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sig sai 2012 03 11 4 Recent site activity jsaisigsai

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(1)

ステイクホルダ分析と実データに基づく

経営者支援システムの開発

Development of Management Support System

based on Stakeholder Analysis and Real Data

小柴 等

1∗

竹中 毅

1

本村 陽一

1

Hitoshi KOSHIBA

1

Takeshi TAKENAKA

1

Yoichi MOTOMURA

1

1

産業技術総合研究所 サービス工学研究センター

1

AIST Center for Service Reseach

Abstract: 飲食業や小売業といったサービス業において,1. 年齢や性別,嗜好といった顧客の特徴把

握,2.未来の来客数や売上といった需要の予測,は経営の意思決定を行う上で重要な要素である.そこ で筆者らは,サービス現場の実務者らへのインタビューと現場でのモックアップを用いた実証実験を繰 り返しながら,1.の課題については顧客の満足度を取得するための“顧客接点支援技術”,POSデータ を用いた顧客の潜在クラス分析技術などを開発してきた.2.の課題については,1.の結果なども踏ま えつつ,売上や来客者数を予測・可視化する需要予測技術などを開発してきた.本報では,2.について パッケージ化して現場導入するまでの過程と,導入結果を中心に報告する.

1 はじめに

飲食業や小売業といったサービス業において,1.年齢 や性別,嗜好といった顧客の特徴把握,2.未来の来客数 や売上といった需要の予測,は経営の意思決定を行う上 で重要な要素である.筆者らはこの経営の意思決定支援 をはかりたいと考えている.

しかしながら,サービス業のようにコンテキスト依存 の強い対象は,研究者・開発者自身も現場に入って行か なければ状態が理解できなかったり,データが得られな いことも多い.また,データなどが得られても,会社規 模が一定以上になり意思決定が複数階層に渡るような場 合,個々の視点が異なるため,それぞれに異なる支援が 必要で,ステイクホルダを明らかにした上で協同作業的 にニーズをくみ上げていかなければならない.

そこで筆者らは,サービス現場に赴いて,ステイク ホルダ分析に基づいた実務者らへのインタビューと, 現場でのモックアップを用いた実証実験を繰り返しな がら,1. の課題については顧客の満足度を取得する ための“顧客接点支援技術”[本村11],潜在クラス分析 を活用した IDあり/なしPOS データからの“顧客分

連絡先:産業技術総合研究所 サービス工学研究センター       〒135-0064 東京都江東区青海 2-3-26 本館 327        E-mail: hitoshi.koshiba[ at ]aist.go.jp

類技術”[Ishigaki 10,小柴11]などを開発してきた.2. の課題については,売上や来客者数を予測する “需要 予測技術”などを開発してきた[Shinmura 10, 竹中11,

Takenaka 11].また,顧客接点支援技術の現場導入を容

易にするためにルータ機能やVPN機能,簡易なDBお よびアプリケーションサーバの機能を有するマイクロ サーバの開発も行っている.加えて,POSデータなど現 場ですでに収集されているデータに,上記の開発技術の 適用・利用によって得られる操作履歴や分類・集計結果 などのデータを統合し,解析して時空間的な意味を付与 したり,結果を様々な視点から可視化するための高速な データ処理を提供する仕組みを備えた“時空間意味デー タベース技術”も開発中である.これら技術・システム の全体像を図1に示す.筆者らはこのような統合的な枠 組みを運用することで,店舗運営の最適化を支援し,そ れによって顧客や従業員の満足度を向上させたいと考え ている.

ここで,顧客接点支援技術については実店舗での実証 実験などを行い,実用性などの評価を行ってきたが,顧 客分類技術や需要予測技術などは実店舗での実証は行っ ていなかった.例えば需要予測については,飲食業店舗 から得られた実データを対象として,パラメータなどを 探索しながら1日の総売上に対する予測モデルを構築 し,店長が行う予測よりも高い精度で予測ができること など,技術的有用性は確認できていた[竹中11].しか

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図1 技術・システムの全体像.

し,モデルの構築などは全てオフラインで実施していた 上,結果の解釈や可視化などでも多くの場面で人手を要 するなど,実際にサービス現場で,サービス従事者らが 活用できる形にはなっていなかった.

そこで今回,需要予測技術および顧客分類技術につい て,外食チェーン店を対象に,ステイクホルダ・要求分 析などに基づきながらサービス現場における経営意思決 定を支援するためのシステムとして構築し,実証実験を 行った.具体的には複数店の経営状態を管理する中間層 経営陣(フィールドカウンセラー)および,店長,調理 長といった個店レベルの経営陣など,複数階層のステイ クホルダを対象にどのような需要予測を,どのような経 営判断に用いたいかの要求分析を行いながら,システム を構築,導入した.

以下では,それらの内容について述べる.

2 開発概要

2.1 課題

需要予測を実施するにあたっては,経営状態などに関 する何らかのデータが必要となる.ここで,実際のサー ビス現場を考えたとき,需要予測を目的として,何らか のデータを収集している事例はまず存在しない.また,

需要予測を目的として新たにデータを収集しようにも, 最初期の段階では,手法の有効性など不確実性が高いた め,経営者の賛同を得にくい.したがって,第1の障壁 として基本的にはすでにあるデータのみを用いざるを得 ないといった制約が存在する.ただし,一定以上の規模 の商店であれば効率化のために,会計や発注などが電子 化されている場合が多い.この場合,レジのPOSデー タなどは会計上重要なデータであるため,記録の確実性 もある程度担保されており,1年以上のデータが蓄積さ れているなど,質,量的には十分である.

このように有用性が高いデータをある程度保有してい る事業者は一定数存在することを期待できるが,その場 合でも,多くの場合,会計,発注,勤怠管理など,全て のシステムが統一され,データを一元的に管理している 事例は多くない.むしろ,異なるベンダーから購入した システムを用いて,個別に管理している事例が多い.一 方で,需要の予測,ひいては経営の支援を考えたとき, 上述したPOSのデータだけでは十分でなく,関連する 様々なデータを掛け合わせてデータの意味を深めていく 作業が不可欠である.したがって,第2の障壁として有 用なデータがあっても,それぞれが独立で,連携が困難 であるといった状態が存在する.

今回,われわれは会計や発注がある程度システム化さ

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れているものの,システムとしては独立で連携できて いないといった課題を持つ,数百店規模の和食系外食 チェーン店を対象として,需要予測を通じた経営意思決 定支援システムを構築し,現場への導入を行った.

2.2 環境設定

すでに店舗側で収集されており,活用可能なデータは 以下のようなものであった.

会計データ(POSデータ) テーブル単位で,何人の どのような層の客が,どの商品をいくつ頼んだ か.何時に入店(ファーストオーダー)して,何 時に退店(会計)したか.といった情報が記載 されたもの.ほぼレシートそのもの.全店補で 取得.

オーダー端末データ POS データの入退店時刻がない 代わりに,どの商品を“いつ頼んだか”を記載し たデータ.一部店舗のみで取得.

勤怠データ 従業員の出退勤データ.状況に応じて変化 することはああるものの,従業員の主担当業務・ 場所も記載されたデータ.一部店舗のみで取得. 発注データ 食材,ドリンク,消耗品などの発注データ.

いつ,なにを,どれだけ発注したかが記載された データ.全店補で取得.

レシピデータ 各商品にたいして,平均的にどのような 食材がどれだけ必要かが記載されたデータ.全店 補で統一されたものを取得.

メニューデータ 各商品の名称および区分(膳,鍋物, 定食など),価格などが記載されたデータ.全店 補で統一されたものを取得.

オーダー端末データや,メニュー,レシピデータなど, 今回対象とした飲食業に特有なデータも見られるが,基 本的には一般的な企業が有している可能性の高いデータ とほぼ同等と思われる.

これに加えて,文献[竹中11]に示した需要予測を行 う上で重要になる,天候関連のデータや,祝日等に関す るカレンダーデータを著者らが用意して,別途付与した. カレンダーデータについては,実データの動きに合わせ て,休日の意味を細分化するなど,より細かいチューニ ングを行った.

2.3 開発手法

要求分析などでも知られるとおり,ユーザは自身の ニーズに気づけなかったり,うまく形式化できなかった りすることがある.一方で,研究者などの開発者はサー

ビスの現場に関する知識に乏しいことが多く,シーズ ベースの開発に陥りがちで,結果として実用されないと いったケースも少なくない.そういった観点から,研究 者・開発者が現場に出向いて対話を重ね,現場のニーズ と先進的なシーズを組み合わせながらシステムを開発す る実社会指向アプローチなどの重要性が指摘されている [中川08].

こういった観点から今回の開発に際しては,まず,複 数かつ多層からなる潜在的ユーザ(ステイクホルダ)の 関係を分析し,その上で,各レイヤ間,レイヤ内でのス テイクホルダへのインタビューを通じてニーズを明らか にし,ある程度ニーズが引き出せた段階からは,これま で開発してきた各種の技術を組みあわせて,必要に応じ てモックアップやプロトタイプを作成してさらに詳細 なニーズを引き出す.といったアプローチを取ることに した.

2.4 ステイクホルダ分析

需要予測などを含む経営者支援システムを現場に導入 するに際して,まず社長など上位の経営陣に協力の依頼 をかねてヒアリングを実施した.結果,今回対象とした チェーン店では,ユーザとしてA)複数店の経営状態を 管理する中間層経営陣(エリアマネージャー:AM),B) 店長,調理長といった個店レベルの経営陣,といった2 つのレイヤがあることが示唆された.

そこで,具体的なニーズをヒアリングする対象にこの 2階層を定め,数が少なく,普段から数値的な分析作業 に多く携わるAMを対象にヒアリングに着手した.こ のチェーンにおけるAMは,基本的に店長など現場経 験を経た上で就任している.その上で,それぞれ特定の エリアに存在する複数の店舗の経営状態を把握し,本社 の意向も踏まえつつ,適時,経営に関する介入を行う存 在である.AMは全体でも10名程度で,定期的に本社 で会合を持つ.そこでヒアリングはその会合にあわせて 複数回実施した.ヒアリングの様子を図2に示す.ここ では,

• 自身が管理する店舗はもちろん,他の地域の店舗 も含め,売上などを比較したい

• 需要予測の結果を労務管理(シフト組)や,食材 発注に活用させたい

• 売上減少や上昇の原因追及,年に1度しかないよ うな特殊イベント時の対応,などのために,店舗 から日報的に気付き情報を提出させ,検索可能に したい

といった要望があげられた.

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図2 エリアマネージャーへのヒアリング.

次に店長・調理長に対してもヒアリングを行った.こ れに関しては,ヒアリングに赴くためのコストの問題な どから,東京の3 店舗の店長をモデルユーザに設定し て,この3者を中心にヒアリングを行った.ヒアリング は状況に応じて個別,もしくは合同で行っている.

プロフィールは以下の通りである.

A店 店長になって2-3年,現在の店舗は1年未満.発 注やシフト組の方法を模索中.情報システムの活 用などにも興味はあるが,利用はしていない. B店 店長になって4-5年,現在の店舗もすでに3 年

以上.発注やシフトに関して,独自のルールを持 つ.情報システムも活用しているが,独自ルール の裏付けに不安をもつ.

C店 店長になって6 年以上,現在の店舗は数年目. AM の経験もある.独自に売り上げなどを記録 し,システマティックに需要予測を実施.それら にもとづいて,発注やシフトを管理している. B,C店などは単体で見ると,オペレーション的には 我々のシステムが目指すレベルにほぼ近い状態を達成で きていた.ただし,店長は数年ごとに店舗を移動する. したがって,コールドスタートの問題がつきまとうこと になる.また,それぞれ独立に,自身の経験と勘も取り 入れながら手法を確立しているため,正しさに自信が持 てないといった問題も聞かれた.

A店については,実際にコールドスタートのさなかに あって,手法についてもシステム的なアプローチは取っ ていないため,指標の設定に苦労していることなどが聞 き取れた.またA店では,店長の他に食材発注を担当す る調理主任にも個別にインタビューを行い,発注に関す る課題などもヒアリングした.

個別のヒアリング内容やその変遷については詳細を割 愛するが,ヒアリングを重ねて,

• 複数のフロアを有する店舗では,フロア単位でも

経営を見たいこと

• 売上なども総数はもちろん昼夜,予約有無で区分 していること

• シフトは人時売上高をベースに,総労働投入時間 で計算すること

• 店の忙しさに応じた人員投入を行いたいが,指針 がないためうまく対応できていないこと

• 会員カードがないことから,常連と新規の注文傾 向の差などが把握しにくいこと

• その意味で注文属性からの顧客属性などを把握し たいこと

• 発注・シフトに活かすという点で,昼夜・予約有 無や顧客属性ごとの予測結果を見たいこと などのニーズが顕在化してきた.

主要なニーズをKJ法的にまとめたので,図3に示 す.AMには店長経験者も多いことから,視点を俯瞰的 に持つか,個別の店に固定するかといったこと以外に, ステイクホルダー間でのニーズに大きな溝や差異は少な かった.

2.5 機能の実装

前述したヒアリングなどに際して,最初期は単にPOS を解析して,日々の売上や客数が確認できるモックアッ プを持参し,徐々に,店の繁忙(時間帯ごとの滞在客数) を可視化する機能や,昼夜・予約有無別の予測機能を追 加,可視化手法もテキストから初めてグラフ表示,ラベ ルの文言の修正などを重ねて,システムを構築した.

需要予測が真の目的ではないため,ユーザのニーズに 応じて様々な機能を実装し,改良を加えたが,最終的な 機能は以下の通りである.

売上・来客数確認 直近1週間と,未来分1週間前含む 2週間分の前年,前々年同曜日の売上・客数(実 数)を確認できる.長期傾向として,直近3年分 の各月平均値も確認できる.

繁忙度確認 プリセット済みの任意期間をソースに,開 店時間から閉店時間までの滞在顧客数変化を5分 単位かつ曜日毎で確認できる.複数のフロアを有 する店舗の場合は,店舗全体の他,フロア毎でも 確認できる.

需要予測 対象日の天候やイベント有無を入力するこ とで,総売上,総客数と,それぞれに昼・夜,予 約有・無の4区分で計算機に予測させることがで きる.予測結果をベースに,食材(鮮魚とそれ以 外),ドリンクなどに使用可能な発注額目安や,接 客などの労働投入量目安も確認できる.その他,

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AM側に強い要望

店長・調理長側に強い要望

図3 ニーズとステイクホルダーの関係.

図4 需要予測結果画面.

文献[小柴11]の結果に基づく,顧客属性毎の予 測も行う.

日誌 発注や接客などの意思決定結果に関する評価や 気付きを入力できる.

需要予測実施時のスクリーンショットを図4に示した. なお店長用のシステムでは,全ての項目が自店につい

てのみとなるが,コントローラの場合は,任意の店を指 定して機能を使用可能である.

その他,技術的な事項は以下の通りである.

需要予測や集計などのベース機能はpython2.5ベー スで作成し,WEB APIとして活用できるように整備し てある.そのため,ユーザインターフェイス部分はカ スタマイズの自由度は高い.今回は一般ユーザ向けに

PHP5.3を用いて実装しているが,社内SEを有するよ

うな先進的事業者などは,自身で機能を組み合わせてシ ステムを開発できるようにも配慮した.

システム上,もっとも負荷のかかる作業は需要予測で ある.この需要予測は例えば売上に関して,最低でも総 売上の他に昼夜・予約有無の4区分,計5種類の予測を 行う.実際のシステムでは売上と客数を同時に表示する ため,10種類のモデルを作成することになる.このと き,2.3 GHz Intel Core i7を搭載した計算機を用い,学 習用セットを過去1年間と設定した場合,おおよそ1分 で処理を終えることができる.

POSデータなどの本システムへの取り込みについて は,特定のディレクトリに指定の形式でデータを出力さ せ,それを定期的にクローリングして,本システム用の

DB(MySQL5.5系)に取り込むようにした.これによっ

て,既存の店舗システムに変更を加えることなく,容易 にシステムを活用できるように配慮してある.

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図5 シフト組へのシステム利用風景.

2.6 実証実験

構築したシステムについて,2012年1月中旬より,東 京2店舗(上記のA,B店),大阪1店舗の計3店舗と, AM1名に導入した.これらは論文執筆中の2012年2 月1日現在も稼働中である.

解析は今後,データの回収を待って実施することにな るが,現状では,店舗の日誌を電子的に残し見直すこと については,店長からは好意的なコメントを得ている. シフト組は基本的に週に1回であるので,まだ数が十分 ではないが,これに関しても,実際のシフト組にシステ ムが活用されている(利用シーンを図5に示した).

3 むすび

本報では実際の経営者の意思決定支援を目的に,需要 予測の技術を実用に供する形でシステム化したプロセス を紹介した.ここでは,特に現場との対話に基づくニー ズの発掘と先進的シーズ融合の重要性を指摘した.

発表では,実証の結果などにも触れる予定である.

謝辞

本研究は経済産業省次世代高信頼・省エネ型IT基盤 技術開発・実証事業(サービス工学研究開発分野) の一 環として行われた.また,実験に関してはがんこフード サービス株式会社の協力を受けた.記して感謝する.

参考文献

[Ishigaki 10] Ishigaki, T., Takenaka, T., and Moto- mura, Y.: Customer-Item Category Based Knowl- edge Discovery Support System and Its Application to Department Store Service, in Proceedings of the 2010 IEEE Asia-Pacific Services Computing Confer- ence, APSCC ’10, pp. 371–377, Washington, DC, USA (2010), IEEE Computer Society

[Shinmura 10] Shinmura, T., Takenaka, T., and Aka- matsu, M.: Improvement of Restaurant Operation by Sharing Order and Customer Information., Interna- tional Journal of Organizational and Collective Intel- ligence (IJOCI), Vol. 1, No. 3, pp. 54–70 (2010) [Takenaka 11] Takenaka, T., Shinmura, T., Ishigaki, T.,

and Motomura, Y.: Process management in restaurant service – A case study of Japanese restaurant –, in N.Sugimura, and T.Kaihara, eds., International Sym- posium on Scheduling 2011, Vol. 205, pp. 191–194 (2011)

[小柴11] 小柴 等,竹中 毅,本村 陽一:外食チェーンにお ける注文履歴データの潜在クラス分析によるユーザ・ 店舗分類,日本行動計量学会第39回大会発表論文抄 録集, Vol. 09, pp. 157 – 160 (2011)

[竹中11] 竹中 毅,石垣 司,本村 陽一:生活者行動に着 目したサービス需要予測技術の検討, 2011年度人工知 能学会全国大会(第25回)講演論文集, Vol. 2011, pp. 1–4 (2011)

[中川08] 中川 健一, 杉原 太郎, 小柴 等,高塚 亮三,加 藤 直孝,國藤 進:実社会指向アプローチによる認知症 高齢者のための協調型介護支援システムの研究開発, 情報処理学会論文誌, Vol. 49, No. 1, pp. 2–10 (2008) [本村11] 本村 陽一,竹中 毅,小柴 等:店頭タブレット

端末を用いた顧客フィードバックとID-POSデータ の統合による顧客分析,日本行動計量学会第39回大 会発表論文抄録集, Vol. 09, pp. 77–80 (2011)

図 2 エリアマネージャーへのヒアリング. 次に店長・調理長に対してもヒアリングを行った.こ れに関しては,ヒアリングに赴くためのコストの問題な どから,東京の 3 店舗の店長をモデルユーザに設定し て,この 3 者を中心にヒアリングを行った.ヒアリング は状況に応じて個別,もしくは合同で行っている. プロフィールは以下の通りである. A 店 店長になって 2-3 年,現在の店舗は 1 年未満.発 注やシフト組の方法を模索中.情報システムの活 用などにも興味はあるが,利用はしていない. B 店 店長になって
図 5 シフト組へのシステム利用風景. 2.6 実証実験 構築したシステムについて, 2012 年 1 月中旬より,東 京 2 店舗(上記の A,B 店),大阪 1 店舗の計 3 店舗と, AM1 名に導入した.これらは論文執筆中の 2012 年2 月 1 日現在も稼働中である. 解析は今後,データの回収を待って実施することにな るが,現状では,店舗の日誌を電子的に残し見直すこと については,店長からは好意的なコメントを得ている. シフト組は基本的に週に 1 回であるので,まだ数が十分 ではないが,これに関

参照

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