初等量子力学演習 期末試験 (Thursday August 6th 2015) 1
• 解答用紙は縦長に用い,左上に綴るスペースを空け,答案は表だけに書く。
• 全ての用紙の上部に氏名・学籍番号を記入する。
• プランク定数hまたはℏ,光速cは断らずに用いてよい。
• 単に結果を書くだけでなく,結果までの論理が分かるように言葉も用いて説明する。
• ガウス積分
∫ ∞
−∞
e−αy2dy =√ π
α は証明せずにを用いてよい。
問題1. 次の問題を解け。 (20点)
1-1. 静止した質量 mの電子に,波長λの光子を弾性的に正面衝突させると,波長がλ′ に変化した。波長の変化
∆λ = λ′ − λが,h, c, mで表せるとして,それを次元解析で求めよ。無次元の比例定数と角度については決まら
ない。
1-2. 交換関係[ ˆA ˆB, ˆC ˆD]を計算し,中に積のない4つの交換関係で表わせ。
1-3. φ(x, t), χ(x, t)を任意の関数とする。⟨φ, χ⟩を積分で表わせ。また,⟨φ, χ⟩と⟨χ, φ⟩の関係を示せ。
問題 2. 長岡–ラザフォードによる古典的な水素原子模型について考える。静止した陽子を中心として,クーロン力 によって電子が半径r,速さvで等速円運動している。この系の全エネルギーE および円運動の角速度ω をrの関 数として求め,グラフで表わせ。E の減少に伴って,rやω がどのように変化するか説明せよ。この結果から予想 されるスペクトルと,実際に観測されるスペクトルにはどんな違いがあるか? (20点)
問題3. 波動関数ψ(x) = N e−α(x−b)2/2+ikxについて調べる。 (30点)
3-1. 規格化条件よりN を決定し,規格化された波動関数を定めよ。 3-2. 確率密度ρ(x)を求め図示せよ。
3-3. 位置の期待値⟨x⟩を計算せよ。 3-4. 運動量の期待値⟨ˆp⟩を計算せよ。 3-5. 存在確率の流束j(x)を計算せよ。
問題4. 直線上を運動する質量mの自由粒子について,0 ≤ x ≤ Lの範囲で考える。 (30点) 4-1. エネルギーE に対応する波動関数をu(x)とし,定常状態のシュレーディンガー方程式を書け。
4-2. エネルギーE を持つ波動関数の一般解はu(x) = Aeikx+ Be−ikx と書ける。各項はどのような解を表すか? 4-3. 周期境界条件u(0) = u(L), u′(0) = u′(L)を課して系のエネルギー準位En および線形独立な波動関数un(x) を求めよ。特に,量子数nを明確に定めること。
4-4. 0 ≤ x ≤ Lの範囲で規格化された波動関数を求めよ。
4-5. エネルギー量子数が異なる波動関数同士が直交することを示せ。