裁判年月日 平成27年4月24日 裁判所名 大阪地裁
事件番号 平26(行ウ)216号 事件名 取立金請求事件
裁判結果 棄却 上訴等 控訴
控訴審 平成27年9月8日大阪高裁判決平27(行コ)89号取立金請求控訴事件
原告 ***
被告 大阪府国民健康保険団体連合会
概要
事案の概要
本件は、差押命令における差押債権者である原告が、第三債務者である被告に対し、差押 命令に基づく差押債権の取立てとして差押債権相当額の支払を求める事案である。本件の 争点は、本件差押債権の有無である。
関係法令の定め
(1) 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(以下「法」という。) には、以下の規定がある。
ア介護給付費等の支給決定
介護給付費、特例介護給付費、訓練等給付費又は特例訓練等給付費の支給を受けようとす る障害者又は障害児の保護者は、市町村の介護給付費、特例介護給付費、訓練等給付費又 は特例訓練等給付費を支給する旨の決定(以下「支給決定」という。)を受けなければな らない(19条1項)。
イ介護給付費又は訓練等給付費
(ア) 市町村は、同項の規定により支給決定を受けた障害者又は障害児の保護者(以下「支 給決定障害者等」という。)が、支給決定の有効期間内において、都道府県知事が指定す る障害福祉サービス事業を行う者(以下「指定障害福祉サービス事業者」という。)等か ら当該指定に係る障害福祉サービス(以下「指定障害福祉サービス」という。)等を受け たときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該支給決定障害者等に対し、当該指定 障害福祉サービス等(支給量の範囲内のものに限る。)に要した費用(日常生活に要する 費用等のうち厚生労働省令で定める費用(以下「特定費用」という。)を除く。)につい
て、介護給付費又は訓練等給付費を支給する(29条1項)。
(イ) 支給決定障害者等が指定障害福祉サービス事業者等から指定障害福祉サービス等を 受けたときは、市町村は、当該支給決定障害者等が当該指定障害福祉サービス事業者等に 支払うべき当該指定障害福祉サービス等に要した費用(特定費用を除く。)について、介 護給付費又は訓練等給付費として当該支給決定障害者等に支給すべき額の限度において、 当該支給決定障害者等に代わり、当該指定障害福祉サービス事業者等に支払うことができ る(同条4項)。
(ウ) 同項の規定による支払があったときは、支給決定障害者等に対し介護給付費又は訓 練等給付費の支給があったものとみなす(同条5項)。
(エ) 市町村は、指定障害福祉サービス事業者等から介護給付費又は訓練等給付費の請求 があったときは、所定の基準に照らして審査の上、支払うものとする(同条6項)。
(オ) 市町村は、同項の規定による支払に関する事務を国民健康保険法45条5項に規定 する国民健康保険団体連合会(以下「連合会」という。)に委託することができる(法2 9条7項)。
(2) 介護給付費等の請求に関する省令(平成18年厚生労働省令第170号)には、以下 の規定がある。
(ア)この省令において「介護給付費等」とは、法に規定する介護給付費、訓練等給付費、 特定障害者特別給付費、地域相談支援給付費及び計画相談支援給付費をいう(1条1項)。
裁判所の判断
介護給付費又は訓練等給付費は、本来的には、市町村から指定障害福祉サービス等の利用 者である支給決定障害者等に対して直接支給されるものである(法29条1項)。しかし、 その場合には、当該支給決定障害者等は、一旦当該指定障害福祉サービス等に要した費用 を全額支払わなければならず、一時的に当該支給決定障害者等の負担が非常に重くなり得 ること、当該指定障害福祉サービス等を行った指定障害福祉サービス事業者等にとっても、 当該支給決定障害者等から当該指定障害福祉サービス等に要した費用を回収するより、市 町村から介護給付費又は訓練等給付費に相当する額を受領し、残額を当該支給決定障害者 等から回収する方が確実であること等から、同条4項は、市町村が、当該指定障害福祉サ ービス等に要した費用(特定費用を除く。)について、介護給付費又は訓練等給付費とし て当該支給決定障害者等に支給すべき額の限度において、当該支給決定障害者等に代わり、 当該指定障害福祉サービス事業者等に支払うことができるとし、同条5項は、同条4項の 規定による支払があったときは、支給決定障害者等に対し介護給付費又は訓練等給付費の 支給があったものとみなすとしているのであって、このような法の規定に照らすと、同項 の指定障害福祉サービス事業者等は、同項で市町村が当該指定障害福祉サービス事業者等 に支払うことができるとされた金員の取立権能を取得するにすぎず、上記法の規定によっ
て、当該指定障害福祉サービス事業者等が市町村に対する介護給付費又は訓練等給付費に ついての債権を取得するものと解することはできないというべきである。したがって、法 29条4項の指定障害福祉サービス事業者である●社が、介護給付費等の請求に関する省 令1条所定の介護給付費等の債権である本件差押債権を有しているとは認められない。
以上