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Academic year: 2018

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公共経済学 第 18 講 講義ノート 1/ 3

18 政策決定の問題点 1 : 公共選択と多数決ルール

18.0 今回のアウトライン

A. 経済合理性と必ずしも一致しない民主主義の課題を理解する B. 民主主義過程の望ましいとはいえない技術的な問題も理解する

18.1 公的部門と政治

A. 市場の失敗を補正するはずの財政民主主義的決定による政府の失敗 1. J.M.ブキャナンなどがはじめた公共経済学の政治選択を公共選択という B. 公共選択は公共部門の特性と財政状況や経済との相互関係を分析

1. 選挙と投票:議員となる条件と有権者、支援団体の支持行動 2. 政党と官僚:議員および官僚の組織や制度における行動 3. 議会:民主主義を支える議会の制度とその運営

18.2 選挙と投票

A. 複数の投票者が異なる政策を最善と考えると結果が一つに定まらないことも B. 複数の投票者や選択肢があると、複数や最善でない結果に至る

1. 複数だと民意が一つに決まらない (コンドルセの)(1)

2. 複数候補の同時選挙が民意と異なる結果を生む (複数選択の)(2)

C. 下記四条件をすべて満たす社会的選択が不可能:アローの一般不可能性定理1 1. 合理的であれば、その個人の選好の形式にかかわらず、社会的選好が形成で

きること (選好の広範性)

2. すべての人が望ましいと考える政策は、社会的合意の場でも必ず合意され る (パレート原理)

3. どの二つの政策比較も全く別の政策や環境変化から影響を受けない (独立性) 4. その判断に社会全員が合意する一人の政策決定者が存在しない (非独裁性) D. 四条件の中で上三条件を望むと独裁性が妥当とされる困った状態

1Arrow, K.J. (1951) ”Social Choice and Individual Values”, New York: Wiley

Ver. 1.8 Masumi Kawade, 2017

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公共経済学 第 18 講 講義ノート 2/ 3

1. 選好の広範性を制限して、独裁性を排除する 2. 合理性を若干緩めて、すべてを満たす条件を探す E. 選好の広範性を制限すると、単純多数決の妥当性を見出す

1. 一つの軸で単純な選好を形成する選好の単峰性

2. 多くの得票のためまず極端な立場、次により穏健派の支持へ拡大 3. 多数候補でも単一選択のための投票なら、中位を目指すのが妥当 4. 選挙で政治家は中間層の囲い込みに向くことを(3)

グラフ1

F. (4) が前提ならば、望ましい選択ができている

1. コンドルセ効率:1 対 1 で多数決し、一つが他の全てに勝つものが選ばれる G. 棄権は民主主義制度では望ましくないが、投票行為はコストでもある

1. 政党は棄権票、浮動票の行方を織り込みつつ、中位投票者点を目指す 2. 機会費用をコントロールして棄権を促すなどして、結果を歪める戦略も H. 選挙では特定の利益を実現するために様々な方策が取られる

1. 選挙区割と代議制:少人数を議会で多数派にする (例、一票の格差)

2. 利益団体:選好を投票以外で支援する正の側面と、中立的な個々の有権者が 棄権してしまう程度の小さな利益を蝕み、利権にするという負の側面 I. 選挙の関連分野:選挙と当選、情勢変化と公約履行、戦略的投票など

Ver. 1.8 Masumi Kawade, 2017

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公共経済学 第 18 講 講義ノート 3/ 3

18.3 政党と官僚制

A. 政党と官僚:組織は個人とは別性格を帯び、複雑な動き 1. 組織で高い地位を得ることが自己の理念の実現に必須 B. 政党による組織内外の行動

1. 党内組織か他党移籍かといった党内交渉

2. 二大政党は中位投票者点を目指した政策の中立化の傾向の一方で、連合政 権は最小勝利連合が多く、政策の整合性より各党の政策目標実現が優先 C. 官僚組織の行動:ニスカネン・モデル2による予算獲得最大化行動

1. 予算獲得を通じた組織貢献評価による政府の肥大化

2. 部局単位の情報の秘匿や非対称による議会への不正確な情報提供

18.4 議会制度

A. 議会の議論運営に技術的限界

1. 心ゆくまで話し合えない時間制限付き一問一答・総括質問形式 2. 二院制と衆議院の優越:憲法や法律による取り決めがテクニカル B. 与党と野党の戦略的駆け引き

1. 議事設定 ((5) ):議題や審議順は与党に有利 2. 与党と野党の政権交代にともなう戦略的負担の押しつけ

18.5 確認問題:次の文章の正誤について答えなさい

A. 投票のパラドクスとは個人の多様な価値判断がある場合、投票において社会的 に最善の結果が一つに決まらないことを指す

B. アローの不可能性定理は強力な独裁者こそが最適な社会的合意が実現すると結 論づけている

C. 政治家はその性質上、予算を最大化すべく政策活動を行う

D. 連立政権は、多様な意見を集約して責任を分担するため、政治的に強力な財政 再建が可能になる

E. 野党は与党の政策を監視するために優先的に議事設定ができる

2Niskanen, W. A. (1971)”Bureaucracy and Representative Government,” Chicago: Aldine-Atherton.

Ver. 1.8 Masumi Kawade, 2017

参照

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