東京 平成20年度 設問1(ミクロ・マクロ基礎) 小問1
1. (a)
合併することにより,各企業の利潤の合計を最大化するように生産量を決定 する.したがってこのときの生産量は合併前の生産量に比べ社会全体として 見ればパレート改善になっており,パレート効率的である.したがってパレー ト効率的の観点から見ればよい.
(b)
プレイヤーの混合戦略を次のように定義する
P = f(p1; p2)jp1+ p2= 1 ; p1; p2 0g Q = f(q1; q2)jq1+ q2= 1 ; q1; q2 0g ここでp1; : : : ; q2はそれぞれa1; : : : ; b2に付与する確率 このとき期待利得はp 2 P ; q 2 Qに対して
i= ∑
a2fa1;a2g
∑
b2fb1;b2g
p(a)q(b)ui(a; b) (i = 1; 2)
で与えられる.したがって(p; q) 2 P Qが混合ナッシュ均衡であるとは {
任意のp 2 P に対して 1(p; q) 1(p; q) 任意のq 2 Qに対して 2(p; q) 2(p; q) を同時に満たすような戦略の組,と定義される.
(c)
厚生経済学第一基本定理
:選好の局所非飽和性を満たすとき,競争均衡配分はパレート効率的な配分 になる
厚生経済学第二基本定理
:局所非飽和性と選好の凸性を満たすとき,パレート最適な配分は適当な初 期保有量の再配分により競争均衡配分となる
2. (a)
maxx 6x
1=2 qx
(b)
3x 1=2 q = 0
(c)
C(y; q) = qx = q4y2
(d)
MC(y; q) = q2y
(e)
AC(y; q) = q4y
(f)(d),(e)より下図
(g)
供給曲線はMCのうちAVCより上の部分である.しかし今,AC=AVCであ るのでMCがそのまま供給曲線になる
※ 問題で固定費用に関して明示されていなかったので固定費用はここではな いとして解きました.東大の問題はこういった設定が曖昧で微妙な問題もい くつかありますので,注意してください.
小問2 (1)
貨幣状数は次のように定義される
m = C + DC + R =c + 1c + r
ア:c = 0; r = 0:01であるのでm = 100 イ:c = 0:02; r = 0:01であるのでm = 34 (2)
ア:限界貯蓄性向はs = 1 c1= 0:2
イ:初期時点の国民所得と貯蓄はそれぞれ750; 100
家計の貯蓄率が25%上昇貯蓄性向が0.25になったとき国民所得と貯蓄はそ れぞれ600; 100となり国民所得は減少し,貯蓄は変化しない.
※ いわゆる貯蓄のパラドックスというもの.家計の貯蓄率が上昇すると投資 が一定の場合消費性向が減少するため国民所得が減少し,貯蓄の増加分と完 全に相殺されるため.
(3)
Y Y =
A A +
1 3
K K +
2 3
L
= 2:0 + 1:6 + 1:0 L
= 4:6
より4.6%
設問3(ミクロ・マクロ応用) 小問1
1. (a)
実現可能集合を次のように定義する
I = f(x1; x2; G)jx1; x2; G 0 ; F 1(x1+ x2) + f 1(G) = y1+ y2g
このとき( x1; x2; G) 2 Iがパレート効率的な配分であるとは ui(G0; xi0) ui( G; xi) (i = 1; 2)
かつ少なくとも1つのiに対して厳密な不等号が成立するような(x10; x20; G) 2 I が存在しない
(b)
サミュエルソンの条件から
MRASG;x1 + MRS2G;x= MRTG;x
@u1=@G
@u1=@x1 +
@u1=@G
@u1=@x1 = F0 f0
※ 実際に計算で求めると
max u1(G; x1)
s:t:{u2(G; x2) u
F 1(x1+ x2) + f 1(G) = y1+ y2
と定式化されるので,ラグランジュ未定乗数法を用いると上の関係式が出ま す
(c) 不明 2. (a)
i= (10 q1 q2)q1 q12と一階の条件から q1(q2) = 10 q4 2
同様に
q2(q1) = 10 q4 1
したがって,ナッシュ均衡は
q1= q2= 2 ; p = 6
(b)
ワルラス均衡では価格と限界費用が等しいので p = 2qi (i = 1; 2)
したがって
p = 10 p2 p2
より
q1= q2= 52 ; p = 5
(c)
クールノー均衡では
i = 6 2 22= 8
より
P S = 16 CS = ∫ 4
0 (10 Q)dQ 4 6 = 8 したがって経済厚生は24
ワルラス均衡では
i = 552 (5
2 )2
= 254
より
P S = 25=5 CS = ∫ 5
0 (10 Q)dQ 5 5 = 25=2 したがって経済厚生は25
以上よりワルラス均衡の方がよい (d)
i= (10
n
∑
i=1
qi)qi qi2
@i=@qi = 0かつ均衡ではq1= : : : = qn= q(n)より q(n) =n + 310
p(n) = n + 330
以上より
n!1lim q(n) = 0 ; n!1lim p(n) = 0
(e)
(c)と同様にして経済厚生を考える
i = (10 n + 310n )n + 310
( 10 n + 3
)2
= (n + 3)200 2
P S = (n + 3)200n2
CS = ∫ 10n=(n+3)
0 (10 Q)dQ
30 n + 3
10n n + 3
= (n + 3)50n22
したがって経済厚生は
W = P S + CS = 50n(n + 3)2+ 200n2
@W
@n =
100(n + 6) (n + 3)3 > 0 より社会的には企業数nが多いほど望ましい
小問2 (1)(ア)
期待インフレ率が0なので,IS曲線は
Y = 450 + 0:9(Y 100) + 440 0:1r + 100 Y = 10000 i
(イ) 同様にして
8990 = Y i
よりi = 505; Y = 9495 (ウ)
初期時点においては
9010 = Y i
よりi = 495; Y = 9505貨幣供給量が増加したときi = 490; Y = 9530 (ェ)
同様にしてi = 497:5; Y = 9507:5 (オ)
r = i e = i 1200とするとi = 1095; Y = 10105
※ 単位が%と書いてありますが,おそらくiの上限が10000であることから それを基準にしていると思われます.(例えば5000は50%など)そうでない とおかしいのでそう解釈して深く考えずに済ましていいかと思います
(2)(ア)
pt = 1 + rdt +(1 + r)dt+1 2+ : : :
=
1
∑
j=1
dt+j
(1 + r)j
(イ)
(ア)にそれぞれ代入するとpt = 100