脳を鍛える!インタラクティブコンピューティング

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脳を鍛える!インタラクティブコンピューティング

大学院情報科学研究科 准教授

野中

のなか

秀俊

ひ で と し

(工学部情報エレクトロニクス学科コンピュータサイエンスコース)

専門分野:知能情報処理,ヒューマンインタフェース

研究のキーワード:ヒューマンインタフェース,人工知能,センサ応用,学習援助, インタラクティブコンピューティング

HP アドレス:http://aiwww.main.ist.hokudai.ac.jp

何を目指しているのですか?

インターネットやマルチメディア、スマートフォン等の普及に伴い、特に個人向けのコ ンピュータは、インタラクティブな情報収集・情報交換の手段として、日々新しい状況を 作りつつあります。また住宅や家電製品にもコンピュータが組み込まれ、私たちが特に意 識しなくても、ホームセキュリティや省エネルギーの機能が適切に働くようになっていま す。このように、コンピュータは、計算速度や記憶容量の向上を目指すだけでなく、様々 な場面において安心な日常生活や利便性の向上のために活用されるようになっています。 ところがその反面、セキュリティ問題、情報の氾濫、人格形成への影響、ネット犯罪な ど、考慮すべき問題が浮上し、私たちの情報の受け入れ方や、マスメディアの役割、生活 様式などに大きな変化をもたらしつつあります。これからの、特に個人向けのコンピュー タが備えるべき役割には、以下のようなものがあると考えています。1)実世界で獲得し た知識や行動との整合、2)個人差や性格への適応、3)ユーザの意図やコンテクストの 把握、4)フラストレーションやコンフリクトの解消、5)意欲の誘引と動機付け、6) 意識や情動への働きかけ、7)コンピュータシステムへの信頼感の確保、8)知性、感性、 技能の向上、9)潜在能力や可能性の喚起、10)モラルの向上への誘導・・・など。

我々の研究室では、ヒューマンインタフェースと人工知能を二本柱として、個別的に発 展しているハードウェア・ソフトウェア技術や、数理科学、認知科学、生理学など、様々 な知見を取り入れながら、私たちが日常の生活の中で自然に獲得している知的活動と、コ ンピュータシステム設計構築の、自然な融合と相互発展を目指しています。

研究の中でコンピュータをどのように位置づけていますか?

最近、外部脳という言葉をよく目や耳にします。多くの場合、大容量のデータを持ち歩 き、いつでもどこでも必要なデータをすぐに引き出せる装置という、いわば外部記憶装置 のような意味で使われることが多いようです。その延長にクラウドという技術も位置して います。ところが、外部脳は、私たちの脳におけるもっと基本的な情報処理に関わるもの です。私たちは生まれたときから、様々な外部脳を使って脳を鍛えてきたということを忘 れがちです。脳は常に外界とのコミュニケーションを必要とし、そのコミュニケーション を通して発達するといわれています。例えば私たちが言葉を聞いたり話したりする能力や、 歩行や運筆などの行動を獲得するためには、外界との様々な接点が必須だったはずです。

出身高校:東京都立戸山高校

最終学歴:北海道大学大学院工学研究科

情報

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例として暗算について考えて見ましょう。ここでは、そろばんやインド式計算などにつ いては他に譲り、小学校で普通に習った算数学習のプロセスを思い出してください。生ま れつき暗算ができた人は多分いないでしょう。まず足し算の場合、最初は飴玉など身近な 物や5本の指を使って、足し算を覚えたと思います。この とき、飴玉や指が外部脳として働いています。これらの計 算を繰り返すことにより、外部脳がなくても計算、つまり 暗算ができるようになります。結果的に外部脳が視覚的イ メージとして脳に取り込まれたとみなすことができます。 次に掛け算の場合、最初は先生が発声する九九に続いて九九を復唱することにより、一桁 同士の掛け算を覚えたと思います。このとき、音声が伝わるために必要な空気、耳の鼓膜、 自分が発声するための喉の声帯などが外部脳として働いています。これらの発声を繰り返 すことにより、外部脳がなくても計算、つまり暗算ができるようになります。結果的に外 部脳が聴覚的イメージとして脳に取り込まれたとみなすことができます。

このように、適切に用意された外部脳ならば、正しい使い方を何度も繰り返すことによっ て、様々なイメージやパターンとして脳に取り込むことができます。我々の研究では、私 たちがコンピュータを使えば使うほど脳が鍛えられ、仮にコンピュータがなくても脳の中 に優れたイメージやパターンが残るようにするためには、私たちとコンピュータとの間に どのようなインタフェースを設けたらよいか、ということを追求しています。

どんなシステムを開発しているのですか?

外部脳としてのコンピュータを考慮しながら、教育用 システムなどを開発し、実際の講義等でも活用していま す。問題を入力すると答えが出力されるという一方向的 な計算ではなく、コンピュータの反応や、計算の過程を 観察でき、必要に応じて計算そのものにユーザが介入で きるような計算方法を、我々はインタラクティブコン

ピューティングと呼んでいます。コンピュータがどのよ

うな計算を行っているかを視覚、聴覚、触力覚等に提示 することにより、ユーザの理解を助け、さらに安心感や 説得力を持たせることが可能であると考えています。右 上のスクリーンショットは、様々な多面体を、マウス やマルチタッチインタフェースだけで直感的に作成で きるアプリケーションです。大学の専門科目で習うグ ラフ理論の主要な項目や概念を、無意識のうちに学習 できます。右下は、現実にはありえないような立体パ ズルを、作成したり解いたりできるアプリケーション です。公務員試験などで必要になる、空間把握能力を 鍛える効果もありそうです。

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参照

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