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仮称浦安市立第9中学校建設工事(高洲七丁目) 工事監査|浦安市公式サイト

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(1)

浦 監 第 2 6 7 号 平成 26 年 3 月 31 日

浦安市監査委員 黒 田 レイ子 同 佐 久 間 秀 雄

同 辻 田 明

平成 25 年度工事監査の結果報告の公表について

地方自治法第 199 条第5項の規定により実施した工事監査の結果の報告を決定 したので、同条第9項の規定により別紙のとおり公表します。

(2)

平成 25 年度工事監査の結果報告書

1.監査対象工事

仮称浦安市立第9中学校建設工事(高洲七丁目)

2.監査対象部課

教育総務部 教育施設課 財務部 契約課、営繕課

3.監査の実施日

平成 26 年1月 29 日(水)

4.監査の観点及び方法

仮称浦安市立第9中学校建設工事(高洲七丁目)について、計画・設計・積 算・契約・工事監理・施工・環境保全等が適正かつ効率的に行われているかを 主眼に関係資料の提出を求め書類を調査するとともに、各担当者から説明を聴 取し、また、工事現場において施工状況等の調査を行った。

なお、工事監査は、工事技術に関する専門的知識を必要とするため、特定非営 利活動法人建設技術監査センターと工事技術監査業務委託を締結し、技術士の派 遣を求め実施した。

5.工事の概要

「平成 25 年度工事監査技術調査業務報告書」のとおり。

6.工事監査結果

仮称浦安市立第9中学校建設工事(高洲七丁目)は、おおむね適正であった が、次の事項について、改善、検討の必要があると認められた。

なお、工事監査の詳細については、別紙「平成 25 年度工事監査技術調査業務 報告書」のとおりである。

(1) 設備工事について、労働安全衛生規則(厚生労働省令)に基づき作業 現場の巡視点検は行われていた。しかしながら、巡視記録が作成されて いない日があったり、記録があっても巡視結果に基づく具体的指示の記 載がないものや確認印がないものが見受けられた。関係書類の適切な整 備に努められたい。

(改善事項)

(2) 打設したコンクリートについて、表面に豆板(ジャンカ)や段差が見 受けられた。豆板(ジャンカ)はコンクリートの打込みの際の振動機に

(3)

よる締固めが不十分であったこと、また、段差は型枠の膨らみによるも のではないかのことである。コンクリート打設については、施工管理を 十分に行われたい。また、これらの箇所は、品質管理上、問題であるこ とから、補修されたい。

(改善事項)

※豆板(ジャンカ):硬化したコンクリートの一部に粗骨材(砂・砂利・砕 石など。)だけが集まってできた空隙(すきま)の多い 不均質な部分。豆のように露出するため「豆板」とも 呼ばれている。

なお、工事監査実施時に工事の進捗状況について確認したところ、建築工 事、電気設備工事、機械設備工事とも当初の予定よりも遅れていた。今後、 工夫により挽回可能とのことであった。

しかしながら、その後、改めて状況を確認したところ、建築工事請負業者 より建設作業員不足等により予定工期内(平成 26 年3月 31 日)に工事を完 了できないとの申し入れがあり、関係事業者と協議・調整を進めた結果、市 としても3月末までの工事完了は困難との結論に至ったとのことである。

今後の予定としては、3月 31 日までには校舎1・2階、体育館、柔道場・ 剣道場を完了させ、4月1以降はこれらを使用して部分開校とし、3階及び4 階並びに校庭等外構工事については、工事個所と生徒の動線とを分けるなど生 徒の安全確保を十分に図ったうえで4月以降も行い、4月末までに完成させる 予定とのことであった。

このようなことから、予定期間内に工事が完了できなくなったことや今後の 対応等について、議会や保護者等へ状況を説明するとともに、工期の遅れに伴 う契約変更等も行うとのことであった。

工期が遅れたことについては、やむを得ない面もあると考えるが、さらな る計画的な施工及び工程管理に努め、学校活動に極力支障を来すことがない よう早期の完成を強く要望するものである。

また、公共施設の整備にあたっては、市民サービスに影響を与えることがな

(4)

(備 考)

監査結果の区分は、次のとおりとしている。

指摘事項:法令等に違反しているものや故意又は過失により重大な損害等が生じ たもの、事務処理等が著しく適切性を欠くと認められるもの、著しく 経済性、効率性、有効性を欠いていると認められるものなど

改善事項:法令等に照らし、一概に違法又は不正とは言えないが、さらに改善又 は見直しが必要と認められるものや現時点で損害等は発生していない が、重大な損害等が生じる可能性があると認められるもの、指摘事項 には至らないが、事務処理等が適切性を欠くと認められるものなど 注意事項:事務処理上等の軽易な誤りで、改善が可能又は必要と認められるもの

や現時点で問題はないが、継続して注視していくことが必要と認めら れるもの、指摘事項又は改善事項とする程度にはないが、注意が必要 と認められるものなど

※監査結果報告書については、「指摘事項」及び「改善事項」に該当するものを記 載している。

(5)

平成 25 年度

工事監査技術調査業務報告書

調査実施日:平成 26 年1月 29 日

(6)

目 次

1.工事概要

・・・・・・・・・・・・・・ 1

2.調査実施要領

2.1.調査基本方針 ・・・・・・・・・・・・・・ 2 2.2.調査項目 ・・・・・・・・・・・・・・ 2 2.3.主な調査資料 ・・・・・・・・・・・・・・ 3 2.4.調査日程 ・・・・・・・・・・・・・・ 3 2.5.調査場所 ・・・・・・・・・・・・・・ 3 2.6.出 席 者 ・・・・・・・・・・・・・・ 3

3.調査実施結果

3.1.計 画 ・・・・・・・・・・・・・・ 5 3.2.設 計 ・・・・ ・・・・・・・・・・6 3.3.積 算 ・・・・・・・・・・・・・・11 3.4.契約手続 ・・・・・・・・・・・・・・12 3.5.工事監理 ・・・・・・・・・・・・・・13 3.6.施 工 ・・・・・・・・・・・・・・14 3.7.環 境 ・・・・・・・・・・・・・・15

4.調査結果と評価

4.1.総合評価 ・・・・・・・・・・・・・・16 4.2.個別評価 ・・・・・・・・・・・・・・16 4.3.提言事項 ・・・・・・・・・・・・・・17 4.4.推奨事項 ・・・・・・・・・・・・・・18

(7)

本報告書は、平成 26 年 1 月 29 日に実施した仮称浦安市立第9中学校建設工事

(建築、電気設備、機械設備)に係る工事監査(以下「技術調査」という)の結果に ついて取りまとめたものである。

本工事の概要と調査実施要領について述べた後、調査結果と所見を述べる。 技術調査は、建築、設備を専門とする審査員(技術士)が専門技術者の立場と市 民の目線を重視して実施した。

1 . 工 事 概 要

(1)工事名称

仮称浦安市立第9中学校建設工事(建築、電気設備、機械設備)

(2)工事場所

浦安市高洲七丁目3番地

(3)工期

平成 25 年3月 26 日~平成 26 年3月 31 日

(4)建物内容

鉄筋コンクリート造一部鉄骨造4階建 (校舎棟+体育館棟) 建築面積 4,425.38 ㎡ 延床面積 9,493.09 ㎡

*参考 敷地面積 18,145.32 ㎡

(5)工事内容

① 建築工事

建築一式工事

校舎、屋内運動場、武道場、屋上プール、その他

② 電気設備工事

幹線・動力設備、受変電設備、電灯設備、弱電設備、その他

③ 機械設備工事

給排水設備、空気調和設備、換気設備、ガス設備、

(6)設計

株式会社 桂設計

(7)施工業者と請負金額(消費税及び地方消費税含む。)

① 建築工事 株式会社エム・テック 1,766,205,000 円

② 電気設備工事 旭日電気工業株式会社 197,092,350 円

③ 機械設備工事 浦安経常機械設備共同企業体 374,325,000 円

(8)

2 2 . 調 査 実 施 要 領

技術調査は、工事関係者(発注者、設計者、工事監理者、施工者)との質疑応 答、書類調査及び工事現場における施工状況を確認することによって実施した。

調査内容は、次のとおりである。

○工事関係者との面談、工事関係書類及び工事施工状況の確認

○計画、設計、積算、契約、施工、検査等が適正かつ効率的に行われているか否 か、及び工事の監理状況の確認

2.1 調査基本方針

(1)浦 安 市の「工事技術調査業務委託仕様書」の調査事項に基づき、技術 面における調査を行い、設計・施工に関する調査結果及び意見具申について の報告を行う。

(2)調査に際して、工事関係者との面談や工事関係書類及び工事施工状況を確 認し、工事における計画、設計、積算、契約、施工、検査等が適切であるか 否かを調査する。また、最近、社会的問題になっている防災・安全・環境保 全についても調査を行う。

(3)事前調査時に示された資料を基に調査員技術士が質問書を作成し、工事 関係者からの回答を確認しながら技術調査を進める。

2.2 調査項目

技術調査の具体的内容は、以下のとおりである。

(1)計 画 :基本計画、工事概要、計画留意事項、工期の設定、関係 者・地元との説明・協議、地質調査報告等

(2)設 計 :適用する設計基準の書類名、特記仕様書及び設計図書、 構造計算、バリアフリーの対応設計変更等

(3)積 算 :適用積算基準の書類名、工事の積算・見積、VE提案※

(4)契 約 :工事・設計の請負契約、業者選定資料、落札率等

(5)施 工 ・監 理 :諸官庁への届出、施工計画、作業手順、施工体制台帳、 施工図、下請通知、安全衛生管理体制書類、関連工事 との連絡調整、工事監理記録、記録写真、日報等

(6)検 査 ・試 験 :材料・試験検査等の記録等

(7)環 境 保 全 :設計・施工時の環境保全対策(騒音・振動、廃棄物処 理、有害物質等)

※VE 提案:VE(Value Engineering)の手法に基づき、製品やサービスの価値をより 向上させる提案を行うこと。機能や品質を維持したままコストを下げ る、コストを上げずに機能を向上する、といった考えに基づいて、工 程(開発、設計、製造、購買など)での具体的な改善や代替案を提案す ること。

(9)

2.3 主な調査資料名

(1)計画概要

(2)基本設計書

(3)設計図書一式(設計図、特記仕様書)

(4)構造計算書

(5)地質調査報告書

(6)契約関係書類

(7)積算関係書類

(8)工事工程表

(9)施工計画書(総合施工、仮設、各工程)

(10)施工体制台帳(施工体系図等)

(11)定例打合せ会議記録

(12)安全管理書類(統括安全衛生管理組織表、安全管理計画書、安全協議 会記録、安全巡回点検表等)

(13)品質管理簿

(14)試験・検査記録

(15)産業廃棄物関係書類

(16)月報、日報、工事記録写真等

2.4 調査日程

平成 26 年 1 月 29 日(水)

9:10~12:00 書類調査(浦安市役所第3庁舎2階第1会議室) 13:20~14:15 書類調査(工事現場仮設事務所)

14:15~15:00 工事現場調査

15:50~16:00 監査委員との打合せ 16:00~16:20 調査員による講評

2.5 調査場所

浦安市役所第3庁舎2階第1会議室及び工事現場

2.6 出席者

(1)監査委員・事務局

代表監査委員 黒田 レイ子

監査委員 佐久間 秀雄

監査委員事務局長 大塚 明 監査委員事務局主幹 宮木 規男 監査委員事務局副主幹 森 和雄 監査委員事務局主査 髙山 惠子

(10)

4

(2)市出席職員

教育総務部 部 長 米本 慎一 次 長 角田 義弘 教育施設課 課 長 大塚 正幸

課長補佐 野崎 誠 係 長 丸山 愛 主任主事 田名網 真生 財務部契約課 課 長 白石 嘉雄

係 長 永田 淳 財務部営繕課 課 長 八田 吉浩

係 長 内田 芳徳 副 主 査 本川 昇 主任主事 佐藤 信幸

(3)工事関係者

【設計、工事監理】

株式会社 桂設計 監理技術者 寺嶋 憲二 意匠担当 勝又 亮太 構造担当 金森 徳二郎 構造担当 宮城島 丈司 電気担当 蓮池 真実子 電気担当 佐藤 武弘 機械担当 岩崎 剛志

【施工、建築工事】

株式会社 エムテック 現場代理人 稲葉 正人 監理技術者 豊島 明義 建築工事部 芝江 保徳 技術営業部 長谷川 義明 千葉支店 川崎 武志

【施工、電気設備工事】

旭日電気工業株式会社 現場代理人 市川 卓弘

【施工、機械工事】

浦安経常機械設備共同企業体 現場代理人 吉川 信之

(4)技術調査員

特定非営利活動法人 建設技術監査センター 主調査員:佐伯 勲

技術士(総合技術監理部門、建設部門)、一級建築士 公共工事品質管理技術者(Ⅰ)

(11)

調 査 員:佐藤 儀一

技術士(総合技術監理部門、建設部門) 一級土木施工管理技士、測量士

3 . 調 査 実 施 結 果 3.1 計画

(1)事業の位置付け

高洲地区における住宅開発に伴い、高洲地区が学区となっている入船中学校 の生徒数が増加したことや地域住民より新たな中学校の設置要望があったこと などから、仮称浦安市立第9中学校を建設するものである。

当事業は、平成 25 年度4月開校の予定で進めていたが、平成 23 年3月に発 生した東日本大震災により、浦安市においても学校を含む公共施設等が被災し たことで、災害復旧事業を優先したことにより、開校を1年遅らせて平成 26 年 度4月開校に変更したものである。

(2)建設の経緯

本事業の計画に際し、教育委員会内からの意見を集約し、既存校の整備状況 などに照らし合わせて検討した。また、各課との事前協議、消防本部・確認検 査機関と多くの打合せを実施し、各課の基準・要望、消防法、建築基準法につ いて協議を実施している。さらに、近隣住民への説明会を実施した結果、グラ ウンドの防砂対策としてグリーンダスト舗装やスプリンクラーの設置、防砂ネ ットの設置を計画した。

(3)計画の妥当性

施設については、普通クラス 18、特別支援学級クラス1、管理諸室、屋内運 動場、武道場、屋上プール、グラウンド、テニスコートで構成されている。

また、震災後初めて建設する公共施設ということで、震災時に発生した液状 化被害を考慮し、グラウンド(約 5,500m2)と校舎建物周囲に地盤改良(静的 締固め砂杭工法)工事を実施している。

なお、建設地における津波や高潮については、東日本大震災以降に千葉県が 公表したハザードマップにおいて津波被害はないと想定されることや高潮につ いても現状の護岸で対応可能と想定されていることから、これらの対策につい ては取り入れていない。

(4)事前調査

地質調査は、当初5か所で実施したが、さらにその後、建物下の支持地盤深 度を確認するため、11 か所実施し合計 16 か所になっている。

この点について確認したところ、浦安市の地盤特性は複雑であり、支持地盤に おいては溺れ谷※等が複雑に入り組んでいることから、設計時に杭の長さを決定 することが重要となっており、当初5か所の結果で、支持層が西側から東側に傾 斜している傾向が見られたため、建物規模に見合った調査本数として計 16 か所

(12)

6

の調査を行い、これにより杭の長さ(46m~52m)を詳細に決定することができ たとのことであった。

※溺れ谷:陸上で谷であった所が、陸地の沈降や海面の上昇によって海水が浸入し、入 り江となったもの。

表層は概ね6m~7mの盛土となっており、その下部は 39m~45mにわたっ てN値※10 以下のシルトを主体とした軟弱層になっていることから、杭基礎は 46m~52m以深のN値 50 以上となる洪積砂質層を支持層としていた。

※N値:地層の硬軟を示す値。この値が大きくなるほど地層は硬い。中高層建築物 の基礎は、一般に N 値 30~50 以上を支持層としている。

(5)事業計画・予算と発注金額の整合性

監査対象の工事を含め、下記の工事を実施している。

平成 24 年度当初予算において、平成 24 年度・平成 25 年度継続事業として 総額 2,932,147 千円を予算化した。その後、平成 24 年度3月補正予算において 精査し、総額 2,812,155 千円とした。各発注金額と請負金額については、次表の とおりである。

(単位:円)

3.2 設計

学校施設の基本性能を確保しつつ、地域交流の場や環境配慮、災害時の避難 所など新たな機能を付与することが求められた。さらに、敷地周辺にテニスコ ートや駐車場が併設されるため、高い利便性と安全確保が必要となった。

中学校の建築計画としては、200m トラックと 100m 走路の確保、災害時近隣 住民の避難所となることから、柔軟に対応できる間取りを確保する配慮を行っ ている。

本工事では、基本設計により、工法や機器の選定において比較検討が十分に 成され、環境面や構造面も配慮している。

(推奨事項参照:P18-4.4(1))

委託・工事名 設計金額 請負金額

工事監理業務委託 49,822,500 49,822,500 地盤改良工事 149,862,300 144,375,000 建築工事 1,975,389,150 1,766,205,000 電気設備工事 224,044,800 197,092,350 機械設備工事 420,857,850 374,325,000 太陽光発電設備工事 18,165,000 17,430,000 校庭整備工事 120,864,450 115,395,000 テニスコート・駐車場整備工事 75,099,150 72,807,000 植栽工事 30,942,450 29,578,500 合 計 3,065,047,650 2,767,030,350

(13)

(1)設計全般

ア.設計基準等の整備・運用

① 建築基準法・同施行令

② 千葉県建築基準法施行細則

③ 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律

④ 消防法・同施行令

⑤ エネルギー使用の合理化に関する法律

⑥ 千葉県福祉のまちづくり条例・同施行規則

⑦ 浦安市宅地開発事業等に関する条例・同施行規則

⑧ 浦安市景観条例・同施行規則

⑨ 公共建築工事標準仕様書(建築工事編)(平成 22 年版)

⑩ 公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)(平成 22 年版)

⑪ 公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)(平成 22 年版)

⑫ 建築工事標準詳細図(平成 22 年版)

⑬ 公共建築設備工事標準詳細図(電気設備工事)(平成 21 年度版)

⑭ 公共建築設備工事標準詳細図(機械設備工事)(平成 21 年度版)

⑮ 建築設備設計基準(平成 21 年版)

⑯ 2007 年版 建築物の構造関係技術基準解説書(建築物の構造関係技術基準 解説書編集委員会)

⑰ 建築構造設計基準 平成 22 年版(公共建築協会)

⑱ 鉄筋コンクリート構造計算基準・同解説(日本建築学会 2010)

⑲ 建築基礎構造設計指針・同解説(日本建築学会 2001)

⑳ 建築物荷重指針・同解説(日本建築学会 2004)

21 鋼構造設計基準-許容応力度設計法-(日本建築学会 2005)

22 鋼構造塑性設計指針(日本建築学会 2010)

23 業務委託契約書(計画概要書) イ.建築確認等

以下の申請や認可手続きを行っていることを確認した。

① 建築確認(計画通知書):千葉県建築指導課建築審査室

② 省エネルギー計画届出:千葉県建築指導課建築審査室

③ 構造計算適合性判定 :一般財団法人日本建築センター ウ.発注時期や工期の設定、設計変更

平成 23 年3月の東日本大震災により開校を 1 年遅らせた経緯から、最も 合理的かつ最短で供用開始できるように設定された。

本工事の工期としては 13 か月であり、市内他中学校の新築工事の工期を参 考にしている。なお、液状化対策については、本工事に先行して実施してお り、無理のない設定を行っていた。

また、現在までに、設計変更はないとの説明であった。

(14)

8 エ.コスト縮減の工夫

汎用材料の使用、建物をできるだけ矩形に整形にすること、校舎棟の間仕 切壁を乾式とし、軽量化を図って基礎への負担を軽減した。

また、階高の検討(3,800mm→3,700mm)、多目的室、屋外便所やテニスコー ト付属棟の設置を中止するなどのコスト縮減策を講じたとの説明を受けた。 オ.環境性能の向上

① 採光・換気

校舎を南側に配置し、普通教室、特別支援学級、学習支援室は南向きとし、 自然採光を重視した計画とし、校舎棟の中央部に吹抜けや3つの光庭を配置 して採光・通風の効果を得られる計画としていた。

② 断熱計画・温熱環境

校舎棟屋上の緑化、武道場屋上のプールによって断熱効果を高めている。 なお、太陽光発電設備の設置によって一部電力補填が可能となっている。

③ 雨水利用

雨水流出抑制のための調整とは別に、地下ピットに貯留槽を設け、中水と してトイレ洗浄に利用できる計画としていた。

カ.耐震関連

耐震安全性について、構造体はⅡ類、非構造部材はA類、建築設備は乙類 を採用した。気象庁震度階の5程度に対しては建物の機能を保持し、震度階 6強~7程度に対し、建築部の架構に部分的なひび割れ等の損傷が生じても、 最終的には崩壊から人命の保護が図れる構造体となっている。

○官庁施設の総合耐震計画基準(耐震安全性の目標:国土交通省)

構造体の大地 震に対する耐 震安全性の目

Ⅰ類 大地震動後、構造体の補修をすることなく建築物を使用できることを目標 とし、人命の安全確保に加えて十分な機能確保が図られている。

Ⅱ類 大地震動後、構造体の大きな補修をすることなく建築物を使用できること を目標とし、人命の安全確保に加えて機能確保が図られている。

Ⅲ類 大地震動により構造体の部分的な損傷は生じるが、建築物全体の耐力 の低下は著しくないことを目標とし、人命の安全確保が図られている。

建築非構造部 材の大地震に 対する耐震安 全性の目 標

A 類

大地震動後、災害応急対策活動や被災者の受け入れの円滑な実施、又は危 険物の管理のうえで、支障となる建築非構造部材の損傷、移動等 が発生 しないことを目標とし、人命の安全確保と二次災害の防止が図られてい る。

B 類 大地震動により建築非構造部材の損傷、移動等が発生する場合でも、人命 の安全確保と二次災害の防止が図られている。

建築設備の大 地震に対する 耐震安全性の 目標

甲類 大地震動後の人命の安全確保及び二次災害の防止が図られていると共に、 大きな補修をすることなく、必要な設備機能を相当期間継続でき る。

乙類 大地震動後の人命の安全確保及び二次災害の防止が図られている。

(15)

キ.維持管理

下記の説明を受けた。

① 校舎棟バルコニーを南北に設置しており、清掃が容易になっている。

② 長寿命高効率型照明器具を使用することでランプ交換回数を削減している。

③ 自動火災報知設備は、自動試験機能付を採用し、維持管理費を軽減してい る。

④ 清掃や警備、エレベーター・消防設備などの法令点検及び日常の管理業務 については、市内 40 施設の幼稚園・小学校・中学校と同様に維持管理を行 う予定である。

⑤ 構造躯体の耐久設計基準強度を 30N/mm2※とし、計画供用期間を 100 年と している。

※N/mm2:ニュートン・パー平方ミリメートル。コンクリート強度を表す単位 で、1N/mm2 とは1m2 当りでは約 100t の圧力まで耐えられる ことを示す。

ク.バリアフリー対策

段差の配慮・エレベーターのバリアフリー仕様・多目的トイレ等を整備し、 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律、千葉県福祉のまちづ くり条例の基準を満たしている。

(2)建築

ア.配置計画

下記のとおり、適正に配置されていた。

① 1階

普通教室、特別支援学級、屋内運動場(体育館棟)校長室、職員室、事務室、 保健室、会議室、放送室、交流ホール、印刷室等が配置されている。

② 2階

普通教室、多目的学習室、音楽室、調理室、図書室、コンピューター室、柔 道場、剣道場、倉庫、教材室、便所等が配置されている。

③ 3階

普通教室、理科室、技術室、美術室、被服室、生徒相談室、生徒会室、便所等 が配置されている。

④ 4階

太陽光発電、設備スペース、プール等が配置されている。プールについては、 敷地面積から校舎内に配置したとのことであった。

イ.構造形式

① 構造は、設計段階において様々な検討がなされ、経済性を含めた比較の 結果、決定されていた。

② 学校建築の特質から躯体は、RC(鉄筋コンクリート)構造とし、一部鉄 骨構造とした。

(16)

10

③ 武道場棟は、スパン 15mになり屋上にあるプールの重量を支えるためP C梁※を採用した。

※PC梁:引張によるひび割れを防ぐため、予め圧縮力のかかったプレストレス ト・コンクリート梁。

④ 体育館棟(アリーナ)は、より大きな空間を確保するため、スパン 25m となることより、屋根は鉄骨構造としている。

⑤ 体育館棟の天井については、最近、問題となっている吊天井は採用せず、 野地板表しとし、照明等を鉄骨に直接取り付ける構造とし、落下に対してよ り安全な対策を講じている。(推奨事項参照:P18-4.4(2))

ウ.基礎工・液状化対策

基礎杭の工法は、中堀り拡大根固め工法、PHC杭※を使い杭頭部は

SC(鉄骨コンクリート)としている。杭径φは 700~1000 ㎜であり、液状化 対策、負の摩擦力、地震対策についても検討し、安全性を確保している。

中堀り拡大根固め工法の採用により、大型杭打ち機による振動・騒音を避 けるとともに工事費の削減にもつながるとのことであった。

地盤の液状化については、この地域の地層が埋立地であることで「建築基 礎構造設計指針」(日本建築学会)に基づいて液状化判定を実施し、液状化と の判定結果により、建物外周部及び校庭の中心部について、静的締固め砂杭工 法にて GL-7m まで液状化対策を実施していた。

以上について、地質調査結果に基づく想定地質分布図から確認した。

※PHC杭:プレテンション方式遠心力高強度プレストレスコンクリート杭。 高強度コンクリートを遠心締固めによって製造したコンクリート杭。 エ.防災対応

① 学校等は、災害時における地域の避難拠点と位置付けられており、竣工後 は避難場所及び避難所の指定を受ける予定である。

② 災害時の対策としては、太陽光発電設備(災害時は一部利用 3KVA※)、屋 内運動場には防災備品を収納できる備蓄倉庫を設けていた。

※kVA(キロボルトアンペア):VA(ボルトアンペア)は、電力を表す単位のひとつ。 1kVA は 1000VA になる。

③ 地震時の津波を想定し、校舎の屋上を避難場所にしており、構造設計上で 避難時の荷重を考慮している。また、グラウンドを静的締固め砂杭工法で液 状化対策し、避難場所として利用できるようになっている。

(3)電気設備

ア.停電時の非常用電源対策

非常用発電機は設置していないが、発電可能状態時には太陽光発電設備を 使用する。

イ.電気設備容量の適切性

幹線・負荷容量・照度の各計算書により、幹線サイズ、照明・照度、変圧 器容量などが適切に計算され選定されている。

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ウ.省エネルギーの配慮

長寿命高効率型照明器具を使用することや人感センサーによる照明制御等 を採用し省エネルギーを図っている。

(4)機械設備 ア.空調設備

① 夏期のピークを使用しない教室系統は、熱源比較表により、ガスヒート ポンプを採用し、年間利用する管理諸室は電気ヒートポンプを採用した。

② 空気調和設備の容量選定の適切性については、負荷計算、空調機器選定書 より選定した。

③ 設備機器の耐震補強については、国土交通省「建築設備耐震設計・施工 指針」に準拠し、計画した。

④ 室外機器の周辺への防音、防振対策は、近隣より離隔距離を確保するため、 建物の中心へ配置(屋上)した。

イ.受排水設備

① 受水槽の容量は、給水計算書により計画した。

② 雨水流出抑制のための調整とは別に、地下ピットに雨水貯留槽を設けて、 中水としてトイレ洗浄に利用できる計画としていた。雨水は屋根の集水面 積より決定し、中水層は1日の雑用水の使用量によって決定した。

③ バリアフリー対策として、1階に多目的トイレを設置した。 ウ.維持管理

竣工後の維持管理、保守点検の容易さについて、設計上、配慮された事項は、 次のとおりであった。

① 空調機は、メンテナンスを考慮し天井カセット形を採用した。

② 建物の空調を一括管理できるよう、職員室に集中リモコンを設置した。

③ 受水槽の清掃を考慮し、2槽式を採用(2個別置)した。

3.3 積算

(1)積算基準・単価等

以下の最新版を使用しているとの説明を受けた。

① 「公共建築工事積算基準」(国土交通省)

② 建設物価、積算資料:2012 年 10 月号

③ コスト情報、施工単価:2012 年 12 月号

④ 千葉県工事単価表(千葉県県土整備部営繕課)

(2)間接工事費の算出と安全対策費

間接工事費のうち、現場管理費及び一般管理費については、千葉県県土整備 部営繕課による公共建築工事積算基準(国土交通省に準拠)、公共建築工事共 通費積算基準の運用に基づく乗率によって算出している。

特に、安全対策費はその実効性を担保する意味から、率に含まれていない項

(18)

12

目については、積上げによる算出を行うことで対応していた。

(3)積算のチェックシステム

積算は、複数の担当者が数量・金額の違算防止を行う体制をとっていた。

(4)グリーン購入・VE提案等

① 建材に関して、特記仕様書でグリーン購入法の特定調達品目を指定し、本 工事では、照明制御システム、変圧器等を指定しているとのことであった。

② 外壁の仕上げについて、タイルを塗装にした。また、掘削土を校庭に盛土し て残土処分量を減少させた。

(5)見積り

見積りについては、基本的に3社以上から見積りを徴収し、最安価を採用して いる。

3.4 契約手続

(1)入札・契約に関する市の規準

設計金額が 1 億5千万円以上の建設工事は、「浦安市競争入札実施要領」のと おり、一般競争入札を実施しているが、現在は、6千万以上の建設工事を対象 として一般競争入札の運用範囲を拡大している。

予定価格は、全ての案件について入札執行前に公表している。また、最低制 限価格は、予定価格が1億5千万以上の建設工事について入札執行後に公表し、 その他については入札執行前に公表している。

なお、平成 24 年度からは、電子入札システムに移行している。

(提言事項参照:P17-4.3(2))

(2)設計や各工事の契約の経緯 次表のとおりの説明であった。

区 分 入札方式 入札者数 備 考

設 計 一社随意契約 - プロポーザルにて選定した業者と 基本設計を随意契約。その後、実 施設計も随意契約。

監 理 一社随意契約 - 実施設計業務業者と随意契約。 建築工事 一般競争入札 6社

電気設備 一般競争入札 8社 機械設備 一般競争入札 4社

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(3)各工事の予定金額、契約金額、落札率

次表のとおりの説明であった。(金額は税込、単位:円)

(4)契約書類等の確認

契約書類綴りによって書類の完備状況を確認した。主要な項目は、次のとお りであった。

契約書、着工届、現場代理人届、工事監督員通知書、工事履行報告書、下請業者選 定通知書、前払金請求書、保証証書、建設業退職金共済証紙購入簿等

3.5 工事監理

(1)施工計画

「施工計画書」綴りにおいて、工程表、現場組織、施工方法、緊急時の連絡体 制、安全管理、仮設計画及び環境対策等、必要事項が記載されていることを確 認した。

(2)施工体制

施工手順の承諾、施工体制台帳及び施工体系図の提示を受け、下請負業者を 含む施工体系全体を確認した。施工体系図は、逐次更新されていた。

毎週1回の定例会議、毎月1回の総合定例会議を始めとする監督員(必要に応 じて設計者)、監理者及び施工者を交えた業務分掌体制を確認した。

会議の内容は、施工者作成書類により管理されている。

(3)工事監理業務

設計図書に基づき、使用材料等の品質、施工計画書、現場施工状況を確認し ていた。また、工程管理に重点をおいて監理しており、少なくとも週1回の定 例会議で確認をした上で、問題点発生時には適宜対応できる態勢にあるとのこ とであった。

現在のところ、仕様書等と異なる重大項目や問題点はないとのことである。 工事監理者は、「施工計画の検討」が重要な業務であり、施工者への指示・指 導も適確さを求められることから、仮に発注者への報告が必要ない場合でも、 施工者との指示・指導のやり取りの詳細を工事監理者自らの手で記録しておく

区 分 設計(予定)金額(A) 契約金額(B) 落札率B/A

基本設計 32,550,000 31,290,000 96.12%

実施設計 (変更契約)

69,667,500 77,595,000

69,667,500 77,017,500

100% 99.25%

監 理 49,822,500 49,822,500 100%

建築工事 1,975,389,150 1,766,205,000 89.41%

電気設備 224,044,800 197,092,350 87.97%

機械設備 420,857,850 374,325,000 88.94%

(20)

14

必要がある。本工事においては、工事監理者による報告簿も残されていること から評価すべき事項といえる。

(4)工程管理

実質1か月程度の進捗遅れが出ている。挽回可能との説明を受けたが、主な 原因として作業員不足があげられていた。

各工事の平成 25 年 12 月末現在の進捗率は、下記のとおりである。 建築工事 予定 76.0% 実施 64.8%

電気設備工事 予定 55.0% 実施 40.0% 機械設備工事 予定 80.0% 実施 50.0%

(5)各種検査・試験

① 事前に提出される施工計画書に記載されている試験方法・検査方法と照合 し、立会検査にて確認している。不都合があった場合は、再検査又は検査結 果報告書に添付される是正写真にて確認するとの説明を受けた。

② 全ての工事において、試験及び検査の実施要領書を含む施工計画書の作成 を行っている。

③ コンクリート、鉄筋等の試験結果を確認した。

3.6 施工

(1)施工管理記録

施工者作成の記録及び工事監理者提出の記録から、主要材料使用届・材料搬 入報告及び試験・検査関係報告並びに立会い記録、さらに、工事記録写真の状 況を閲覧し、監理者が必要な立会いを遺漏なく行っていることを確認した。

また、工事記録写真については、日付の写し込みが適切になされていること を確認し、これには、各種記録簿との照合や管理の容易さ、あらゆる場面での 偽装防止といった観点のみならず、今後とも是非継続するよう要望する。

(2)安全関連

ア.安全衛生管理体制

特定元方事業者等の事業開始報告をはじめ、足場及び安全体制その他の必 要な届を労働基準監督署に提出している旨を確認した。

同時入構者は、概ね 80 名程度との説明を受けた。

なお、本工事は建築工事、電気設備工事、機械設備工事等の多工種の従事 者が錯綜する現場であったが、建築工事業者が「工事現場全体」の統括安全衛 生責任者の選任を受け、主体となって安全衛生管理体制を構築しており、労 働安全衛生法の本来の趣旨となっている。

イ.工事災害対策

平成 25 年 12 月 30 日に電気工事作業中に墜落災害が発生したが、休業する ことなく、翌日から復帰することができたとの説明であった。これ以外には、 工事災害が発生していない旨の説明を受けた。

(21)

工事災害で最も多い転落事故対策として、足場設置の際の手すり先行設置 の実施やネット採用などの配慮、安全帯使用の徹底や開口部の安全確保等に ついて確認した。

ウ.緊急時の管理体制

労働災害発生時の初期対応と体制について整備し、緊急時連絡体制表を掲 示し、現場事務所だけでなく、休憩室にも掲示している。

エ.安全衛生協議会・巡回点検体制

安全衛生方針に基づいて、作業所安全衛生管理表を作成して日々の安全衛 生管理に努めているとの説明を受けた。月1回の開催が求められる安全衛生 大会や安全衛生協議会の他、安全衛生パトロールについて、実施状況を確認 した。

建築工事では、労働安全衛生規則(厚生労働省令)に基づく巡視点検につ いては、毎日安全衛生施工サイクル遵守の確認を行っており、日報等により 指摘事項等を含めた内容を確認した。

しかし、設備工事のうち電気工事については、現場を巡視しているが、記録 のない日があったり、記録があっても点検結果に対する具体的指示や確認印が ないものがあった。

これらについては、関連書類の整備に努める必要がある。

(提言事項参照:P18-4.3(3)) オ.労働者の安全管理と資格管理

新規入場者用資料を整備し、重要な部分や当該現場固有な手順を説明して おり、保有資格も合わせて確認しているとの説明を受けた。

また、現場掲示によって主任者等を容易に周知できる体制を敷いている。 作業員への指示や健康把握は、毎日の安全朝礼や作業安全打合せにおいて 実施されていることを確認した。

(3)出来形及び施工の状況

現場における施工状況及び出来形について、現在、躯体はほぼ完成し、屋上 部分のアスファルト防水工事、空調工事、内装工事の段階であった。

コンクリートの表面において、豆板(ジャンカ)※や段差が見受けられたが、 これらは、原因を究明するとともに修理すべきである。

※豆板(ジャンカ):硬化したコンクリートの一部に粗骨材(砂・砂利・砕石など。) だけが集まってできた空隙(すきま)の多い不均質な部分。豆 のように露出するため「豆板」とも呼ばれている。

(提言事項参照:P18-4.3(4))

3.7 環境管理

(1)周辺環境への配慮

現場は、敷地の北側、東側に高層マンションが建設されており、多くの市民

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16

の生活の場所となっており、周辺住民の安全確保や環境維持に万全を期してい る旨の説明を受けた。

周辺住民への栽培防止対策や工事関係者の風紀維持、ごみの管理、作業時間 や作業休日の遵守を図るとともに、騒音、振動の管理、周辺家屋・地盤の損傷 管理、粉じんの飛散防止、周辺道路の清掃等の対策を実施している。

騒音、振動とも規定値を超える作業はないとの説明を受けた。

(2)建設リサイクル

建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)に基づ く現場での建設副産物の管理状況を確認した。

また、建設リサイクルデータ統合システム CREDAS への登録状況を確認し、再 生材の利用については、砕石で使用しているとの説明を受けた。

(3)廃棄物処理

廃棄物処理の委託契約形態及び産業廃棄物の運搬・処分について、廃棄物追 跡記録を書類綴りで確認した。電子マニフェストを採用していた。

また、現場における廃棄物保管について分別保管状況を確認した。

(4)完成時の環境調査

所定の化学物質6項目の濃度測定について、計 14 か所で実施する計画との説 明を受けた。

4.調査結果と評価 4.1 総合評価

仮称浦安市立第9中学校建設工事(建築、電気設備、機械設備)に係る設計基 準、資料等の整備状況やその運用、設計書、設計見積、工事施工計画及び工種ご との工程、各種検査、材料試験等の実施状況等の技術的事項を実施した。

書類及び現場での調査の結果、全体的には良好であると評価する。

4.2 個別評価

以下に、委託仕様書にある技術調査における項目ごとの評価を示す。

(1)基準、資料等の整備状況及びその運用

① 適用された設計基準等は、前述のとおり、適正に整備、運用されていた。

(2)設計書(設計図書、仕様書、明細書)

① 設計は工事目的、法令や現場等に適合し、経済的、かつ効率的に成されてい た。

② 仕様書や図面等は的確に作成されており、工法、仕様材料・機械等の選定が 適切であった。

(3)設計見積

① 積算に当たっては、標準資料及び最新の単価を使用しており、適正に実施 されていた。

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(4)工事施工計画及び各工種の工程表

① 施工計画は、適正に作成され、施工体制及び下請負関係書類も適切に管理 されていた。

② 工種ごとの工程管理も適切に設定されていた。予定より、若干、工程が遅れ ているが、工夫により工期まで挽回可能とのことであった。予定工期内での竣 工に向け、さらに計画的な施工及び工程管理が必要である。

(5)各種検査、材料試験等の実施状況

① 各種検査、材料試験等の実施状況が適正に実施されていることを確認し、書 類も適切に整備されていた。

(6)契約関係手続

① 契約に関する手続きや時期については、適切に実施していた。

② 必要書類は、適正であり、適切に整備されていることを確認した。

(7)その他必要事項

① 環境保全、省エネルギー、資源の有効利用も考慮されていた。

② 将来の維持管理についても考慮されていた。

③ バリアフリー等の使用性についても、十分考慮されていた。

4.3 提言事項

(1)施工能力評価型総合評価落札方式の導入

近年、価格のみで落札業者を価格以外の要素(技術力等)も評価に加える総合 評価落札方式が導入された。しかし、技術提案型は、受発注者とも負担が大きく なり、その対策として、施工体制評価型が用いられるようになった。この方式は、 企業の能力(地域の貢献度含む)や技術者の能力により価格以外の要素を評価す るものであり、受発注者の負担が少ないといわれている。

今後、施工能力評価型の総合評価落札方式の導入について検討することを提言 するものである。

(2)書類整備の不備

設備工事のうち電気工事について、労働安全衛生規則(厚生労働省令)に基づ き現場巡視はしているが、記録のない日があったり、記録があっても点検結果に 対する具体的指示や確認印がないものがあった。関連書類の整備に努める必要が ある。

(3)コンクリートの打設

コンクリートの表面に豆板(ジャンカ)や段差が見受けられたが、品質管理上、 問題である。前者はコンクリートの打込みの際、振動機による締固めが不十分と 思われ、後者は型枠の膨らみと思われる。今後の、コンクリートの打設には、施 工管理を十分に行う必要がある。

また、これらの箇所は、修理すべきである。

(24)

18 4.4 推奨事項

(1)綿密な設計

本工事では、基本設計で意匠面、構造面及び設備面の各計画において十分な比 較検討を行い綿密な設計を実施している。全体の配置計画、各室の設置状況、構 造形式、基礎工法、設備機器の選定等に配慮されている。

従来、基本設計と実施設計を比較した場合、実施設計に重点が置かれていた といえるが、最近、建物の生産性向上を目的とした BIM(ビム:

BuildinngInformation Modeling)が注目されているが、建物の構造、形状 や仕様などを設計の初期段階で、できるだけ決めておく、言わば作業のピーク を前倒しする“フロントローディング”の考えが必要になってきた。このため、 企画や基本設計の重要性が高くなったといえる。

延べ床面積の見直しなど、コスト低減や完成後の維持管理にも配慮がなされて おり、雨水の中水利用、校舎屋上の緑地やプールによる断熱、太陽光発電等の環 境面にも配慮されていることは推奨に値すると言える。

(2)屋内運動場の天井

体育館棟の天井については、最近、問題となっている吊天井は採用せず、野地 板表しとし、照明等を鉄骨に直接取り付ける構造とし、落下に対してより安全な 対策を講じている。

東日本大震災では、アリーナの吊り天井が多数脱落し、文部科学省では、小 中学校の吊り天井の点検や改修を進めているところである。平成 26 年4月に は、建築基準法を改正し、”特定天井”について定義してその脱落防止の技術 基準を設けた。

今回の設計では、そのような動向を勘案し屋内運動場の天井を安全なものに したことは推奨に値すると言える。

参照

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