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カナダ・フリンフロン帯における掘削コアTS0701 の岩石記載- 3: 茨城大学機関リポジトリ

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Academic year: 2018

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お問合せ先

茨城大学学術企画部学術情報課(図書館)  情報支援係

http://www.lib.ibaraki.ac .jp/toiawas e/toiawas e.html

T itle

19 億年前の深海底堆積岩の特徴 : カナダ・フリンフロン

帯における掘削コアT S 07-01 の岩石記載− 3

A uthor(s )

元村, 健人; 伊藤, 孝; 清川, 昌一; PR IC E , D ave

C itation

茨城大学教育学部紀要. 自然科学 = B ulletin of the F aculty

of E ducation, Ibaraki University. Natural science, 67: 57-76

Is s ue D ate

2018-01-30

UR L

http://hdl.handle.net/10109/13514

R ig hts

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*九州大学理学府地球惑星科学専攻(〒819-0395 福岡県福岡市西区元岡744;Department of Earth and Planetary Sciences, Faculty of Sciences, Kyushu University, Motooka, Fukuoka, 819-0395, Japan)

**茨城大学教育学部地学研究室(〒310-8512 水戸市文京2-1-1; Geosciences Laboratory, Faculty of Education, Ibaraki University, Mito, Ibaraki, 310-8512 Japan)

***Daprock Enterprises, 194 Dadson Row, Flin Flon, Manitoba R8A 0C7, Canada

19

億年前の深海底堆積岩の特徴:カナダ・フリンフロン帯に

おける掘削コア

TS07-01

の岩石記載-

3

元村健人*・伊藤 孝**・清川昌一*・Dave PRICE*** (2017 年 8 月 31 日受理)

Characteristics of 1.9 Ga Deep-sea Sedimentary Rocks: Lithology of

Drill Core TS07-01 from Flin Flon, Canada-3

Kento Motomura*, Takashi Ito**, Shoichi Kiyokawa and Dave Price***

(Accepted August 31, 2017)

Abstract

 Flin Flon Belt, which is a part of the Trans-Hudson Orogen, contains old volcanic rocks and sediments of 1.9 Ga. We describe the lower part of the core TS07-01 from the belt. The core comprises

an alternation of sandstone and black shale, which has many graded structures, and a rhyolite intrusion.

We recognized five units for the whole core and upward fining structures at some scales in each unit.

The longest unit is R1 unit and 190 m stratigraphy is reconstructed, which has 15 m upward coarsening

structures and 40 m, 60 m and 100 m scale upward fining structures.

はじめに

 フリンフロン帯はカナダ中南部~北東部にかけて広がるトランスハドソン造山帯に属しており,

マニトバ州およびサスカチュワン州にまたがって分布する(Fig. 1)。同地質帯は19.2億年前~

18.8億年前に形成した島弧性火山岩・火山砕屑岩や比較的深海で堆積した堆積岩(Amisk Group)

と18.5億年前以降の陸成堆積岩(Missi Group)で構成されており(Syme, 1990; Stern et al., 1995;

Lucas et al., 1996),ヌーナ大陸の成長に伴うスペリオルクラトンとハーンクラトンの衝突により形

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間に存在したマニケワン海で堆積したものであり,細粒部には黒色の有機物が多く含まれる。  有機物に富む堆積物は堆積当時の生物環境・海洋環境に関する情報を保存している可能性があり, それら堆積岩を調査することは太古の地球環境を推測するうえで非常に重要な意味を持つ。そこで 本研究では,低変成度のタービダイト性堆積物が分布するフリンフロン地域に着目し,フリンフロ

ン町の北東に位置するEmbury Lakeより得られた480 mの砂岩泥岩互層からなる掘削コア試料につ

いて岩相および岩石層序の記載を行い,当時の海洋堆積作用について検討した。

掘削コアTS07-01 の研究史

 掘削コアTS07-01は坂本ほか(2010,2011,2012)によって記載および分析がなされている。

坂本ほか(2010,2011)ではBOX 1(掘削深度28 m)からBOX 45(掘削深度215.7 m)までのコ

ア長187.7 mについて詳細な記載が行われた。掘削コアTS07-01は粗粒砂以下の粒径を示す石英を

Fig.1 A:Geological map of Canada and the location of Trans-Hudson Orogen-(modified from Corrigan et al., 2009). The red circle is the location of the Flin Flon area. B: Geological map of the area around Embury Lake and Flin

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主成分とする砂岩とシルトサイズの石英を含む黒色頁岩の互層からなる。コアは掘削深度51 m付 近で大きく褶曲していると考えられており,褶曲軸を境界として二つのユニットに分けられた。下

部ユニットには10 mスケールの上方粗粒化サイクルが確認されている。坂本ほか(2012)は以上

のような岩相・構造を持つコアTS07-01の掘削深度28 m~215.7 mについて,黄鉄鉱の硫黄同位

体比(δ34S)を報告した。分析の結果,コア中の黄鉄鉱の硫黄同位体比(δ34S)は+4.7 ‰~+7.6 ‰

の値を示し,平均+6.4 ‰であった。Shen et al.(2001)のまとめによると,25億年前以降硫化物の

δ34S値のばらつきの幅は大きくなり,19億年前には同位体の変動幅が40 ‰を超えるようになる。

これは硫酸還元菌の存在が普遍化したことを示唆する。一方,掘削コアTS07-01より得られた硫黄

同位体比は変動幅がわずか3 ‰と極めて小さい。このような値は坂本ほか(2010,2011)により

記載された,タービダイトが極めて多く発達するというコアの特徴と関連付けられている頻繁な タービダイトの堆積が硫酸還元の場を閉鎖系として保ち,海水中硫酸イオンは硫酸還元菌により全 て還元された。これにより同位体の変動幅が小さく,当時の海水中硫酸イオンの硫黄同位体比を持 つ黄鉄鉱が晶出した可能性が指摘されている(坂本ほか,2012)。

方法

 本研究で用いるコア試料TS07-01はHudson Bay Mining & Smelting社により2007年にEmbury

Lake(北緯54度49分 9秒,西経101度47分46秒)にて掘削された(Fig. 1)。掘削コアTS07-01 は全長453.78 mで掘削深度は28 m~481.78 mである。1.5 mごとに切られ,3本ずつBOX 1から BOX 109に分けて保管されている。坂本ほか(2010,2011)によりBOX 45までの記載が行われ

ているため,本研究ではそれに引き続きBOX 46からBOX 109までのコアについての詳細な記載

を述べる。記載にあたって,現地での肉眼観察と岩石薄片の偏光・反射顕微鏡観察を行った。

結果

1)コアの特徴

 上下判定の結果,掘削深度288 m,300 m,350 m付近で大きく級化構造が逆転していることが

明らかとなった。地層の層位的上位方向は掘削深度288 m以浅でコア下方,288 m~300 mで上方,

300 m~350 mで下方,それ以深では上方である。また,深度270 m~280 m,290 m~320 m, 340 m~380 mには石英脈が頻繁に見られ,褶曲軸に伴う剪断帯が形成されている。この地層の上 下逆転に伴う地層面の傾斜方向の変化はほとんど見られないため,閉じた褶曲とそれに伴うパラス ティック褶曲が形成されていると考えられる。

2)岩相

 本コアの岩相は,掘削深度470 m付近まで続く砂岩 ‐ 黒色頁岩互層と470 m以深の流紋岩質貫

入岩に大別できる。砂岩 ‐ 黒色頁岩互層は主に中粒 ‐ 細粒砂岩と層理面の発達していない塊状黒

色頁岩,薄く板状に割れる層理面の発達した黒色頁岩からなる。黒色頁岩の厚さは約5 cmの薄い

ものから1 mを超えるものまで様々である。中には中粒砂岩から黒色頁岩まで徐々に変化するター

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度の厚い砂岩層が確認できる。砂岩部には直径1 cm以下の偽礫を含む場合がある。砂岩,黒色頁

岩双方に直径2 mm~5 mm程度の自形の黄鉄鉱が点在する。流紋岩と砂岩 ‐ 黒色頁岩互層の境

界は不明瞭であり,境界付近の互層は強く変形している。

3)層序

 掘削コアTS07-01の215.7 m~481.78 m間の柱状図をFig. 3に示す。本研究ではコア上部を上位

方向とする2カ所(290 m~304 m,354 m~481 m)をそれぞれN2,N3ユニット,コア下部が

上位方向となる2カ所(215 m~290 m,304 m~354 m)をR1,R2ユニットとした。以下にそ

れぞれの概要を述べる。

 R1ユニット:層厚は約75 mであり,砂岩層と黒色頁岩層を合わせて一組とすると329組の砂岩

‐ 黒色頁岩互層を含む。厚さ10 m~20 mにおよぶ砂岩優勢層から黒色頁岩優勢層へと変化する

上方細粒化のサイクルが3度見られる。N2ユニットとの境界付近には塊状の石英脈や網状の石英

脈が見られ,剪断帯が形成されていることが分かる。本ユニットにおける黒色頁岩の占める割合は 28 %である。

 N2ユニット:層厚は約14 mであり,70組の砂岩 ‐ 黒色頁岩互層を含む。ユニット全体を通し

て上方細粒化しており,石英脈もよく見られる。本ユニットにおける黒色頁岩の占める割合は34

%である。

 R2ユニット:層厚は約50 mであり,118組の砂岩 ‐ 黒色頁岩層からなる。掘削深度320 m付近

に厚さ2 m程度の厚い砂岩が含まれる。この砂岩から約30 mにわたって上方細粒化している。N2

ユニットとN3ユニット境界には石英脈が非常に多く見られ,剪断帯が形成されている。340 m付

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近で5 m程度にわたって上下逆転が見られ,小規模なパラスティック褶曲が形成されていることが

分かる。本ユニットにおける黒色頁岩の占める割合は27 %である。

Fig. 3 Lithologic column from Box 46 to Box 109 of the core TS07-01. Depending on younging directions, four units

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 N3ユニット:層厚は約147 mであり,452組の砂岩 ‐ 黒色頁岩層からなる。440 m~460 m区

間は細粒砂と黒色頁岩からなり,中粒砂をほとんど含まない。440 m以浅では下位より約10 m,30 m,

40 mにわたって3度の上方細粒化が見られる。巨視的には,80 mにわたって砂岩優勢層から泥岩

優勢層へと変化している。460 m以深では流紋岩質の貫入岩となる。365 m付近に5 m規模の上下

逆転が見られ,R2ユニットとの境界に形成されている褶曲に伴うパラスティック褶曲であると考

えられる,本ユニットにおける黒色頁岩の占める割合は26 %である。

4)偏光顕微鏡・反射顕微鏡観察

 本コア試料の砂岩部は主に石英や斜長石で構成されており,斜長石の中には一部変質しているも のも存在する。層理面とほぼ平行に劈開が発達しており,石英の周りにプレッシャーシャドーが形 成されている。黒色頁岩は粘土鉱物とシルトサイズの石英からなる。砂岩と同様,劈開が強く発達 しており,石英は変形し,細長く伸びている。反射顕微鏡を用いて黒色頁岩を観察すると黄鉄鉱が

多数確認できる。黄鉄鉱は最大50 μm程度の楕円形の他形をなすものと,100 μm以上の自形をな

すものが確認できた。産状は自形,他形の黄鉄鉱共に散在している(Fig. 4)。

 また,砂岩・黒色頁岩共に主要鉱物の変化がほとんど見られないため,供給源はコアの下部から 上部まで同じような地域だったことが伺える。貫入岩は基本的には石英から構成されている。貫入 岩も変形していることから,この貫入イベントは褶曲作用より古いと考えられる。

5)掘削コアTS07-01 全体の構造および層序

 掘削コアTS07-01の全体の柱状図をFig. 5 に示す。上に述べた観察結果および坂本ほか(2010,

2011)を考慮すると,本掘削コア試料TS07-01は,1)掘削深度350 m付近で閉じた300 mスケー

ルの非対称褶曲をしていること,2)所々に5 m規模の小規模なパラスティック褶曲が形成されて

いること,3)290 m~300 mにかけて10 mスケールのパラスティック褶曲が形成されていること

が分かる。また,R1ユニットは約230 mの連続するユニットであり,下位から15 mの上方粗粒化,

40 m,60 m,100 m規模の上方細粒化構造が確認できる。ユニット内で5 m~10 mの上下逆転が

起きており,単純にこれを抜いて考えると約190 mの連続層序が得られる。

Fig. 4 Thin sections of TS07-01. op, cr and ref indicate open nicol, cross nicol and reflection microscope, and the

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Fig. 5 Lithologic column of the whole core.

(9)

まとめ

1. 掘削コアTS07-01の掘削深度215.7 m~481.78 m区間においては,約250 mの中粒-細粒砂およ

び黒色頁岩のタービダイト性互層と,コア下部に存在する流紋岩質貫入岩により構成される。

2. 掘削コアTS07-01は,300 mスケールの非対称褶曲とそれに伴う5 m~10 mスケールのパラス

ティック褶曲が見られる。また,褶曲による100 mスケールの上下逆転があり,さらにその褶

曲軸付近では5 m~10 mスケールの小規模なパラスティック褶曲が分布する。この上下の反転

をもとにコアをR1,N2,R2,N3ユニットと区分した。

3. 砂岩は主に石英と斜長石によって構成され,黒色頁岩はシルトサイズの石英と粘土鉱物からな

る。

4. R1ユニットは層厚約75 mで,層的上位へ向かって黒色頁岩層の割合が増える上方細粒化サイ

クルを3回繰り返している。N2ユニットは約14 mの小規模な上下逆転ユニットである。黒色

頁岩に乏しく,わずかに上方細粒化している。R2ユニットは層厚約50 mである。全体として

黒色頁岩が優勢である。ユニット中で1回の上方細粒化が認められる。N3ユニットは層厚約

147 mのユニットである。大きく3回の上方細粒化構造と,中粒砂以上の砂岩を含まない黒色 頁岩超優勢層から構成される。

5. 本研究および坂本ほか(2010,2011)の記述より,本研究地域の堆積場では40 m~100 mスケー

ルの3度の上方細粒化を伴った,層厚190 mに達する砂岩 ‐ 黒色頁岩互層を形成するタービダ

イトの流入が存在したことが明らかとなった。

謝辞

 本研究で用いた岩石試料TS07-01はカナダ・Hudson Bay Mining and smelting社に提供して頂い

た。現地調査では,カナダ・マニトバ地質調査所Christian Bohm博士にお世話頂いた。以上の方々 に深く感謝の意を表する。なお,本研究を進めるにあたり,文部科学省科学研究補助金基盤研究 A(海外学術:課題番号26257211),高知大学海洋コア総合研究センター共同利用研究(17A035, 17B035),平成28年度松本達郎奨学資金を使用させて頂いた。

引用文献

Corrigan, D., Pehrsson, S., Wodicka, N. and De Kemp, E. 2009. The Palaeoproterozoic Trans-Hudson Orogen: a

prototype of modern accretionary processes. Geological Society, London, Special Publications, 327, 457-479.

Lucas, S. B., Stern, R. A., Syme, E. C., Reilly, B. A. and Thomas, D. J. 1996. Intraoceanic tectonics and the

development of continental crust: 1.92-1.84 Ga evolution of the Flin Flon Belt, Canada: Geological Society of

America Bulletin, 108, 602-629.

坂本 亮・伊藤 孝・清川 昌一.2010.19億年前の深海底堆積岩の特徴:カナダ・フリンフロン帯における掘削 コアTS07-01の岩石記載-1.茨城大学教育学部紀要(自然科学),59号, 9-20.

(10)

コアTS07-01の岩石記載-2.茨城大学教育学部紀要(自然科学),60号, 35-46.

坂本 亮・伊藤 孝・清川 昌一. 2012. カナダ・フリンフロン帯における掘削コア TS07-01 に見られる黄鉄鉱の硫 黄同位体比.茨城大学教育学部紀要(自然科学),61号, 21-26.

Shen, Y. R., Buick, R. and Canfield, D. E. 2001. Isotopic evidence for microbial sulphate reduction in the early

Archaean era. Nature, 410, 77-81.

Stern, R. A., Syme, E. C., Bailes, A. H. and Lucas, S. B. 1995. Paleoproterozoic (1.90-1.86 Ga) arc volcanism in the

Flin Flon Belt, Trans-Hudson orogen, Canada: Contributions to Mineralogy and Petrology, 119, 117-141.

Syme, E. C. 1990. Stratigraphy and geochemistry of the Lynn Lake and Flin Flon metavolcanic belts, Manitoba, In:

Lewry J. F. and Stauffer M. R. (eds.), The Early Proterozoic Trans-Hudson orogen of North America: Geological

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Plate 1 Photograph of cores of the Box 46 to Box 51 of the TS07-01.

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Fig. 3 Lithologic column from Box 46 to Box 109 of the core TS07-01. Depending on younging directions, four units  are identified, R1, N2, R2, and N3
Fig. 4  Thin sections of TS07-01. op, cr and ref indicate open nicol, cross nicol and reflection microscope, and the  scale bars are 500 µm
Fig. 5 Lithologic column of the whole core.

参照

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