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【東北公益文科大学】

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Academic year: 2018

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(1)

若 者 を 巻 き 込 め /

山 形 庄 内 地 域 の

書落離

宮l I

i

﹁地域活性化﹂を語るうえで重要なのが、地域にいかに﹁若者を定着させるか﹂ということ。

これに異を唱える向きはあるまい。こうした点を解決する糸口として、近年、産業界と学

会との問で頻繁に行われている﹁産学連携﹂に向けられる視線は熱い。だが、﹁産学連携﹂

というこの言葉、何度もシンボリックに掲げられるものの、いまいち定義は曖昧なまま、

言葉だけが独り歩きしている点は否めない。特に、本来この言葉に期待されている﹁ジョ

ブマッチング﹂という観点で内容を精査していくと、確たる成果を出せている事例がど

れだけあるか甚だ疑問である。

ここに、活路を見出そうと産学連携に取り組んでいる地域がある。− 山形県庄内地方。

日本海に接したこの地域は他地域に比べ、﹁若者の県外就職率が高い﹂という課題が顕在

化している。地域の過疎化という待ったなしの課題をいかにして解決するのか、一人ひと

りがこの難題に向き合い、答えを模索している。今回、記者がこの地域を取材する過程で、

実を結び出している面白い事例を2、3見つけることができた。そこで産官学金における

﹁学﹂と、﹁金﹂︵企業と学校を後方から支援する金融機関︶に主な焦点を当てて、産学連携、

ひいては地域活性化の在り方を見ていきたい。      取材/加藤俊

・ 鶴 岡 工 業 高 等 専 門 学 校

・ 楠 田 信 用 金 庫 ・ 東 北 公 益 文 科 大 学

・ 海 産 工 房 本 間 水 産 株 式 会 社

禿 げ

(2)

山形庄内の若者よ、

都会の大企業もいいが・・・

地元の「憧れの菅田を見落とすな!

東北公益文科大学

文 部 科 学 省 の ※ ﹁ 地 ︵ 知 ︶ の 拠 点 整 備 事 業 ﹂ に 北 海 道 ・ 東 北 の 私 立 大 学 で は 唯

一 採 択 さ れ た 東 北 公 益 文 科 大 学 。 地 方 か ら の 若 者 の 流 出 や 、 早 期 離 職 な ど

が 全 国 的 な 問 題 と な っ て い る 中 、 ﹁ 地 域 の た め の 大 学 ﹂ を 掲 げ る 同 学 の

考 え 方 と 具 体 的 な 取 り 組 み に つ い て 聞 い た 。

﹁ 地 ︵ 知 ︶ の 拠 点 整 備 事 業 ﹂

へ の 採 択

−責学は文部科学省が昨年度から取り

組む﹁地︵知︶の拠点整備事業﹂ ︵大学

COC事業︶ について、﹁地域力結集

による人材育成と複合型課題の解決−

庄内モデルの発信﹂事業を申請し、採

択されました。東北・北海道の私立大

学で責学だけが採択に至った理由は何

だと思われますか。

鎌田剛庄内オフィス長・准教授︵以

下鎌田︶︰採択に至った理由は本学が

選定しているわけではないので、実際

のところはわかりかねますが、本学は

﹁公益﹂と名前にあるように、もとも

と地域志向、地域貢献のための大学で

あり、地域住民や企業からの強い希望

があって関学しています。ですので、

地域から依頼される課題の解決といっ

た、これまでの地域志向の取り組みが

評価されたと受け止めています。こう

し た 取 り 組 蘇 ト ッ プ の 強 い リ ー グ

ーシップなくしては到底成し得ません

でした。学長・理事長・後援会長以下、

トップの強固な連携と尽力に感謝する

とともに、日々責任とやりがいを感じ

て現場に携わっています。 庄内オフィス長

鎌 田 剛 氏

−この事業の目的は何なのでしょう

か?

鎌田︰自治体や企業と大学が共に地域

の課題を解決していくことにありま

す。特に課題に取り組む人材の育成と

いう観点が大きいです。いま現在、顕

在化している課題のみを解決すれば良

いという考えではなく、これから起こ

る課題や、複合的な問題を解決できる

力を持った人材育成という点を重視し

ています。

若 者 の 流 出 、 早 期 離 職 の 現 状

−若者の流出や、早期離職といった問

題を抱える地域に共通して言えるの

は、若い人たちをい あるいは呼び込むかが重要ということ

です。庄内地域の現状を教えてくださ

い。浦山恭子庄内オフィス事務室長︵以

下浦山︶︰この地域の若者流出は、山

形県の中でも特に深刻です。同じく地

域に残った人の離職率も、全国的にみ

て非常に高い。そのため本学では取り

組むべき優先順位として、まずは地域

にいる人たちをフォローしていくこと

を最優先に考えています。というのも、

いま庄内にいる人たちが地元を愛し楽

しいと思えること、この前提を確立し

ないと、出て行った人たちを呼び戻す

ことなど到底できるはずもありません

ので。そして、この﹁若者に地元を愛

してもらいたい、地元に残ってもらい

たい﹂という考え方の対象となる﹁若

(3)

山形庄内地域の活性化

庄内オフィス事務室長

浦 山 恭 子 氏

者﹂とは、まさに大学生の世代です。

本学はそうしたターゲットである若者

を大勢抱える場。学生をいかに地域と

関わらせながら育てていくか、それが

本学の﹁地 ︵知︶ の拠点整備事業﹂に

掲げた柱の一つとなります。 着するイン缶ンシップです。これま

でのインターンシップは就業体験、例

えば小売業であれば売り子を行うのみ

で、無給のアルバイトと一体どう違う

のか、そんな見方ができてしまうケー

スもあるかと思います。その点、﹁社

長インターンシップ﹂はいわゆる ﹁か

ばん持ち﹂ のような形で経営者に密着

し、背中を見て学ぶ形をとります。ま

た、制度の成り立ちに関しても、通常

のインターンシップは大学の側から企

画し、頭を下げてお願いをして体験さ

せていただく形ですが、﹁社長インタ

ーンシップ﹂は後援会企業からの提案

で生まれたという経緯があります。

﹁ 社 長 イ ン タ ー ン シ ッ プ L

I学生に、社会に出るということをポ

ジティブに意識させられるか如何は、

在学中にどれだけ社会、特に経営者層

との接点を持たせられるかが左右する

と言えます。責学では仕事を楽しんで

いる魅力的な大人との触れ合いを通し

て学生を感化させるといった趣旨の取

り組みをしていると聞きましたが?

鎌田三社長インターンシップ﹂とい

うプログラムのことでしょう。これは

一言でいうと、地元企業の経営者に密 −手応えや成果はいかがですか?

鎌田︰マスコミの注目度も高く、体験

先で取材陣に囲まれた学生もいます。

経営者のお宅に5日ほど泊り込みをし

た学生もいます。庄内地域の出身では

ないある学生は、期間中に遅刻をし厳

しい言葉を頂戴する場面などもありな

がら、体験を終えるとその企業への就

職を希望し、内定に至りました。こう

した具体例を抜きにしても、一般論で

学生に良い影響を与える機会になって

いると言えます。都会の有名な企業じ

ゃなくても、自分の地域に、すぐそば

にこんなに魅力的な経営者がいたとい

うことに気づける﹁場﹂を現在の教育

ではあまり提供できていません。彼ら

の 年 齢 で 経 営 者 や 、 知 経 験 者 、 ま た

そうした中で紆余曲折を経験してきた

ような人生の先輩と直に触れ合う場と

いうのは、単にカリキュラム通りの学

生生活を送っているだけではなかなか

もち得ないでしょう。これは同時に、

受け入れる側の中小企業にとっても、

有望な若者との出会いの場が無いとい

うことでもあります。この地域で、こ

んな人から、仕事や人生について学び

たい。こんな若者なら、会社の未来の

希望となる。そうした接点の場を提供

する仕組みができれば、自ずと良いマ

ッチングが発生し、地域は活性化して

いくのではないでしょうか。 整備事業﹂でも、特に﹁庄内経営者塾﹂

には力を入れることにしています。こ

のプログラムの具体的な内容として

は、地元の経営者や金融機関の方々を

お招きして、少人数で車座になってお

話を伺うといった内容を想定していま

す。

起 業 の た め の 人 材 育 成

−少し話を変えましょう。地域活性化

を考えると、やはりお伺いしているよ

うな話の先に、この地域で起業しやす

い環境を用意していかなければ、本当

の意味での活性化には繋がっていかな −具体的なメリットとはどういうこと

なのでしょうか?

鎌田︰学生のうちから経営者層とのネ

ットワークを築ける人脈形成という点

の他に、学生にとっては地元の優良企

業のトップと身近に触れ合える機会で

すから、経営者の背中を近い距離で見

ることができる点ですね。経営者意識

は否が応でも高まりますよね。経営者

の姿が身近なロールモデルになるはず

庄内オフィス事務室主任

川 上 佐 知 氏

いと思います。その点はどうお考

えですか?

園田

鎌田︰これは構想段階なので

すが、﹁庄内経営者塾﹂とい

うプログラムを始める予定で

す。起業するための講座はこ

れまでもありましたが、﹁庄内経

営者塾﹂は、より起業に特化した人材

育成講座になります。−﹁地︵知︶の拠点

l

(4)

です。

浦山︰金融機関に参加していただくこ

とも重要なポイントです。金融機関と

のネットワークは起業する際に直接役

に立つでしょうし、経営に直結する金

融的思考を学ぶことにもなります。

庄 内 地 域 の 活 性 化 の た め に

−他地域では、その地域にいることで

起業しやすくなるような助成や、起業

に限らずとも海外に行って勉強できる

プログラムなど、何らかの具体的なイ

ンセンティブを制度として用意するこ

とで、人材を引き止めよう、あるいは

呼び込もうという動きが見られます。

こうした考え方についてはいかがです

か?

浦山︰外的なインセンティブがなけれ

ば学生に響かないということはないと

思っています。地域に魅力を感じると

いうのは多様な要因が複合的に絡んで

います。わかりやすいニンジンをぶら

下げだからといって、そう簡単に学生

が応じるとは思えません。この地域で

生きていくことが自分にとってメリッ

トだと感じるかどうか。感じないから

外に出ていくのであって、メリットと

感じていればたとえ離職しても地元の

他の企業に入るわけです。若者が流出

しているのは、そうしたときに受け皿

となる企業が無いということでもあり ます。地域の魅力として、企業も、大

学も、そして人も、魅力を磨いていく

ことが、課題を解決していくための近

道だと、﹁地︵知︶の拠点事業﹂ への申

請にあたっても考えていましたし、ま

た本学が採択に至った理由のひとつで

もあると思っています。

鎌田︰内発的に、学生自らこの社長さ

んみたいになりたいと思ってもらうの

かやっぱり一番で、たとえば﹁社長イ

ンターンシップ﹂などを通して、地元

にこんな良い企業があると知ること、

地元の企業経営者の方々の魅力、地元

に憧れの存在を見つけることがいちば

んのインセンティブだと思っていま

す。経営者層の方々にも伝えたいので

すが、本学を拠点としながら、企業の

皆さんと一緒に、人を育てていきたい

と思っています。人を育てる場を本学

と一緒に作りませんか、一緒に育てま

せんかということを、経営者層をはじ

め地域全体にお願いしだいと思いま

す。

浦山︰経営者層の方々には、自社の若

い人材をうまく育てられているかをい

ま一度見直していただいて、本学と一

緒に育ててみませんかとお願いしたい

です。﹁社長インターンシップ﹂では、

学生だけでなく、経営者サイドにも大

きな利点があります。学生に密着され

見られることで、自分がどんな使命を

持 ち 、 ど の 補 竜 内 地 域 に 関 わ ろ う

としているのかを再確認することがで

きるでしょうし、社員も地域貢献とい

う考えを新たにするのではないでしょ

うか。そういった効果も含めて、みん

なで一緒に地域を活性化させていきた

いですし、学生や若者だけでなく、関

わる人みんなが自分自身も一緒に成長

していくと思っていただけたら嬉しい

ですね。

川上佐和庄内オフィス事務室主任︰

社長インターンシップは去年から、通

常のインターンシップは開学時から行

っているのですが、受け入れ先の皆様

には本当に負担をかけていると思いま

す。何も分からない学生を一定期間、

仕事の内側に入れるわけですから、日

中は学生へのフォロー以外には何もで

きない状態でしょう。しかし、そうい

った中で、ご自身のお仕事や学生の頃

のことなどを振り返り見つめ直し、学

生と共に育ち合って、地域全体を底上

げしていこうという方向に進んでいっ

て欲しい。東北公益文科大学と一緒に

なってこれから地域を良くしていく、

企業の方にもそんな風に考えていただ

けるような取り組みにしていければと

思います。

ー小誌も地域の企業と学生とが触れ合

い、語り合うような場を作りたいと考

えており、教育機関や企業に協力をお

願いしたりしていま稀華で高じ ような目的の取り組みをされているこ

とを知ることができました。責学の取

り組みの今後に大いに期待していま

す。本日はありがとうございました。

14

︻後記︼地域活性化が成功するか否か

で、地域の大勢の人を巻き込んでいく

ために必要なことが一つ。それは目標

となる近い将来の未来像︵ビジョン︶

を明示できるかである。この地域の3 年後、5年後の具体的な姿はどう変わ

っていくのか、そうした青写真を描き

切れれば、プロジェクトに賛同する人

は増えていく。逆に、そうした目標を

描けなければ、地域活性化という掛け

声は勇ましく、花火としては大きく爆

ぜても、多くの人を巻き込むには至ら

ずにしぼんでしまうだろう。庄内地域

が具体的にどう変わっていくのかを東

北公益文科大学がきちんと明示できる

か否か、プロジェクトの推移を語るう

えで、意外とそこが鍵を握っているの

ではないかと思っている。庄内におけ

る﹁地︵知︶の拠点整備事業﹂ の今後に

期待したい。

51

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参照

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