第 11 章 独占下の企業行動
11.1 独占や寡占が生じる理由
規制: 例えば手紙 (信書)
技術: 例えば需要と比較して固定費用が大きく限界費用が小さい産業
• 市場に供給者は少数で十分 → 自然独占
AC Q Cost
図 11.1: 平均費用の逓減
11.2 独占企業の行動 : 最適な生産量の決定
独占企業の特徴: 生産量とともに価格もコントロールすることができる (価格支配力がある)
• 競争相手となる企業がいないため
• ただし生産量を増やしすぎると、価格が下がって収入も減ることもある – 価格をにらみながら、生産量を調整する
例題 1: (1) 表を埋めよ
表 11.1: 生産費用 Q P T R M R
1 2, 000 2 1, 800 3 1, 600 4 1, 400 5 1, 200 6 1, 000 7 800 8 600
• 生産量を増やすと価格が低下
– より多くを売るためには価格が下がるのを受け入れる必要がある – 需要曲線は右下がりだから (需要に沿って価格が低下)
• 限界収入は、需要に沿って決まる価格より大きい幅で低下する – 限界収入曲線曲線は需要曲線より急勾配
– 価格低下は追加的な生産物だけでなく、すべての生産物の価格を引き下げるため
• (2)限界費用が生産量に関わらず一定で 0 の時、利潤が最大となる生産量を求めよ –
• (3)限界費用が生産量に関わらず一定で 1,000 の時、利潤が最大となる生産量を求めよ –
例題 2: 下記のグラフにおいて、独占企業が選ぶ生産量、価格を示せ
図 11.3: 需要曲線、限界収入曲線、限界費用曲線
例題 3: 需要関数が Q = 100 − 2P, 限界費用が MC = 10 のとき、独占企業が選ぶ生産量、価格を 求めよ
• M R = M Cを利用
• M Rを求めるためにその元となる T R = P Q を定式化する
• M R = dT R/dQなので T R を Q の関数として表す必要がある
• そのため需要関数を P = 50 − Q/2 と、P を Q の関数として変形 (逆需要関数)
• 結果、T R = (50 − Q/2)Q = 50Q − Q2/2, M R = dT R/dQ = 50 − Q – M Rの傾きが需要曲線の 2 倍急になっている
• M R = M Cより 50 − Q = 10。従って Q = 40
• Pを求めるためにこれを逆需要関数に代入すると P = 30
完全競争企業と独占企業の利潤最大化問題の違い: 試験問題上の違い
• 完全競争企業: MR = P が使える (自社が生産をいくら増やしても市場価格に影響ない) – 収入側がシンプルになるので、試験問題ではその分費用側 (TC) が複雑になる
• 独占企業: MR #= P (自社が生産を増やすと市場価格が下がるため)
– 収入側がシンプルでない分、試験問題では費用側 (TC) がシンプルになる
11.3 独占による社会的問題
消費者余剰の減少: 独占企業が消費者より余剰を奪う
• 完全競争の場合: 消費者余剰 = 面積 生産者余剰 = 面積
• 独占の場合: 消費者余剰 = 面積 生産者余剰 = 面積 – 独占企業が価格をつり上げているため
社会的損失の発生: 総余剰が減少する
• 独占の場合、デットウェイトロス (deadweight loss) = (完全競争の場合はない) – 価格をつり上げるために生産量を減らしているため
• 生産量が少なくなっている分、資源配分が歪められていると言える
P
MC a
b c d
f g h
i
11.4 課題
1. ある独占企業の限界費用曲線が MC = 3Q, および需要曲線が P = 20 − Q で示されたとす る。この企業が利潤最大化を行う場合の産出量を求めよ。
2. ある独占企業の需要曲線が P = 16 − 2Q, 平均費用曲線が AC = 13Q2−Q + 1で示されたと する。この企業が利潤最大化を行う場合の産出量を求めよ。
• ヒント 1: AC がわかれば V C がわかり、V C がわかれば MC がわかる。
• ヒント 2: Q2+ 2Q − 15 = (Q + 5)(Q − 3)
3. ある財の需要曲線が Q = 100 − 2P で表され、独占企業によって独占的に供給されていると する。この独占企業の費用関数が T C = 0.5Q2−10Q + 100であるとき、この独占企業の利 潤を求めよ。
4. 完全競争下の企業と独占企業を比べたとき、限界収入に大きな違いがある。完全競争下の企 業の限界収入と独占企業の限界収入の違いを簡単に説明せよ。
5. 独占企業の限界収入曲線は右下がりとなるが、その理由を述べよ。
6. 社会全体を考えたとき独占は望ましくないが、その理由を簡単に説明せよ。