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第 2 章
財市場:消費と貯蓄、 45 度線モデル
2.1 総需要 (GDP 、国民所得 ) の中の消費
GDP (Y) =消費(C) +投資(I) +政府支出(G) +純輸出(NX)
総需要(GDP)の60%弱を占める: 総需要の4項目のうち、もっとも高い比率を占める
2.2 消費と貯蓄
消費と貯蓄は表裏の関係: 所得(Income, Y )を行き先別に考える
•強制的に税金(Tax)を取られる。残りが可処分所得(Disposable Income) Y −T= Yd
•可処分所得を消費(Consumption)か貯蓄(Saving)にあてる Yd= C + S
•可処分所得が一定であれば、消費を増やすことは貯蓄を減らすことと同じ
2.3 ケインズ型消費関数
関数とは?: 決定方式。ケインズ型消費関数とは、ケインズ型と呼ばれる消費の決定方式 特徴: 可処分所得のうち、一定割合(例えば70%)を消費にあて、残りは貯蓄すると考える
C= a + bYd
• a: 最低限の消費や自家栽培の野菜など:基礎消費
• b: 可処分所得のうち消費にあてる割合:消費性向。例えば0.7
• 1 − b: 可処分所得のうち貯蓄にあてる割合:貯蓄性向。例えば0.3 結果: 限界消費性向が一定である限り、所得が増えるほど消費や貯蓄も増加
明海大学マクロ経済学:影山純二(学生用)
2.4 ライフサイクル仮説
特徴: ケインズ型より踏み込んで消費と貯蓄を考える
イメージ: ライフサイクルに沿って、消費と貯蓄のバランスを決めている
•働いている時に所得の一部を貯蓄しておき、退職後に貯蓄を取り崩して生活する
年齢 C, Y 貯蓄
Y C 貯蓄取り崩し
20歳 65歳
日本の貯蓄率の推移: 高齢化が貯蓄率低下を促している?
0.0 4.0 8.0 12.0 16.0 20.0
1980 1985 1990 1995 2000 2005
2.5 貯蓄の使われ方
金融機関に集まった貯蓄: 資金を必要としてるセクターに貸し出される
•企業などへ貸し出す → 投資として使われる
•政府に貸し出す(国債購入)→ 財政赤字の穴埋めに使われる
•海外に貸し出す → 海外の投資などに使われる
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明海大学マクロ経済学:影山純二(学生用)
2.6 総需要 (GDP 、国民所得 ) の分析モデル: 45 度線モデル
モデルとは?: 現実の中から関係のある一部分だけを切り取って分析するための枠組み
•現実すべてを考えると、複雑すぎて何もわからなくなる
45度線モデルとは?: 単純な総需要(GDP、国民所得)分析モデル(後述するIS-LMモデルのシンプル版)
•ケインズ型消費関数を利用して、総需要(GDP、国民所得)や景気を分析
2.7 45 度線モデルの基本的構造
構造: 一番シンプルなケースを考えるため、輸出入は省略(閉鎖経済)
•総生産:Y
•総需要(消費+投資(Investment) +政府支出(Government Expenditure)):C+ I + G
•ケインズ型消費関数:C= a + b(Y −T)
•投資(一定):I= ¯I
•政府支出と税金(政府が決める):G= ¯G, T = ¯T
•均衡条件:総生産と総需要は等しい →GDP (国民所得)が決定 解: 上記の条件を2つの式にまとめる
• (1)均衡式:Y = I + C + G
• (2)総需要の決定式:C+ I + G = a + b(Y − ¯T) + ¯I+ ¯G
グラフで解く:2つの式をグラフにし、両式が満たされる(グラフ上で交わる)点を探す
•縦軸に総需要(C + I + G)、横軸に総生産(Y )をとる
• (1)は切片がゼロ、傾きが1の45度線
• (2)は切片が正、傾きがb <1の線
•両線が交差するY で総生産と総需要が等しくなる →GDP (国民所得)が決定
数式で解く:2つの式を連立させ、総需要と総生産が一致するY について解く
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明海大学マクロ経済学:影山純二(学生用)
2.8 45 度線モデルを利用した分析:乗数効果
乗数効果: 政府支出などが増加した時に、その実額を上回る効果をGDPに与えること 例題: 政府支出が増加すると?
•グラフでで見ると、政府支出の増加よりGDPの増加の方が大きい
•政府支出1増えると、GDPは1−b1 倍増える → 乗数効果
•例えばb= 0.8なら、乗数効果は5 (倍)
乗数効果のメカニズム: 政府支出などで使われたお金が、給与などの形で他人の手に渡り、さらに消費として使われることが原因
•政府支出↑→ 家計の所得↑→ 家計の消費↑→ 他の家計の所得↑→ つづく
•結果として、政府支出の金額の乗数倍の効果をGDPに与える
•効果の大きさ(乗数の大きさ)は、消費性向が大きいほど大きい 減税: 政府支出の増加と似た効果を持つ(効果は 1−bb と少し小さい)
意義: 乗数効果があるからこそ、政府支出を増やしたり減税することが景気対策として認められている
2.9 課題
(A4、上部に課題番号、学籍番号と氏名、計算過程も記入、読みにくい場合は減点)1. ケインズ型消費関数で限界消費性向が0.8の時、限界貯蓄性向の値はいくつか。
2. 45度線分析の枠組みで考える。限界消費性向が0.8のとき、政府支出が新たに1兆円増えた場合の国民所得の増加額はいく
らか。
3. ある国のマクロ経済モデルが、次のように表されるとする(海外部門は考慮しない)。 Y = C + I + G, C= 130 + 0.8(Y −T), I= 180, G= 50, T= 0.5Y
ただし、Y は国民所得、Cは消費、Iは民間投資、Gは政府支出、Tは租税である。均衡国民所得を計算せよ。 4. ライフサイクル仮説の枠組みで考えると、貯蓄額が最も多くなるのは何歳頃と考えられるか。
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