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資料置場 発見の歴史(物理学)

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Academic year: 2018

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全文

(1)

2010 ノーベル物理学賞

出典

The Nobel Prize in Physics 2010 Andre Geim, Konstantin Novoselov for

“for groundbreaking experiments

regarding the two-dimensional material graphene

“for groundbreaking experiments

regarding the two-dimensional material graphene

あえて訳すとすると

「二次元状物質 グラフェン に関する革新的実験的研究に対して」

(2)

Andre Geim

Born: 1958, Sochi, Russia Affiliation at the time of the award:

University of Manchester, Manchester,

Konstantin Novoselov

Born: 1974, Nizhny Tagil, Russia Affiliation at the time of the award:

University of Manchester, Manchester,

受賞者

(3)

Graphene グラフェン とはなにか?

とりあえず グラフェン を作ってみましょう。

グラフェンの3分クッキング

1 セロハンテープと鉛筆を用意

2 セロハンテープを鉛筆の芯に貼り付ける

3 剥がす

4 セロハンテープを折りたたむ

5 剥がす

6 4→5を繰り返す

できましたか?

さて、これは一体なんでしょう?

(4)

そもそも鉛筆の芯って何?

グラファイト 黒鉛

金属光沢のある黒色不透明の六角板状結晶。

天然に産出するものは、石炭が地殻内で変質し炭化の度が進んだもの。 工業的にも無定形炭素を原料として多量に製造される。

電気をよく伝え、融点が高く、化学的に安定しているので、 電極・るつぼ・原子炉の中性子減速剤などに用いる。 また、減磨剤・鉛筆の芯(シン)にも用いる。

(大辞林より抜粋)

(5)

グラファイトをセロテープで剥がすと。。。

鉛筆の芯からグラファイトを剥がし、 セロテープでグラファイトの層をどんどん 薄くしていく。

最終的に 1層 のみを残す

グラフェン

グラファイトの層間距離

~ 3Å (3×10-10 m) 3×10 -10 m

1 mm 厚のグラファイト

1×10-3 m / 3×10-10 m ~ 3×106 300万層のグラフェン!!

* 髪の毛程度 10μm → 3万層

(6)

おもいっきり拡大してみると、、、、

六角格子の頂点それぞれが炭素原子

一つの炭素原子が3つの手で3つの炭素原子と握手 六角形のネットワークを形成している

どこかで見かけたことがあるのでは?

英語では “chiken wire” 日本語では 金網?

六角格子の頂点それぞれが炭素原子

一つの炭素原子が3つの手で3つの炭素原子と握手 六角形のネットワークを形成している

どこかで見かけたことがあるのでは? 英語では “chiken wire”

日本語では 金網?

(7)

グラフェンのサンプル

黒くなっているところが グラフェン試料

理学部物理学科 佐々木 実 教授 より借用

(8)

グラフェンの構造

0.142 nm

= 1.42×10-10 m 炭素原子

正六角形の格子の頂点に炭素原子

・ 一つの原子は3つの格子に属する

・ 一つの格子は6つの原子から構成

・ 一つの格子には 6×1/3 = 2個分の原子

・ 格子の一辺の長さは 0.142 nm

・ 1格子は1辺の長さ 0.142nm の正三角形6個分

・ 面積は ~ 5×10-20 m2 

  6 * ½ * 0.142 nm * (√3/2) * 0.142 nm = 0.052 nm2

・ 炭素原子2個の重さは

  2 * 12 g / (6×1023) = 4 × 10-24 g

・ 面密度は1平方メートルあたり 0.8 mg/m2   4×10-24 g /5×10-20 m2 = 8×10-4 g/m2

(9)

なぜ「ノーベル賞」に値するのか?

グラフェンは知られていた物質

単層(1レイヤーだけ)剥がすのは無理と思われてた

そもそも何層あるか分からない

いろいろな実験が試みられたがことごとく失敗

剥がしたグラフェンの

厚さを測定する装置を開発 → 単層グラフェンを確認

単層グラフェンの生成を再現可能

削り出したグラフェンの電気的性質などを測定

2004年に単層グラフェンの生成に成功

6年間に驚異的なグラフェンの研究・応用が進展

70cmの幅のグラフェンシートを生成可能に!!

(10)

例えば

鉛筆とセロハンテープでこつこつ剥がす

シリコン基板 (silicon substrate) グラフェンのかけら Graphene flake 原子間力顕微鏡で見る

(AFM: Atomic Force Microscope)

原子間力顕微鏡

鋭い探針を試料表面に直接あて, 探針と試料の原子間にはたらく力により 表面の原子・分子構造を観察する顕微鏡.

単層部分 人類史上初めて確認された 単層グラフェン

(11)

カーボンナノチューブ・フラーレン・グラファイト

フラーレン カーボンナノチューブ グラファイト

グラフェン

(12)

グラフェン生成法

無理矢理剥がす

Siricon Carbide (SiC) の表面からシリコンを焼き飛ば

炭素の薄い層のみを後に残す

原子間力顕微鏡 (AFM)をつかって、グラファイトを削る

金属平板の上に炭素蒸気を付着させ、冷却する。

等など

70 cm 幅のグラフェンの生成に成功

グラフェンの厚さ(層の数)のコントロール グラフェンへのドーピング

等々

(13)

グラフェンの特徴

電気的性質

非常に高い電気伝導性

外的要因による電気的性質のコントロール

印加電圧により p-, n-型半導体として振る舞う

熱的性質

非常に高い熱伝導性

力学的性質

鉄よりも丈夫なシート

カーボンナノチューブ等の基本構造

その他

ヘリウムガスが通り抜けられない

一般的な高分子シートはヘリウムを止められない

(14)

グラフェンの力学的性質

グラフェン(単層)に力を加えて構造を壊すのに必要な力 42 N/m 一般的な鉄の場合 (0.25~1.2)×109 N/m2

同じ厚みの鉄シートとグラフェンシートを比べると 厚み ~ 3 = 3×10 -10 m

グラフェン 42 N/m

鉄 (0.25~1.2)×109 N/m2 × 3 ×10-10 m = 0.1~0.4 N/m 鉄にくらべて100倍強い素材

同じ厚みの鉄シートとグラフェンシートを比べると 厚み ~ 3 = 3×10 -10 m

グラフェン 42 N/m

鉄 (0.25~1.2)×109 N/m2 × 3 ×10-10 m = 0.1~0.4 N/m 鉄にくらべて100倍強い素材

単位に注意

N (ニュートン)とは

重力加速度 9.8 m/s2 の下で、1 kg の物体に作用する重力の大きさ およそ 10 N

* ( 9.8 m/s2 ) * ( 1 kg ) ~ 10 kg m/s2 = 10 N

42 N は

およそ 4 kg の物体に かかる重力

1 m2 のグラフェンシートで 42 N の力を支えられる。

2枚になったら強度も2倍になるとすると、、、、、 10層で 42 kg、20層で84 kg、30層で126 kg

(15)

一体なぜグラフェンがそんなに重要なのか?

タッチスクリーン

タブレットPC

ソーラーパネルの セル

時計・カレンダー

薄くて・柔軟な 光パネル

携帯電話

電子マネー

電気的性質をコントロールできて、 熱的性質もよく、丈夫で、

しかも柔軟性(+20%位伸びる)があり、透明。

(16)

応用だけではなくて、、、

グラフェン上で、電子は「質量0、スピン1/2の自由粒子」として2次元空間の中を運動する。

質量 0 の電子

量子力学で「Dirac粒子」として知られているが、、、、、

通常は”素粒子物理学”や”原子核物理学”で扱われる現象。

大規模な「加速器」を利用せずに、「量子力学」の基本的現象の研究を可能にさせる

例) グラフェンを用いた、Klein トンネル効果の初めての検証 (2009年 Young, Kim )

(17)

トンネル効果とは

壁にむかって、物体が近づくと、、、

壁 日常の世界では。。。

跳ね返る

量子力学の支配する世界では。。。 跳ね返る

物もあるし

通り抜ける ものもある

(18)

今回の受賞に関して

結構若い研究者が受賞した

Konstantin Novoselov 1974年生まれ = 36歳

1915年 ローレンス・ブラッグ 25歳 (最年少)

対象になっている論文(発見)からの期間が短い

最初の論文は 2004年。発見から 6年での受賞

高温超伝導 1986年 → 1987年

新粒子発見

クォークの予言:  1964年 → 1969年

J/ψの発見(実験): 1974年 → 1976年

比較対象: 

自発的対称性の破れ(南部)  1960年 → 2008年

CP対称性の破れ(小林・益川) 1972年 → 2008年

(19)

今回のノーベル物理学賞はさらに、、、、

“make people laugh first and think second”

from popular information for this prize.

2000年 イグ・ノーベル物理学賞

「人をまず笑わせ、そして次に考えさせた」事に関する功績?? ノーベル賞を2度受賞した人はいるけれど、

イグ・ノーベル賞 → ノーベル賞  のダブル受賞は初めてのケース

ここからは余談

(20)

Andre Geim のもう一つの業績

The 2000 Ig Nobel Prize Winners

PHYSICS

Andre Geim of the University of Nijmegen (the

Netherlands) and Sir Michael Berry of Bristol University

(UK), for using magnets to levitate a frog.

[REFERENCE: "Of Flying Frogs and Levitrons" by

M.V. Berry and A.K. Geim, European Journal of Physics,

v. 18, 1997, p. 307-13.]

磁場をつかって蛙を浮かせる

磁場による蛙浮揚

磁場をつかって蛙を浮かせる

磁場による蛙浮揚

(21)

では、まず笑ってみよう。。。。

(22)

http://www.hfml.ru.nl/froglev.html にもともと

(23)

動画を見てみましょう

(24)

では、考えてみましょう

(25)

Eur. J. Phys. はれっきとした物理論文雑誌。 タイトルは奇抜だけど、内容は

「電磁気学」

Eur. J. Phys. はれっきとした物理論文雑誌。 タイトルは奇抜だけど、内容は

「電磁気学」

反磁性体

磁場中においたとき

磁場と逆の方向に磁化される物質

もっとも優れた反磁性体=超伝導体 通常の物質の反磁性は弱い

ビスマス、炭素、銅、鉛、水銀 等

反磁性体

磁場中においたとき

磁場と逆の方向に磁化される物質

もっとも優れた反磁性体=超伝導体 通常の物質の反磁性は弱い

ビスマス、炭素、銅、鉛、水銀 等

超伝導体のマイスナー効果 安定するのは「ピン留め効果」

論文の主題は

反磁性体を静磁場を利用して

「安定して」空中浮揚させる方法 論文の主題は

反磁性体を静磁場を利用して

「安定して」空中浮揚させる方法 反磁性体の浮揚はいろいろ知られているが、

反磁率の高いものは浮く Wikipediaから拝借

(26)

常磁性体の浮揚

レビトロン・ゼロ テンヨー(株)

これも動画でみてみましょう

(27)

簡単な原理

まずは磁石を磁石の上においてみる

釣り合う?

非常に不安定な釣り合いの状態

上下には反発するので、

左右にぶれないようにすればよいはず

(28)

方法1: レビトロン

のせる磁石をコマにしてしまおう。

(回転板が磁石でもいいですよ) コマの自転で横方向に倒れない

磁石の力で押し上げられる

だから浮く!!

(29)

方法2: 蛙浮遊

磁石=常磁性体 は倒れると、磁場に対して角度が生まれる

→ そのまま落ちる

蛙=反磁性体 磁場に対して反対向きの”磁石”になる

つねに物体の内部に、磁場と平行な磁石ができる コマを自転させる事と同様な効果を生む

→ 工夫をすれば空中で静止する 反磁性体

(30)

詳しくは説明しませんが、、、

2重のコイルを使って、 16Tという強磁場を生成

(磁場強度を途中で変化させる) コイルの中に反磁性体を入れる 反磁性体自体の「磁石」の性質と 磁場の分布によって

反磁性体を空中に安定して浮遊

参照

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