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Academic year: 2017

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(1)

8

垂直的統合

(2)

•  垂直的な取引と企業間関係 

  垂直的な企業間関係 

  垂直的な統合と制限に関する課題    垂直的制限の類型と違法性の基準 

•  垂直的統合による効率性と排除 

  垂直的統合による効率性    垂直的統合による排除 

(3)

垂直的な企業間関係

  ある財が消費されるまでには、原材料の生産、部品の生 産、部品の組立、卸売、小売と様々な生産・流通の手段を 経る 

  例えば自動車も部品サプライヤー→自動車メーカー(組立)→ ディーラー→消費者へ 

  部品メーカーも大手メーカーの他に下請けメーカーなど幾層に も連なっている 

  日本では、メーカーがサプライヤーやディーラーと長期的で固 定的な取引関係を持つ系列を形成していることが特徴 

  メーカーはサプライヤーと部品の開発段階から協働し、ディーラーは 特定のメーカーの専売店となる 

  アメリカでは、かつて大手自動車メーカーは自社内に部品製造 部門を統合していたが、現在は部品メーカーを分社化するとと もに、独立したサプライヤーから部品を購入することも多くなっ

(4)

  旅客鉄道でも、欧米では駅や線路や信号などの インフラと、車両による輸送サービスは分離され ており、旅客鉄道会社はインフラ使用料金を支 払うケースが多い 

  家電製品は、 

  かつては特定のメーカー品だけを販売する専売店が 多かった 

  最近では、量販店で多くのメーカー品が販売される 方が一般的になる 

  直販に専念しているパソコン・メーカーもある 

(5)

垂直的な企業間関係

•  外食産業やサービス業(クリーニング等)では、 直営店だけで営業する会社もあるが、フラン

チャイズを活用したチェーン店を利用する会 社が多い 

  フランチャイズは統合された社内取引ではないが、 分離された市場取引でもない 

  フランチャイズ戦略も会社によって異なり、 

  セブン・イレブンは90%以上がフランチャイズ店 

  マクドナルドのフランチャイズ店は1/3程度 

  スターバックスはフランチャイズを行わない

(6)

•  垂直的な企業間取引において販売する側を 川上企業、購入する側を交わしも企業と呼ぶ 

•  垂直的に統合されることで利潤が高くなるな らば、川上企業や川下企業に垂直的統合を する動機が生じる 

•  垂直的統合をすると今度は市場を活用できな くなるという弱点が生じ、合併・買収のための 資金が必要となることや、巨大企業になるこ とによる企業統治の困難さも高まる

(7)

垂直的な統合と制限に関する課題

•  垂直的統合を選ばず、川上企業が川下企業 に対して、あるいは川下企業が川上企業に対 して取引上の制限を課すことで、垂直的統合 に代替しようとすることがある 

•  垂直的な取引制限が行われると、企業の効 率性や経済厚生を高める可能性があるととも に、競争を制限したり経済厚生を低めたりす る可能性がある

(8)

  垂直的制限の代表的なものとして、再販売価格維持(再 販)、テリトリー制、抱き合わせ、排他的取引がある 

  不公正な取引方法は独占禁止法第19条で禁止されてい るが、これらはすべて公正取引委員会によって不公正な 取引方法として指定されている 

  第19条「事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない」 

  第2条9項「この法律において「不公正な取引方法」とは、次の各号の いずれかに該当する行為をいう」 

  第2条9項4号イ「相手方に対しその販売する当該商品の販売価格を定めて これを維持させることその他相手方の当該商品の販売価格の自由な決定を 拘束すること」 

  第2条9項6号ニ「相手方の事業活動を不当に拘束する条件をもつて取引す ること」 

  第2条9項5号イ「継続して取引する相手方…に対して、当該取引に係る商品 又は役務以外の商品又は役務を購入させること」 

  第2条9項1号ロ「他の事業者に、ある事業者に対する供給を拒絶させ、又は 供給に係る商品若しくは役務の数量若しくは内容を制限させること」 

(9)

垂直的制限の類型と違法性の基準

•  違法性の判断の基準は「当然違法」と「合理 の原則」の2つに分けられる 

  「当然違法」とは、競争に対して明らかに悪影響 を持つとされる行為を、理由を問わず違法とする こと 

  「合理の原則」とは、競争に良い影響を持つ可能 性があるために、公正競争阻害性の点から事例 ごとに違法性が判断されること

(10)

  「再販売価格維持」とは、取引条件として、川上 企業が川下企業に対して仕入れた商品を再び 販売するときの価格を拘束力を持つ形で指定す ること 

  価格の指定の仕方としては、 

  定価を定めて特定の価格に指定する 

  上限価格を定めてそれ以下の価格で販売するよう指定す る最高価格再販 

  下限価格を定めてそれ以上の価格で販売するよう指定す る最低価格再販 など 

  正当な理由があるとして再販の例外品目(新聞、書 籍、音楽CDといった著作物)が定められている

(11)

垂直的制限の類型と違法性の基準

•  「テリトリー制」とは、川上企業が川下企業に 対して、販売できる地域を限定するよう拘束 する条件付の取引のこと 

  不公正な取引の中の拘束条件付取引の1つ    テリトリー制には 

  地域ごとに1社に限定するクローズド・テリトリー制 

  複数社を置くオープン・テリトリー制 がある

(12)

•  「抱き合わせ」は、異なる財をセットにして購 入させること 

  セット販売とともに単品販売もあり、消費者が自 由に選べる場合は問題とされない 

  消費者の選択の自由を侵害するという意味で公 正競争阻害性(競争手段の不公正)に該当する ので違法と考えられる 

  価格差別の一種であるとも考えられる

(13)

垂直的制限の類型と違法性の基準

  「排他的取引(排他条件付取引)」とは、取引の相手方が

(自社の)競争相手と取引しないことを条件として取引する ことで、競争者の取引の機会を減少させる 

  川上企業が川下企業に対して、自社の商品のみを販売するよ うに求める「専売店制」が代表的だが、川下企業が川上企業に 対して、すべての商品を自社に販売するように求める場合もあ  

  川上企業から川下企業:自動車メーカーが自動車ディーラーに課す 場合、石油会社が系列のガソリンスタンドに課す場合、フランチャイ ズ契約でフランチャイザー(本部)がフランチャイジー(加盟店)に対し て課す場合 

  川下企業から川上企業:自動車メーカーが部品メーカーに対して専 属の下請契約を結ぶ場合 

  こうした契約だけでは違法とはならないが、競争者が代替的な 販売ルートを持てなくなるようであれば公正競争阻害性(競争

(14)

•  垂直的統合(合併)は、競争の実質的制限が ある場合には認められない 

•  垂直的制限では、競争の実質的制限となる 場合だけでなく、その予防的な措置として不 公正な取引方法とされると違法となる

(15)

垂直的統合による効率性

  「垂直的統合」とは、取引関係にある企業間で生じる 合併・買収 

  垂直的な取引において川上企業は川下企業の利潤 に及ぼす外部生を考慮せず、また、川下企業は川上 企業の利潤に及ぼす外部生を考慮しないで、互いに 関係特殊的投資を行ったり、価格設定を行ったりする ために、両企業の利潤の合計を最大化するような行 動が取れないという問題がある 

  垂直的統合をすると、利潤合計を最大にするように部 品や製品の開発、マーケティング活動、価格設定など の行動を取ることができるため、「垂直的外部性」が解 決される

(16)

  垂直的統合によって、小売店が複数存在する場合に おいて、小売店間で生じる「水平的外部性」の解決に も役立つ 

  小売店が商品を陳列して顧客が試しに使ってみること が出来るようにしたり、商品の使用法を説明したりす る小売サービスを行うことで、需要を増加させることが 出来る 

  小売サービスには費用がかかるため、小売店の中に は、自らはサービスを提供せず他店のサービスにた だ乗りし、その代わりに価格を安くして顧客を獲得しよ うと考える店が出てくることが考えられる

(17)

垂直的統合による効率性

•  同じメーカーの商品を販売する小売店間の競 争を「ブランド内競争」と呼ぶ 

•  垂直的統合によりブランド内競争が緩和され ると、企業の利潤は高まるが、消費者余剰は 低下する 

•  垂直的統合された異なるメーカー間でサービ ス供給を通じた「ブランド間競争」が行われる と、サービス競争が激しくなり、消費者余剰を 高める可能性がある

(18)

  寡占的な市場で、支配的な事業者は、垂直的統 合を用いてライバル企業を排除できることがある 

  川上企業が独占的であるときに、一部の川下企 業と統合し、その他の川下企業には「取引拒絶」 をして供給を止めることになると、統合していな い川下企業は代替品を仕入れることができなけ れば市場から排除される 

  川上市場での独占力を梃子にして、川下市場を 独占しようとするの「梃子の理論」と呼ばれる

(19)

垂直的統合による川下企業の排除

川上企業

川下企業A 川下企業B

消費者

小売市場は競争的

(20)

川下企業A

川下企業B

消費者

垂直的統合 垂直的統合

小売市場も独占に

企業は排除

(21)

垂直的統合による排除

•  垂直的統合によりライバルを排除することは 梃子の理論から予測される 

•  ただし、川上企業がもともと独占であれば、ラ イバルの排除をしても利潤は増加しないとも 考えられる 

•  したがって、垂直的統合に際しては効率性の 改善があるはずだという指摘がなされた

(22)

  川下企業の費用は川上企業からの仕入れ(卸売)価格の みであるとする 

  川上企業の卸売価格を w 、川下企業の小売価格を p と する 

  川下企業が完全競争であれば、 p=w となる 

  川上企業は独占なので、独占価格となるよう w をつける 

  垂直的統合を行い、川下市場も独占になったとする 

  垂直的に統合された企業は独占企業として独占価格 p を つけるが、それは統合前と等しく、企業全体の利潤も統合 前と同じである 

  これは、川上市場が競争的で、川下市場が独占的な場合 も同様である

(23)

垂直的統合による川下企業の排除

川上企業

川下企業A 川下企業B

消費者

w=独占価格

p=w=独占価格 p=w=独占価格

(24)

川下企業A

消費者

垂直的統合 垂直的統合

p=独占価格

(25)

垂直的統合による川上企業の排除

川上企業A

川下企業

川上企業B

消費者 垂直的統合

(26)

  川上と川下がともに寡占であるとき、排除のため の垂直的統合の動機が存在する 

  低コストの川上企業が川下企業と統合し、他の 川下企業に取引拒絶をすると、他の川下企業は 高コストの川上企業と取引せざるを得なくなる 

  ライバル企業のコストを引き上げ、ライバル企業 を排除したり競争上の地位で優位にたとうとした りすることを「ライバル費用引き上げ戦略」と呼ぶ 

  ライバル費用引き上げとなる統合は、違法と判 断されることが多い

(27)

ライバル費用引き上げ戦略

川上企業L

川下企業A

川上企業H

消費者

川下企業B

(28)

川下企業A

消費者

川下企業B 利潤

参照

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