近畿大学名誉教授
斎藤 峻彦
本レポートを読み、阪神高速道路(株)が「安全、安心、快 適」な都市高速道路の提供に向けて、それぞれの部署が 努力と工夫を重ね、さらにそれが会社全体の中で有機的 に結合され、さまざまな成果に結実しているとの思いを強 くしました。冒頭のページで幸社長が、ご自身が阪神高速 道路(公団時代、民営化以降)の中で取り組んでこられた 経験を振り返りながら事業の発展史を語り、将来目標を高 らかに掲げられた部分は印象的で、その中身はそれ以降 の各論と整合しており、さらに各種の事業内容や戦略的な 取り組み、あるいは社会貢献、低炭素化等のテーマに関わ る各種活動がていねいに紹介されていると思います。 阪 神高速道路は京阪神都市圏の住民生活や経済活動を支え る巨大な交通インフラで、事故を減らし渋滞を抑制するこ とは人口約1600万(オランダ一国の人口に相当)の大都市 圏に止まらず、関西圏全体の広域的な地域経済に大きな 利益を与えます。阪神高速道路が有する社会的共通資本 の機能に対し、社員の皆さんが深い理解と強い使命感を 持ち業務に取り組まれていることをレポート全体から感じ 取ることができました。
注文を加えれば、近年の阪神高速道路(株)が取り組ん でいる経営の効率化に関する説明を充実させた方がよい との印象を受けました。道路の建設、改築など資本費用の 縮減については詳しく解説されますが、事業経営の効率化 に対する取り組みの経緯、安全や安心に関わる費用効率 性の改善については慎重に対応してきた経過などをもう今 少し詳しく紹介しても良かったのでないかと思いました。 有料高速道路サービスは料金を対価に移動や輸送におけ る安全と速達を利用者に提供するサービスです。その実現 に関わるコストの認識を多くの人々に共有していただくこ ともレポートの1つの使命でしょう。レポートが紹介する新 料金制度の効果と成果を「料金の賢い3原則」に即して検 証することも今後に与えられた大きな課題です。高速料金 制度の魅力改善は、ミッシングリンクに関わる2大プロ ジェクトの早期事業化と並んで、京阪神都市圏や関西経済 の今後の発展および競争力の強化にとって欠かせない テーマをなすものです。この2つのテーマは、関係する事業 者や事業体が協働関係を築くことによりはじめて追求可能 となるチャレンジングなテーマでもあります。
関西経済の屋台骨を担う大事業、さらなるチャレンジを
取締役 兼 常務執行役員
東 潔
本レポートの発行にあたり、貴重なご意見をいただきありがとうございます。
阪神高速道路は開通50年、弊社は民営化10年を経て、新たなステージを迎えています。本レポート は、こうした中で発刊する初のCSRレポートですので、特に、阪神高速道路が関西の経済社会において どのような役割を担っているか、また、阪神高速グループ理念「先進の道路サービスへ」のもと、具体的 にどのような取り組みを行っているかを、ご理解いただけるものとすることに心を砕きました。こうし た点について、高い評価のお言葉をいただき、誠にありがとうございます。
ご指摘いただいた経営の効率化については、民営化以降、「安全・安心」に必要な管理水準を維持し
ながら、さまざまな取り組みを行ってまいりました。さらに、2017年度からは、「最高のお客さま満足」
に向け、「お客さま満足アッププラン」を策定し、グループ全体での経営の効率化をさらに進めながら、
その実現に努めていくこととしております。今後も不断の努力を重ねていくのは当然として、今後のレ ポートの作成にあたっては、ご意見を踏まえ、その取り組みをわかりやすく発信するとともに、ミッシン グリンクの解消に向けて事業化された新規路線や公平でわかりやすい「新たな料金制度」について、そ の進捗や成果についても、今後、CSRレポートを含めてさまざまな場面で情報を発信してまいります。
そして、このような情報発信とコミュニケーションを通じて、お客さまをはじめとするステークホル ダーの皆さまから信頼いただける企業であり続けられるようCSR経営を推進してまいります。
ご意見を受けて
第三者意見
(2017年6月)