Ⅷ 企業債 1.概 要
水道事業において、配水施設の整備改良工事は、企業債の発行による借入を 大きな財源としている。過去 5 年度における堺市水道局が発行している各企業 債残高は下記表のとおりであり、未償還残高は徐々に減少している。
なお、堺市水道局が発行している企業債は以下の 5 種類である。
① 上水道拡張事業債 : 給水人口、給水量の規模拡大をおこなうた め の 新 た な 上 水 道 施 設 を 築 造 す る 拡 張 事 業 のための起債
② 配水管整備事業債 : 既存の経年配水管の更新・改良を行い上水 道施設の機能を維持するための起債
③ 配水施設整備事業債 : 既存の経年配水管及び配水池等の更新・改 良 を 行 い 上 水 道 施 設 の 機 能 を 維 持 す る た め の起債
④ 旧泉北地区上水道事業債: 大阪府企業局が行った泉北ニュータウン造 成事業で発行した起債を事業完成に伴い、昭 和 60年に大阪府から事業とともに引き継い だもの
⑤ 庁舎建設事業債 : 水道局南部営業課、南部給水サービス課が 執務している、南地域の支所(南支所)の建 設負担金を対象として発行した起債
(単位:円) 種別 平成 9 年度 平成 10 年度 平成 11 年度 平成 12 年度 平成 13 年度
未償還残高 未償還残高 未償還残高 未償還残高 未償還残高 上水道拡張事業債 11,162,721,337 10,490,077,735 9,820,121,054 9,125,529,531 8,410,536,502 配水管整備事業債 5,825,501,691 5,403,719,031 5,001,066,134 4,604,093,795 4,179,064,569 配水施設整備事業債 19,472,151,960 20,346,094,592 20,990,006,525 21,335,056,428 21,539,695,589 旧泉北地区上水道事業債 585,424,290 518,716,183 447,117,802 370,267,643 287,777,269
各企業債別の年次企業債発行額及び償還額は下記表のとおりである。 堺市水道局が近時発行している企業債は配水施設整備事業債のみであり、平
成 10 年度以降、発行額より償還額が上回っている事実が読み取れる。
(単位:円)
種別 平成 9 年度 平成 10 年度
企業債発行額 償還額 企業債発行額 償還額
上水道拡張事業債 0 634,234,392 0 672,643,602 配水管整備事業債 0 385,074,802 0 421,782,660 配水施設整備事業債 1,292,000,000 188,770,208 1,106,000,000 232,057,368 旧泉北地区上水道事業債 0 62,154,291 0 66,708,107
庁舎建設事業債 0 0 0 0
計 1,292,000,000 1,270,233,693 1,106,000,000 1,393,191,737
平成 11 年度 平成 12 年度 平成 13 年度
企業債発行額 償還額 企業債発行額 償還額 企業債発行額 償還額 0 669,956,681 0 694,591,523 0 714,993,029 0 402,652,897 0 396,972,339 0 425,029,226 1,037,000,000 393,088,067 ①791,900,000 446,850,097 ②756,100,000 551,460,839 0 71,598,381 0 76,850,159 0 82,490,374 0 1,686,617 0 10,058,099 0 16,988,558 1,037,000,000 1,538,982,643 791,900,000 1,625,322,217 756,100,000 1,790,962,026
①起債前借 328,600,000 を含む ②起債前借 225,300,000 を含む (注)起債前借とは、起債対象事業の完成までに事業費の支払に充てる資
金を借り入れる制度をいう。
年度別企業債平均利率は下記表のとおりである。
年度別平均利率 (単位:%)
平成9年度 平成10年度 平成11年度 平成12年度 平成13年度
2.監査手続
平成 13 年度の、堺市水道局についての企業債の支払利息及び企業債取扱諸費 は、1,758,903,595 円を計上するに至っており、支出の中における割合も相当高 くなっているといえる。
その利率は固定金利制で企業債の発行年月日が以前のものほど利率が高い傾向 にある。そこで、借換、繰上償還等の措置をとり発行年月日が古い企業債を償還 することが可能であれば、企業債の利息負担が軽減されることとなるため、堺市 水道局が企業債の利息負担を軽減するための努力をなしているか否かについて検 討した。
3.監査の結果
(1) 借換及び繰上償還を任意になすことができない理由
この点、地方公営企業法等の特別法に借換及び繰上償還について公営企業 金融公庫等の承認が必要であるとする規定は存在しない。
企業債は、私法上は民法上の金銭消費貸借契約といえ、私法の一般法であ る民法はその第 136 条第 2 項において「期限の利益はこれを放棄することを 得。但これがために相手方の利益を害することを得ず」と規定し、債務者の 期 限 の 利 益の 放 棄 が 相手 方 の 利 益を 害 す る とき は 損 害 賠償 を す べ き旨 定 め ている。
よって堺市水道局が期限の利益を放棄するとき、つまり償還終期が到来し ていないにもかかわらず、全額を借換、又は繰上償還により返済するときは、 債権者である公営企業金融公庫等は、本来であれば得られたであろう償還終 期 ま で の 支払 利 息 を 収受 で き な くな る と い う意 味 に お いて 損 害 が 発生 す る から、堺市水道局としては将来利息を損害賠償しなければ、借換や繰上償還 できないこととなる。
公営企業金融公庫からの企業債については長期貸付借用証書の裏面特約条 項に「借入団体は、公庫の承認を得て借入金の残部又は一部を繰上げ償還す ることができる」とされており、繰上償還は公庫の承認が必要である。 また、財務省からの企業債については長期貸付借用証書の裏面特約条項に
「借入団体は、財務大臣の承認を得て借入金の残部又は一部を繰上げ償還す ることができる」とされており、繰上償還は財務大臣の承認が必要である。 こ の よ う に 契 約 当 事 者 の 合 意 に お い て も 繰 上 げ 償 還 は 公 営 企 業 金 融 公 庫
このような私法上の法律関係から、堺市水道局から公庫及び財務大臣の承 認を得ない任意の借換、繰上償還が許されないこととなる。
(2) 借 換
① 公営企業金融公庫からの企業債について
公営企業金融公庫からの企業債についての借換債の運用については「平成 13 年度の公営企業借換債の取扱について」との通知に従いなされている。こ の企業債の借換制度は、資本費及び給水原価が全国平均を大きく上回ってお り、収益性の著しく悪化している水道事業について、借換債を利用すること により、金利負担の軽減を図ることを目的としたものである。
この通知には、上水道高料金対策借換債の運用について下記のとおり定め ている。
記 ア 借換債の対象事案
末端給水事業
末端給水事業で次のア及びイに該当する事業を対象とする。 ア 平成 11 年度における有収水量 1㎥あたりの資本費が 127 円以上で
あること
イ 平成 11 年度における有収水量 1㎥あたりの給水原価が 216 円以上 であること
イ 対象企業債→利率で7.0%以上
この点、堺市水道局について上記①アの数値は 90.27 円、上記①イの数値 は 181.41 円であり、堺市水道局の水道事業は平成 13 年度の借換債対象該当 事業ではないこととなる。
② 財務省
財務省からの企業債については借換債の制度ない。
(3) 繰上償還
繰上償還とは「借り入れた資金の全部又は一部を所定の期限前に繰り上げて 償還すること」をいう。
① 公営企業金融公庫について
A 借入金により取得した資産を処分し、又は他の用途に転用すること となった場合
B 借入後において、事業の中止、縮小又は国庫補助金の収納等により、 借入資金に不用額を生ずることとなった場合
C 地域開発事業等で、当該事業が完成し、造成用地等の売却事業が総 事業費に達する等、資金剰余を生じた場合
D 公庫が個別審査のうえ、特に認めた場合
イ 補償金制度による繰上償還について 平成 13 年に制度化
平成 13 年 6 月 1 日以降の新規貸付分から、地方公共団体が一定の補償金 (繰上げ償還に伴い公庫が損失を受ける額)を支払うことにより、繰上げ 償還を行うことが出来ることとなった。
補償金額は、本来なら、借入地方公共団体が将来支払う予定の利息相当 額(繰上償還日から最終償還日までの利息相当額)となるが、繰上げ償還 された資金は、それ以降公庫において、新たな貸付資金等として運用する こととなるため、この運用利益相当分を繰上げ償還を行うこととなった時 点で割り引いた額と繰上げ償還額との差が補償金額となる。
② 財務省について
公営企業金融公庫の場合とほぼ同様
③ 堺市水道局では上記①アAの繰上げ償還を下記表のとおり行っている。 その余の繰上げ償還は行っていない。
償還先 公営企業金融公庫
償還理由 公営企業金融公庫から資金を借り入れ、昭和52 年度から昭 和56年度までの 5年間に配水管更生事業として実施した配水 管を管路近代化と耐震性の強化を図るため布設替えしたため 平成 9 年度 平成 10 年度 平成 11 年度 平成 12 年度 平成 13 年度 平成 14 年度
償還額 50,494,960 円69,194,531 円34,915,046 円 4,788,507 円 5,496,314 円 4,055,696 円
布設替延長数 4,132m 6,349m 4,739m 762m 1,015.28m 668.37m
還を行っていない。
この点平成13 年度においては堺市水道局は借換、繰上償還いずれの方法も利 用することが事実上不可能であり、このような方法により、支払利息負担を減 少させなかったこともやむをえなかったものといえる。
しかしながら、上記借換債の運用は年度ごとに変更されており、今後その条 件を満たすようになれば借換債の利用により支払利息を軽減させる措置をとっ ていくべきである。
Ⅸ 固定資産等の購入・売却・維持管理及び減価償却は適正に実施されているか。 1.固定資産の購入・維持管理及び減価償却は適正に実施されているか。
(1) 概 要
水道事業の経営は巨額な設備投資が求められ、かつこれを管理運用するに伴い 毎年度多額の修繕費、減価償却費等の維持管理費が必要とされる。また新規の事 業計画に対して取得する新しい設備投資、老朽化した在来の固定資産の除却、そ れに伴う代替資産の取得がなされる。
これら固定資産の購入・維持管理及び減価償却が適正に実施されているかどう かについて調査分析した。
(2) 監査手続
① まず、堺市の水道事業の財務諸表に占める固定資産について、5ヵ年分を 時系列に展開し分析を行った結果は(本項末尾に掲載している資料 1、本項 での資料の表示は以下同様)の通りである。総資産に占める固定資産の比率 は過去平均で 85.5%、直近の平成13 年度は 90.0%である。特に維持管理コ ストの必要な建物、構築物、機械装置等(以下有形償却資産という)につい ては、過去平均で 80.8%、直近平成 13 年度では 82.6%と総財産の大部分を 占めている。
ア 過去の固定資産の増加割合
最近の固定資産に対する投資状況を分析した結果は(資料 2)の通りであ る。毎年 2%前後とコンスタントな増加傾向をたどっている。平成13 年度の 目立つ数値には新庁舎新築敷地の購入費(相手先堺市)2,140,000 千円が含 まれている。
過去5年間の固定資産の増加額は9,250,000 千円(増加割合14.5%)、そ の内維持管理が必要な有形償却資産の増加額は 6,120,000 千円(増加割合 10.0%)と、金額とその比率は増加傾向にある。
イ 資金移動の状況
その他の固定資産では、送配水管が顕著で、その他は送配水管を除いて構 築物、機械装置、量水器、車両運搬具、工具器具備品とも目立ったものはな く、反対に帳簿価額では前年比で減少しているものも見受けられる。 ウ 修繕費についての分析
修繕費の推移は、(資料4)のとおりであり、各年度の修繕費に変動がある。 とりわけ、平成 11年度以後は毎年のように減少している。それは、平成11 年度以後計理基準の変更により、それまで収益として認識していた「移設工 事収入」を平成 11 年度より資本剰余金(資本取引)とすることになり、その 結果、対応する配水管修繕費はすべて資産(資本的支出)として計理される ことになったのが大きな原因の一つである。
また、平成9 年度、平成 10 年度、平成 13 年度の予算と執行額(決算合計 額)の乖離が大きく、平成 9 年度から平成 13 年度まで年間平均 200,000 千円 (予算額の12.81%)5 ヵ年の合計金額が 990,000 千円の予算の不用額が生じ ている。平成 11 年度からの執行額は修繕引当金(将来の修繕費の見越し)を 含めての予算対執行額である。
エ 減価償却費についての分析
減価償却費の各年度の予算と執行額の過去5 年間の推移は(資料5)の通 りである。対予算と執行額の乖離は、暦年の差異等特に目立った問題点はな い。
固定資産除却費の各年度の予算と執行額の差は 50,000 千円前後である。収 支全体から見ればそのウエイトは僅少である。
② 実地監査
ア 有形固定資産の取得費の計上について
有形固定資産として計理するものは「土地、建物、構築物、機械及び装置、 量水器、自動車その他、原動機による運搬具、送配水管、建設仮勘定並びに 耐用年数が1 年以上であって取得価額 10 万円以上の工具、器具及び備品」と されている(地方公営企業会計規程準則(以下「準則」という。)第 67 条、 堺市水道局会計規程(以下「会計規程」という。)第 96条)。
番号 勘定科目 資産の名称 検収等の 日
支払日 税抜き取得金額 (円) 1 土 地 水道局新庁舎用地 13.4.1 14. 3.29 2,138,000,000 2 構 築 物 配水設備(浅香山) 14.3.31 建設 仮勘
定振替
9,982,406
3 車両運搬具 軽自動車(四輪) 13. 6.12 13. 6.29 8,383,700 4 工具・器具 情報ネットワーク用パソコ
ン(64台)
13. 7.16 13. 8.15 8,702,700
5 機械・装置 脱臭式ドラフトチャンバー 13.10.12 13.10.31 3,457,076 6 工具・器具 水質試験棟試験台 同 同 3,360,359 7 工具・器具 水質試験棟クリーンベンチ
(殺菌灯)
同 同 912,923
8 工具・器具 水質試験棟耐震保管庫 同 同 778,462 9 工具・器具 水質試験棟ユニット流し台 同 同 691,180 10 送配水管 送配水管(改良費) 14. 3.31 建設 仮勘
定振替
平成 13 年度の修繕費について下記の通り抜取り監査を実施した。監査件数 は下記の 10 取引について下記の内容を、総勘定元帳、契約書(倉出伝票)、 支出伝票、領収書を逐次確認した。
勘定科目 修繕費の内容 契約日 支払日 支払額(円) 1 浄配水費 修繕費 配 水 管 理 セ ン タ ー 外 水 運
用 管 理 計 算 機 設 備 保 守 点 検
13.04.01 14.04.15 5,717,250
2 浄配水費 同 水 道 局 竣 工 図 等 管 理 シ ス テム保守業務
13.04.01 毎月払 4,815,431
3 浄配水費 同 東 山 制 御 所 自 家 発 電 設 備 改修工事
13.09.18 14.03.29 2,368,800
4 浄配水費 同 浅 香 山 浄 水 場 ほ か 計 装 設 備保守点検
13.10.10 14.01.31 12,180,000
5 浄配水費 同 家 原 寺 配 水 場 ほ か 電 算 機 部品の取替修理
13.11.19 14.01.15 2,499,000
6 浄配水費 同 配 水 管 理 セ ン タ ー 水 運 用 管 理 計 算 機 設 備 部 品 取 替 修理
14.01.28 14.04.30 3,675,000
7 浄配水費 配 水 管 修 繕費
維管修第N801 号勇橋外水 管橋塗装修繕工事
13.12.13 14.03.29 4,641,000
8 給水費 量 水 器 取 替費
量水器の倉出 (7 月分)
13.07.31 振替伝票 10,918,967
9 給水費 同 テ レ メ ー タ ー 用 端 末 設 備 補修工事
13.11.01 14.04.15 1,959,025
10 総係費 修繕費 水 道 局 情 報 シ ス テ ム 保 守 点検業務
13.04.01 13.5.31 2,239,020
③ 修繕引当金についての監査
る。
修繕引当金計上基準は次のとおりである。
ア 平成 12 年度から 16 年度までは原則として、過去 5 ヵ年(平成 6年度∼10 年度)の修繕引当金対象経費の平均額を予算額として、執行額との差額を引 当金に繰入、予算を超える執行額が発生した時は引当金を取り崩す。平成 17 年度以降の予算は積立状況並びに財政状況を勘案して決定する。尚、引当金 限度額は有形減価償却資産の簿価の 1%とする。
イ 平成 11年度は補正後の予算から執行額を控除した額250,000千円を引当 てた。平成 12 年度は前記引当基準による平均額を予算額とし、執行額との 差額230,000千円を計上、その結果、平成 12年度末引当金残高(累計引当 金)は 480,000 千円となった。
ウ 平成 14 年 1 月 31 日の管理者決裁文書(1 月 31 日起案文書分類記号W1032) により過去の修繕引当金繰入基準を変更して、平成 17 年度までの間、引当 金限度額を550,000 千円として、平成 13 年度の引当可能額 70,000 千円を繰 り 入 れ る ( 限 度 額 を 550,000 千 円 と し た 算 出 根 拠 は 、 旧 修 繕 費 予 算 額 1,030,000 千円と新予算基準額890,000千円の差額約140,000千円に4年度 分(平成 14 年度から 17 年度分)を乗じた額、即ち 550,000 千円と計算した。)。
④ 有形固定資産の減価償却費についての監査
減価償却の計理規定は、発生主義会計に基づき、地方公営企業法施行令(以 下「令」という。)第 11 条第 2 号は、「減価償却費については減価償却を行う べき日の属する年度」と規定され、かつ同法施行規則第6 条並びに第 7 条以 下にはその実施方法について規定されている。
特に同施行規則、第 8条第 4 項には資本的支出に対する「取得資産価額の みなし規定」また同第5 項には法定耐用年数その他減価償却費の計算実施に 対する管理者の弾力的な裁量権が定められている。
減価償却費の計算に関して、固定資産台帳に基づき平成 13 年度分の次の各 項目について確認した。
A 当該固定資産の取得費
前述の通り、平成13年度の取得固定資産10件の抜取り監査をした結果 の通りである。
B 耐用年数とその適用
両及び運搬具、工具、器具及び備品、送配水管の各勘定科目について各々 20 件を抜取りの方法で確認した。
C 減価償却の方法並びに減価償却計算の実施
施行規則第 7 条∼8 条(会計規程第 113 条∼116 条)の規定に基づき、上 記の方法で抜取り監査した。その結果は次のとおりである。
○ 減価償却の方法は諸規程どおり、原則としてすべての有形固定資産
は定額法を採用している。ただし、量水器については取替法を採用 している。
○ 特別償却並びに施行規則第 8 条第 3 項の特例的減価償却はなかった。
○ 減価償却の実施は当該固定資産の取得(編入)した翌年度(会計規
程第 114 条)から実施している。
○ 同施行規則第 8 条第 4 項の規定による、補助金、負担金による「み
なし減価償却」を実施していない。 ⑤ 実在固定資産確認等の監査
家原寺配水管理センター実地確認
平成 14 年 11 月 13 日午前 9 時 30 分から当該配水管理センターの固定資産 の実地確認を実施した。確認固定資産は固定資産台帳より予め抽出した当該 配水センター所在固定資産を資料として、当該配水管理センター備付け固定 資産台帳と照合し、所在確認を行った。但し、地中の配水管と使用中の軽自 動車 11 台については、車検証、自賠責保険証の写しその他の文書を机上で確 認した。
(3) 監査の結果
① 固定資産の取得費
総勘定元帳、契約書、支払伝票、領収書、事務費配分表等入念に照合した が適正に計理処理されていた。尚、浅香山の配水設備(前掲有形固定資産表 番号 2)は本体価額に間接費を含め、また送配水管は一旦建設仮勘定に受入 計算され且つ完成分を送配水管勘定に振替の計理がなされていた。
② 資本的支出の合理的基準の明文化
して計理を行っている。しかしながら、当該計理判断は客観的測定基準が無 く、おおむね主観の介在を否めない。できる限り客観的な判断基準を会計規 程に明文化する必要があると思料する。例えば「公営企業の経理の手引」(財 団法人地方財務協会)にはその指針が記載されている。また客観的且つ明瞭 に資本的支出であるとの判断ができる取引を除き、金額基準、又は本体固定 資産の取得費の 10%以上等、簡易な取扱基準や法人税基本通達等も斟酌すべ きである。
③ 修繕引当金の計上と引当基準の変更についての改善
平成 10 年度までは修繕引当金は計上されていなかったが、従来からの検討 を踏まえ、平成 11 年度よりその計上が実施された。
平成 11 年度並びに 12 年度は平成 12 年 3 月 21 日付の承認文書の旧基準に 基づき2年度で合計 480,792 千円の修繕引当金が計上されている。当該引当 金の額は平成12年度の修繕費執行額の 54.9%、当年度末の有形減価償却資 産簿価の 0.74%となる。
平成 14 年 1 月 31 日付承認文書で上記の引当基準が大きく見直され、平成 13 年度末の修繕引当金累計額の限度額が、それまでの有形減価償却資産簿価 の 1%から 5.5 億円となった。当該金額は平成13年度修繕費実執行総額の 67.0%、同年度末の有形償却資産の 0.82%となった。
平成 14 年度以降は、改定した新基準に従い予算の計上を行った上で、予算 残額が生じれば繰入を実施することになるが、すでに平成13 年度末に限度額 までの繰入を行ったことから、取崩がなければ、予算額に残額が生じても繰 入は行わない。仮に取崩の必要が生じた場合には、翌年度以降、予算額に残 額が生じれば限度額までの繰入を行うということになっている。
上記のとおり、修繕引当金基準については、修繕費の実執行額の変動によ り短期間(3 年間)で大きく経理処理基準を設定、改定しているが、今後 5 ヶ年ぐらいのスパンで、中期の計画を立案して、適正な基準を設定すべきも のと思料する。
④ 減価償却費の計上について
監査結果は法令に基づき適正に実施され、未償却等の非違はなかった。適
正に執行されている。
上記現場で監査した物件は、地中の配水管及び軽自動車(使用中のため書 類監査のみ)を除きすべての物件の実在を確認した。その結果問題はなかっ た。
⑥ その他
その他、財務書類の机上監査、現場における監査実施の結果改善事項等は 別として特に指摘する問題点はない。
(4) 意 見
① 固定資産に対する投資計画と資金計画の必要性
今後とも送配水管に対する大きな設備投資、企業債の償還や平成 14 年度完 成の新庁舎に対する投資等を原因として、特に平成 11 年度から 13 年度末に かけて、2 年間に約 50 億円の資金需要が生じている。この事から将来に向か っての設備投資に対する資金の運用(キャッシュフロー)を含めて中長期の 堅実な計画が必要と思われる。
② 修繕引当金の計上の基準
修繕引当金の計上基準についても、より適正なものにするため見直しを実 施することは重要なことであるが、短期間に改定が頻発すると、継続性の原 則が失われることになる。特段の事情のない限り、5 ヶ年くらいの期間で中 期の計画を立案して基準を設定すべきものと思料する。
③ 減価償却の計算方法の改善
減価償却の実施の方法等で当該固定資産の売却や除却に際して異常な損失 が計上される場合があるが、特にそのような事実も発見されないので、概ね 適正であると思料する。但し、耐用年数が短く、減耗の激しい固定資産(例 えば車両等)にあっては定率法の採用や取得年度(編入年度)からの減価償 却の実施も検討する必要がある。
④ 家原寺配水管理センターの遊休施設等について
と将来の利用可能性を踏まえて、将来とも利用可能性のない物件は撤去し、 除却等を検討する必要性がある。
固定資産監査参考資料
資料 1 過去5ヵ年の有形償却資産・その他固定資産・流動資産・総資産の推移等
(金額単位は千円)
年 度 区 分 平成 9年度 平成 10年度 平成 11年度 平成 12年度 平成 13年度 5ヵ年平均
①有形償却資産 60,914,403 62,158,341 63,876,280 65,208,387 67,032,932 63,838,069
(構 成 割 合 ) 80.4% 80.8% 80.1% 80.0% 82.6% 80.8%
② その 他 の 固 定 資 産 2,840,534 2,863,542 3,361,283 3,508,820 5,973,827 3,709,601
(構 成 割 合 ) 3.7% 3.7% 4.2% 4.3% 7.4% 4.7%
③ 流 動 資 産 12,008,177 11,922,937 12,480,291 12,804,778 8,155,840 11,474,405
(構 成 割 合 ) 15.8% 15.5% 15.7% 15.7% 10.0% 14.5%
資 産 総 額 75,763,114 76,944,820 79,717,854 81,521,985 81,162,599 79,022,074
(構 成 割 合 ) 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0%
平成13年度合計資産の構成比 5ヵ年の合計資産の構成比
平成 13年度
①有形償却資産 ②その他の固定資産 ③流動資産
5ヵ年平均
資料 2 2−1過去5ヵ年の固定資産増加と増加割合と平均
(金額単位は千円)
年 度 別 平成9年度 平成10年度 平成11年度 平成12年度 平成13年度 5ヵ年平均
有 形 固 定 資 産 63,513,805 64,786,181 67,014,358 68,509,163 72,810,876 67,326,877
年 間 増 加 額 1,981,802 1,272,376 2,228,177 1,494,805 4,301,713 2,255,775
年 間 増 加 率 103.2% 102.0% 103.4% 102.2% 106.3% 103.4%
内 償 却 資 産 60,914,403 62,158,341 63,876,280 65,208,387 67,032,932 63,838,069
年 間 増 加 額 1,949,035 1,243,938 1,717,939 1,332,107 1,824,545 1,613,513
年 間 増 加 率 103.3% 102.0% 102.8% 102.1% 102.8% 102.6% (金額単位は千円)
(金額単位は千円)
2−3過去5ヵ年の有形減価償却資産増加額
2−2 過去5ヵ年の有形固定資産増加額
0 1,000,000 2,000,000 3,000,000 4,000,000 5,000,000
平成9年度 平成10年度 平成11年度 平成12年度 平成13年度 5ヵ年平均
0 500,000 1,000,000 1,500,000 2,000,000
平成 14 年度中に予想される固定資産の投資
資料 3 (上段取得価額 下段カ ッコ書きは帳簿価額) (金額単位は千円)
14 年度末予算貸借対照表 13 年度末貸借対照表 増減金額(投資予想額)
4,646,312 4,644,486 1,826
土地
(4,646,312) (4,644,486) (1,826)
6,695,091 2,924,867 3,770,224
建物
(5,865,204) (2,166,225) (3,698,979)
10,600,147 10,425,735 174,412
構築物
(7,405,454) (7,408,285) (△ 2,831)
6,972,381 6,947,465 24,916
機械装置
(2,423,082) (2,752,288) (△ 329,206)
1,012,845 992,801 20,044
量水器
(562,390) (545,556) (16,834)
110,583 107,562 3,021
車両・運搬具
(39,456) (42,958) (△ 3,502)
377,743 343,511 34,232
工具・器具
(100,107) (89,043) (11,064)
80,889,689 76,899,940 3,989,749
送配水管
(56,936,118) (54,028,576) (2,907,542)
865,904 1,133,459 △ 267,555
建設仮勘定
(865,904) (1,133,459) (△ 267,555)
112,170,695 104,419,826 7,750,869
合計有形固定 資産
資料 4
(金額単位は千円)
各年度 平成9年度 平成10年度 平成11年度 平成12年度 平成13年度 5ヵ年平均
予 算 計 上 額 2,162,228 2,030,152 1,265,703 1,093,679 1,178,282 1,546,009
決 算 計 上 額 1,763,160 1,757,556 1,223,198 1,106,684 890,296 1,348,179
内 修 繕 引 当 金 0 0 250,258 230,534 69,208 110,000
内 執 行 額 合 計 1,763,160 1,757,556 972,940 876,150 821,088 1,238,179
決算額対予算比 81.54% 86.57% 96.64% 101.19% 75.56% 87.20%
執行額対予算比 81.54% 86.57% 76.87% 80.11% 69.69% 80.09%
過 剰 予 算 額 399,068 272,596 42,505 △ 13,005 287,986 197,830
過 剰 予 算 対 決 算 額 22.63% 15.51% 4.37% △ 1.48% 35.07% 15.98%
(但し、税込金額) 修繕費過去5ヵ年の予算と執行額
(抽出修繕費は各年度分の収益費用明細書の修繕費の総額.但し給水費の量水器取替費を含む)
資料 5
(金額単位は千円)
各年度 平成9年度 平成10年度 平成11年度 平成12年度 平成13年度 5ヵ年平均
減 価 償 却 費 予 算 額 2,240,844 2,265,739 2,289,336 2,336,718 2,388,409 2,304,209
減 価 償 却 費 執 行 額 2,183,313 2,234,145 2,285,733 2,345,207 2,390,524 2,287,784
執 行 対 予 算 比 97.43% 98.61% 99.84% 100.36% 100.09% 99.29%
固 定 資 産 除 却 費 予
算 193,480 148,782 149,048 167,636 166,565 165,102
固 定 資 産 除 却 費 執
行 130,397 90,871 112,167 133,057 109,677 115,234
執 行 対 予 算 比 67.40% 61.08% 75.26% 79.37% 65.85% 69.80%
2.水道局庁舎建設及び資金調達
( 1) 水道局庁舎建設の概要
水道局新庁舎は、平成 11 年に基本設計、同 12 年に実施設計、同 13 年 6 月に着工、
同 14 年 11 月 29 日竣工、同 15 年 1 月 6 日から新庁舎で業務が開始されている。所
在地は、堺市百舌鳥梅北町 1 丁 39 番地の 2、庁舎棟は地下 1 階地上 5 階建、別館棟
2 階建、立体駐車場棟 4 階建、延べ床面積 12, 381 ㎡である。建設費用は堺市所有の
元三国ヶ丘市場跡地の買収費用(買収面積 8, 264 ㎡)2, 140, 000 千円、庁舎建設費
用 3, 710, 000 千円(税込み)、合計 5, 850, 000 千円(税込み)である。
水道局庁舎は、従来、本庁の管理部門、向陵分館(プレハブ 2 階建)における営
業部門と維持管理部門、浅香山浄水場事務所棟における事業実施部門などと分散し
ていたが、分散棟は老朽化が進行し、耐震構造上も問題があるうえ、効率的な組織
運営を行い、災害時に市民のライフラインを保持するため、地理的条件、拠点的機
能等を具備する前記土地に新しく建設されることになったものである。
ところで、その財源としては、建設改良積立金(約 1, 100, 000 千円)をはじめ浅
香山浄水場用地、向陵分館用地、旧日置荘浄水場用地、浅香山官舎用地等の局有財
産を処分してこれに充てることが予定された。ところが、阪神高速大和川線建設計
画が延期され、浅香山浄水場用地、向陵分館等の売却が当初の予定どおり実現しな
かった。そのため、建設資金については当面自己財源でこれを賄うこととされた。
そこで、資金繰りの状況を中心に財務面からその分析を行った、その詳細はつぎの
資金運用と調達の項で検討する。
( 2) 資金運用と調達
イ 監査手続
平成 10 年度から同 13 年度の貸借対照表から資産、負債、資本を時系列に分析、
当該時系列貸借対照表から過去 3 年分の各年度の資金運用表を作成し、平成 10
年度から同 13 年度の財務から 3 ヵ年間の資金移動の実態を分析した。
また、資金関連について水道局担当者にヒアリングを行い、資金繰りの現状と
今後について確認した。資料に基づき平成 11 年度から同 13 年度の各年度分まで
資金運用と調達過程を分析した結果は、本項末尾に掲載した「3 ヶ年資金運用表」
のとおりである。
ロ 監査の結果
① 3年間を通じて資金(現金預金)が 4, 360, 000 千円の減少(平成 11 年度
630, 000 千円の増加、12 年度 220, 000 千円のマイナス、13 年度は 4, 770, 000
② 基礎資本の過不足は 3 ヶ年で調達資金 18, 440, 00 千円、運用は 19, 620, 000
千円、その差額 1, 180, 000 千円のマイナス。固定資産投資が 15, 040, 000 千円
と目立っている。
③ 財務資本の過不足は 3 ヶ年で企業債での調達資金は 2, 590, 000 千円、企業
債の償還資金が 4, 960, 000 千円、その差額 2, 370, 000 千円のマイナスとなっ
ている。
④ 運転資本では現金預金を除く、流動資産と流動負債差額 820, 000 千円のマ
イナスとなっている。
過去 3 ヶ年で 4, 360, 000 千円の資金減少、特に平成 13 年度には 4, 770, 000
千円の資金減少が発生している。
これらの大きな原因は、上記新庁舎の敷地と庁舎建設費の資本的支出である。会
計処理については指摘すべき問題点はないが、平成 14 年度において支出される新庁
舎建設工事の建設資金を含めて厳しい資金繰りが予想される。
( 3) 意 見
新庁舎建設は計画策定の段階で慎重に検討されたが、上記概要の項で述べた建設
の趣旨目的は合理的であり、指摘する点はない。
しかし、当初の資金計画が阪神高速大和川線建設計画の延期に伴い、平成 14 年中
に浅香山浄水場等遊休地など予定されていた売却処分が実現しなかったため、資金
面で厳しい状況にある。当初予定していた遊休資産の売却については、適正な価格
で早期に処分するよう努めるとともに、資金面での今後の見通し等を検討したうえ、
3
ヵ
年
資
金
運
用
表
(
単位:
千円)
金額は千円単位未満四捨五入のため金額は不合 平成11年度 平成12年度 平成13年度 3ヵ年合計
当期純利益 0 0 0 0
引当金の増加 494,258 385,534 269,208 1,149,000
減価償却費 2,297,685 2,357,369 2,402,686 7,057,740
自己資本金の増加 0 0 2,087,565 2,087,565
国庫補助金の増加 53,095 60,952 89,524 203,571
工事負担金の増加 2,178,772 1,892,218 1,991,539 6,062,529
受贈財産評価額 240,335 200,750 173,194 614,279
加入金の増加 424,964 383,066 374,192 1,182,222
各種積立金の増加 10,900 0 73,303 84,203
計 5,700,009 5,279,889 7,461,211 18,441,109
当期純損失 164,276 724,549 1,599,109 2,487,934
固定資産増加 4,513,366 3,837,012 6,692,238 15,042,616
各種積立金の減少 0 0 2,087,565 2,087,565
計 4,677,642 4,561,561 10,378,912 19,618,115
1,022,367 718,328 △ 2,917,701 △ 1,177,006
企業債 1,037,000 791,900 756,100 2,585,000
計 1,037,000 791,900 756,100 2,585,000
企業債償還 1,538,983 1,625,322 1,790,962 4,955,267
計 1,538,983 1,625,322 1,790,962 4,955,267
△ 501,983 △ 833,422 △ 1,034,862 △ 2,370,267
流動資産の減少 68,605 0 0 68,605
流動負債の増加 36,968 439,582 0 476,550
計 105,573 439,582 0 545,155
流動資産の増加 0 547,540 118,049 665,589
流動負債の減少 0 0 696,375 696,375
計 0 547,540 814,424 1,361,964
105,573 △ 107,958 △ 814,424 △ 816,809
625,958 △ 223,052 △ 4,766,987 △ 4,364,081 過 不 足
現金預金の増減 項 目 等
基
礎
資
本 調
達
運
用
過 不 足
財
務
資
本 調
達
運
用
過 不 足
運
転
資
本 調
達
運
3.棚卸資産の購入・維持管理は適正に実施されているか。
( 1) 概 要
貯蔵品として管理されるのは量水器と工事材料の 2 点である。特に量水器の入
出荷が多量であり当該量水器の受払いを中心に監査を行った。
( 2) 監査手続
① 机上の監査
机上では当該貯蔵品の数値のみしか確認できない。総額は 55, 679 千円、当
該年度末の総資産 81, 160, 000 千円に対して 0. 069%と極めて僅少であるが、
量水器の取引状態を確認する為に現地取引の監査を行った。
過去 5 ヵ年の貯蔵品の数値を、貸借対照表から確認すると次の通りである。
(単位:千円)
平成 9 年度 平成 10 年度 平成 11 年度 平成 12 年度 平成 13 年度 5 ヵ年の平均
117, 125 136, 543 85, 850 61, 068 55, 679 91, 253
② 現場監査手続
ア 年度末貯蔵品の確認
資料によれば平成 13 年度決算の貯蔵品の内訳は、量水器 36, 242 千円、
工事材料 19, 436 千円、合計 55, 679 千円となっている。
また、量水器が全体の 65%で上記の通り量水器の受払いを中心に取引を
監査、総勘定元帳の貯蔵品残高、実地棚卸表の金額の照合、棚卸明細の検
算、抽出した期中受払い取引の確認等を実施した。
イ 期中取引の監査(量水器)
期中の仕訳の抽出を行い、借方勘定の受入取引(新規購入、修繕による
中古量水器の評価)と貸方勘定の払出し取引(新規取付け、量水器取替勘
定)の仕訳並びに相手勘定の受入処理等を確認した。量水器の計理処理は、
仕入(購入時)に貯蔵品勘定に受入、必要に応じて新規取付けは「量水器
購入費」(資産勘定)に旧量水器の取替は「量水器取替費」(費用勘定)に
計理されている。
ウ その他の監査(建設材料)
その他は工事材料(復旧資材の補修用パッキン、特殊配管、使用不能な
配管等)で年度末時点では将来若干の使用可能性を残しているが事実上使
を平成 14 年 6 月 28 日付(6 月 28 日承認)で廃棄(除却)した。理由は、
使用見込みが立たないことと水道局の新庁舎移転に際して保存場所と管理
費用の節減にある。当該除却費は 19, 304 千円、尚、除却の方法については、
入札方式により売却処分されている。
エ 貯蔵品管理の現況
管理資料の一部「貯蔵品所要調書」(会計規程第 34 号様式、平成 14 年 6
月 24 日から同 8 月 2 日付け)と総勘定元帳の受払状況を監査。
( 3) 監査の結果
監査の結果、特に問題となる点はない。
平成 11 年以降の貯蔵品在庫減少の理由は、同年度より建設工事材料の購入は必
要以外購入せず、特に同 12 年以降は、工事材料の購入を中止して、材料込みの委
託工事に移行したものである。現状でも最小限、必要量の購入はあるが、極めて
僅少であり、購入の都度費用処理している。
( 4) 意 見
貯蔵品の受払い等は適正に処理されていた。廃棄(除却)された工事材料につ
いては、貸借対照表に相当長期間にわたり計上していたが、コスト・パフォーマ
ンスを念頭に、購入、保管、管理、除却を適切に処理すべきものであり、その点
4.遊休資産の管理・売却は適正に行われているか。
( 1) 概 要
堺市水道局が所有する不動産のうち、水道事業に利用されていない遊休資産は、
下記のとおり 22 筆存在している。
区 分 所 在 地 面 積 (m) 用 途 方 針
片 蔵 778- 1 291. 25 旧 片 蔵 ポ ンプ 場 用 地 高 尾 3丁 3299- 2 364. 91 旧 檜 尾 山 加 圧 ポ ンプ 所 用 地 鉢 ヶ峯 寺 448- 3 103. 01 旧 鉢 ヶ峯 寺 加 圧 ポ ンプ 所 用 地 常 磐 町 3丁 5- 2 57. 57 旧 常 磐 さく井 原 水 導 水 管 用 地 常 磐 町 3丁 5- 6 86. 84 旧 常 磐 第 1号 さく井 用 地 常 磐 町 3丁 12- 6 111. 23 旧 常 磐 第 4号 さく井 用 地 草 尾 719- 5 52. 79 旧 登 美 ヶ丘 加 圧 ポ ンプ 所 用 地 草 部 721- 1 188. 08 旧 草 部 浄 水 場 用 地
北 花 田 町 4丁 106- 3 330. 03 旧 北 花 田 第 13号 さく井 用 地 日 置 荘 西 町 230- 1 1, 563. 24 旧 日 置 荘 浄 水 場 用 地 北 花 田 町 4丁 99- 1 268. 54 旧 北 花 田 第 14号 さく井 用 地 常 磐 町 3丁 15- 4 162. 62 旧 常 磐 第 2号 さく井 用 地 向 陵 西 町 1丁 8- 1 6, 265. 49 向 陵 分 館 用 地
香 ヶ丘 町 5丁 20 1, 066. 02 旧 浅 香 山 公 舎 用 地 香 ヶ丘 町 5丁 79- 1 70, 826. 00 浅 香 山 浄 水 場 用 地 大 美 野 160- 2 128. 72 旧 登 美 丘 第 3取 水 場 用 地 豊 田 3058- 1外 1筆 445. 33 旧 豊 田 駐 車 場 跡 地 原 山 台 1丁 14- 28 1, 039. 60 旧 原 山 台 庁 舎 用 地 福 田 535- 6 398. 09 旧 福 田 公 舎 用 地 鳳 南 町 3丁 220- 1 1, 570. 50 旧 鳳 営 業 所 用 地
日 置 荘 西 町 23- 3 364. 19 旧 日 置 荘 第 2水 源 池 用 地 草 部 721- 1 735. 01旧 草 部 浄 水 場 用 地 そ の 他
水 道 局 遊 休 地 一 覧
平 成 14年 度 売 却 済 (入 札 )
売 却 予 定 地
サ ー ビス公 社 へ 賃 貸
平 成 14年 度 売 却 済 (随 意 契 約 )
平 成 15年 度 以 降 売 却 予 定 (入 札 及 び 随 意 契 約 )
( 2) 監査手続
上記遊休資産の管理が適正に行われているか、また、公売手続、随意契約等の
売却手続きが適正に行われているかについて監査を行った。
( 3) 監査の結果
① 堺市水道局が所有する遊休資産の管理、売却状況を分類すると、公売、随意
契約、賃貸、その他に分類される。(上記「水道局遊休地一覧」参照)。
② 公売
遊休資産のうち、6 筆の不動産について、平成14 年度に公売が実施された。
そのすべてに応札があり、いずれも同年 11 月 19 日までに売買契約が締結され、
の手続きについては、すべて市有地の公売要領に従って適正に行われ、特に問
題となる点はみあたらなかった。
なお、当初の最低売却価額合計に対して、現実の売却価額は合計 9, 600, 245
円上回った。
③ 随意契約分
平成 14 年度に随意契約によって売買契約予定の不動産 3 筆のうち、平成 15
年 2 月 1 日時点で 2 筆について売却が完了している。
これらの不動産は、いずれも土地の形状から、用途が限られ買受希望者が限
定されるため、公売を実施したとしても売却できない、あるいは売却が著しく
困難と判断される不動産である。従って、隣接地住民との間で随意契約の方法
によって売買契約を締結し、当該不動産を売却するという方針は妥当な方針の
選択といえる。売却価格についても、特に問題となる点は存在しなかった。
④ サービス公社へ賃貸中の不動産について
現在 5 筆の不動産について、平成 9 年 5 月からサービス公社に対して賃貸さ
れている。賃貸借契約は、契約締結後一年ごとに更新されている。今後いつま
で賃貸を更新するのかは決まっていない。
賃料については、普通財産貸付事務処理指針、堺市普通財産貸付料算定基準
により、本来時価(不動産評価委員会の評価額)× 100 分の 5 とされているが、
本件不動産については、地方公営企業法第 9 条、33 条に該当するとして、個別
の賃料が決定されている。
⑤ その他
旧草部浄水場用地(草部 721−1 所在)については、現状、堺市が発注してい
る堺市指定管工設備協同組合に対して、水道工事に伴って生じる残土の仮置場
として指定している。平成 15 年 4 月から約2年半(予定)は堺市下水道部に無
償使用させ、同部が今後実施する予定の下水道敷設工事の際の基地としての利
用される予定である。なお、同土地の代替地として、同部が所有する泉北下水
処理場内に水道局の残土置場を確保し、無償使用させるとの確認をしている。
旧日置荘第 2 水源池用地(日置荘西町 23−3 所在)については、地元自治会
との間で使用貸借契約が締結され、毎年契約が更新されている状況にある。
( 4) 意 見
平成 5∼6 年頃から遊休地のまま放置されていた各不動産について、平成 14 年
① 維持管理費の支出について
遊休地の保全(草刈、巡回警備等。建物が存在する場合にはその警備費用も含
む。)費用として、平成 13 年度決算で 11, 159 千円支出されている。平成 14 年度
も同額で予算要求されているが、現実には公売により 6 筆、随意契約により 3 筆
(平成 15 年 2 月 1 日時点で 2 筆のみ売却完了)の不動産が売却された以上、それ
にともない実際に必要となった保全費用は減少することになる。予算の執行につ
いて留意すべきである。
② サービス公社に対する賃貸の合理性
個別賃料が設定されていることについては、地方公営企業法第 9 条、33 条を根
拠とするものであり、法的な根拠はある。しかしながら、最初に堺市サービス公
社に駐車場経営が成り立つように個別賃料が決定されている結果、堺市水道局が
受領する賃料がかなり低額となる結果を招いている。堺市水道局の立場からする
と、このような賃料算出方法が妥当なのかどうか疑問があるといわざるを得ない。
また、このような低額な賃料を受け取るためだけに、堺市水道局が同土地の保有
を継続する合理性は見出しがたく、今後は売却をふくめた処分を検討していくべ
きと考えられる。
③ 旧日置荘第 2 水源池用地(日置荘西町 23−3 所在)について
使用貸借状態で長期間経過していることについて、すでに昭和 50 年代から問題
であるという認識をもち、地元自治会との間での話し合いが開始されたものの、
結局解決に至らず、昭和 54 年以降使用貸借契約が更新される状況が継続している。
遊休資産の売却をすすめるなかで、この問題も解決をしなければならないわけ
であるから、一定期限を定めて解決に向けた努力をすべきである。
④ 平成 13 年度定期監査において、旧日置荘浄水場用地について、不法占拠及び不
法投棄されていたとの指摘がなされている。この点、不法占拠物(ビニールトタ
ン製片流れ屋根)については平成 14 年 1 月 30 日に撤去済みであることを確認で
きているが、動産(ビールケース等)は撤去期限を平成 14 年 12 月 31 日と定めて
撤去要請継続中となっている。早急に不法占拠状態を解消させるべきである。
⑤ 平成 15 年度以降売却予定の遊休地についても、所定の手続を経たうえ、適正な
Ⅹ 人件費
1.人件費の支出事務は適正に実施されているか。
( 1) 概 要
平成 13 年度の職員給与費(法定福利費及び退職給与金を含む)の種類別金額は
次のとおりである。なお、平成 13 年度末現在の職員数は、収益勘定支弁職員 321
人、資本勘定支弁職員 57 人、合計 378 人である。
( 2) 実施した監査手続
① 平成 13 年度各月の給与種類別集計表を閲覧し、各月の金額を比較して人数
及び金額に異常性がないかを検討した。また、給与種類別集計表の合計額が正
しく帳簿に反映されているかを調査した。
② 任意に抽出した月の給与(又は期末手当)集計表(個人別給与明細書の集
計表)の人数と個人別給与明細書件数とが一致するかを調査した。また、給
与の支出が正しくなされているかを調査した。
③ 時間外休日及び夜間勤務手当については、任意に抽出した月の「時間外勤
務命令書兼報告書」を閲覧し、権限者の承認がなされているかを調査した。
また、数件を抽出し、時間外手当等が正しく計算されているかを調査した。
( 3) 監査の結果
監査の対象とした範囲内においては、特に取り上げるべき事項はない。
(単位:千円)
給料 手当等 報 酬 計
収益的支出 1, 474, 563 1, 220, 646 280 2, 695, 489 460, 654 480, 8463, 636, 989
資本的支出 238, 580 204, 422 0 443, 002 73, 762 0 516, 764
合 計 1, 713, 143 1, 425, 069 280 3, 138, 492 534, 415 480, 8464, 153, 753
<手当等の内訳> (単位:千円)
区 分 扶養手当 調整手当 通勤手当 特種勤務手当 管理職手当
収益的支出 62, 604 155, 729 71, 350 3, 827 140, 982 20, 121
資本的支出 12, 535 25, 263 12, 260 0 26, 568 1, 512
合 計 75, 139 180, 991 83, 610 3, 827 167, 550 21, 633
区 分 期末手当 勤勉手当 特例一時金 住居手当 児童手当 合 計
収益的支出 533, 515 177, 693 1, 195 51, 276 2, 355 1, 220, 646
資本的支出 85, 815 28, 174 211 10, 804 1, 280 204, 422
合 計 619, 330 205, 867 1, 406 62, 080 3, 635 1, 425, 068
時間外休日及び夜間勤務手当
区 分 退職給与金 合 計
給 与 費
2.退職金の予算と執行及び退職給与引当金について
( 1) 概 要
デフレ化が浸透する中、民間企業等の給与、退職給与等、人件費の負担が大きく経
営業績を圧迫し、また国、地方公共団体の財政危機に対して、特に制度化された官公
庁の人件費(退職金)に注目が集まっている。
以上の視点から当水道局の退職金の支給実態を監査した。
( 2) 監査手続
① 机上の監査手続
机上による退職給与について過去の支給額(予算、執行)を分析、実態監査のポ
イントの抽出、特に退職給与引当金の計上基準に注目した。
その結果過去 5 ヵ年の退職給与に関する予算と執行、退職給与引当金の経緯と平
均値は次のとおりである。
(単位:千円)
各年度別 平成9年度 平成10年度 平成11年度 平成12年度 平成13年度 5ヵ年平均
当初予算額 315, 440 320, 211 481, 000 481, 000 481, 000 415, 730
当期実執行額 263, 233 291, 168 236, 997 325, 632 280, 846 279, 575
当期引当額 11, 000 29, 000 244, 000 155, 000 200, 000 127, 800
執行額合計 315, 233 320, 168 480, 997 480, 632 480, 846 415, 575
対予算比率 99. 9% 100. 0% 100. 0% 99. 9% 100. 0% 100. 0%
退職給与引当累計 501, 000 530, 000 774, 000 929, 000 1, 129, 000
( 注) 平成 9 年度の当期引当額は引当額 52, 000 千円、取崩額△ 41, 000 千円の差引 11, 000 千円。
② 現場でのヒアリングと資料監査手続
ア 平成 13 年度の退職金支給執行状況の監査
退職金支給の算定は堺市職員退職手当支給条例を準用、平成 13 年度中に退職し
た者 10 名並びに暫定支給している遺族扶助料の合計執行額は上の表のとおり
280, 000 千円である。
当該金額の正確性を確認するため平成 13 年度の定年退職者 3 名を抽出して、当
区 分 勤続年数 基礎給料( 円) 支給倍率 退職手当金( 円)
A氏 41 年 602, 100 62. 70 37, 751, 670
B氏 32 年 462, 200 57. 57 26, 692, 050
C氏 29 年 440, 700 52. 47 23, 123, 529
* 堺市職員退職手当支給条例第7条第 1 項( 1) ∼( 4) の適用
* 同附則昭和 48 年 10 月 2 日第 42 号により年勤続 35 年打切りと 1. 1 倍率の適用
イ 退職手当金の予算と執行額の監査
退職給与引当金に関して平成 9 年度は 11, 000 千円を計上している。同 10 年度に予
算と執行額の差額(29, 000 千円)を計上、その後 11 年度に引当金の基準を変更し、
当面の基準を設けて現在まで継続している。
以上の経緯について退職給与引当金設定基準に関する文書、ヒアリングを通じて事
実確認を行った。
平成 10 年度までの退職給与引当金計上基準は次の通りであった。
A 当期年度末に全職員が退職したと見なした場合の要支給額
B 前期年度末に全職員が退職したと見なした場合の要支給額
C 当期年度の退職給与金の実執行額
D (A−B)−C の計算を基準として、繰入限度額として当期年度末にお
ける全職員が自己都合で退職した場合の要支給額の 50%とされていた。
平成 11 年度の決算に際して改めて将来に向かっての定年退職者増加に対する引当
金準備の承認を求め平成 27 年度までの長期の引当金計画を策定した。その結果具体的
試算内容は、次の通りである。
*平成 11 年から 27 年度の 17 年間の退職予定者要支給額 8, 506, 285 千円( A)
*平成 10 年末の退職給与引当金予定累計額 501, 000 千円( B)
(平成 10 年度決算では 530, 000 千円)
*A−B=8, 005, 285 千円( C) … … 17 年間の要支給額の引当必要額
*C÷ 17 年≒471, 000 千円 … … 1 年間の予算額(実際予算は、遺族扶助料を含
み 481, 000 千円)
以上の計算根拠に基づいて以降毎年の退職給与引当金を計上している。平成 9 年
(単位:千円)
退職金予算額 退職者人員 退職金執行額 退職引当金 引当金累計額
平成 9 年度 315, 440 11 263, 233 11, 000 501, 000
平成 10 年度 320, 211 11 291, 168 29, 000 530, 000
平成 11 年度 481, 000 9 236, 997 244, 000 774, 000
平成 12 年度 481, 000 13 325, 632 155, 000 929, 000
平成 13 年度 481, 000 10 280, 846 200, 000 1, 129, 000
( 3) 監査の結果
平成 13 年の退職金支給執行の実態を監査した結果は退職金規程に準拠して適
正に執行されていた。特に指摘する問題点はない。
退職給与引当金の設定に関して、平成 13 年度時点(平成 11 年の基準改正)で
の設定枠に関して、平成 27 年を目安とした実額方式による基準は一応の説得力が
あり、合理性を有するものと思料する。
( 4) 意 見
退職金の支給に関しては予算、執行にわたって特に問題がない。
ところで、地方団体の職員に対してはその勤務年数に応じて退職手当を支給す
ることが、条例で定められている。一時に多くの職員が退職すると一時に巨額な
資金を執行しなければならない。そのまま当該年度の費用と認識して収支計算を
すると当該年度に多額の欠損金を計上し、他の年度との均衡が取れない矛盾が生
ずる。
退職金の性質については、過去の慰労金説、退職後の生活保障説、過去勤務の
後払い給与説等さまざまな意見があるが、在職している職員について、一定の基
準に従って退職金支払債務が抽象的に発生し、退職とともにその債務が具体化さ
れる。
公営企業においても、企業会計と同様に発生主義会計に基づき毎期の費用に配
分して債務を計上することが望ましい。従って、合理的な引当基準を明文化し、
適正な会計処理をするとともに、当該債務について相当額は別途資産として管理
ⅩⅠ 会計処理は適正に実施されているか。
1.消費税
( 1) 概 要
毎年の消費税申告額は多額にのぼり、公営企業にとって、特殊な特定収入に対する
課税関係を中心に監査した。
( 2) 監査手続
① 机上監査
ア 過去 5 ヵ年分の消費税・地方消費税の申告書並びに附属書類を分析した。また過
去の申告納税額は次の通りである。
(単位:千円)
年度区分 平成 9 年度 平成 10 年度 平成 11 年度 平成 12 年度 平成 13 年度
消費税 215, 872 259, 861 266, 211 247, 552 183, 233
地方消費税 53, 968 64, 965 66, 553 61, 888 45, 808
合計納税額 269, 840 324, 826 332, 764 309, 440 229, 042
イ 各年度分の確定申告書、添付書面の検算、その他机上における監査事務を実施し
た。その結果を踏まえて、各年度分申告書の数値の算出根拠、その他計理処理の確
認のために経理の現場を監査した。
② 現場の監査
ア 消費税の計理処理について仕訳伝票、総勘定元帳、決算処理の振替関係処理等の
取引を、年度末を中心に監査した。
イ 申告書作成の過程について、各取引(3 条 ( 収益的) 収支、4 条 ( 資本的) 収支)に
ついて、各勘定別に課税、非課税、不課税の検討を行い、又特定収入の課税根拠や消
費税の計理処理に関する次の帳簿等の文書を監査した。
○ 年次(月次)消費税計算書 ○ 消費税に関する年度末仕訳伝票 ○ 年度末
試算表
( 3) 監査の結果
2.移設工事収入の計理処理の変更と決算並びに問題点
( 1) 概 要
① 平成 10 年度以前の移設工事収入勘定
移設工事収入の内容は、下水工事にともない上水道管の移設、仮移設に対して、
仮移設と原状復帰のために要する費用負担を下水道に求め、当該収入をもって、そ
の他の営業収入の「移設工事収入」として収益に認識していた。また対応する支出
は「公営企業の経理の手引」を参考に配水管修繕費として収支共に収益的収支とし
て計理していた。
② 平成 11 年度よりの計理処理の変更
平成 11 年度以降の決算では当該「移設工事収入」を資本取引として「工事負担金」
勘定に、また、対応する支出「配水管修繕費」を資本取引として「配水管改良工事
費」勘定に組換えを行っている。平成 11 年度決算事業報告に当該年度の収益が減少
した主たる原因の一つとしての記述はあるが、当該決算報告書では計理処理の変更
に関する理由の開示は行われていない。
③ 当該収入の金額は次の通り、収入金額としても多額(平成 9 年度 7. 5 億円、同 10
年度 7. 2 億円)であり、計理処理の変更理由と、強いては水道料金のコストに影
響の有無について監査した。
( 2) 監査手続
ヒアリング並びに提出資料の結果を纏めると次の通りである。
① 従来から移設工事に際して旧管を除去して新管と入れ替えを行ってきた。同種、
同口径の比較的小規模な管の入れ替えは収益的収支(移設工事収入と配水管修繕費)
として、異管、異口径の比較的大規模な管の工事は資本的収支(工事負担金と配水
管改良工事費)として計理を行ってきた。
② 昨今の移設工事は、将来の需要を見越しての口径の拡大や移設距離の増大等の移
設工事の増加を機会に資本投資的工事と同様に位置付けられるものに変化してきた。
以上の経緯を踏まえて、移設関連工事の計理処理の一体化を図り平成 11 年度からす
べて 4 条予算( 資本的収支) として執行するに至った。
③ 当該計理処理の結果を踏まえ、全体の決算に及ぼす影響を確認するため、平成 9
年度から 13 年度の決算書から、移設工事収入に関連するすべての収入(従来の収益
部分と資本収入の合計額)の取引に対応するすべての支出(従来の費用部分と資本
支出の合計額)と、すべてのデータの抽出を求めて比較検討した。
( 3) 監査の結果
① 過去 5 ヵ年の「移設工事収入」に関する収支と影響
次表のとおり、合計(ABとCD)の収支比率は平成 10 年度と 11 年度は支出が
若干上回っているが、他の年度では収入が若干上回っており、収支金額の顕著な変
動はなく、資料で見る限り大きな変化は見当たらない。
(金額単位は千円)
各年度 平成9年度 平成10年度 平成11年度 平成12年度 平成13年度
収 入
収益 移設工事収入 A 746, 744 717, 523 0 0 0
資本 工事負担金 B 1, 821, 207 1, 272, 400 2, 213, 529 1, 915, 295 2, 021, 386
収入合計 2, 567, 951 1, 989, 923 2, 213, 529 1, 915, 295 2, 021, 386
支 出
費用 配水管修繕費 C 641, 157 614, 080 0 0 0
資産
配水管 改良工事費
D
1, 918, 897 1, 421, 186 2, 371, 758 1, 852, 796 1, 968, 533
支出合計 2, 560, 054 2, 035, 266 2, 371, 758 1, 852, 796 1, 968, 533
収支比率 A/ C 116. 47% 116. 85% 93. 33% 103. 37% 102. 68%
B/ D 94. 91% 89. 53% 93. 33% 103. 37% 102. 68%
(A+B)/(C+D) 100. 31% 97. 77% 93. 33% 103. 37% 102. 68%
組替後減価償却費 0 0 0 18, 479 18, 884
② 配水管改良工事費にかかる減価償却費
当該移設工事収入に対応する支出として、従来修繕費等として「費用処理」され
ていた移設工事支出が配水管改良工事費(資本的支出)として、資産(減価償却資
産)として計上している。当該計理処理された減価償却資産は減価償却費として当
該年度以降(取得年度は減価償却を行わない)に費用化されている。(上記①表の
12 年度 13 年度下欄)その結果、多少なりとも水道コストに負担を求めていること
になる。
( 4) 意 見
当該移設工事収支に関して、水道会計の収支並びに水道コストに対しての影響
題、従来の計理基準を変更することにより第三者に誤認を与えるおそれがある。
特に、多額の収支を伴う計理基準の変更に際して決算報告書では収益的収支を資
本的収支に移したことについて、明確な理由が開示されていないことは問題が残
る。
3.会計規程第 22 条第 2 項の出納、収納取扱金融機関の担保提供
( 1) 概 要
会計規程第 22 条には「水道事業の業務に係る金銭の出納及び保管事務の一部に
ついては法第 27 条ただし書きの規定に基づき管理者が指定した金融機関(以下
「出納取扱金融機関等」という。)に行わせるものとする。」(同第 1 項)また「出
納取扱金融機関等は、公金の収納及び支払事務に関する担保として、次に掲げる
額以上の有価証券又は現金を局に提供しなければならない。」(同第 2 項)と規定
されているが、その事実関係について監査した。
( 2) 監査手続
各年の決算書の保証金代用有価証券と預り金勘定を調査するとともに、預り金
勘定の明細の提供を求め、かつ、担保物件のリスト及びその内訳の確認を行った。
( 3) 監査の結果