子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会 ニュースレター 第 3 2 号 2 0 0 6 ( 平成 1 8 ) 年 1 1 月 3 0 日発行
写真:市房ダム完成後、土砂の供給が減り河床の軟岩が露出した球磨川(あさぎり町深田付近)
熊本事務局 〒8 6 0 - 0 0 7 3 熊本市島崎 4 - 5 - 1 3
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1 2 月 1 7 日は
相良村へ行こ う !
■ ■ 相 相 良村 良 村 が が ダム ダ ム 反 反 対 対 声明 声 明 、 、 ダム ダ ム
建設 建 設中 中止 止に に向 向け けて て大 大き きく く前 前進 進
相良村の矢上雅義村長は 11 月 7 日、会見を開 き「球磨 川・川辺 川 流 域 にとって、ダムによる治水 は必 要 ない」と述 べ 、ダム本 体 の建 設 に反 対 す る 立場を明らかにしました。また、相良村議会も11 月 17 日、川辺川ダムによらない治水・利水事業の早 期実現を求める意見書を採択しました。
矢上村長や相良村議会の川辺川ダム反対の理 由 は、「わざわざダムを造 らなくても河 川 改 修 など で治水は可能」「ダムをつくれば、川の水が汚れ球 磨川下りや、農作物の栽培にも影響がある」「清流 を財産として残すべき」というものです。これまで私 たちを含めたダムに反対する多くの住民の声を反 映した声明と決議であり、高く評価すべきものであ り、全面的に支持したいと思います。
ダム建設の予定地であり、利水事業の最大の受 益地とされる相良村の反対声明は非常に重いもの があります。現在、河川法に基づいて、球磨川・川 辺川流域の河川整備基本方針と河川整備計画の 策定作業が進行中 です 。長期的な治水方針 であ る河川整備基本方針がこれまで議論されてきまし たが、それが固 まると、国 土 交 通 省 は来 年 にも具 体的 な河川 工事 方法 などを定 める河川 整備 計 画 の策定に着手すると思われます。
河川整備基本方針の検討の場には地元代表と して潮谷義子熊本県知事と福永浩介人吉市長が 参加しています。ダム推進派の急先鋒である福永 市長は根拠なきダム推進の発言を繰り返すのみで、 ダムを望まない地元の声を代表しているとは言えま せん。
河川法では、河川整備計画を定める際、国は知 事の意見を、知事は関係市町村長の意見を聴くよ う規定してあります。国交省はこの河川整備計画の 中に再度、川辺川ダム計画を盛り込むものと思 わ れます が、ダム建 設 に中 立 の潮 谷 知 事 は川 辺 川 ダムに反対する矢上村長の意向を重視するものと 思われます。
国 交 省 は これ まで地 元 の要 望 でダムを作 ると いってきましたが、今 度 の相 良 村 の反 対 声 明 で、 その前提は崩壊しました。地元住民・行政・議会が ダムを望んでいないことが明らかになったのです。 国 交 省 はダム計 画 を撤 回 し、ダムによらない治 水 対策を早急に実施すべきです。
11 月 10 日には、相良村を除くダム推進の流域 自治体の首長や議会議長で構成される川辺川ダ ム建設 促進 協議会が、人吉市 内で臨時総 会を開 き、建設目的から利水を切り離すよう国に求める緊 急決議を採択しました。新利水計画策定作業は、 今年 7 月の相良村の離脱声明で頓挫している状 態 、いわゆる「塩 漬 け」状 態 にあります 。このような 状況でダムの目的に利水が残ったままではダム建 設が困難になるという判断に基づき、ダム建設を円 滑に進め、新利水計画策定の前進も図ることが切 り離しの理由です。
ダム推進派は 3 月時点で総決起集会まで開い て、絶対にダムによる利水でないといけないと言っ ていましたが、11 月時点でダム目的から利水を切 り離したのです。3 月から 11 月の間に現地の農業 情勢が急激に変化したという事実はありません。推 進派のいうダムによる利水は農家の声を反映した ものではなく、ダム建 設 を推 進 す るための方 便 に 過ぎなかったことがこのことでも分かります。
では、推進派の思惑通りに、ダム建設は進むの
でしょうか。答えはノー です。ダムの建設目的から 利 水 を外 す には、特 定 多 目 的 ダム法 の規 定 に従 い、国 土 交 通 大 臣 と農 林 水 産 大 臣 が利 水 を目 的 から外 す ことを協 議 し、それに基 づ き利 水 目 的 を 外した新たなダムの変更計画を策定することが必 要です。しかし、農水省は現在、新利水計画の策 定 につ いては、「地 元 の申請 が前 提 。地 元 から事 業推進を申請してもらうしかない」と述べています。 地 元 での新 利 水 計 画 策 定 作 業 が中 断 している現 状では、農水省が何らかの行動を行うことはありえ ず、国交・農水両大臣協議が開かれる見込みもあ りません。
昨年、熊本県収用委員会から違法と断罪された ダム計画を変更できる展望は国交省にはないので す。もはや、川辺川ダム計画は「死に体」化してい るといっても過 言 ではありませ ん。私 たちは、ダム 中 止 の展 望 をしっかりと見 据 え、関 係 各 機 関 にダ ム中止の声を届けていく必要があります。
決 決 定 定 !「 ! 「 こ こ の川 の 川 に に ダ ダ ムは ム は 似 似 合わ 合 わ
ん ん ! ! ―川 ― 川 辺 辺 川の 川 の 治 治 水 水 を早 を 早 期 期 に実 に 実
現し 現 しよ よう う」 」開 開催 催
日時:12 月 17 日( 日) 13 時 場所:相良村総合体育館
主催:川辺川の治水を早期に実現する実行委員会 後援:相良村
内容:相良村民のダムによらない治水対策発表 川辺川利水訴訟弁護団長・板井優弁護士 の現状報告
矢上雅義相良村村長の発言 入場無料
*川辺川ダム反対を表明した相良村。勇気ある相 良村民・村長・議会の決定を支持し、ダムのない清 流を未来に残すために、みんなで声をあげよう!
熊本からも下記の通りバスを貸し切ってこの集会に 参加したいと思います。ダム中止まで本当にあと一
歩 です 。多 くの住 民 ・国民 が川 辺 川 ダムを望 んで いないということを意思表示しましょう。皆さんの参 加をお待ちします。詳細は同封チラシ参照。
熊本からのバスツアー
集合日時:12 月 17 日( 日) 9 時 15 分 集合場所:熊本市民会館前
行程:3 号線南下→宮原町から大通り峠(新ループ 橋)経由→五木村で休憩・昼食→相良村総合体育館 料金:2000 円( 昼食代別)
申し込み・問合わせ:070- 5273- 9573 土森
■ 川 辺 川 ブ ッ ク レ ッ ト 第 二 弾
『 川 辺 川 ダ ム は い ら ん ん ! ! p p a a r r t t 2 2
∼ ∼ ダ ダ ム ム がも が も た た らす ら す 環 環 境 境 破壊 破 壊 ∼ ∼ 』 』
を発 を 発行 行
昨年 の「川 辺川 ダムいらん!」に続 き、「川辺 川 ダムいらん!part2」をこのたび発刊しました。サブ タイトルは「ダムがもたらす環境破壊」です。ダムの 環境面への影響について、これまでの「川辺川ダ ムを考える住民討論集会」での住民や専門家の発 表資料を基に、川辺川・球磨川の豊かな自然環境 と川辺川ダムが出来ると環境にどのような影響があ るのかを川 辺 川 を守 る 県 民 の会 のスタッフで 議 論 しなが らまとめ て みました。治水・利水の み ならず 環 境 面 でもダ ムは不要だということが 分 か ると思 い ます 。是 非 、お 求 めください( 同 封チラシ参照)。 川辺川ダム問題ブックレット「川辺川ダムはいら ん!par t 2−ダムがもたらす環境破壊」
定価 840 円( 税込み) +送料 4 部まで 80 円 申し込みは TEL: 070- 5273- 9573
E- MAI L: t s uc hi _ t k@ybb. ne. j p 土森まで
球 球 磨 磨 川水 川 水 系 系 河川 河 川 整 整 備 備 基本 基 本 方 方 針検 針 検
討小 討 小委 委員 員会 会報 報告 告 p p a a r r t t 2 2
中島 康
前回のニュースレターでの報告は、第 1 回から 第 5 回まで球磨川水系河川整備基本方針検討小 委 員 会 ( 以 下 、委 員 会 ) につ いて述 べ ました。この 中で、一番印象的だったのは第 3 回の委員会にお ける森 林 の保 水 力 につ いての審 議 の最 後 に、委 員長裁決で次のように締めくくられました。「森林の 保水力については、現在国交省が言っている以外 のことは、未 だ定 説 とはなっていない。よって、川 の流量に与える森林の保水力は極めて小さいもの とし、これを無 視 す る」。これに対 して最 後 に潮 谷 義子熊本県知事は「河川整備計画というものはそ の地域によって極めて長いスパンでの見地から検 討されなければならない。であるなら、現在幾人か の学 者 が森 林 の保 水 力 につ いての研 究 をされて おり、ここ数年でひとつの結論に達しようとしている。 この結論が出たときに、また新たにこのことを河川 整備計画に反映する用意はあるのか」と質問され、 他の委員の方々を沈黙させたのでした。
この委員会の冒頭、ある委員が温暖化のために 起こる現在心配されている集中豪雨を検討対象に 入 れるべ きではとの意 見 を出 しました。近 藤 徹 委 員長は、そこまで考えると大変だから無視する旨の 決 裁 を行 いました。森 林 の保 水 力 につ いても、自 分たちに分からないことは無視しようとするこれらの 態 度 に潮 谷 知 事 の「厳 しい批 判 」を受 け取 ったの は、私だけではなかったのではないでしょうか。
基本高水流量(*)については、第 6 回の委員会 で委 員長 決 裁という形 で議 論 は終 わらせられまし たが、この会に至るまで、私どもは相当な量の意見 書、要望書を提出し、人吉での毎秒 7000 トン、八 代での毎秒 9000 トンという数値は過大であり、現
状に合っていない旨、主張し続けてきました。委員 長はまず住民側の意見は安全度の感覚が欠如し ているとして、安全度は過去の短いわずかな経験 で判断すべきではなく、工学者は安全をまず念頭 に入れるべきである。よって、人吉は 80 年に一回 の洪水規模を毎秒 7000 トンとし、もう一箇所の基 準点は横石(八代)とし、100 年に一回の洪水規模 を毎秒 9900 トンにすると言明しました。この時、潮 谷知事は①横石までの洪水到達時間が委員会と しては 12 時間にしたが 14 時間を超えることがあり、 委員の評価が果たして許されるのか。②また、今ま で基 本 高 水 流 量 をオー バー す る洪 水 は発 生 して いない現実を踏まえて、基本高水流量は決められ るべ きではないか。③ それに加 え、住 民 側 からの 声が取り上げられていない。もし、基本高水流量を このまま決 めるのであれば 、住 民 に対 して説 明 責 任を果たして欲しい。④今までの議論には、いろん な面で誤差があり、大きな幅の中での毎秒 7000 ト ン、毎秒 9000 トンに対して熊本県民は疑問を感じ ている。森林の保水力も学説として確立していない というだけの理由で組み込まれていないが、これも 上記の誤差の中にあるのではないか、県民に対し て説明責任を果たして欲しいと共に、県民の納得 する流域委員会の開設を強く希望すると言われま した。
委員長、知事、どちらの言い分がより科学的と思 われますか。明々白々ですね。
また、ここで何としても言わねばならないことは安 全率は高い方がよいなどとは 0 歳の子供でも分か ること、ただや み くもに安 全 率 を上 げてもよいかと いうことです。ここで問題になるのが費用対効果で しょうが、工学者はこのことは無視するのでしょうか。 ここでひ とつ 、私 どもが確 認 してお くことは委 員 長 決裁で人吉、八代での基本高水流量の議論は終 わり、数値は出されましたが、地元の知事が疑問を 提示している限り、決定ではなく、委員長の希望で
しかないのだということです。
第 7 回の委員会は 2006 年 10 月 19 日に開かれ ました。この回から計画 高水流 量(*) の検討に入 り ました。住民討論集会では計画河道流量といわれ ていたものです。
この日の委員会は、委員 22 名中、出席 7 名、欠 席届 1 名(福永浩介人吉市長)というひどいものでし た。この中での国交省の説明は、またひどいもので した。す なわち、住 民 討論 集 会 で国 交 省 は「中流 部の河床の岩盤は固くて掘削が困難であり、計画 高水流量は毎秒 4900 トンから増やすことは不可 能 」「下 流 部 の萩 原 堤 防 は断 面 不 足 であり、横 石 地点で毎秒 7000 トンである」と言い続けてきたのに、 今回の委員会での説明では、中流部の計画高水 流量は毎秒 5500 トン、下流部の萩原堤防では毎 秒 8000 トンに増やしているのです。前にも述べた ように住民討論集会では、国交省は中流部も下流 部も計画高水流量をこれ以上増やすことはできな いと言 っていたのです 。これは、基 本 高 水 流 量 を 成 り行 きで八 代 ( 横 石 地 点 ) で毎 秒 9000 トンから 9900 トンに増やしたために、下流部の計画高水流 量をこれに合わせて毎秒 7000 トンから1000 トン増 やして、毎秒 8000 トンにせざるを得なかったので す。国交省のご都合主義のなせる業なのです。
実際、私どもの調査では人吉では、現在まで最 大毎秒 5400 トンが溢れずに流れています。なのに 人吉の現況河道流量(*)は毎秒 3900 トンであり、計 画高水流量は毎秒 4000 トンです。長期的な河川 整備を行うのに毎秒 100 トンしか増加できない計 画は、なぜ出されたのでしょうか。これもまた、国交 省のご都合主義の結果です。現在の状況からあま りにもかけ離れています。
また、この日 、福岡捷 二 委員(中 央 大学 研究開 発機構教授)から、球磨川の河床は掘削すると軟
岸が出てきて、堤防がこの上に設置されることとな り危険であると言われました。私どもは早速、現地 を調査しました。確かに球磨川上流部には軟岸が 数多く見られます。ただ軟岸が露出しており、砂利 や 小 石 が全 くないのです 。これは、市 房 ダムが出 来 たために上 流 から砂 や 石 の供 給 がなくなり、砂 や石が流されてしまったために起こったものです。
河床掘削の問題ではなく、ダムの弊害だったの です。また現在の土木技術からすれば軟岸対策な ど何でもないことだと、土木技術者が言っていまし た。福 岡 委 員 は知 ってて言 ったのか、または知 ら ずに言ったのか。どっちにしても委員として不適格 な人のようです。
第 8 回委員会は 2006 年 11 月 15 日に開かれま した。この日の会議の終了間際、近藤委員長が大 変 な発 言 をしました。会 議 にお いては、国 交 省 の 説明が初めに約 1 時間 10 分くらい続けられました が、各委員の前回の質問の回答の説明に終始し、 注目に値する説明がないままに終わり、各委員が おおむね国交省の言い分を認めるいつものパター ンが続きましたが、なぜか最後に潮谷知事に発言 が振られたのです。
知事は計画高水流量の審議についての疑問の 発言にあとに、現在までの各数値が全て住民討論
集 会 で聞 かされた川 辺 川 ダムの説 明 の時 の数 値 に近似しており、各委員の発言の後ろには川辺川 ダムが見え隠れするとして不快の念を示しました。
これに対し、こともあろうに近藤委員長は球磨川 を語 るのにダムを避 けて論 議 するのはいかがなも のかと思 われるので、次回 までにダムの資 料 を出 すように事務局に指示しました。近藤委員長自身、 意識的にかそれとも何も気付かずに発した指示な のかは分 かりませ んが、これ は大 変 なことなので す。
河川整備基本方針策定での検討小委員会の役 割は整備の基準となる抽象的事項を決めることで、 河 川 整 備 の具 体 的 方 法 及 び それに関 す ることに ついては踏み込んではならないこととなっているの です。このことは国交省の発行した河川整備基本 方針の説明書の解説に明記してあり、これに関係 する人々はよく知っていることです。例え潮谷知事 が川辺川ダム計画を基としての質問をしたとしても、 これを止めるのが委員長でなくてはなりません。
もし、このことを知 った上 での委 員 長 発 言なら、 到底許されることではなく、もしこのことを知らずに 行ったのなら、当然の常識を持っていないことで、 どちらにしても委 員 長 として失 格 者 であることは 明々白々のことです。私 どもは早速、近藤委員 長 の罷免を求めるために、11 月 21 日、福岡市の国 土交通省九州地方整備局に出向き、厳しく申し入 れを行いました。このような委員長の態度は国交省 及び委員会 事務局も同 じ穴のムジナであることは 明 らかです 。一 度 、委 員 会 は解 散 し、全 てを白 紙 に戻して、新たに中立公正な学者と住民代表を交 えて。再度検討小委員会を開催すべきです。
基本高水流量・・・数十年に一度の大雨時 に川に流れる洪水の量
現況河道流量・・・現在の川の状態で溢れ ずに流せる水の量
計画高水流量・・・現在の川を計画通りに 整備した場合に溢れずに流すことが出来る 水の量
■ ■ イベ イ ベン ント トリ リポ ポー ート ト
日 日 韓 韓 共同 共 同 シ シ ンポ ン ポ ジ ジ ウ ウ ム「 ム 「 美 美 しい し い
日本 日 本に に川 川辺 辺川 川ダ ダム ムは はい いら らな ない い」 」
遠藤保男
無 駄 な ダ ム 建 設 に 反 対 し て い る 全 国 の 住 民 団 体 の 連 絡 組 織 で あ る 水 源 開 発 問 題 全 国連絡会(水源連)は毎年、ダム問題を抱 え る 各 地 で 全 国 集 会 と 総 会 を 開 催 し て い ます。今年は 7 年
ぶりに熊本での開 催となりました。 その全国集会の模 様を水源連代表の 遠藤さんに報告し てもらいました。
えんどうやすお 1944 年生まれ。1972 年から 2005 年まで、東京都職員として勤務。1972 年から職場 の仕事に対応した形で公害問題、水政策問題を運動 として取り組む。2004 年から嶋津暉之氏と共に水 源開発問題全国連絡会( 水源連) 共同代表を務める。
今年の水源連の全国集会は川辺川ダム問題に 焦 点 を合 わせ ると同 時 に、韓 国 の環 境 運 動 連 盟
(K F E M)の水 問 題 担 当 者 である金 洛 中 氏 を招 い て、韓国でダム反対運動が成功を収めている秘訣 を伝授してもらうことを目的とし、10 月 28 日夕刻か ら熊本市青年会館で開催することにしました。
熊本の皆さんがこの集会を成功させるために実 行委員会を結成し、その準備にあたりました。集会 名は「日韓共同シンポジウム『美しい日本に川辺川 ダムはいらない』」となりました。
シンポジウムは予定時刻に始まり、予定を 20 分 ほど超過して終えました。会場には約 200 名が集 まりました。
司会をつる詳子さんがつとめ、実行委員長であ り「子 守 唄 の里 ・五 木 村 を育 む 清 流 川 辺 川 を守 る 県民の会」の代表である中島康さんが「このシンポ ジウムで K F E M の金洛中さんと、全国の皆さんから 元気をもらいたい」と開会の挨拶をしました。
川辺川利水訴訟弁護団長である板井優弁護士 が「川辺川ダム問題の現状と課題」と題した講演を、 K F E M の金洛中氏が「韓国のダム反対運動の歴史 と成 果 」と題した講 演 を行 いました。次 いで、全 国 から駆けつけた水源連の仲間たちがステージに上 がり、川 辺 川 ダム問 題 に関 わる皆 さんにエー ルを 送りました。その後で会場の参加者から出された質 問をもとにパネルディスカッションを行いました。
最 後 に集 会 宣 言 を採 択 して、このシンポジウム を終えました。
1.「川辺川ダム問題の現状と課題」
板井優弁護士
パワーポイントを使い、初めての人にも分かるよ うに講演が進行しました。
川 辺 川 ダム問 題 の経 過 と解 説 の画 面 が続 いた 後 、① 「利 水変 更 計 画 違 法 判 決 」→ 「土 地 収 用 申 請取り下げ」でダム計画が白紙になっていること
② 利 水 問 題 が相 良 村 の離 脱 表 明 によって「塩 漬 け」状態になっていること、③治水問題は現在社会 資 本 整 備 審 議 会 河 川 部 会 球 磨 川 水 系 基 本 方 針 検討小委員会での審議がダム前提の基本高水流 量毎秒 7, 000 トン、人吉地点の流下可能流量毎秒 4, 000 トンのゴリ押しで科学的根拠がまったくないこ とから、「川辺川ダムは治水面でも不要なことは既 に明らか」と明快な指摘がありました。
次に日本政府と地方自治体の財政赤字の側面 からの解説がありました。①長期不況で公共事業
投資額が近年は下降傾向にあること、②2000 年 11 月には与党 3 党の「公共事業見直し」が出されたこ
と、③ダム関係では幾つかの計画が撤回されてい るが、継続中のもたくさんあること、④その結果、国 と地方自治体の財政は危機的状況になっているこ
と、⑤国民の負担として押し付けられるので、大型 公共事業の有害・無駄を住民かつ市民の目線で 判断することが必要であること、が提起されました。
20052005年の日本の決算年の日本の決算 支出総額約85兆円 支出総額約85兆円
税収4 9 兆円 国債31 兆円
五 兆
住民参加・決定で川辺川ダム計画を 住民参加・決定で川辺川ダム計画を どうするか決めようⅠ
どうするか決めようⅠ
••国土交通省に説明義務を求めていく国土交通省に説明義務を求めていく闘い闘い 行政にダム以外の治水対策を求める闘い 行政にダム以外の治水対策を求める闘い
球磨川上流 堤防・河床掘削など 球磨川上流 堤防・河床掘削など
球磨川中流 下流のダムによる溢水 球磨川中流 下流のダムによる溢水
球磨川下流 堤防 球磨川下流 堤防
ダムよりも環境・清流を残す課題と併せて ダムよりも環境・清流を残す課題と併せて
清流バイパスの矛盾 清流バイパスの矛盾
河川整備計画案の作成
河川整備計画の決定
意見 地方自治体の長
「『住民+行政』参加・決定で川辺川ダム計画を どうするか決めよう」と呼びかけました。球磨川河川 整備基本方針検討小委員会で県民に代わって説 明を求めている知事を置き去りにした多数決では 基 本 方 針 が決 まらないこと、もしその様 な暴 挙 が あったとしても、河川整備計画策定段階で知事の
意見を聞かないと河川整備計画を決定できない、 すなわち、河川整備計画に川辺川ダムを書き込む ことが出来ないこと(これは法的に事実上保障され ている)を挙げ、「川辺川ダムをめぐる闘いは、住民 が主 体 となり、自 治 体 を変 えて『住 民 + 行 政 』で、 国 に政 策 変 更 を求 めている闘 いの一 例 である」と 締めくくりました。
「
「住民+行政住民+行政」」参加・参加・決定で川辺川ダ決定で川辺川ダ ム計画をどうするか決めようⅡ ム計画をどうするか決めようⅡ
「住民+行政」参加・決定
「住民+行政」参加・決定
住民に代わり検討小委員会で説明を求 住民に代わり検討小委員会で説明を求
める県知事 める県知事
河川整備基本方針策定は熊本県知事を 河川整備基本方針策定は熊本県知事を 置き去りにした多数決では決まらない。 置き去りにした多数決では決まらない。
河川整備計画策定は、河川法で県知事 河川整備計画策定は、河川法で県知事
の意見を聞かないと策定できない。 の意見を聞かないと策定できない。
2.韓国のダム反対運動の歴史と成果
KFEM金洛中氏
最初に韓国内のダム建設の実態が紹介されまし た。
・韓国ではダムは全て国が作り、1910 年∼2001 年 の間に 1, 214 基のダムが完成していること、
・ダムはその目的によって作る省庁が決まっている こと、・ダム反対運動は多目的ダム・洪水調節ダム という大 規 模ダムを担 当している建 設 交 通 部 のダ ムに集中していること、・韓国はダムの数がその国 土 面 積 あたり最 も過 密 であること、従 って、これ以 上 ダムを造 る場 所 を探 しにくい現 状 にあること、
2.ダム建設の主体と 現実
1)韓国のダム建設の主体
• 建設 交通部:多目 的ダム、洪 水調節ダム建設→ ダ ム建設反対の主な対象
• 環境部: 飲み水専用のダム
• 農林部 : 農業用水用ダムÆ 中、小規模のダムと して、韓国のダムの大部分を占める
• 産業資源部 :発電用ダムÆ現在はつくっていない 2)韓国のダム現実
• ダムと貯水池の合計:18、000ヶ所以上
• 国土面積に対し韓国は世界最大のダム過密国
• 従って、これ以上ダムを造る場所を探しにくい現状
(建設交通部がダムを造れない理由の一つ)
次に、1997 年∼2000 年にかけて、東江(トンガ ン)ダムの反 対 運 動 を行 って中 止 を勝 ち取 った経 過を紹介しました。この反対運動では 10 万人以上 の人が東江(トンガン)の現地調査を行い、その自 然の価値を実感する中から、ダム反対の意志を共 有したということです。
3.東江<トンガン>ダム反対運動(1997∼2000)
1 数十万人の市民達が東江を尋ね現 地踏査
2 メディアを通して、東江の自然生 態系報道
3 2000年6月5日(環境の日)
→ 東江ダム建設の取り消しの発表 4 東 江 ダ ム 反 対 運 動の成 功 をきっ か
けにダム反対の世論が急速に拡散
建設交通部が 2001 年に 12 基のダム計画を発 表したことに K F E M が対応した結果、既に 8 基のダ ムを中止に追い込んだこと、2 基が裁判闘争を含 め反対運動中であるとの報告がありました。 次に、ダム反対運動成功の要因として下記の8項 目が提示されました。
1.地域住民の必死(決死的)な闘争
①地域共同体を守るという意志②間違っている政 府の政策を正しく立て直すという意志③自発的な 行動:基金調達<工面>、反対対策委結成 2. 自 治体の積極的な協力
④地域住民達の反対運動への参加 ⑤水没による 住 民 達 の移 住 で、自 治 体 が崩 壊 す る恐 れ⑥ ダム の建設による実際的な利益の少なさ
3.市民社会団体の積極的な協力
⑦メディアを通し、政府の政策の間違いを大きく取 り上げてもらう ⑧ダム計画の矛盾と間違いについ て分析と対案提示
7.ダム反対運動の成功の要因
1)地域住民の必死(決死的)な闘争
• 地域共同体を守るという意志
• 間違っている政府の政策を正しく立て直すという意志
• 自発的な行動:基金調達<工面>、反対対策委結成
2)自治体の積極的な協力
• 地域住民達の反対運動への参加
• 水没による住民達の移住で、自治体が崩壊する恐れ
• ダムの建設による実際的な利益の少なさ
3)市民社会団体の積極的な協力
• メディアを通し、政府の政策の間違いを大きく取り上 げてもらう
• ダム計画の矛盾と間違いについて分析と対案提示
韓国建設交通部は今年12月に新たなダム建設 の計画を発表する予定であること、建設交通部に 対 抗 し、ダム反 対 運 動 が持 続 す ること、地 域 住 民 達との協力と連帯が何より必要であることも挙げら れました。
そして、「ダム問 題 を解決 す るには、これからは 反対運動体の国際交流が必要である」と提起があ り、講演が終わりました。
地 域 共 同 体 を守 ろうという意 識 、住 民 と地 域 自 治体との連携、国策を正すことに向けたすさまじい ば かりの団 結 、これらはす べ て、私 たちの運 動 の 原点 です。ともす れば その意 識が希 薄になりがち な運動の原点の大切さに気付かせてもらうとても有 意義な講演でした。
3.川漁師・小鶴隆一郎さんの報告
小鶴さんは球磨川の沿岸・人吉で生活しながら 川漁師をされています。ここ数年、球磨川の濁りが
続いていることを観察し続けられています。アユが 獲 れなくなって、漁 獲 高 がめっきり減 少 していると の報告。濁りの原因を探り、球磨川をさかのぼると 川辺川から濁りが来ていることを突き止められ、更 にさかのぼると川辺川源流域の朴木(ほおのき)砂 防ダムと樅木(もみき)川砂防ダムにたどり着いたと のことでした。川 辺 川 源流 域 の荒 れた森 林 がこの 数年の間に崩落し、その土砂が両砂防ダム上流部 に堆積していることを突き止めたのです。堆積した 土砂が小規模の大雨があると川の流れに浸食され て流出を続けていたことが長年来の川辺川と球磨 川の濁水を引き起こしていたのです。
朴 木 砂 防 ダムと樅 木 川 砂 防 ダムは川 辺 川 本 流 に作られた砂防ダムなので流量が多く、そこからの 濁水が希釈効果を受けることが少ないので、長期 間にわたってその下流に被害をもたらしているとの 説 明 でした。抜 本 的 解 決 として、両 砂 防 ダムの撤 去を求めている、と話されました。
4.全国からのエール
このシンポジウムに駆けつけた水源連の仲間た ち(苫田ダム問題の岡山県、山鳥坂ダム問題の愛 媛 県 大 洲 市 、八 ッ場 ダム問 題 ・渡 良 瀬 遊 水 池 問 題 ・相 模 川 問 題 の首 都 圏 )が舞 台 に昇 り、川 辺 川 ダム計画反対運動の勝利を目指してエールを送り ました。
5.質疑を中心としたパネルディスカッション
「子守唄の里・五木村を育む清流川辺川を守る 県 民 の会 」の代 表 である中 島 さんがコー デ ィネー ター をつ とめ、板 井 氏 と金 氏 の講 演 を踏 まえた質 疑応答形式のパネルディスカッションを行いました。 質問は金さんに集中していました。その中から2つ を紹介します。
質問:韓国では地方自治体にメリットがないのでダ ムに反対するというが、ゼネコンから地元に金が落 ちないのですか?
回答:韓国にもゼネコンがある。すべての仕事をゼ ネコンが独り占めして、地元の業者に仕事をおろさ ない。
質問:韓国では何故、ダム反対運動に何十万人も の人が集まることができるのですか?
回答:韓国では国民が政府の政策がおかしいこと に気がつくと、それを正そうとする意識が強い。地 域を守る、という意識を国民が共有している。
現在的な問題として、河川整備基本方針と河川 整 備 計 画 へ の対 応 につ いて質 問 が出 され、遠 藤 が次の主旨のことを熊本の皆さんに訴えました。
「球磨川の場合は川辺川ダム建設を大前提にして いるので、基本方針策定はそれにお墨付きを与え る役割を持っている。基本高水流量と計画高水流 量 を従 前 の値 と同 じ値 で決 めてしまえば 、治 水対 策は川辺川ダム以外に想定できなくなる。基本方 針 検 討 小 委 員 会 はそれを目 指 しているので論 理 が目茶苦茶。
あまりのデタラメサに、委員である潮谷義子熊本
県知事が『私は納得できない。そんなことを県民に 説明できない』と小委員会で孤軍奮闘されている。 知事は県民への説明責任を最重要視されている。 県民の皆さんが小委員会とその事務局である国土 交通省に対して、これまで提出してきた意見書と要 望書についての回答を求める説明会を求めること を提案したい。この間の小委員会で国は無理に無 理を重ねているので、国を攻める材料はたくさん出 ているので、勝ち目は十分ある」。
6.集会宣言採択
韓国 K F E M の金洛中氏を招いてのシンポジウム は、相互に元気を与え合うものでした。これからは 国 内 はもちろんのこと、海 外 との連 携 をより密 なも のにして、互いに支えあいながらそれぞれの運動 の勝利を目指そう、という気持ちを共有できたと思 います。最 後に、別掲 の集会宣 言 を採択してこの シンポジウムを終えました。
この日に向けての準備を担っていただいた実行 委員会の皆さん、この日に向けての日韓の意思疎 通を図ることに大変な協力を頂いた通訳の金恩暎 さん 、なれ ない 日 本 へ 単 身 で 来 てい ただ い た K F E M の金洛中さんに心から感謝したいと思いま す。
集会宣言
昨年 9 月、国土交通省は漁業権などの強制収用申 請を取り下げ、川辺川ダム計画は白紙となりました。 治水では、近年の増水で家屋に浸水被害を受けた川 辺川、球磨川流域の世帯のほとんどが、宅地のかさ 上げや河床の土砂撤去など、川辺川ダム以外の治水 対策を求めています。利水では、農民が「ダムの水 はいらない」とする裁判に勝利しました。また、最 大の「受益地」とされてきた相良村が、国営川辺川 利水事業からの離脱を表明し、利水事業も完全に頓 挫しています。にもかかわらず国交省は、川辺川ダ ム建設をいまだに推進しようとしています。
球磨川の新たな長期治水方針などを協議する、国 土交通省の検討小委員会のメンバーの大半は、球磨 川とは全くなじみの無い学識経験者で占められ、国 交省の見解を追認するだけです。住民を締め出す、 このようなやり方は、明らかに時代に逆行するもの です。
建設省 ( 当時) が川辺川ダム計画を一方的に発表 してから、40 年もの歳月が経過しました。それ以 来、水没予定地とされた五木村をはじめ地元は、こ の問題に翻弄され続けてきました。問題がここまで 長期化した理由は、行政が住民の声を無視して事業 を進めてきたからです。
本日、数々のダム計画を中止させた韓国の実情を 知ることで、公共事業に民意を反映させることの重 要さを私たちは再確認しました。国土交通省は「住 民参加」を理念とする新河川法の精神を尊重し、住 民の大半が反対している川辺川ダム建設を即時中 止し、住民参加で川づくりを進めることを強く要求 します。
2006 年 10 月 28 日
日韓共同シンポジウム「美しい日本に 川辺川ダムはいらない」参加者一同