA (As Low As Reasonably Achievable) の 原則。原則。

参照

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