東京 平成21年度
設問1(ミクロ・マクロ基礎) 小問1
1. (a)
(b)
完全競争均衡は予算制約下の効用最大化と需給均衡を同時に満たすような配 分なので
1 = yx22 =ppxy
px
pyx1+ y1= 10
px
py
px
pyx2+ y2= 10
x1+ x2= 10 + 0 y1+ y2= 0 + 10
を満たすような配分 したがって,これを解くと
((x1; y1); (x2; y2)) = ((5; 5); (5; 5)); p = 1 (c)
コアは任意の提携にも支配されない配分で、二人ゲームの時は提携はf1g; f2g; f1; 2g のみなのでコアはパレート効率的な配分でかつ個人合理性を満たす配分に一 致する.すなわち
1 = yx22 u(x1; y1) 10 + 0
u(x2; y2) 0 10 x1+ x2= 10 + 0 y1+ y2= 0 + 10
を満たすような配分 したがって,これを解くと
C = f ((x1; y1); (x2; y2)) j x1= y1 かつ 5 x1 10 g
2. (a)
a2 A1 : : : Anがナッシュ均衡であるとは
任意のi 2 I;任意のai 2 Aiについて
ui(ai; ai) ui(ai; ai)
が成り立つこと.
ここで,a i = (a1; : : : ; ai 1; ai+1; : : : ; an)である. (b)
ai2 Aiが弱支配戦略であるとは
任意のai(6= ai) 2 Ai;任意のa i2 A1 : : : Ai 1 Ai+1: : : Anについて
ui(ai; a i) ui(ai; a i)
が成り立ち,少なくとも一つ厳密な不等号が成り立つこと. (c)
定義からa = ( a1; : : : ; an)は
任意のai(6= ai) 2 Ai;任意のa i2 A1 : : : Ai 1 Ai+1: : : Anについて
ui(ai; a i) ui(ai; a i)
を満たす
ここで任意のa iについて成り立つのでaiについても成り立ち 任意のai(6=
ai) 2 Aiについて
ui(ai; a i) ui(ai; a i)
となる
a = ( a1; : : : ; an)の戦略の組では任意のiについて上が成り立つので 任意のi 2 I;任意のai 2 Aiについて
ui(ai; ai) ui(ai; ai)
となり,これはナッシュ均衡にほかならない
小問2 1.
(a)× :中間財なので算入されない
※ 付加価値の合計として考え,付加価値が確定されると考えると○ (b)○ :在庫は設備投資としてGDPに算入される
(c) × :生産の伴わない活動は算入されない(手数料のみ算入される) (d) × :国内の居住者たる労働者であるのでアメリカのGDPに算入される 2.(a) IS曲線の傾きが急(垂直に近く)なる
(b) IS曲線の傾きが緩く(水平に近く)なる 理由:IS曲線の傾きは
Y = 1 c1 I +1 c1 G dr
d Y = 1 c
I0
(c) LM曲線がある利子率より低いところでは水平になる(利子弾力性が 無限大になる)
(d) (名目利子率を縦軸にとっているときは)予想インフレ率上昇分だけ IS曲線が上にシフトする
(e) LM曲線の垂直になる部分が左にシフトする
理由:自然失業率が高まると完全雇用生産量の水準が減るしたがって,LM曲 線は完全雇用生産量の水準で垂直となるが,その水準が減るため垂直となる 部分が左にシフトする※ 自然失業率は期待インフレ率が0なので(d)の議論 は関係ない(と思う)
3. (a)
一株あたりの割引現在価値は
Ps = 1 + r100 +(1 + r)100 2+ : : :
= 1001r
であるので利子率が10%のときは1000円 (b)
同様にして今期の一株あたりの割引現在価値は P0=100 + P1 + r 1
であるいま利子率は10%で,来期は今期の5%上昇すると予想されている のでP1= 1:05P0
したがって
1:1P0= 110 + 1:05P0 より計算するとP0= 2000,P1= 2100
※ この状態を合理的バブルといってlimt!1Pt=(1 + r)tが0でないと起こる
設問3 小問1 1. (a)
需要の価格弾力性は
dX=X dP=P =
P X
1 dP=dX
= aXX aX1 1
= 1
(b)
完全競争では価格と限界費用が等しいように生産量が決まるので aX = c
X = (a
c
)1=
(c)
独占企業の利潤は
= aX X cX F
@=@X = 0より
X =(a(1 )c )1= P = 1 c (d)
同様に各企業の利潤は
i = a(∑ Xi) Xi cXi F
@i=@Xi= 0と均衡ではX1= : : : = Xn= Xとなるので a[( )(nX) 1X + (nX) )]= c
X = 1n
(a(1 =n) c
)1=
∑ X =(a(1 =n)c )1= P = c
1 =n (e)
このとき企業の利潤は
i= ( c
1 =n c )1
n
(a(1 =n) c
)1=
F
したがって企業の利潤が正ならば参入するので,均衡では企業の利潤は0と なるi = 0を整理すると
(a(1 =n) c
)
=(n(n )c + F)
上の式を全微分して整理すると
n
a =
n(n )
n(n(n )=c + F ) 1(2n ) a
2. (a)
ゲームを定式化すると
i 2 f1; 2g,si2 f1; 2; 3; 4; 5; 6g (i = 1; 2)
u1(s1; s2) = { 5 s0 1 (s1 s2) (otherwise) u2(s1; s2) =
{ 3 s
2 (s2> s1)
0 (otherwise) (b)
各プレイヤーの最適反応戦略は BR1(s2) =
{ f1; 2; 3; 4; 5g (s2= 6) s2 (otherwise) BR2(s1) =
{ f1; 2; 3g (3 s1 6) s1+ 1 (otherwise) ナッシュ均衡(s1; s2)は不動点すなわち
(s1; s2) 2 BR1(s2) BR2(s1) を満たすような点であるので(2; 2); (3; 3)
(c)
s2= 3はs2= 2に弱支配される(プレイヤー2の利得表を書いてみるとわか りやすい)ので(2,2)
小問2 1. (a)
計算するとr = 12 ; Y = 180 (b)
計算するとM = 80 (c)
計算するとP = 0:75 (d)
計算するとM = 100 (e)
P1 P0
P0 = 2
Y1 Y Y P0= 1; Y= 200; Y1= 220より
P1= 1 +15 = 65 M1= 100 65 = 120
としなければならない
来期以降も同様の水準にしたとき,同様にして価格は Pt = 65Pt 1 = : : :
(6 5
)t
P0= (6
5 )t
Mt = 100 Pt = 100(65)t
となり,増加し続けなければならない (f)
Pt+10 Pt0
Pt0 = et + 2 Yt Y
Y より(e)と同様にして
Pt+10 = (6
5+ te )
Pt0
Pt0=∏ (6
5+ te )
Mt0 = 100 Pt0= 100∏(65+ et)> Mt
となり,teの形成方法にも寄るが,tが正であるので少なくともet は正で あり,マネーサプライは(e)と比べさらに大きな値にしなければならない 2.
(a)
_k = (L_K)
= _KL K _LL2
= sKLL21 KLL_L
= sk nk
より下図 (b)
一人当り資本ストックの動学経路は下図
資本ストックの長期的な成長率は _K K = s
(L K
)1
= s(1k)1
= s (n
s )
= n
より貯蓄率に依らない.したがって長期的(一人当り資本ストックが定常状 態にあるような時)には影響はない
(c)
貯蓄は資本所得からのみされるので
_K = sFKK
= sY
したがって
_k = sk nk
よりこれは(b)とは逆に,貯蓄率がs からsに減少したことと同じ.した がって定常状態における一人当り資本ストックは減少する