指数分布に従う確率変数の和の平均の区間推定
確率変数Xi(i = 1, ..., n)は独立に指数分布Ex(λ)に従うとする。Xiの積率母関数は
MXi(t) = λ
λ − t(t < λ) で表される。
確率変数X¯ をXiの平均X¯ = n1(X1+ .... + Xn)とする。また、X1, ..., Xnの標本平均をmとする。 この積率母関数は、Xiが独立同分布であるので、
MX¯(t) = ( nλ nλ − t)
n
である。
これはガンマ分布Ga(α,β)におけるパラメータをそれぞれ α= n、β= nλと置いたものである。 したがって、確率変数X¯ はガンマ分布Ga(n, nλ)に従うことがわかる。
ここで、パラメータλの100(1 − ϵ)%信頼区間の下限をλL、上限をλH とする。 まず下限λLについて考える。確率変数XλLをガンマ分布Ga(n, nλL)に従うとすれば、
P(XλL ≤m) = ϵ 2 を満たす。
P(XλL ≤m) =
∫ m 0
(nλL)n Γ(n) x
n−1e−nλLxdx= ϵ
2 であり、ここでx= 2nλt
L とすれば、
∫ m 0
(nλL)n Γ(n) x
n−1e−nλLxdx=
∫ 2λLmn 0
1 2Γ(n)(
t 2)
n−1e−t2dt
となる。したがって ∫
2λLmn
0
1 2Γ(n)(
t 2)
n−1e−
t 2dt= ϵ
2 (1)
である。
ここで確率変数Xχ2を自由度2nのカイ2乗分布に従う確率変数とすれば、(1)の左辺は
∫ 2λLmn 0
1 2Γ(n)(
t 2)
n−1e−
t
2dt= P (Xχ2≤2λLmn)
と表せる。
自由度2nのカイ2乗分布の上側100(1 − 2ϵ)%点をχ21
−ϵ2 とすれば、
2λLmn= χ21−ϵ
2
が成立する。したがって
λL= χ
2 1−ϵ
2
2mn
2 と表せる。同様に上限λHも同様にすれば、
λH = χ
2
ϵ 2
2mn
と表せる。確率変数Xiの期待値はE[Xi] = λ1 であるので、その95%信頼区間は
[2mn χ2ϵ
2
、2mn χ21
−
ϵ 2
] となる。確率変数X¯ の期待値はXiが独立同分布であるから
E[ ¯X] = E[1
n(X1+ ... + Xn)]
= 1
n(E[X1] + ... + E[Xn])
= 1 n
n λ
= 1 λ
である。また対数の弱法則より平均は期待値に収束するので、指数分布Ex(λ)に従う確率変数Xiの和 の平均の100(1 − ϵ)%信頼区間は
[2mn χ2ϵ
2
、2mn χ21
−ϵ2
] である。