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(1)

お問合せ先

茨城大学学術企画部学術情報課(図書館)  情報支援係

http://www.lib.ibaraki.ac .jp/toiawas e/toiawas e.html

T itle

青年が不満に感じた親の養育態度

A uthor(s )

大島, 聖美

C itation

茨城大学教育学部紀要. 人文・社会科学・芸術, 67: 89-101

Is s ue D ate

2018-01-30

UR L

http://hdl.handle.net/10109/13505

R ig hts

(2)

青年が不満に感じた親の養育態度

大島聖美*

(2017 年 8 月 31 日受理)

Parental Attitudes that Young People Dissatisied

Kiyomi Oshima*

(Accepted August 31, 2017)

はじめに

 これまでの親の養育態度に関する研究の蓄積は多く,ほとんどの先行研究に共通してみられる二 つの次元がある。一つの次元は子の行動面や心理面を管理する「統制」の次元であり,もう一つの 次元は子に対する受容や感受性,親子間の情緒的な絆や愛着などの「情緒的な関係性」の次元であ る。子の行動を適度に「統制」することは,問題行動を低減することにつながり,子の社会性の発 達や成長にとって重要な役割を担うものである(Maccoby & Martin, 1983)。

 Baumrind(1991a)は親の養育態度を応答性(responsiveness)と要求性(demandingness)の 二つの次元の高低によって①権威ある親(authoritative parents),②甘やかしの親(permissive or nondirective parents),③権威主義的な親(authoritarian parents),④放任的な親(rejecting-neglecting or disengaged parents)の4つの類型に分類している。応答性は先行研究の「情緒的な応答性」に 相当し,要求性は「統制」に相当する。権威ある親の養育態度とは,要求性と応答性共に高く,子 どもの行動に対して明白な基準を伝えて要求するが,侵入的ではなく,罰よりも支持的なしつけ方 略を用いるとされている。一方,甘やかしの親の養育態度は,応答性は高いが要求性は低く,子ど もに成熟した行動を求めず,対決を避けているとされている。反対に権威主義的な親の養育態度は 要求性が高いが応答性が低く,説明なしに子どもが自分達に従うことを期待しているとされる。放 任的な親は要求性と応答性どちらも低いタイプで,子どもの監視も支持もせず,子育てをほぼ拒否 している態度とされている。そしてBaumrind(1991b)はそれらの親の養育態度と若者の有能感や 自律性,社会性,問題行動との関連を検討し,権威ある親の子どもが最も望ましい特徴を多く持つ ことを示している。

 このような分類を踏まえKawabata et al.(2011)は,既存の養育尺度について多重コレスポンデ ンス分析を用い,四つの養育スタイル(クラスター)を見出した。一つ目は肯定的養育(positive

       

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parenting)であり,Baumrindの権威ある親の養育スタイルも含まれる,温かく,敏感で,応答的 な養育態度である。二つ目は心理的管理養育(psychologically controlling parenting)であり,これ はBaumrindの分類では示されなかった養育形態である。心理的管理養育は,子の心理的自律性を 阻害する親のコントロールを指し,感情的脅迫(例:親に不従順であれば,子に愛情を注がないと 脅す)や,子の罪悪感の誘発,過干渉などを含む。心理的管理養育は,子が自己を統制し,コーピ ングスキルを発達する機会を制限するため,社会的能力の発達を阻害すると言われている(Nelson et al., 2006)。三つ目は否定的・厳格な養育(negative/harsh parenting)であり,厳しく懲罰的な しつけが特徴的であり,Baumrindの分類の権威主義的な親の養育スタイルもここに含まれる。こ の養育スタイルでは親の敵意や強制が高く,虐待もここに含まれている。最後の養育スタイルは 無関係な養育(uninvolved parenting)であり,低い管理,モニタリング,一貫しない養育を指し, Baumrindの甘やかしの親の養育スタイルがここに含まれる。

 このような親の養育は,思春期の子どものメンタルヘルスにも影響を与え続ける(Steinberg, 2008)。親子関係は青年の様々な心理的・社会的問題(精神疾患や非行等)を防ぐ最大の要因であ るとも言われ(Garnefski, 2000),親の養育スタイルの重要性は思春期・青年期の子にとっても変 わらない。しかし,子の認知的発達に伴い,親から子への養育態度を見ていただけでは,重要なポ イントを見逃すことにつながりかねない。例えば,親による行動の統制はある時期までは若者のよ りよい適応を助けるものであるが,その時期以降は若者のメンタルヘルスに影響を与えなくなると いう研究モデルもあり,親による行動統制と子どもの適応との間には複雑で非直線的な関係性があ ることも示唆されている(Cummings et al., 2006)。また,青年の自己統制スキルは,親子関係の質と, 交互に影響し合いながら発達することも示唆されている(Farley & Kim-Spoon, 2014)。

 このような青年の様々なスキルの発達に伴い,親の養育態度が直接的に子に影響することは少な くなり,養育態度が青年の養育認知を通して間接的に影響することが増えていくようである。例え ば,渡邉・平石(2010)は,母親が継続的に理解・関心スキルを用いた関わりをすることが,思 春期の子どもの母子相互信頼感に影響を及ぼし,間接的に子どもの心理的適応に影響を及ぼすこと を示唆している。また,大島(2013)の青年期後期の若者を対象とした研究では,両親が認識す る「親から子への関わり」は若者の心理的健康と全く関連が無かった一方,若者が認識する「親か ら子への関わり」は若者の心理的健康に有意な影響があることが示された。島(2014)の大学生 を対象とした研究でも,親の養育態度をネガティブに評価していることが不安定な内的作業モデル につながり,内的作業モデルが不安定であることが社会的適応を困難にするというモデルが成立す ることを示している。さらに,受容や統制といった養育態度が,中学生の養育認知を介して,共感 性を高めるといった報告もある(浅野ら,2016)。

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方法

調査対象者:大学生1~2年生52名(男性21名,女性31名;平均年齢 = 19.5, SD = 0.92)を対

象とした。

調査方法:本調査は2015年1月から8月にかけて実施した,親共感プログラム(青年が親への視

点に立つためのプログラム)で使用したワークシートの①母親にしてもらって嬉しかったことや見 習いたいと思う点,②父親にしてもらって嬉しかったことや見習いたいと思う点に記入されたデー タを使用した。なお,父親もしくは母親がいない場合は,該当部分は空欄で構わないという内容の 注意書きをつけ,口頭でも説明を行った。

KJ法の活用:KJ法(川喜田, 1967)を用いて,筆者が熟達者の指導を受けながら,自由記述データ の構造化を行った。具体的には,まず元の自由記述データをテーマに関係がありそうな質に注目し ながら適切に単位化してラベルづくりを行った。その後それぞれについて,狭義のKJ法を用いて 構造化を行った。狭義のKJ法の手順は,「ラベルづくり」→「グループ編成」→「図解化」→「叙 述化」である。「ラベルづくり」後,多段ピックアップを経て精選されたラベルを元ラベルとして, 「グループ編成」を行った。「グループ編成」においては,ラベル群の全体感を背景として相対的な

質の近さを吟味して統合した。近さによってセットになったラベルには「表札」と呼ばれる統合概

念を与え,セットにならないラベルは「一匹狼」と呼ぶ。最終的に10個以下のグループに統合さ

れるまでこの「グループ編成」を繰り返す。その結果を図解として構造化する。グループになった ラベル群は「島」と呼ばれ,最終統合の各島には「シンボルマーク」と呼ばれる象徴的な概念を与 え,島と島との関係は関係線で示される。最後に,図解の内容を文章として叙述化する。

結果と考察

1)母親に対する不満

 研究協力者が主に思春期に母親に対して不満に感じたものを表にまとめたものが表1であり,図

解化した結果が図1である。なお,文中では元ラベルは「 」,小表札は< >,中表札は《 》,

大表札は【 】,シンボルマークは『 』で表している。また,図解上では見やすさの観点から小 表札以上のみを掲載し,小表札の末尾にある●は元ラベルが一匹狼であることを示す。

 大学生が母親に対して不満に感じたことを統合していくと二つの要素に集約された。それは『関 心が薄い母』と『一段上にいる母』の二つである。これらについて,以下に説明する。

『関心が薄い母』:大学生はこれまでに<きょうだいと異なる対応をされた>こと,<頑張ったのに

認めてくれなかった>こと,また進路の時やつらい時に気にかけてもらえないという《重要な局面 で放っておかれた》ことに不満を感じていた。これらに共通する要素として子である【自分に関心 を示してくれなかった】ということがある。

『一段上にいる母』:二つ目の不満の要素は【自分を対等な存在として見てくれなかった】というも

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表1 母親に対する不満の表札とラベル

大表札 中表札 小表札 ラベル

自分に関心 を示してく れなかった

きょうだいと異なる

対応をされた きょうだいと異なる対応をされた

何かと兄達と比べられた

自分に携帯を買うのは遅かったのに妹に対しては早 く、平等ではない

酒に酔った母が泣いたり吐いたりして、妹には大好き と言いながら、私には「好きじゃない」と言ってきた

頑張ったのに認めて

くれなかった 頑張ったのに認めてくれなかった

母の通訳をしてあげているのに、帰ってきてからこ う言ってほしかったと言われた

少し休憩している時に「また遊んでる」と小言を一 方的に言われた

手伝いをしたのに認めてもらえなかった

重要な局面で放って おかれた

進路について放って おかれた

あまり自分の進路に口を出さず、関係なさそうだった 大学に落ちた時に自分でもどうしていいかわからず苦し かったのに、母が私に決定権と責任を押し付けてきた

つらい時に放ってお かれた

学校や部活のことで相談した時に聞き流された 父母の代わりに来ていた祖母と考えが合わず母に当 たり散らした

自分に関心を持ってくれない

お腹が痛いと訴えたのに、心配してもらえなかった 色々うまくいかなくて参っていた時に自分の誕生日 を忘れられた

自分を対等 な存在とし て見てくれ なかった

まるで子どものよう にうるさく言われた

周りと比べて子ども 扱いされた

高校生にも関わらず、小学生のように過保護に声を かけてきた

22時位に帰ったら「遅い」と怒られ、子ども扱いされた

うるさく命令してき た

家事についてとてもうるさく言ってきた

将来について早いうちから考えて決めておけとしつ こく言われた

余 計 な こ と に 首 を 突っ込まれた

友人について口出し された

楽しみにしていたイベントが友人から連絡がなく消 滅し、その後友人のことで母からとても怒られた レベルの低い子と付き合うのはやめろと言われた

頼んでいない部活の ことで注意された

頼んでもいない試合のことで注意され、反発したら 怒られた

自分のプレーに対してどうこう言われた

部活の愚痴を言っていたら、部活のことを知らない 母がいろいろと意見を言ってきた

授業参観中に他の子

を注意していた 授業参観中に他の子を注意していた

母の非を認めてくれ

なかった 母の非を認めてくれなかった

自分の体調のために霊感商法にだまされた母とケン カした

母が自分の言動の非を認めず、逆ギレされた

気持ちを理解せず頭

ごなしに叱られた 問答無用で叱責された

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大表札 中表札 小表札 ラベル

自分を対等 な存在とし て見てくれ なかった

気持ちを理解せず頭 ごなしに叱られた

問答無用で叱責され た

命令口調で一方的に話すため反論の機会がないとと もに反論する気が失せる

プールをさぼっていたことがバレて家から出された 学校に親が呼び出さ

れて、よく叱られた 学校に親が呼び出されて、よく叱られた

つらい時に母の意見 を押しつけられた

つらい時に心無い小 言を言われた

つらいことがあった時に小言を言われた

自分でもよくわからず、焦っていたのに、テストの 点数で叱りつけてきた

受験の時に勉強もせず、塾も休みがちとなり怒られた 学校を辞めたとき、母から心無い小言を言われた

学校に行けない自分 の気持ちは無視され た

自分の気持ちを理解せず、何度も学校に行くように 言ってきた

学校に行きたくない気持ちを理解してくれず、自分 の意見ばかり押し付けてきた

学校に行けない自分の気持ちや状況を理解してほし かった

学校を休みたいと言ったら、気持ちを理解せずに無 理に引っ張って部屋から出されそうになった

やりたいことをやら せてくれなかった

なぜかしたいことを させてもらえなかっ た

やりたいこと(勉強)があるのに、その気持ちを理 解してもらえず、手伝いを強制された

自分が一番やりたい方(部活)をやらせてくれない 塾に通わせてほしいと話しているのに、自分の気持 ちがわかってもらえない

友人の家に泊まることを「ダメ」の一点ばりで許し てくれなかった

進学先を選ばせてく れなかった

高校受験の際に希望していない学校を勧められた 進路に関して完全否定はしないが、肯定もしてくれな い

進路について親と意見が異なった

受験で行きたい高校を考えていたら、親がこの高校 に絶対行くように言ってきた

進路相談で自分の行きたいところより上の高校へ行 くように言われた

家族旅行に行きたく ないと言った時に母 に家族で行くから意 味があると怒られた

家族旅行に行きたくないと言った時に母に家族で行 くから意味があると怒られた

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解をする余地が与えられなかったことを指す。

 《このような気持ちを理解せずに叱られた》という体験は,同じく頭ごなしという点において《つ らい時に母の意見を押しつけられた》ことと関連している。<つらい時に心無い小言を言われた> り,<学校に行けない自分の気持ちは無視された>ことは,大学生となっても自分の存在が無視さ れた体験として心に残っている。同様に《やりたいことをやらせてもらえなかった》ということも, 自分の意見が無視された体験として想起されている。<なぜかしたいことをさせてもらえなかった >というように,理由がよくわからないものから<家族旅行に行きたくないと行った時に母に家族 で行くから意味があると怒られた>というような母親からの説明があるものまである。<進学先を 選ばせてくれなかった>という,進路に特化した小表札もある。これらに共通するのは,やりたい と子側から意志表示したにも拘わらず,それが無視されたということである。

 以上の【自分に関心を示してくれなかった】こと,【自分を対等な存在として見てくれなかった】 ことから,子の母親に注目してもらえなかった,成長しつつある自分を理解してもらえなかった,と いう気持ちが読み取れる。そこで,図のタイトルを[ありのままの私(子)を見てくれない母]とした。

図1 ありのままの私(子)を見てくれない母

2)父親に対する不満

 続いて,大学生が父親に対して不満に感じていることを統合していくと,『鈍感で不器用な父』,

『突然の父親面』,『大人げない父』,『家庭の独裁者』という四つの要素に集約された(表2)。これ

らの関係について図示したものが図2である。以下にこれら四つについて説明する。

『鈍感で不器用な父』:一つ目の不満は,【自分の気持ちを理解してくれなかった】ということである。

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きている様子がここに垣間見える。そのボタンの掛け違いがより大きくなったものが,《自分の意 志を伝えたが理解してもらえなかった》,《自分でもわかっているのに,さらに追い打ちをかけられ た》という体験であろう。特に,<進路について自分の意志を伝えたが理解してもらえなかった>, <自分なりに頑張っているのに追い打ちをかけられた>という体験は,子にとって自分の意志や努 力が認められなかったということであり,よりショックが大きかったと予想される。

『突然の父親面』:二つ目の不満は,父親から【普段は言わないのに突然口出しされた】という体験

である。これは,子の気持ちへの理解や関心が薄く,鈍感さといった要素も含まれるため,『鈍感 で不器用な父』と関連が強い。『突然の父親面』はそれらに加え,自分に今まで直接向き合ってく れなかった父が,突然父親のような態度を取ったが,結局自分(子)のことは理解してくれていな かったというものである。《何も知らない父にいきなり叱られた》,<自分と直接向き合わず間に母 を挟まれた>という体験は,子の“父に自分のことをよく知り,直接向き合ってほしい”というメッ セージが裏にあると考えられる。

『大人げない父』:三つめの不満は,父親から【子どものような自分勝手な態度を示された】ことで

ある。<ちょっとしたことで不機嫌な態度をされた>り,<父の自分勝手な態度で(自分も含め) 家族が迷惑した>りといった体験は,父親に対して大人げないとあきれている子の気持ちが垣間見 える。しかし,この大表札は他の大表札と比較すると,一番深刻さは低いように思われる。

『家庭の独裁者』:四つ目の不満は,【自分と母の気持ちを踏みにじられた】というものである。<

自分の気持ちを無視され叩かれた>という体験は,いわゆる体罰に当たるものであり,これは理由 がはっきりしているかどうかに拘わらず,子に与えるダメージがとても大きいことが窺える。叩か れたということは,“お前が悪い”と一方的にレッテルを貼られ,こちら(子)の気持ちは完全に 無視されたという体験であると思われる。また,<父の母に対する心無い態度にさらされた>とい う体験も,子の気持ちが完全に無視された体験である。父親が<母に対して横柄な態度をとった> り,<母親の不満点や罵倒を耳にさせられつづけた>りしたことは,子にとって直接的な影響はな いかもしれないが,子の母親に対する好意という気持ちを無視していると考えられる。この大表札 は,父親の自分勝手な態度がエスカレートしたものとして,『大人げない父親』と関連していると 考えられる。さらに,突然子の気持ちを無視してネガティブなことをするという点で,『突然の父 親面』とも関連すると思われる。

 以上の四つの大表札から,自分(子)のことを何も知らず,理解しようとしてくれない,自分勝 手な父の態度が浮かび上がってきた。そこで図のタイトルを,「私(子)を知らなすぎる自分勝手 な父」とした。

表2 父親に対する不満の表札とラベル

大表札 中表札 小表札 ラベル

自分の気持 ちを理解し て く れ な かった

思春期の繊細な気持 ちに気付いてくれな かった

思春期の繊細な気持 ちに気付いてくれな かった

友人と楽しく帰っているときに、父が声をかけてきた 小学生とか園児とかがしているくじを高校生で無理 やりやらされ、とても恥ずかしかった

iphoneを買ってもらったが、アプリを入れるのを自

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大表札 中表札 小表札 ラベル

自分の気持 ちを理解し て く れ な かった

自分の意志を伝えた が理解してもらえな かった

進路について自分の 意志を伝えたが理解 してもらえなかった

この学校に行きたいと言ったが、父がそこまで行き たいという気持ちが伝わらず、行かせる気はないと 強く言ってきた

将来の進路のことで話し合ったところ、自分の意見 を尊重してもらえず、親の理想ばかりを押し付けら れた

どの大学に進学するか家族会議しているとき、父に 自分の気持ちを分かってもらえなかった

携帯の機種変更で、 スマホにしたいと力 説しても買わせてく れなかった

携帯の機種変更で、スマホにしたいと力説しても買 わせてくれなかった

そっとしておいてほ しい時にしつこくさ れた

勉強しろとしつこく 言われた

勉強しろとしつこく言ってきた

自分のペースで勉強したかったのに父に「もっと勉 強しろ」と言われた

母親の死をひきずり 家から出なくなった 時に父に呼びかけら れた

母親の死をひきずり家から出なくなった時に父に呼 びかけられた

不登校になった時に 父親がどうしてと何 回も言ってきた

不登校になった時に父親がどうしてと何回も言って きた

自分でもわかってい るのに更に追い打ち をかけられた

自分なりに頑張って いるのに追い打ちを かけられた

最低レベルの高校しかいけなさそうな自分にキレた 父がどなってきた

進路について悩んでいるとき、自分なりにがんばっ ているのに、父がレベルが高い大学とか大声で言う 声が聞こえてきた

一番必死にやっていた部活でスランプになっていた 時、今のままではダメと分かっているのに、勉強も 部活もだめじゃんと言われた

友達とけんかした時 に相談をしたら友達 をかばうようなこと ばかり言われた

友達とけんかした時に相談をしたら友達をかばうよ うなことばかり言われた

普段は言わ ないのに突 然口出しさ れた

何も知らない父にい きなり叱られた

何も知らないくせに いきなり口出しされ た

提出物を出さなかったことがバレて先生の前でもの すごく叱られた

普段父親は体調のことに関して口を出さず、何も理 解してくれていないくせに、突然口出ししてきた お父さんは野球なんかまったくやってなかったのに、 えらそうに上から目線で発言する

学校に行きたくない理由を知らないくせに無理強い をしないでほしかった

いつもは何も言わないのに、いきなり父親らしく母 と一緒に勉強しろと言ってくる

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大表札 中表札 小表札 ラベル

普段は言わ ないのに突 然口出しさ れた

何も知らない父にい

きなり叱られた 父の誤解で叱られた

塾が終わり親を電話で呼んだが親の車が見当たらず、 しばらく経って最初に止まっていた車が親の車だと 気がつき、乗ったら、親がすごく怒っていた

自分と直接向き合わ

ず間に母を挟まれた 自分と直接向き合わず間に母を挟まれた

自分が勉強していないことに対して、叱る相手を自 分ではなく母親に対して言っていた

受験勉強が最近たるんでいるのではないかと母を通 して言われる

子どものよ うな自分勝 手な態度を 示された

ちょっとしたことで 不機嫌な態度をされ た

ちょっとしたことで 不機嫌な態度をされ た

友人と遊びに行ったまま朝帰ってくることもあり、 朝玄関開ける音がうるさいといわれた

学校が終わり、家にも帰らず友人とずっと話して、 家に帰ったら怒鳴りあげられた

私が高校の寮から実家に帰るのに、最終のバスに乗 り遅れて父に1時間くらいかけて迎えに来てもらっ た時、すごく不機嫌だった

遊びに行ってくると言っただけで、毎回不機嫌そう に「ええ?」とか言われていた

父の自分勝手な態度 で(自分も含め)家 族が迷惑した

自 分 勝 手 な 態 度 で (自分も含め)家族

が迷惑した

父に頼まれてゆで卵を作ったのに、お礼もいわず、 不満を言ってきた

初めて父が腹を立てて怒ったことがあって、でもそ の原因は父にあったので、まずは自分を見直せよと 怒った

家族で出かけた時に自己中な行動(先に行く、別行 動をする)で母親を困らせたり、集団行動を乱した。 父が仕事のことでイライラしていて、それが家族の前 でもイライラしていた

仕事をやめた時期があり、家でゴロゴロしているか パチンコ行って遊んでいた時に、忙しいからと家の 仕事を俺にやらせようとした

自分と母の 気持ちを踏 みにじられ た

自分の気持ちを無視

され叩かれた 自分の気持ちを無視され叩かれた

父からの虐待などで不登校になり、ケンカや拒絶が 大きく話さなかった

友だちと遊んでいた時に学校から連絡があり、なに も言わずにけられた

家の暗黙のルールをやぶった時に父がブチ切れ、「シ ネ!」と言ったらビンタされた

頬をぶたれた時、どうして誰も分かってくれないん だろうと思った

家の自室で飼っているインコを放鳥した時に、ふす ま等の張替をしようと父親がドアを開け、私が怒り くるって、ほっぺたたかれた

父の母に対する心無 い態度にさらされた

母に対して横柄な態 度を取った

母親に対して命令や文句しか言わなかった

父と母の毎晩のように行われるケンカで父が母に暴 力をふるった

父が母にやつあたりするから、家族の関係が崩れた 母親の不満点を2人

でいる時に、常時た れながし、罵倒を耳 にさせられつづけた

母親の不満点を2人でいる時に、常時たれながし、

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図2 私(子)を知らなすぎる自分勝手な父

総合考察

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と訴えるが,<母の非を認めてくれなかった>ために,徐々に無法化する。そして《つらい時に母 の意見を押しつけられた》,《やりたいことをやらせてくれなかった》という不満は,完全に母が青 年の縄張りを侵している状態である。この時,青年の権限は小さくなり,母の権限がとても大きく なっているというアンバランスな状態であると推察される。

 父親に対する不満としては,【自分の気持ちを理解してくれなかった】,【普段は言わないのに突 然口出しされた】,【子どものような自分勝手な態度を示された】,【自分と母の気持ちを踏みにじら れた】の四点が明らかとなった。【自分の気持ちを理解してくれなかった】という大表札は,<思 春期の繊細な気持ちに気づいてくれなかった>という小表札と《そっとしておいてほしい時にしつ こくされた》,《自分の意志を伝えたが,理解してもらえなかった》,《自分でもわかっているのに, さらに追い打ちをかけられた》という中表札から成る。<思春期の繊細な気持ちに気づいてくれな かった>ことや《そっとしておいてほしい時にしつこくされた》ことは,母親の《まるで子どもの ようにうるさく言われた》や《余計なことに首を突っ込まれた》という表札と同じく,父に自分(子) が成長していることに気づき,縄張りに入り込んでほしくないという青年の気持ちが伺える。ここ で母親と異なるのは,繊細さに気づかない,そっとしておいてほしい時にしつこいという,鈍感さ とタイミングの悪さがある。さらに《自分の意志を伝えたが,理解してもらえなかった》という体 験は,父親の鈍感さを一層際立たせる。そして《自分でもわかっているのに,さらに追い打ちをか けられた》ことで,父親のタイミングの悪さ,不器用さが顕著となる。

 このように『鈍感で不器用な父』は,『突然の父親面』を見せる。つまり,【普段は言わないのに 突然口出し】する。これは母親の図解化には見られなかった要素である。《何も知らない父にいき なり叱られた》ことは,普段は子とのコミュニケーションが少なく,自分(子)のことを何も知ら ないであろう父親が,突然父親の役割は叱ることだと言わんばかりの態度で叱られたということで あろう。また<自分と直接向き合わず間に母を挟まれた>には,子が父に直接子と向き合ってほし い,よく知ってほしいとのメッセージが隠れているように思われる。

 また【子どものような自分勝手な態度をされた】という体験も,母親の図では見られなかったも のである。<ちょっとしたことで不機嫌な態度をされた>ことや<父の自分勝手な態度で(自分も 含め)家族が迷惑した>ことによって,子は“父が自分勝手で困る”と訴えつつも,どこかユーモ アも感じられる。それは,父も同じ人間なんだということに気づいた幻滅感と同時に安心感を青年 が抱いているからかもしれない。

 しかし,そのような自分勝手な態度は行き過ぎると,青年の心に暗い影を落とすようだ。<自分 の気持ちを無視され叩かれた>体験は,青年からすれば父親の自分勝手な体罰であり,何ら教育的 な意味はない。《父の母に対する心無い態度にさらされた》という体験も,父の自分勝手さ,鈍感 さの極みであり,青年は【自分と母の気持ちを踏みにじられた】と感じている。

(13)

れる。同様に,父親から《そっとしておいてほしい時にしつこくされた》こと,《自分でもわかっ ているのに更に追い打ちをかけられた》ことは,過保護・過干渉の一形態であると考えられる。ま た《自分の意志を伝えたが理解してもらえなかった》ことも親側からの強い主張という意味で,心 理的管理養育に該当すると思われる。

 続いて否定的・厳格な養育に分類されると考えられるのが,母親から《気持ちを理解せず頭ごな しに叱られた》ことと《つらい時に母の意見を押しつけられた》ことである。これらは,子の人権 に対する配慮が極端に少なく,心理的な虐待とも考えられる。父親から《何も知らない父にいきな り叱られた》ことも同様であり,<自分の気持ちを無視され叩かれた>ことに至っては,身体的虐 待の要素も含んでいる。一方,無関係な養育に分類されると考えられるのが,母親から<きょうだ いと異なる対応をされた>こと,<頑張ったのに認めてくれなかった>こと,《重要な局面で放っ ておかれた》こと,父親が<思春期の繊細な気持ちに気づいてくれなかった>ことである。これら は,青年が親に注目してもらえなかった,敏感に気持ちを感じとってもらえなかったと感じており, 親は自分に無関心だと思っていることを示している。

 このような共通点が多い中で,先行研究の養育態度の分類には当てはまらない要素も見られた。 まずは,父親が<自分と直接向き合わず間に母を挟まれた>という要素である。この要素は父親が 母を父子の間に仲介者や責任者として置き,母にネガティブなことを言わせたり,言ったりするこ とを含んでいる。これは,父に間接的に叱られたという新たな養育態度の形態と考えられる。また, 養育態度とは言い難いが,父親に<ちょっとしたことで不機嫌な態度をされた>ことと<父の自分 勝手な態度で(自分も含め)家族が迷惑した>ことも,既存の概念に当てはまらない。しかし,こ れらの態度は青年の不満を高めるものであり,少なくとも青年はこのような父親の態度に注目して いる。そう考えると,普段の子の目の前で繰り広げられる親の態度はすべて養育態度と言えるのか もしれない。最後に,《父の母に対する心無い態度にさらされた》ことであるが,これもいわゆる 養育態度ではない。しかし,これは青年に直接的な害を及ぼさないにも関わらず,青年を深く傷つ ける。そういった意味で,広い意味での養育態度であるとも考えられる。また,すべての新しい概 念が父親への不満から出てきたことを踏まえると,これまでの既存の研究は母親の養育態度に力点 を置いてきたと考えられる。今後は,父親の養育態度も含めた養育に関する研究の発展が望まれる。

謝辞

 本研究の一部はマツダ財団の研究助成を受けて行われました。深く感謝致します。

引用文献

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Baumrind, D. 1991a. “Parenting styles and adolescent development”. In R. M. Lerner, A. C. Petersen, & J. Brooks-Gunn (Eds.), Encyclopedia of Adolescence vol.. NY: Garland Publishing.

(14)

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表 1 母親に対する不満の表札とラベル 大表札 中表札 小表札 ラベル 自分に関心 を示してく れなかった きょうだいと異なる対応をされた きょうだいと異なる対応をされた 何かと兄達と比べられた 自分に携帯を買うのは遅かったのに妹に対しては早く、平等ではない酒に酔った母が泣いたり吐いたりして、妹には大好きと言いながら、私には「好きじゃない」と言ってきた頑張ったのに認めてくれなかった頑張ったのに認めてくれなかった母の通訳をしてあげているのに、帰ってきてからこう言ってほしかったと言われた少し休憩している時に「ま
図 2 私(子)を知らなすぎる自分勝手な父 総合考察  本研究では,大学生が思春期の頃に父母に対して不満に感じたことに関する自由記述の構造化に より,いくつかの親の好ましくない養育態度が明らかとなった。母親に対する不満として,【自分 に関心を示してくれなかった】ことと,【自分を対等な存在として見てくれなかった】ことの二点 が明らかとなった。【自分に関心を示してくれなかった】という大表札は,<きょうだいと異なる 対応をされた>こと,<頑張ったのに認めてくれなかった>こと,《重要な局面で放っておかれた》 ことか

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