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時間割表・シケプリ置き場 09年入学文ⅠⅡ22組 Neuling fri4 seiji1 l

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全文

(1)

 政治Ⅰ

教官:高橋直樹

試験の日時

7月 24 日 ( 金 )  15:05~

試験の概要

持ち込み不可 

満点は100点(内訳 第一問60点 第二問40点)

第一問は語句説明問題であり計6つの語句の説明が問われる。1個につき10点の配点で計6 0点。第二問は論述問題。形式は不定だが配点40点は固定。

試験の難易度は相当高く、素点で成績をつけようとすると大惨事になるため教官は以下の式を 用いて最終的な点数を出しているらしい。

√x × 10 + A = Y (x:試験の実際の点数 A:ゲタ Y:最終的な評価の 点数)

例えば試験で49点取ったとしたら評価の点数は70点(+ α )になる。しかし不可ラインに 及ばないと素点で出されることもあるようだ。

試験の対策

語句問題は暗記が勝負。第 2 問の論述ははっきり言って対策の立てようがないのでここが得点 源になる。 6 つの語句が出題されるが過去数年に出題された語句が再び出されることはまずな いだろう。実際どういう問題が出されるかということを知るためにも添付しておく過去問には 目を通しておいたほうがいいと思われます。

上クラのシケプリにない範囲

130番台:ゲーム理論、410番台:政治システム論

000 イントロダクション

現代政治学は 1950 年代にアメリカで誕生した。 [politics → political science]

… 政治学的思考法≠政治的思考法

政治的思考とはすべての事象を政治に結びつける思考法である。

この授業の目標は、政治学の基本用語・概念、そして政治学的なものの考え方の習得 をすることである。

001 政治学的思考法とは何か?

…他学問との比較

(2)

(1)経済学的思考

利益(benefit、何かの活動で得られるモノ ) と費用 (cost 、利益を得るために使うモ ノ ) 、及び効率 (efficiency )を基本におき、 1 つのケースの中で「損」と「得」を 検証する。一般に「損」と「得」は互いに相殺可能であるとする。

(2)社会学的思考法

個人と社会との関係を考える。個人は社会の中でさまざまな役割 (role) を演じる… role actor

役割の逸脱…他者からの役割を果たしてほしいという期待を裏切ること。本来の役割 を行わないこと。→制裁を受ける。

同一視 (identification)… 自分がある集団、社会に対して帰属意識を持つこと。

→ズレが生じると闘争 (conflict) が起こる。

(3)政治学的思考法

権力(power)…他者に命令する力→命令に従わないと疎外にあう。

leadership… 集団の中で話し合いをし、反対者を説得する。共通の利益を生むため に行動する。

協働 (cooperation)…共通の目標に向かって、協力して働く。 社会的つながりの上に政治が成立する=個人では政治は生まれない

→人間は政治的動物である(アリストテレス)

「 強 制 」 の パ タ ー ン だ と 「 協 働 の 精 神 」 は 生 ま れ る も の の 「 公 共 性 (public⇔private) 」はない。

「説得」のパターンだと「協働の精神」「公共性」ともに認められる。

公共性の有無とは「強制または説得された一つの目標に向かって他者と互いに協力する かしないか」と考えると良い。

民主主義とは互いの意見が最終的に一致しないことを認めることである。

→自己とは異なる他者の意見に対して承認や妥協をすること(=共存、symbiosis)

権 力

power

Political leadership

強制

説得

協 働 の 発 生☆

(3)

政治学は、直接政治に関わる人 ( 官僚など… ) だけでなく、社会全般に見ることができ る。

010 政治科学 (political science)とは何か?

「現代政治学」と呼称するのは日本だけ。

政治学は哲学と政治学の区別がない古代ギリシャで誕生した。

011 政治哲学

古代から継承される。 ( プラトン、アリストテレス、… )

規範的(normative)が特徴 ( ~であるべきだ、でなければならない )

事実

両者を混同してはならない。

・規範は事実を超えた価値がある→人間は知的な生き物として、規範を基に事実を論じ、 事実を規範へ近付ける、規範を実行する。

・事象は規範・事実双方から議論される。

012 政治イデオロギー

中世末~近代に形成され、現在に至る。 ( ロック、ルソー、… ) 実践的、実際的 (practical) な学問であることを特徴とする。 どうやって現実を変え、理想的にするか。

物事の擁護や批判という形で変革を目指す。

013 政治科学

現代(戦後 1950 ~、アメリカ)で誕生。経験的 (empirical) な学問である。 批判、理想をいちど横に置き、現実を観察し、自然科学的法則を導き出そうとする。

014 注意 

(1) 歴史的な流れは、始まりの時期の前後関係であり、現在 ( 1 ) 、 ( 2 ) が消 滅したり、古くなったわけではない

(2) 3つの分類は理念型 (idealtypus 、独 )

(現実の ) 類型:具体的なものを抽象化し、かつ具体を分類するもの。実際に現実に 示すことが可能

理念型:仮説を立て、表現するために使われる類型。現実に示すことが不可能。

(4)

  Ex, 頭のいい人 両者を混同してはならない。

(3)(1 ) 、 ( 2 ) 、 ( 3 ) は完全に独立しているわけではない。

020 現代政治学=政治科学

021 特徴

1.事実と規範の分離

アリストテレスは事実と規範を分けずに論じた。

現在は規範を留保することで、事実から規範を分離させた。

とりあえず事実を先に考える→価値中立性(=価値自由性)…ある特定の価値観にとら われない姿勢。

2 経験論

現実を観察し、集められた経験に基づくデータ ( 事実 ) の中から帰納的に議論し、結論 を目指す。

あくまで事実に依拠した正しさしか導き出せない。

3. 学際性 (inter disciplinary 、 discipline =学問の専門分野 ) 政治学は学問の壁を越える

そもそも政治学は古くからあり、哲学と一体だったため、科学的 ( 規範を取り除く ) に なりにくかった。

→1950年代に、他の科学的学問分野から様々な概念を取り入れた

→閉鎖性を打開するために他学問を包摂したり逆に包摂されたりする=学際性

022 現代政治学の展開

1.行動論革命 (behavioral revolution 、 1950 年代~ 1960 年代 )

・従来の政治学の対象は制度の問題に偏っていた。

→1950年代になって、人間は独立し,自主的な判断に基づく行動をとるという前提 のもとで、人間の政治に関する行動をよく観察し,観察から帰納的に結論を求めよ うとする考え方がアメリカで発生し、政治学の革新運動が起こる。

・投票行動の研究などで成功を見た a、ラディカル左翼からの批判

行動論主義のとなえる客観的政治学は止めるべき。

∵政治学は、現実の政治を変革できなければ無意味→行動論主義は現実を変えられ ない。

→「無批判政治科学’’apolitical(現実を変えられない ) political( 政治を対象と

(5)

する ) science‘’ 」と批判されることになる。

2.ポスト行動論主義(post-behavioralism、 1970 年代後半~、行動論の上に立ってい るので脱行動論ではない。 )

1970年代に発生。主に二つの流れに分けられる。 a . 保守派

行動論主義は人間が自由意志に基づいて行動することを前提とする。

→しかし、実際、人間の合理的選択 (rational choice) は制度(institution)に阻ま れる。

→このような制度の中で人間は最大限の利益をもたらすような選択をする。

→合理的制度論

・新自由主義 (neo-liberal 、 1990 ~ 2008)⇔new-liberal( 社会民主主義の原点回帰 ) 人間の行動を制約する制度(institution)を取り除くべき。特に市場に対する制度を廃止しよう とする。

・制度 (institution) : 定型化された行動

→長く保たれれば、組織へ発展する可能性もある

→コストなどが削減でき、また、人々のベクトルが統制される。 b.革新派(リベラル左派)

歴史的・社会的に形成された制約(価値観や社会的制度など)によって人々は縛 られている。

→このようなものの中で普遍的な価値実現を阻むものを改良すべきだ。 制度とは歴史的生成物である。→歴史的制度論

両者は、主張は全く違うが、「制度」を重視する点では共通

→「新制度論 (new institution) 」と呼ぶ。

023 注意 

①一つの体系を持った政治学が確立されているわけではない。

②科学が本当に価値自由性 ( 中立性 ) を有するのか、客観的なのか

024 注釈 理論の2類型

1. モデル(model)…複雑な現実を単純化させて示す⇔理想形を示すわけではな い。

(6)

2. 方法論 (methodology)… 複雑な現実を観察し、単純化するための道具や方 法。

100 意思決定の基礎理論

110 利益関心 (interest)

111 概念

(1)基本的な考え方

行為者 (actor)… 人間の行動する部分のみを取り出したもの。合理的利益関心に従っ て意思決定し、行動する。

 

Ir

f

D    D: decision    f : function    Ir :interest

※ 公式を右辺から左辺へ読めば、合理的利益関心があるなら、actorの意思決定が推測で きる。

(2)利益関心とは何か

1.具体的に「得になる」もののこと  ex. 金、心理的・社会的利益…

→本人の得にはならないが、使命感からくるものもある→ 2 . 2.「注意や関心をひきつける」もの (=attractive) のこと

(3)合理的rational 語源:reason(理性 )

哲学的…本能や衝動に左右されず思慮分別に従って行動すること。

科学的…目的に対して、最善手段を選ぶこと。→目的合理性 ※目的の価値は問わな い。

⇔目的合理性を書いた行動は、D f

 

Ir

でははかれない。

112 歴史的源泉

(1)人間の合理性

人間は他の動物と異なり、理性を持つ→近代的な考え方 1.中世キリスト教

神 人間

絶対者であり、間違いを起こさない、完全 神に従う以外の理性は持たない。神の理性

(7)

で最高の理性を持つ存在。 に導かれる。

ex.「主は我が牧者なり」→人間はほとんど理性を持っていないと考えた。

2.近代の人間観

「人間は神より下にあるが、神に頼らないで生きていける存在である。」 John Locke(1632 ~1704)

人間は神ではないため時に過ちを犯すが、その過ちを認めて正せるだけの理性はあ る

→自分のことは自分で決められる人間=自己決定的人間観

(2)利益の考え方

自分のために損得勘定する←ルネサンス期より発展

1. Machiavelli(1469 ~1527)

『君主論』 ( 中央公論社 )

「人間の本質は野心と貪欲である」

「人間は恐れるものよりも、愛情を感じていたものを容赦なく傷つけるものである」

「この理由は、人間は元来邪悪なだからである。自分の利害に関わる状況では、愛情 の縁を切ってしまう。」←恐れていたものには、裏切りによる処刑の恐怖から、自分 の利害を捨て   

      る。

→愛情<利害<処刑=恐怖

2. J.Bentham(1748 ~ 1832) 功利主義 (Utilitarianism)

a) 幸福…快楽があり苦しみがない状態。ここでいう快楽とは哲学的思索や美術品鑑 賞など高尚なものである。

b)

人間は幸福を増大させるように行動を決定する。

→Lockeの人間観+ Bentham の行動論=現代の利益関心

120 影響力 (influence) の理論

【考え方】

1.各Actor に各々の Interest があり ( 一致もするし、一致しないときもある ) 、それ

(8)

を追求する。

2.各々のInterestが一致しない

→ある actor は自分のInterestに従い、他の actor の行動を変えようとする。

Ir If

f

D ,  

  D: decision making Ir : interest    If: influence

121 概念

actor: X(x) 、 A(a)

・ X        A…a を行う

・ X A…x を行う

1.関係…影響力を持つか持たないかを決定する。

→つまり影響力は実体 ( 誰が持っていても影響力があること ) ではなく、関係 の下に成立する。

2. 影響力は全か無かではない

a> x        a = x         a < x if

(1)定義

影響力 (Influence)…X が A の行動や意思決定を変えられる度合い・程度のこと

※意思決定…可視的行動のみならず、不可視の気持ちなどまで含める。

(2)補助概念

1.領域 (domain)… どれだけの数の人間に影響力を行使できるか。 2.範囲 (scope)… どんな点に対して影響力を持つか。

※意図的な取違え…関係のない分野の人を意図的に用い影響力を持たせる。 e.g.) 通販番組の芸能人など…

3.政治資源 (political resource)… 影響力を行使するために使われる手段。 e.g.) 暴力、金銭など…

4.確実性 (reliability)… 影響力が確実に実行されるか。

5.強度(strength)…どれくらい嫌がっていることをやらせることができるか。 Ex. X A  100円貸して ( 弱 ) <100万円貸して ( 強 )

6.費用 cost… 影響力を行使するための犠牲 Ifなし

Ifあ り

if

(9)

122 広義の影響力に含まれるもの

(1)潜在的影響力 (potential influence)⇔顕在的影響力 (manifest influence) 現在は行使していないが行使しようと思えばいつでも行使できる状態の影響力。

e.g.)小泉元首相 (2)権力(power)

権力を持つ actor が、権力を持たない actor に影響力を行使し、後者が従わない場合、 前者が後者の価値 ( 後者の大切なもの ) を剥奪する。→価値剥奪 (deprivation)

※注釈

ここでは、 power∈if である。一方、歴史的、事実的には、 if∈power である。 (3)強制 (coercion)

権力とは異なる。影響力従おうと従うまいと価値剥奪を受ける。 (4)権威 (authority)

影響力を受けた actor が納得してそれに従うこと。納得させるだけの根拠 ( 正統性 (legitimacy) )が必要。

123 歴史的源泉

影響力以前に権力が存在していた。→ ( 伝統的な ) 権力、「力」…ある actor の意思に反 して働く力

(1)支配=服従の事実

・大多数の社会は支配=服従の関係を経ている。

・支配=服従の関係が常に存在し、その発生が必然的か否かは断定できない。

(2)実体的権力観→権力は実体である

中世…物体に運動するエネルギーが内在する。

現在…物体に力を加えることができる。 ( 力学 )

→権力においても同様に、人によって他者に対して加えられる権力が異なってくる。

権力の基礎は何か?

1.実力(=軍事力)… Machiavelli 『君主論』 2.a.血統(王家など伝統的支配)

b.法律(民主主義など合法的支配) → Max Weber   支配の 3 類型 c. charisma(超人的支配者)

3.富(=生産手段の有無)… Marx

(10)

(3)機能的権力観

権力を実体ではなく、 actor と actor との関係で機能するものとして捉える。

※ 実体は当事者間の関係に依らず、一定の影響力を行使する。

機能的権力観+大衆主義 ( 行動論革命によって生まれた。一般人も加味する )

     あらゆるひとがそれなりの権力を持つようになる→ influence の理論が誕 生

→一方、絶対的権力者への批判がなくなる。

124 批判

(1)構造的権力観からの批判

影響力 (influence) を絞っていけば、重要なのは、昔ながらの権力である。

→あらゆる人が影響力 ( 権力 ) を持つのは、均衡理論 (balancing theory) だ。

→社会全体としてバランスがとれているとする

     本当にそうなのか。極一部の elite が支配しているのではないか

権力=関係       機能主義      現実離れ

      実体主義      現実に即す

C.W. ミルズ『パワー・エリート』

社会を支配するのは、①産業界、②官界、③軍部である。

(2)相互作用論(interactionism)からの批判

本当の機能主義ならば、双方向の影響を考えるべきだ。

→権力の概念を引きずっているから一方向なのだ               Action

       A         B          Reaction

130 ゲーム理論 (game theory) 意思決定理論の 1 つ。

(11)

131 起源

(1)直接的起源

1.室内ゲーム(ポーカー、チェスなど)が起源。 2.前提…限定されている

1.複数の競技者 (player = actor) が存在。…意思決定者の抽象概念 2. player 間の利益はおおむね食い違う。

3. player は全て自分の利益を最大にするための合理的選択をする。

(2)思想的起源

1.マキャヴェリとの共通点

特定の状況を前提として、政治を考える。合理的意思決定で状況を変える ( =状況 操作 ) 。

2.合理的人間観

非合理なこと、奇策は行わない。→狭い意味での合理的人間観である。ゲーム理論 における合理性とはゲームに勝つためだけの底の 浅いものである。 e.g.) 「負けるが勝ち」はナシ。

132 考え方

(1)合理的 player が2人以上いる。

(2)playerの利益は無限大に発散しない。利益は、状況に制約され、その制約の中で、利 益を最大にしようとする。

(制約 )

a.他の player の利益 b.条件…ア. player の数

イ.利益が相反であるかないか

c.解き方… player 同士が敵対または協力して、ゲームを解く。

Ir St

f

D ,   

D : decision making Ir: interest St: situation

133 二人一定和ゲーム

(1)ゲーム例 1 Player : A , B

(12)

Aは B に見せずに100円玉を片手に握る。 B はどちらの手に入っているか当てる。

あたり   A         B

      ←利得 (pay of) はずれ  B        A

A…右手 左手 B…右

→strategy に対応する pay of  が判明した。    

→各枠内の利得を足す→全ての和が一定となる

すべての場合の利得が記されている↑のような表を利得行列(pay of matrix)という。 また、このゲームのようにゲームがどのような展開であろうと player 間の利得が一 定のゲームを一定和ゲームという。

利得が常に 0 のときは特別にゼロサム・ゲーム (zero-some game) と称する。

→player全体が happy になることはない。

⇔力を伸ばしている業界の大手がカルテルを結び利益を得る→みんな happy

(2)ゲーム例 2

Player : A -探偵  B -殺人犯 Strategy : A   a1指名手配

a2現場張り込み B  b1対決

b2海外逃亡

   B

A   右   左

  右   +100 -100

  -100 +100   左   -100

+100   +100-100

   B

A   b1   b2   a1    -2

+2    -1+1   a2    -5

+5    0 0 100

戦略 (strategy)

(13)

これはゼロサム・ゲームである。

Bにとっては b-2 が優越戦略 (dominant strategy 、プレイヤーにとって損失の最大 限が最も少ない戦略 ) 。

Aにとっては a-1 が優越戦略。

→ゲームの解として (a , b2)が求まる。解のことを鞍点(saddle point)と呼ぶ。

ミニマックス (mini-max) 理論、 max-mini strategy

→失うものを最大限に少なく(戦略実行時の「最大」の被害が「最小」であるよう に)する

134 二人非一定和ゲーム

(1)ゲーム例 3 Player A , B

互いに車を正面からぶつけ合う。

Strategy  双方ともよけない (a1, b1)、よける (a2, b2)の二つの選択肢が与え られている

   

※弱 虫 ゲ ー ム (chiken game)… 引 い た ほ う が 負 け → 合 理 的 に い く と 、 解 は (a2, b2)

→個人的合理性と、集団的合理性が一致する ( ゲーム例4と比較せよ ) 解は存在するかもしれないが鞍点はない。

(2)ゲーム例 4   ( 囚人のジレンマ prisoner’s dilemma) Player   A , B

先に自白(司法取引)すれば罪は軽くなる。双方黙秘すれば証拠不十分で不起訴。    B

A   b1   b2   a1    -10

-10    -5+5   a2    +5

-5    -1-1

(14)

Strategy  黙秘 (a1, b1)、白状 (a2, b2)

  

(解き方 )

1 . mini-max戦略→ (a2,b2)

個人的合理性で解く→非協力(uncooperational)

2 集団的合理性で解く→ (a1,b1) → 協力 (cooperational)

→ゲーム理論は個人だけでなく集団の合理性をも追求する

→個人的合理性か集団的合理性のどちらを取るのか

→囚人のディレンマ (prisoner’s dilemma)

135 N人非一定和ゲーム

N≧3で一般化。一定和ゲームは非一定和ゲームの特殊なパターン。

(1)ゲーム例 5

Player   A , B , C

3人の委員からなる委員会。3人は平等であり、多数決で採決。

Strategy   h :提出された法案を採決  s :修正法案を採決 g:現状維持    BA   b1   b2

  a1    +10

+10    +15-5   a2    -5

+15    00

 Strategy

Player h S g

A 10 4 0

B 0 8 6

C 5 0 9

(15)

標準形→一人では何もできない→非協力ゲームでは解が得られないので協力ゲームと して解く。

多数決なので、 2 人が協力すればいい→連合 (coalition 、 player 間の協力関係 ) ここで、連合 coalition ( player 間の協力関係)を考えると、

1A B C  ←何も決まらないから考えない 2.AB C

3.BC A     最小勝利連合(minimum winning ~ ) 、取り分最大→これだ け考える

4.CA B

5. ABC      ← 不 必 要 に 連 合 の 人 数 が 多 い → 過 大 規 模 連 合 (over-sized coalition)

① 特性関数( characteristic function 、その連合の力だけで獲得できる利得の量を 表す関数)

ゲーム例5で

B

A, …Aと B の連合が成立

A B

P , …Aと B の連合が成立するときの pay of

,

4812

A B

P   ←この連合は取られない

特性関数形   P

B,C

6915       block し合う

,

51015

C A

P     … core なし

② コア (core)

N人ゲームにおける解 ( ない場合もある ) ゲーム例 6

,

11,

,

10,

,

15

A B P B C P C A P

               

(coreの定義 )   Strategy

Player h s g

A 10 4 5

B 0 5 6

C 5 3 4

コ ア

block… じ ゃ ま を する

(16)

N人ゲームにおいて

①ある strategy 、またはいくつかの strategy の組み合わせによって得られる

②他のどんな連合によっても、 block されない 以上、①、②を満たす pay of  の組合せとする。

136批判

(1)利得の数量化

ゲーム理論の成立→ゲームの記述→利得の数量化が必要 政治的利得は数量化可能か疑問

(利得が数量化されるための条件 )

①価値の一元化が必要→困難

②( 一元化された上で ) 測定可能→困難

(2)認知と通信

1.認知 (cognition) … モノを自分で感覚し、意味を理解する。 ( モノを感覚する= 知覚 (perception))   ( ゲーム理論での認知 )

①自分の置かれた状況 ( ゲームの人数など )

②自分に与えられた strategy は何か      自分の使える手段の集合=レパ ートリー

③strategy に対応する pay of

→①、②、③はほとんど不確定

2.通信 (communication)

協力…100%の communication  ⇔ 非協力…100%の discommunication

→現実は協力、非協力の間を揺れ動いているのではないか。

→100%の communication 、discommunicatonはほとんど存在しない。

(3)合理性(rationality)

人間はいつも合理的に行動するのか、人間は利得の値だけを基準に行動するものだろ うか

→合理性を超えたものも考慮されなければならない

[参考書 ] 菅野・島津『戦略的思考とは何か?エール大学式ゲーム理論の発想』 (TBS ブリ タニカ、1991)

(17)

200 政治的人間の理論

201 人間の考え方の展開

(1)~18c

1.キリスト教の人間観 人間は神の似姿

神は絶対的理性を持つ⇔人間は神の理性に頼らなければならないが、他の動物より は神に近い

2.ロックの人間観

人間は神の理性に頼るが、理性を持っている

共に 112(1) を参照のこと。両者とも神>人間≫動物というスタンス。

(2)19C  C.Darwin

「 種 の 起 源 (The Origin of Spieces) 」 ( 1859 ) を 著 し 、 進 化 論 (evolutionalism) を提唱。

人間も動物の1つであるとした ( 人間と動物の接点が生まれた ) 。

→しかし、人間は進化の頂点にあり、他の動物より精神的に発達し、理性がある。

(神)≫人間>動物

(3)S.Freud  20C初頭

人間の心の奥底は、非合理性で支配されている。

→人間の行動は本能や無意識に支配されており、動物と変わらない。 同時に、神の存在を完全否定。

神    人間≒動物

202 フロイトの人間観 (1)心の構造…3つに分割

1.Id イド

最も奥底にある。名前の付けようがないからId。 人間が生まれつき持っているもの。

衝動・欲動 (drive、心の奥底にあり、人を動かす )   これらにより 本能 (impulse 、心の奥底で脈打つもの )         動かされる

超自我

自我

Id

深 心の中

※ 底は無い

(18)

     欲求の充足を求めて、人間の心を動かし、脈打つ。 欲求:基本衝動    a. eros… 最重要。生、性、自己保存

←libido…erosを動かす

b.死の本能 (death instinct)… 死、破壊

←thanatos… 死の本能を動かす eros のベクトル      死の本能のベクトル

せめぎあい 2.Self/ego 自我

Idの中で外界と接触する部分が発達したもの。

Idから出てきた様々な衝動・欲求をコントロールし、外界に働きかける。 自我は外界との接触により、芽生え、次第に成長する。

〈機能〉

a . 意識的機能…知覚、記憶、学習など b . 無意識的機能

Idからの衝動      相反する命令を調整         超自我からの命令   自我をひどく傷つける       自我防衛

※言い訳は当らない。無意 識的なものである。

3 superego 超自我

社会の倫理的基準や道徳が内面化されたもの。e.g.人を殺してはいけない 自我の中で社会規範が心の中に取り入れられたもの。

〈働き〉

a.批判的機能…自我を批判する。e.g.良心の呵責、罪悪感

b.自我理想、理想我 (ideal ego)… 自我理想を設定し、Idの衝動から自我を守 る。

→a, b ともに命令というかたちで、自我に働きかける。

命令がきかれないと→無意識的に自我が傷つかないようにする 。 ( 防衛機構 )

(2)心の働き

意識の部分 (conscious) 無意識の部分(unconscious)

意 識

無意識

共存

(19)

( 知 覚 、 思 考 )

      

自 我       超 自 我 イド

      こちら側をフロイトは考え た。

(3)その他の概念 1.外傷 (trauma)

心に大きな傷を与えた経験。→一人では処理できないので、抑圧され、無意識の世 界へ押し込まれる。

2.防衛機構(defense mechanism)

自我からの衝動が抑えられたり、超自我の命令に従わないと自我が傷つく→自我が 傷つかないように する。

a. 抑圧(repression)…感情を抑えつける。

b. 置き換え (displacement)… 抑圧された感情を別の対象に向ける。

c. 反動形成 (reaction formation)… ある衝動を 自我が認められる正反対のものに代える。 d. 隔離(isolation)…ある出来事、事実から感情を引き離す。

e. 同一視 (identification)… ある対象と自分を同一視する。

f. 合理化(rationalization)…自分の行動にもっともらし い理由を付けて、正当化すること。

e.g.)sour grape theory… おいしそうだけど手の届かないブドウ→「あのブド ウは、すっぱいん だ!」

210 政治人 (political man) の理論… H.D.Lasswell H.D. ラスウェル『権力と人間』 ( 東京創元社、原著1948) (1)H.D.Lasswellについて

アメリカの行動論的政治学創始者の一人。非合理的人間観を政治学に持ち込んだ

⇔ロック、合理的人間観 (2)政治人の理論と人間行動

人間の行動は本能に支配され、非合理的である。⇔interestとは正反対

 

O f

B     B :behavior(普段の行動を含む、日常行動を考える )

O: Organism( 生活体、行動主体を全て含む概念、人間 (∈ 動物 ) の みならず動植物をも含む。 )

→本能によってある人の行動が決まる ( 政治人も例外ではない ) 。

(20)

211 政治人 (political man) の背景=社会観 Lasswell の社会観

1.定義

社会において人は

資源 (resource) に基づき→制度(institution)を通じて→価値 (value) を追求する

2.説明

資源…価値を追求するための手段全般のこと。これがないと価値が得られない。 制度…定式化された行動。価値を得るために行えばよい一定の行動。 e.g.) 大学入試

→決まりきったことをやれば、価値が手に入る。 価値…望ましいもの。制度の中に分配されている。

制度 価値

ビジネス

職人仕事 技能

病院 健康

家庭 愛情

政治 権力(power)

212 政治人の定義

何事よりも権力を重要視する人間がいる。 (1)概念

いずれの価値よりも、権力という価値を優先する。

←個人の趣味ではなく、生まれや育ち、つまり organism によりでてくる。 政治…制度及び機能

政治人…政治に関わる人 e.g.) 制度→政治家,官僚、機能→部活の部長 (2)定義

  

d r p

P     P…political man 、}…変換記号

p…private motive(個人的動機。幼少期の家庭環境により、無意識的 に生み出される動機。特に、男子の父親への憎悪

→ oe[=e]dipus complex)

※complex… 複雑な感情の複合体

※エレクトラ・コンプレックス (女子)…1948年では、女性政治家は 少なかったので、フロイトは考慮しな かった。

(21)

d…displacement(無意識の内の置き換え。 p をpublic object(公の目 標 ) へ置換する。 )

r…rationalization(合理化。 p を r で変換し、 public interest が掲げ られる。 )

公式は p を d で変換し、 r を付け加えたという意味。

213 政治人の類型学…アメリカの裁判官をデータの対象として調査 (1)性格型と政治タイプ

性格型 政治タイプ

強迫型  compulsive 官僚 administrator 劇化型 dramatizing 扇動家 agitator

冷徹型  detached 外交官  diplomat 仲裁官  conciliator

(2)説明

家庭環境+日常行動=性格型=政治タイプ

〈強迫型〉

家庭環境 日常行動

家庭に恵まれ、経済的に豊か、社会的地位も 高い。父親は厳格、母親は気取り、体面を気 にし、堅苦しい。愛情、温かさの少ない家庭。 男兄弟 2 人以上→張り合う

人間関係、物事をパターン化して処理する。 細かいことを気にし、融通がきかない。自分 の権限が侵されることを嫌う。

〈劇化型〉

家庭環境 日常行動

家庭は緊張感に満ちている。母親は中流階級 で、自分の欲する階級や性格でない夫と結婚

→落ちぶれた夫の社会的地位への不満→教育 熱心に→愛情不足→夫の DV 。子供は親の様 子をうかがう。

雰囲気を読むことに長けている。他人の感情 を読む。自己顕示欲が強い。大雑把だが視野 が広く、新しいもの好きで、多様性を好む。

〈冷徹型〉

得られた資料が少ないので、 Lasswell 自身も自信はない。 感情を表に出さない→冷酷になりやすい

激動の時代を生き延びた人が類する。

(22)

214 批判

(1)歴史的制約

どんな価値よりも権力を優先する人→権力追及者 (power seeker)

1948年までの 20 年間は power seeker の宝庫⇔現在は power seeker が出にくく なっている。

(先進国のみ )→ 政治やデモクラシーの変化

〈現代〉

人々の共感を得て、権力を獲得するリーダーの方が説得力がある→リーダーシップ論 (2)エリート主義

権力を握れる人を対象にする理論→エリート主義← 20 世紀後半の大衆社会に馴染ま ない。

(3)フロイト的人間観

本当に全ての政治家に当てはまる理論なのか→全てが説明されるわけではない [参考書 ] 河田・荒木 (編 ) 『ハンドブック政治心理学』 ( 北樹出版、2003)

300 政治集団の理論

301 集団とは何か?-社会学的定義 現代アメリカ社会学における集団の定義

1.共通の目標・関心

2.地位(status)と役割 (role) の分化。それに対応する規範 (norm)

個人は集団の中で役割を持っていて、この役割によって地位が決定する。集団の中に は地位と役割に応じた規範があり、役割から逸脱すると処罰 (assumption) が行われ る。

3.We consciousness われわれ意識

302 集団の考え方の歴史 (1)ギリシャ・ローマ時代

1.社会と個人の理論 集団の理論はなかった

社会の理論…ポリスの生活をどうよりよくするか。共和政(respublica)についての 理論。

個人の理論…個人としてどう振舞うか、どうあるべきか。

自由な市民が集まって共和国をつくる→市民は平等、市民以外は存在しないとみな される。→ 2 .

(23)

2.奴隷、外国人、異教徒

(2)中世

1.集団に関する理論はない a. キリスト教の世界観

神の国(civitas dei)…キリスト教に特徴的な共同体の新しい理念。 civitas… 共和国、平等な人々の集まった共同体、 dei… ゼウス、神

→「個人 ( 教徒としての行動原理 ) 」も「全体 ( 社会 ) 」もあるが、集団はない。 神の国はアガペーにより人間が神と結びつき成立する。平等主義的。

b. 封建制

      すぐ上の人

       忠誠         このユニットが永遠に繰り返 される社会

保護

      すぐ下の人  

→国王     領  

主  

→騎士  

→農奴

集団としての認識は、身分制を有するがない。

→身分制が、有機体的社会観で説明された。

植物のように、花 ( 国王 ) 、茎 ( 騎士 ) 、根 ( 農奴 ) は相互に依存し、全体で一 つ。また、役柄の転換は不可能。

個人には身分に応じた行動原理があった。 2.都市…地域集団

ギルドという同業者集団が発達。

神への愛 神 アガペー

神の国

(24)

→しかし、これらは封建制とは別種で、理論化されていない。

(3)近代前半

中世末期から「集団」の形成

ギルド:独立して仕事ができ、弟子の育成も可能 都市:自治権を持つ

しかし、「集団」の上の「全体」も強くなっていった。 1.絶対主義国家(absolute state)

権力を持った者は何をやっても正しい。

国全体 ( 領土、国民 ) が国王の家、持ち物→家産国家、家産国家制 一人一人の権利が小さくなる⇔封建制では双務的契約で権利はある。 臣民 (subject)… 国に住む人。国王に従属

←現実の国家が強ければ、それに応じ、反発も強くなる。

2.国家宗教、正統と異端の問題

国と宗教の結びつき→正統と異端の問題

→少数派の権利擁護を異端が要求→近代自然法で実現。

→自然法の中で、史上初の「集団の理論」が考えられた。

3.アルトジウス Johanes Althusius(1557 ~ 1638 、フランドル、現オランダ ) の 政治理論

絶対主義に対抗するための集団の理論を考えた。 a.[ 社会の考え方 ] 社会契約説

社会は契約によって成り立っている。 ホッブス→契約するのは個人

アルトジウス→契約するのは家族という集団

→次に、家族が集まり、任意集団 ( 村など ) を形成

→さらに、任意集団が集まり、地域共同体を形成

→地域共同体が集まる

→civitas

・あえて‘‘ civitas‘’を使っている。

・国家よりも家族が重要であると考えている。下級社会が上級社会をつくってい る。

→家族が国家をつくっている。 b.[ 国家の考え方 ]

(25)

多元的国家論 (pluralism)

実は国家というのも、一つの集団に過ぎない。

4.多元的国家論 ※アルトジウスのそれではない a. 意味

理論の上で、国家の権力を特別な位置から引き下ろした⇔現実の国家の権力は絶大。 b. 比較

①伝統的国家論 ( 一元的国家論 )       →国家 国家という集団は

・ 加 入 、 脱 退 の 自 由 は な い

→他の集団

・特別な強制力がある

・永久的である

という点で他の集団とは異なる。

②多元的国家論

国家は様々な任意集団 (voluntary association 、メンバーが自主的に参加する 集団 ) と並立している存在にすぎない。

→これは擬制(fiction)であって、現実ではない。むしろ、現実が逆だからこそ、 国民の権利を守るために、自然法として主張する。

ただし、他の集団間の紛争を調整する役割を持つ→相対的に優越する。

近代国家…情報力、経済力、軍事力などで圧倒的力を持つ

→多元的国家論の再発見 (19C 末~ )

(4)近代後半

家 任

意 集 団

(26)

集団が絶対主義国家に抑圧される。→近代国家への対抗が一つの目的となる。

・ Thomas Hobbes(1588 ~ 1679) , John Locke , Jean-Jacques Rousseau(1712~ 78)

契約するのは個人。平等な個人が国家をつくる

→個人と国家の中間にある集団の理論はなくなる。

(5)どうして集団が政治理論で大々的に取り上げられなかったのか 1.エリート主義的政治観

政治というものは偉い人がやるもので、多くの庶民は関わることができない

→政治は社会レヴェルの問題

→少数の偉い人と社会の関わり  e.g.) マキャヴェリ 2.平等主義的政治観

個人は平等に政治を動かす力を持ち、個人が正しい行動をとれば、正しい政治が行わ れる

→近代個人主義→集団の否定  e.g.) ロック、ルソー

303 マルクス主義による階級 (class) の理論 (402 参照 ) マルクス…社会の集団 ( =階級 ) に着目

(1)階級分裂

現代社会は支配階級 ( 資本家 ) と被支配階級 ( 労働者 ) からなる。 支配階級…生産手段を持つ人。

被支配階級…労働以外に売るもののない人。 (2)階級利害 (class interest)

・支配階級と被支配階級の利害は対立する。

・ある階級に所属する人々に共通する状況 (共通の利害ではない ) がある。

→要求・利害は似てくるはずだ。→それらを集めたものが階級利害

※意識されているわけではない。 (3)階級意識(class consciousness)

・階級意識=同じ階級に属するという連帯感、他の階級への対立意識、歴史的使命感

・階級利害を理性的に認識する (学習する ) 。

→階級意識が成立

Ir Cs

f

G ,     G:group, Ir :interest, Cs : consciousness

→集団、階級は階級利害を理性的に認識し、その結果階級意識が生まれ、成立する意。

310 集団的選択 (collective choice) の理論― K.J.Arrow と M.Olson われわれ意識は考えていない。

(27)

一人一人が最大限わがままで、バラバラな個人 ( 合理的個人 ) を想定。 collectivity…バラバラな個人 ( 合理的個人 ) の寄せ集め ( =∑ )

311 歴史的源泉

1.ロックに代表される近代の人間観

過ちを正すだけの理性を持っている自己決定的人間→合理的人間観 2. J.Bentham… 近代功利主義

①幸福…快楽があり、苦しみがない。

②人間行動…幸福の増大を目的とする行動。

③社会観…最大多数の最大幸福 (greatest happiness of the greatest number)

→社会の幸福  ※全員共通の幸福、超越的な幸福は考えない

・一人一人の幸福を最大にできる社会がいい← collective(∑) の思想

・もし個人を超えたところに幸福があるなら、全体主義の考えに陥る

⇔人に害を与えない範囲での幸福追求

・∑の思想=自由主義 (Liberalism) 3. J.S.Mill(1806 ~ 73 、ヴィクトリア朝 )

多数決の原理

①人間の意志は個人の利益関心により決まる

人間の意志←個人的利益 ( 少数ながら全体の利益 )

②利己心に従う決定をしても、一致することはない。

③全体の利益を考える少数は、一致している。→多数決で勝算あり?

④全ての人が議論 ( 討議 ) に参加し、正しい決定は何かを教育(propaganda)されるな らば、「個人の利益を寛容する」自由な社会でも、全体の利益を考える人が多数とな る。

←多数決デモクラシーの根本原理

→熟慮民主主義、討議デモクラシー (deliberative democracy) がつくられる。

・合理的な個人たちの決定が、討議なしで、合理的となりうるか→ Liberalism は成 立しない。

312 基本的な考え方

個人の総和 (collectivity) としての集団 (≠301 で定義された集団 )

 

f Id Id

G    G: group,Id :individual,∑:総和

313K.J.Arrow-一般不可能性定理 (general impossibility theorem) ケネス.J.アロー『社会的選択と個人的評価』 ( 日本経済新聞社、1977) 佐伯胖『きめ方の論理』 ( 東大出版会 )

(28)

(1)前提

・いくつかの選択肢が存在する。

・選択肢 (alternative) の内から任意の 2 つを取り出す。

・選択肢 x , y を取り出したとき y

x    選好   (yより x を好む ) x

y     preference   (xより y を好む )

x~y    indiference( 無関心、どちらでもいい ) で、 x,y を比較する。

投票者 (voter) : A 、 B 、 C 選択肢 (alternative) : x 、 y 、 z

Axyz

B:xzy    ① C:yzx

(2)アロー以前の理論 1. Condorcet

2つずつ取り出して比較→好きな人間の多いほうを選ぶ。

①の場合

xと y を取り出す→ x 、 x と z を取り出す→ x 、 y と z を取り出す→ y

∴集団の選好はxyz

〈特徴〉

順番しか問題にしていない。 2.Borda

選好の順位→点数を与える。

1位→ 7 点、 2 位→ 4 点、 3 位→ 1 点 x→15点、 y→12 点、z→9点

集団の選好はxyz

〈特徴〉

選好の度合いまで考慮に入れる。→選好の強度は考慮していない。 3.持ち点式

各 voter は 10 点ずつ持つ A:x6 y3 z1

B:

x

5

z

3

y

2

C:y9 z1 x0

(29)

x→11点、 y→14 点、z→5点

∴集団の選好はyxz

※持ち点を一つの選択肢に集中させると、方式自体の効果が薄れる。 (3) アローの 6 条件

1.連結律 (connectivity)

選択肢 x , y があれば  y x

x y

y x

  のどれかが言える

つまり、どんな2つの選択肢も比較可能である。

2.推移律(transitivity)

選択肢 x , y , z において、ある voter が xyzy   ならば 

x  z

 が成立 する。

循環順序を発生させない (← 非合理性の現れ )→ 個人的合理性 3.領域無制約性(unlimited domain)

個人は全ての選択肢に対して、どのような選考を示してもよい

→個人の自由を保障する→ Liberalism の条件

4.パレート最適 (Pareto optium)→democracy の条件 ( 多数決 ) パレート…イタリア人の社会学者

集団の選択はメンバー個人の選択を最大限尊重すべきである。 e.g.) 

x y

y x

 人  

人   1

9   集団はx y

y x

y x 人   

~ 人   1

9   集団はx y  ←多数決では

x y

となるのでこの

点で異なる。

5.無関係対象からの独立性(independence of infeasible alternative)→分析的理性の条件 無関係対象を選択肢から除き、選択肢を限定した後でも、選択肢間の順位は変化し ない。

e.g.)選択肢: x , y , p , q q

y p

x         x y

多くの選択肢を一遍に考えることは難しい。

→限定して考える。順序は変わらない。←推移律とは対照的。 6.非独立性 (non-dictatorship)→democracy の条件

どのような個人の選択順序も、他の人々の選択順序より優先されてはならない。 p, q( 無関係対象 ) を

除く

(30)

(4)一般不可能性定理

アローは (3) の 1 ~ 6 の条件を同時に満足することはできないと、数学的に証明した。

[反証 ]

Voter: A 、 B 、 C     alternative : x , y , z A…xyz    B…yzx    C…zxy

Voter’s paradox…1, 2 , 3 , 5 は満足する→ 4 , 6 は満足しない。 もし、集団の選択をxyz とすると、 B,C の選択が反映されなくなる。 第一順位を

xにする→ B,C が反論、 y にする→ C,A が反論、 z にする→ A,B が反論

→誰もが満足いく集団の選択は生まれてこない。

(5)実例

1955年アメリカ上院 ( 公民権法成立前 ) [議員構成 ]

・多数:民主党…南部派 (支持基盤は南部大規模農場主、保守的 )→L.Johnson 北部派 ( 支持基盤は移民、都市労働者、進歩的 )

・少数:共和党 (支持基盤は大資本家 )

→南部派:北部派:共和党= 1:1 : 1

[政策 ] 国道建設法案

D=B(デービス=ベーコン ) 挿入句…国道建設の労働者賃金を連邦政府が一律に決定 する。 ( 進歩的 )

・南部の賃金相場より高い賃金を払うことで、南部の生活状況を改善する。

・南部の農場主にとっては、賃金上昇、労働者数減少がネック。

[議決 ]

G:原案 (D = B あり )   S:修正案 (D=B なし )   H:廃案

北部:GSH   南部:SHG   共和:HGS  ← Voter’s paradox

[L.Johnson の議会運営 ]

1.Gにする  or   S/H  の審議→ G×

2. S or H  → H×        Voter’s paradox の解消

(31)

3. S

→経路依存性 (path-dependency)… 決定手続きの順序で、決定が変わってくる。

※この言葉は他の場面で様々な使われ方をする。例えば、歴史に現在の制度が依存 していることを示したりする ( 物事の結果が時間の流れによって決ってしまうこ と ) 。

選択肢が 2 つ以下ならば、Voter’s paradoxは起こらない。

→選択肢を 2 つに絞るまでが大変。

314 集合財 (collective goods) の理論― M.Olson

(1) 集合財(collective goods)の理論

M.オルソン『集合行為論』 ( ミネルヴァ書房 ) 財=個人がほしがるもの ( 個人により異なる )

財  ・集合財…個人が財を消費しても、他の個人の財の消費を妨げないような財。

・共通財 (common goods)

・公共財 (public goods)

 ・個人財…個人が消費すると、他の個人が消費できないような財。

オルソン…集合財と個人の選択には特徴がある。

(2)集合財と個人の選択

条件:①大規模な集団       個人は集合財を

②個人は合理的選択をする      選択しない。

1.大規模集団での個人の犠牲

個人が財獲得のために犠牲 ( コスト、 cost) を払う→効果なし、財は手に入らない。

∵①他の個人の選択がわからない。

②他の個人の犠牲 ( コスト ) によって、自分は犠牲なしで財を入手可能。

2.大規模集団の中で個人の行動は目立たない←コストを払っても、払わなくても目 立たない

3.個人は合理的であるから、誰も犠牲を払わない

→結局、集合財は手に入らない

(32)

(3)解決策

1.dictatorship

独裁者が自分の選択を集団に押し付ける。しかし、集団財が選ばれるとは限らない。

2. political entrepreneur( 政治的企業家、企 ( 起 ) 業家→資本と技術を結ぶ ) leadership を発揮して、自分が犠牲を払い、周りに犠牲を払うよう説得する。

315 特徴と批判

1.精密な理論を展開している (formal theory) 数式を使った論議

⇔精密であるがゆえに形式的で現実離れしたものとなった。

アローの議論は極稀にしか発生しないvoter’s paradoxに特化している。 2.合理的人間観を貫いている ( ただし、 (3) 解決策以前まで )

自分のinterestが最優先。非常に単純なものの見方であり、浅い人間観である。そこ まで、人間は合理的ではないんじゃない?

3.個別 ( 個人 ) 主義 (individualism)

a.個人を最大限の尊重している。自由主義の根幹をなしている点はよい。 b.個立 ( 孤立 ) 主義になっている点、討議を捨てている点は、いただけない。

400 政治社会の理論

401 政治社会の考え方の歴史

(1)ギリシャ・ローマ時代

ギリシャ…理想的なポリスとは? ローマ…理想的な共和国とは?

(2)中世→ civitas dei と封建社会の並存

(3)近代

1.絶対主義のための政治イデオロギー Jean Bodin

絶対主義:国王が絶対的に偉く、国土、領民は国王の所有物

⇔封建遺制:各地域の領主国家が争いながらなる社会。←これを打ち破るために絶 対主義が形成される。     同じ制度、同じ裁判、移動の自由などが保障される

(33)

2.近代政治イデオロギー

個人は自由かつ平等で、合理的=市民 市民を材料にどういった政治を行うのか

e.g.)   材料 + 調理法 = 料理 市民 + 制度 =よい政治

e.g.) ロック=代議制 ⇔ ルソー=一般意思

402 マルクス主義による政治社会の理論 (303 参照 ) (1)階級社会 (class society)

「古代以来、全ての社会は階級社会である。」 一つの社会に、複数の階級がある。

(2)階級闘争 (class conflict)

「人間の歴史は階級闘争の歴史である。」

支配階級の持っている特権を、被支配階級が奪い返す。 (3)国家は暴力操 ( 装 ) 置である

階級社会における国家機構は支配階級の特権を守ろうとする暴力操 ( 装 ) 置である。 (4)階級闘争論における政治社会

P Cf

f

Sc ,       Sc : Society     P : power( 権 力 )     Cf : conflict( 闘争 )

→社会は不断の権力闘争により成り立つ。

410 政治システム論― D.Easton (1)源泉

1940年代からシステム論が登場。

T.パーソンズ→社会システム論、 AGIL 図式

      借用        D.Easton→ 政治システム論

(2)政治社会は行動の相互作用により成立

B

1

, B

2

f

Sc 

   B : behavior

一つ一つの行動 (≠ 人間 ) により成立する。

411 システム的思考法

公文後平『社会システム論』 (1978)

ここに論争が集約され る

(34)

社会システム論とは何か?

(1)科学一般に応用できる「方法論」

システム…主体か客体かを認識するための「形式」である。

(2)考え方の特徴

1.機械時代の考え方

a.還元主義…ある問題は原子 (atom) で構成されている。

→構成する原子に分けて考える。

b.分析的思考…ものを構成部分に分けて考えていく。問題の全体が限定されてい るため、細分化すれば必ず唯一絶対の正解を見つけ出すことができ ると考える。

c.機械論 ( =還元的因果論 )→ 単純な因果律で社会を考える。

C( 原因 )→R( 結果 ) :全ての物事を原因・結果の組み合わせて捉える。

〈特徴〉

①物事を一定の条件 ( 人間が作り出せる ) における因果関係と考え、法則性を追求 する。

②全ては「法則」に従って動く。

③「目的」=主体が与えるもの=

④個人にとって自分以外の全ての事物=目的を達成するための「機械」にするもの 2.システム時代の考え方

a.拡張主義…ある問題は他の大きな全体の一部であり、 外部と関わっている。

システム…認識のために客体から切り取ったもの。

環境…システムの外部にあり、システムと関係のあるもの。

b.構成的思考…ある問題をより大きな問題の一部として考えること。部分的な改 善策ではなく、全体がうまくいくような解決策を目指す。認識の仕 方によって問題の全体像が異なってしまうため唯一絶対の解は存在 しない。

c.目的論

ものごとを産出関係 (production) として捉える。

→世界は複雑な産出関係のネットワークによって成り立つ。

Producer(生産者 )         product( 生産 様々な形で認識でき

e.g.)社会学→心理学→ 行動学→生物学→化学→ 物理学→素粒子

e.g.)記号・象徴→言 語

→ 通信→情報

(35)

物 )

co-producer(共同生産者 )       by-product(副産物 ) ある生産物を得るために様々な生産者がある。また、生産物を得ようとすると、 様々な副産物も得られる。

412 システムの定義

(1)定義 1( ベルンタランフィの定義 )

相互作用する諸要素 (interacting elements) から成る複合体   e.g.) 国際政治 (2)定義 2(D.Easton の定義 )

ひとつまたは複数の入力 (input) を受け入れて、ひとつまたは複数の出力 (output) を生み出す装置    e.g.) 国内政治

413D.イーストンの政治システム論

D.イーストン『政治生活の体系的分析(systematic analysis of political life)』         ( 早稲 田大学出版局 )

←システムは行動の集まりである。 (1)システム分析の基本的前提

1.行動 (behavior) のシステムと考える=システムは行動から成る。 2.システムには必ず環境があり、認識するとき区別でき、相互に影響する。 3.システムに対して入力があると、システムは必ず反応 (response) する

→反応システム (response system) S (system)

4. Feed back… 出力が環境に影響→環境が入力に影響

   E(environment)       S E

       feed back

(2)単純化モデル (simplified model)

   要求 (demands)   output          input

     支持 (support)       決定と行動 (decision and action)

E

input output=response

input outpu t

the Political system

(36)

安定:

ただし良い場合も悪い場合もあ る。

消滅:

システムは消滅し、新たなシステムが生まれ る。

持続:

Sがかかる→ C が上昇→ S 低下→新たな S がかかる→…       システムの内部対応のこ と

E

        feed back

決定と行動の結果がどうなったかということが情報として the Political system に  input  される。

(3)重圧と持続

(前提 ) システムの特徴…システムの外側からの障害に対して、ある程度システムを 防衛できる。

1.システム対する重圧 (stress)

重圧…外側からシステムの障害となるものやこと a.戦争・革命

戦争に負けたり、革命が成功したりしなくても ( 戦争と革命が起こるだけで ) 、 システムにとって重圧となる。

b.環境の変化

e.g.)  鎖国       開国・明治維新

c.要求

〈重圧となるための条件〉

①実現するだけの能力や意思が欠如している。

②入力の過負荷 (overload)… そもそも実現不可能な要求がなされること。

※何をもって overload とするのか、誰が overload と判断するのかは曖昧 2.消滅 (disappearance) 、安定(stability)、持続 (persistence)

      S(stress)

        S > C          S≒C

        S < C

 

C(capability)

外 国 か ら の 圧 力 (stress)

(37)

414 特徴と批判

(1)システム論は一種の均衡理論 (balancing theory) である。 S≒C :内部改革をしているのではっきりと分かる。

S> C :どれくらい S > C なのかはわからない ∵分かる前に消滅してまう

S< C :本当に S < C なのか? S を封じ込めて、 C を高く見せている可能性がある。

→結果論的 ( うまくいってるじゃん !!)

→機能主義 (functionalism 、均衡理論を特徴とする )

うまくい機能していることにのみ注目する ( うまくいっているなら、現状を肯 定する ) 。Dysfunctionは無視する。

(2)システムの消滅を説明できるのか ( 前述のとおり )

システム論はシステムの消滅を、 S > C のみで処理する←どこに、どれだけの S がか かった?

(3)誇大理論(grand theory、 C.W.Mills→ パーソンズと同じ ) システム論は全ての政治システムを説明する理論

→個々の政治システムの相違をならしてしまう

→一般には役に立たない。

※500番台は意欲の都合上カット。以下、過去問 ( やってない範囲あり、答えなし、文字が潰 れている箇所あり )

2001年政治Ⅰ試験問題 - 文Ⅰ -

(出題者 : 高橋直樹 ) 時間60分 持ち込み不可 試験問題

第 1 問 次の (1) ~ (6) の語句を , それぞれ 3 行前後で簡潔に説明しなさい . (10点×6)

(1) 政治資源po1itical resource (2)  P=p} d} r

(3) 多元的国家観 pluralism

(38)

(4) パレート最適Pareto optimum (5) フィードバック feedback

(6) 利益表現 ( 利益表出 )interest articulation

第 2 問

J.S.ミルによる「多数決」に関する議論について , 以下の問いに答えなさい . (40点 )

(1)多数決という手続きをとることで、個人の自由を尊重しながら、集団として 正しい決定がなぜ司能なのかを , ミルの議論にしたがって簡潔に述べなさい .

(2)現代の先進諸国における民主政治を前提とした場合に ,(1) で述べたミル の議論にはどのような問題点があるかを論じなさい .

(39)

2002年政治Ⅰ試験問題 -文Ⅰ -

(出題者 : 高橋直樹 ) 時間60分 持ち込み不可 試験問題

第1問 次の①~⑥の語句を、それぞれ3行程度で簡潔に説明しなさい。( 10 点×6)

① 自己決定的人間

② 影響力の範囲(scope)

③E→P→R 図式

④ 投票者のパラドックス

⑤G = A = I

⑥ 階級 争闘

第2問

最近の日本で起こった政治的出来事を任意に1つとりあげて、政治学の概念と用語を使用して 解説しなさい。

注:とりあげる出来事は日本の政治に関することならば何でもよろしい。例えば、鈴木宗男や 田中真紀子に関する一連の出来事、小泉首相や自由民主党に関すること、また、構造改革や公 務員制度など、広い意味で日本の政治に関することならば、どんなことでもよろしい。

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