( 区分: 簡易水道再編推進事業( 統合簡易水道)
■ 目 的
■ 必要性
■ 状 況
水道水の安全で安定し た供給のためには、 夏場の渇水や耐塩素性病原微生物に
よる汚染の恐れがある水源、 安定し た浄水処理の出来ない浄水場などの老朽化し た
水道施設・ 設備の改善対策が急務である。
平成1 9 年度に国庫補助事業の採択基準が見直さ れたこ と により 、 平成2 0 年度末
に、 簡易水道事業の課題と なっ ていた水道水の安定供給に必要不可欠な浄水場の建
設、 老朽化し た水道施設・ 設備の統廃合を含めた更新計画と し て、 簡易水道事業統合
計画書を作成すると と も に、 平成2 1 年3 月には、 統合計画の根拠と なる水道法に基づ
く 簡易水道事業経営変更認可を得ている。
今回、 統合計画に基づき施設整備を進め、 事業終了後の平成2 8 年度末に、 鬼無
里、 大岡、 信州新町、 中条の4 地区の簡易水道事業と 合わせて、 上水道事業と の統合
を図るも のである。
事
業
の
目
的
・
必
要
性
平成22年2月18日
戸 隠 簡 易 水 道 事 業
簡 易 水 道 再 編 推 進 事 業
平成2 2 年度∼平成2 5 年度
事 業 評 価 書 概 要
長野市戸隠・ 鬼無里地区
平 成 2 2 年 度
事 業 着 手 年 度
1 , 3 2 8 , 1 7 0 千円
事 業 主 体
事 業 箇 所
事 業 名
補 助 区 分
工 期
長 野 市
総 事 業 費
事 業 概 要
事
業
策
定
の
経
緯
・
内
容
戸隠簡易水道事業は、 現在2 5 箇所の水源を有し ている。
こ のう ち、 普通河川の掛札川を水源と する上楠川水源と 品沢水源は、 原水を急速ろ
過方式の浄水場で処理し て給水を行っ ているが、 夏場の渇水、 老朽化し た施設では豪
雨時に安定し た浄水処理が出来ないなど、 水道水の安定に支障をきたし ている状況で
ある。
本事業は、 塩素に耐性を持つ病原性微生物( ク リ プト スポリ ジウム) による汚染の恐
れがある水源を含めた1 2 水源と 老朽化が著し い4 浄水場を廃止し 、 新たに、 長野市上
水道事業の水源である戸隠水源から 取水し て、 膜ろ過方式の戸隠浄水場を建設すると
と も に、 戸隠地区と 鬼無里地区の一部を結ぶ連絡管を布設し 、 安全で安定し た水道水
の供給を図るも のである。
(1)コスト縮減
ア 工事コストの低減
・ 配管布設ルート選定において、ロードヒーティング部を避け、コスト低減を図る。 ・ 既設水源を最大限活用することにより、新規開発水源の費用の低減を図る。 ・ 既製品の利用を積極的に推進し、工事コストの低減と工期の短縮を図る。
イ 長期的コストの低減
浄水場の統廃合により、取水から配水までの一元管理を行い、施設更新など長期的コスト の低減を図る。
(2)代替案の検証
上水道飯綱浄水場から、7.4km上流の宝光社配水池へ送水管を布設する場合と、本事業 計画の戸隠浄水場を新設する場合との比較評価を行った結果、概算事業費・ランニングコスト の面で戸隠浄水場を新設した方が、経済的に安価であった。
(2)関連法手続き等の見通し
戸隠浄水場の建設予定地は、上信越高原国立公園内であるが、環境省戸隠自然保護官事務 所と協議を進めており、工作物の新築許可を得られる見通しである。
(3)工事工程
本事業は、平成22年度から平成25年度にかけて実施するものである。
(4)事業実施上の課題
本事業を実施する上で、管路布設延長が長く、地元住民の生活道路の公道に布設するため、 通行への配慮が必要となり堅実な実施計画を立て、事業を進めることが必要である。
(3)当該事業に係る水道事業者等の要望
水道事業者は、「安全」にして必要な浄水を「安定」的に供給するという使命を担っているが、近 年多くの水源で指標菌が検出され、上楠川水源及び品沢水源では、渇水による水量低下と、降 雨時の急激な濁度上昇に苦慮している状況から、代替水源の確保、給水区域の再編、浄水処理 施設の建設等、早急な整備が望まれる。
(1)用地取得の見通し
戸隠浄水場の建設予定地(A≒900㎡)は、地権者との立会いにより、取得が可能である。
(5)技術開発の動向
本事業では、浄水方法の比較検討を行い、総合評価の結果、無人運転が可能であり、確実な クリプトスポリジウム等病原性微生物の除去が可能であり、維持管理の面に優れた膜ろ過方式 による浄水方法を採用するものである。
(2)水源等の水質の変化
戸隠簡易水道には、水源が25箇所ありクリプトスポリジウムによる汚染の恐れがあると判断さ れる水質レベル3・4の水源が12箇所である。
また、上楠川・品沢浄水場については、施設の老朽化、渇水対策に苦慮しており、降雨時の急 激な濁度上昇を起こしている。国庫補助採択基準では、原水中に大腸菌等の検出に加え、浄水 濁度を0.1度以下に維持できない施設が対象である。上楠川浄水場では、浄水濁度が0.1度を越 えている月が多い状況にあり、品沢浄水場においては、年間を通じて浄水濁度が0.1度を超えて いる状況である。
事
業
採
択
前
の
事
業
を
め
ぐ
る
社
会
経
済
情
勢
の
変
化
採
択
後
の
事
業
の
進
捗
状
況
コ
ス
ト
縮
減
及
び
代
替
案
立
案
等
の
可
能
性
(1)水道事業の水需要の動向
給水人口は、平成10年度から19年度にかけて781人(年平均87人)減少しており、水需要も 給水人口の減少、節水意識の高まりと各種節水機器の普及などにより減少傾向となっている。
(4)関連事業との整合
本事業では、宝光社地区、西地区、鬼無里の一部に給水するための送水管等は、主要地方道 信濃信州新線の道路改良に合わせて一部布設する計画である。
事
業
の
投
資
効
果
分
析
︵
事
業
全
体
の
投
資
効
率
性
︶
■ 費用便益比の算定(評価の基準年度:平成21年度)
①費用便益比の算定について
「水道事業の費用対効果分析マニュアル」(厚生労働省健康局水道課)に基づき、換算係数法により「総 費用」、「総便益」を算定する。
②便益の算定
本簡易水道統合事業を実施しない場合において、需要者が独自に水を確保するための費用を2案算定し た。
ケース1の総便益(B)= 2,194,175千円(給水水質の改善のため、浄水器の設置等をした場合) ケース2の総便益(B)=10,941,535千円(井戸を建設し、水道と同等の維持管理を行う場合)
③費用の算定
費用については、建設費(導水、浄水、配水施設)、用地費、諸経費、維持管理費に換算係数を乗じて算 定した。
総費用(C )=1,935,812千円
④費用便益比の算定
「総便益」を「総費用」で除して、費用便益比を算定した。 費用便益比(B/ C ) ケース1の場合1.13>1.00 ケース2の場合5.65>1.00
費用便益費が1.0以上となることから、事業全体の投資効率性は妥当であると判断できる。