6 2 速度と加速度
2
速度と加速度
2.1
速度と加速度の定義およびグラフ的な意味
質点:物体の運動において,物体の大きさを考えず質量だけを持った点として扱ったもの。
位置ベクトル:質点の位置P を表すために用いる,原点Oを基準とするベクトルのこと。通常rで表す。
デカルト座標(直角直交座標)系の場合,点P の座標を用いて,
r= (x, y, z) または r=
x y z
(2.1)
と書く。基本ベクトルex,ey,ezを用いることで
r=xex+yey+zez (2.2)
と表される。
速度:位置rの時刻tに関する導関数のこと。通常vで表す。
v(t) := dr(t)
dt = lim∆t→0
r(t+ ∆t)−r(t)
∆t =: ˙r (2.3)
= (vx, vy, vz) =
vx
vy
vz =
(
dx dt,
dy dt,
dz dt
)
=: ( ˙x,y,˙ z˙) (2.4)
で定義される*2。デカルト座標系では(2.4)式の様に書く。基本ベクトルを使うと,次式で表される:
v =vxex+vyey+vzez= ˙xex+ ˙yey+ ˙zez. (2.5)
加速度:速度vを時間微分したもの。aで表すことが多い。
a(t) :=dv dt =
d2r
dt2 =: ˙v=: ¨r (2.6)
= (ax, ay, az) = (
dvx
dt , dvy
dt , dvz
dt
) =
(
d2x dt2,
d2y dt2,
d2z dt2
)
(2.7)
で定義される。基本ベクトルを用いて次式のように書ける:
a=axex+ayey+azez= ˙vxex+ ˙vyey+ ˙vzez= ¨xex+ ¨yey+ ¨zez. (2.8)
問題5. 直線上を運動する質点のx座標が次の様に表される場合,その質点の速度vxと加速度axを求めよ。
5-1.x(t) =x0+v0t+
1 2at
2
,ただしx0とv0, aは時刻に依らない定数とする。
【 解 答 】1次 元 の 運 動 な の でy, z 座 標 は 考 え な い 。速 度 の 定 義(2.3)お よ び 加 速 度 の 定 義(2.6)よ り 計 算 する。
vx=
dx(t)
dt = d dt
(
x0+v0t+
1 2at
2
)
=v0+at, (2.9)
ax=
dv(t)
dt = d
dt(v0+at) =a. (2.10)
*2
5-2.x(t) =Asinωt,ただしAとωは時刻に依らない定数とする。 【解答】同様に速度の定義(2.3)および加速度の定義(2.6)より計算する。
vx=
dx(t)
dt = d
dt(Asinωt) =Aωcosωt, (2.11)
ax=
dv(t)
dt = d
dt(Aωcosωt) =−Aω 2
sinωt. (2.12)
t
∆
∆
t
x
P
Q
R
t
t+ t
∆
t+
2
∆
t
t
問題6. 速度と加速度のグラフ的な意味を考える。
6-1.右のx(t)グラフで速度v(t)は何に対応するか? 【解答】点Pにおけるx(t)の接線の傾き。すなわち∆t→0
の極限での線分PQの傾き。
6-2.右のx(t)グラフで加速度a(t)は何に対応するか? 【解答】点Pにおけるx(t)の接線の傾きと,点Qにおけ るx(t)の接線の傾きの変化の割り合いを表す。x(t)が直線 す な わ ちtの1次 関 数 な ら ば そ の 傾 き は 一 定 な の で ,加 速
度は0になる。線分PRより点Qが下にあれば加速度は正,
上にあれば加速度は負である。ちなみに∆PQRの面積は,
∆PQR= 1 2(∆t)
3
a(t)と表される。つまり∆PQRと相似で
∆t= 1となるように拡大した三角形の面積と加速度の2倍
とが一致する。 問題7. 位置r(t)が
r(t) = (Rcosωt, Rsinωt) =R(cosωt,sinωt) (2.13)
と表される2次元平面内の運動を考える。Rとωは時刻に依らない正の定数とする。2次元の運動なのでz
座標は考えない。
7-1.位置ベクトルの大きさ|r|を求め,それが時間に依存しないことを確かめよ。
【解答】ベクトルの大きさの定義より
|r|:=√r·r=
√
R2(cos2ωt+ sin2
ωt) =|R|=R (2.14)
となり時間に依らず一定である。最後の等号では,R >0であることを用いた。
x
R
O
y
r
ω
t
v
a
7-2.この運動の軌道(運動の道筋)を図で表せ。
【 解 答 】前 問 の 結 果(2.14)よ り 原 点 か ら 質 点 ま で の 距 離|r|は 時 間 に 依らず一定なので,この質点は円軌道を描く。図示すると右図の通りにな る。角速度ωの符号によって回転する向きが異なる。ω >0なら図の矢印 のように反時計回りに回転し,ω <0なら時計回りに回転する。
7-3. 速 度v =
dr
dt を 求 め 図 示 せ よ 。ま た 速 度 の 大 き さv := |v|を 求
めよ。
【解答】速度の定義より
v:= dr
8 2 速度と加速度
またその大きさは
v: =|v|=√v·v=
√
R2 ω2(sin2
ωt+ cos2
ωt) =R|ω|=Rω (2.16)
となる。最後の等号では,ω >0であることを用いた。 7-4.加速度a=
d2r
dt2 を求め図示せよ。また加速度の大きさa:=|a|を求めよ。
【解答】同じく加速度の定義より計算できる:
a: =d 2r
dt2 =Rω(−ωcosωt,−ωsinωt) =−Rω 2
(cosωt,sinωt), (2.17)
a: =|a|=√a·a=
√
R2 ω4(cos2
ωt+ sin2ωt) =Rω2. (2.18)
7-5.位置ベクトルrと速度vとが直交することを示せ。
【解答】ベクトル同士が直交するための必要十分条件はその内積が0であること。内積を計算してみよう:
r·v=R2ω(−cosωtsinωt+ sinωtcosωt) = 0. (2.19)
従ってrとvとは直交する。
7-6.速度vと加速度aとが直交することを示せ。
【解答】前問と同様に互いの内積を計算する:
v·a=R2ω3(+ sinωtcosωt−cosωtsinωt) = 0. (2.20)
よってvとaとは直交する。
7-7.加速度aが位置ベクトルと平行で逆向きであることを示せ。
【解答】(2.13)と(2.17)とを比べる
a=−ω2r (2.21)
である。従ってaはrの定数倍なので平行であり,その係数が負なので逆向きである。
7-8.円運動の周期T(質点が一周するために必要な時間)をωを用いて表せ。
【解答】位置ベクトルが(2.13)と表されることと三角関数の周期が2πであるので,周期T はωT = 2πを 満たす。従って
T = 2π
ω (2.22)
である。この式からωの次元が(時間)
−1
であることが確認できる。
7-9.先日のニュースで話題となった国際宇宙ステーションは,地球中心を中心に半径約6.8×10
3
kmの円 軌道*3を,約7.9km/sの速さで周回している。この円運動の周期T を求めよ。
【解答】(2.16)から角速度を求め,(2.22)に代入し周期を求める:
T = 2π
ω =
2πR v =
2π×6.8×103
km
7.9 km/s = 5.40· · · ×10
3
≈5.4×103s≈90分. (2.23)
*3
国際宇宙ステーションは約1時間半で地球を1周することがわかる。またその角速度は
ω= v
R =
7.9 km/s
6.8×103 km = 1.16· · · ×10
−3
≈1.2×10−3
rad s−1
≈6.7×10−2
deg s−1
(2.24)
である。つまり位置ベクトルの向きは1秒当たり約0.07
◦
,1分当たり約4
◦
変化する。 7-10.国際宇宙ステーションの山崎さんが感じる重力加速度g
′
(加速度の大きさaに等しい)を求めよ。 【解答】(2.18)および題意より
g′
=a=Rω2= (Rω)
2
R = v2 R =
(7.9 km/s)2
6.8×103 km = 9.17· · · ×10
−3
km/s2≈9.2 m/s2 (2.25)
である。映像で見る宇宙ステーション内部の無重力(無重量)状態を想像すると,この値が大きく感じるかも
知れない。もちろん宇宙ステーション内部では地球からの重力と遠心力とがつり合って無重量状態が実現して
いるのであり,地球からの重力は0ではない。そもそも地球からの重力がほとんど無ければ宇宙ステーション
の公転運動を保つことが出来ず,宇宙ステーションは遥か彼方へ飛んで行ってしまう。
2.2
2
次元極座標
x
y
r
θ
r
e
re
θ問題8. 右図の2次元極座標について以下の問いに答えよ。
8-1.xおよびyをrとθとで表せ。 【解答】図より
x=rcosθ, (2.26)
y=rsinθ. (2.27)
8-2.rおよびθをxとyとで表せ。
【解答】(2.26)と(2.27)をrとθ について解けばよい:
r=√x2+ y2
, (2.28)
θ= tan−1 y
x あるいは tanθ= y
x. (2.29)
8-3.rが増える方向の単位ベクトルer のx, y成分を求めよ。erの方向をr方向または動径方向と呼ぶ。 【解答】erは,rに平行で大きさが1のベクトルであること及びxとyがそれぞれ(2.26)と(2.27)のよう に表されることを用いて
er: = r r =
(x, y)
r =
(rcosθ, rsinθ)
r = (cosθ,sinθ) (2.30)
と決まる。これはθの関数er(θ)である。
θ
r
(
θ
)
e
re
θδθ
r
(
θ+δθ
)
図1 8-4.同様にθが増える方向の単位ベクトルeθのx, y 成分を求めよ。eθ
の方向をθ方向と呼ぶ。
【解答】eθの向きは,rが一定でθだけが増える方向なので,図1のよう にerに直交する向きである。これは偏角がθ+
π
2 であるときのerに一致す るので
eθ(θ) =er(θ+π
2) = (
cos(θ+π 2 )
,sin(θ+π 2
))
10 2 速度と加速度
を得る。
8-5.erをθで微分するとeθになることを確かめよ。
【解答】er(θ)をex,ey方向の基本ベクトルを用いて表し,それをθで微分する:
∂er ∂θ =
∂
∂θ(cosθex+ sinθey) =−sinθex+ cosθey=eθ. (2.32)
ここでexとeyがθに依らないこと及び(2.31)を用いた。この結果をeθの定義に照らして考えてみる。eθ
とは,rを一定にしてθを微小量増やすときにrが変化する方向の単位ベクトルである。図1で説明すると
er(θ+δθ)とer(θ)の差を規格化したものと言える。すなわちこれはrのθ微分を規格化したものに他なら ない。rとerの違いはθに依らないrだけなので,eθはerをθ微分を規格化したものに一致するわけであ
る。いま2変数でありθで偏微分するときerを大きさ(= 1)を一定に保っているので,規格化が必要ない。
むしろ(2.32)をeθの定義とする方がわかり易い。erから計算だけで基本ベクトルが求められるので特に3
次元以上の極座標では便利である。
8-6.eθをθで微分すると−erになることを確かめよ。
【解答】前問と同様にeθ(θ)をex,ey方向の基本ベクトルを用いて表し,それをθで微分する:
∂eθ ∂θ =
∂
∂θ(−sinθex+ cosθey) =−cosθex−sinθey =−er. (2.33)
8-7.erの時間微分
der
dt をerとeθを用いて表せ。ただしerとeθの両方が必要とは限らない。
【解答】合成関数の微分法と(2.32)を用いる。
der dt =
dθ dt
∂er
∂θ = ˙θeθ. (2.34)
8-8.eθの時間微分
deθ
dt をerとeθを用いて表せ。
【解答】同様に合成関数の微分法と(2.33)を用いる。
deθ dt =
dθ dt
∂eθ
∂θ =−θ˙er. (2.35)
8-9.2次元極座標において位置ベクトルrはr=rerと表される。これを時間微分し速度v=
dr dt を
v=vrer+vθeθ (2.36)
の形で表せ。
【解答】速度の定義より
v= d
dt(rer) = dr dter+r
der
dt = ˙rer+rθ˙eθ. (2.37)
ここでerがrに依らないことおよび(2.34)と(2.35)を用いた。 8-10.速度vを時間微分し加速度a=
dv dt を
a=arer+aθeθ (2.38)
【解答】同様に加速度の定義およびライプニッツ則と(2.34),(2.35)より
a= d 2r
dt2 = d2
dt2(rer) = ¨rer+ 2 ˙re˙r+re¨r= ¨rer+ 2 ˙rθ˙eθ+r
( ¨
θeθ+ ˙θe˙θ)
=(r¨−rθ˙2)er+(2 ˙rθ˙+rθ¨)eθ. (2.39) 8-11.2次元極座標では任意のベクトルをA=Arer+Aθeθと表すことができる。また,同じベクトルを
xy座標で表すとA=Axex+Ayeyである。Ar, AθとAx, Ayとの関係を求めよ。
【解答】erとeθは規格直交系を成すので,Aとerの内積をとればArが,Aとeθの内積をとればAθが 得られる。従ってx, y座標で表したAと,erまたはeθとの内積をとればよい。
Ar=er·A=Axer·ex+Ayer·ey =Axcosθ+Aysinθ, (2.40)
Aθ=eθ·A=Axeθ·ex+Ayeθ·ey=−Axsinθ+Aycosθ (2.41)
となる。これを行列を使うと (
Ar
Aθ )
= (
cosθ sinθ
−sinθ cosθ
) (
Ax
Ay )
=T(θ) (
Ax
Ay )
(2.42)
の様に表せる。右辺のT(θ)は(1.15)で定義した座標回転行列である。つまり,xy座標系をθだけ回転させ た座標系と一致する。
θ
r
r
θ
0R
R
l
θ−θ
0図2
問題9. 直線の方程式を極座標で書くとrcos(θ−θ0) =Rのように書ける。
θ0, Rはこの直線の何を表すか? 図も使って説明せよ。
【解答】はじめに図2で上式を確認しよう。2次元なので原点から直線lへ
の法線ベクトルを与えれば直線が指定できる。その法線ベクトルをRとし,l
上の任意の点を終点とするベクトルをrとする。直線の記述法(1.29)と同様
にr−RとRが直交することを用いれば
(r−R)·R= 0 rRcos(θ−θ0)−R
2
= 0
∴ rcos(θ−θ0) =R (2.43)
が得られる。あるいはrからRへの射影が,原点からlまでの距離Rに等し
いことが分かれば直ちに(2.43)を得る。ここまでで明らかな通りRは原点か
らlまでの距離を表し,θ0はRの偏角を表す。 図よりθ= 0のときx軸切片rxに,θ=
π
2 のときy軸切片ryに対応するので
rxcos(−θ0) =R, rycos(
π
2 −θ0) =R,
rx=
R
cosθ0
ry=
R
sinθ0
. (2.44)
よってlの傾きは
傾き=−
ry
rx
=− 1
tanθ0
=−cotθ0 (2.45)
である。従ってよく見慣れたy=ax+bの形では
y=−tanx
θ0
+ R
sinθ0
(2.46)
と書ける。また直線の接線ベクトルの偏角がθ0−
π
2 なのでtan(θ0− π
12 2 速度と加速度
2.3
3
次元極座標
x
y
r
θ
r
φ
z
r
1e
1e
re
φe
θ図3
問題10. 右図の3次元極座標においてr, θ, φの1つだけが増える方向の単位 ベクトルをそれぞれer,eθ,eφとする。
10-1.er, eθ, eφが,x, y, z方向の単位ベクトルex, ey, ezを用いて
er= sinθcosφex+ sinθsinφey+ cosθez, (2.47) eθ= cosθcosφex+ cosθsinφey−sinθez, (2.48) eφ=−sinφex+ cosφey, (2.49)
の通りに表せることを示せ。
【解答】図のようにrをxy平面へ正射影させたベクトルr1とすれば
r=r1+rcosθez. (2.50)
r1の大きさはrsinθなのでr1をex, eyで表せば
r1=rsinθcosφex+rsinθsinφey. (2.51)
従って(2.50)と(2.51)より
r=rsinθcosφex+rsinθsinφey+rcosθez. (2.52)
これをrの大きさrで割れば(2.47)を得る。
次にeθを求める。図よりeθは,erでφを変えずにθをθ+
π
2 にしたものに他ならない。よって
eθ= sin(θ+π
2 )
cosφex+ sin(θ+π
2 )
sinφey+ cos(θ+π
2 )
ez
= cosθcosφex+ cosθsinφey−sinθez, (2.53)
となり,(2.48)と一致する。 また図よりeφは,erでθを
π
2 に,φをφ+
π
2 としたものである。よって
eφ= sinπ
2cos (
φ+π 2 )
ex+ sinπ
2 sin (
φ+π 2 )
ey+ cosπ
2 ez
=−sinφex+ cosφey. (2.54)
となり,(2.49)と一致する。 10-2.以下の式を確かめよ。
∂er ∂θ =eθ,
∂eθ
∂θ =−er,
∂eφ
∂θ = 0, (2.55)
∂er
∂φ = sinθeφ,
∂eθ
∂φ = cosθeφ,
∂eφ
∂φ =−sinθer−cosθeθ. (2.56)
【解答】それぞれ導関数を計算すれば出てくるので簡単な解説だけを加える。(2.55)の第1式で,
∂er ∂θ が eθに比例するのは,eθ の定義そのものである。これは2次元極座標のところ(2.32)の下で述べたことに等 しい。本質的に(2.56)の第1式も同じで,eφの定義より
∂er
でもあるが,erでφを微小量増やすときのz軸からの回転半径と考えても良い。(2.56)の第3式の右辺は,
∂eφ
∂φ がeφに直交することから ∂eφ
∂φ =−cosφex−sinφey =aer+beθ (2.57)
と展開できる。erとeθは直交しているので,上式とerまたはeθの内積をとることで
a=−cosφex·er−sinφey·er=−sinθcos2φ−sinθsin2φ=−sinθ, (2.58) b=−cosφex·eθ−sinφey·eθ=−cosθcos2φ−cosθsin2φ=−cosθ (2.59)
得られる。(2.57)の真ん中の式は,(2.49)をφで偏微分して得た。
10-3.3次元極座標における基本ベクトルer,eθ,eφの時間微分を求めよ。
【解答】er,eθ,eφはθとφの関数なので,合成関数の微分法と(2.55),(2.59)より計算する:
der dt = ˙θ
∂er ∂θ + ˙φ
∂er
∂φ = ˙θeθ+ ˙φsinθeφ, (2.60) deθ
dt = ˙θ ∂eθ
∂θ + ˙φ ∂eθ
∂φ =−θ˙er+ ˙φcosθeφ, (2.61) deφ
dt = ˙θ ∂eφ
∂θ + ˙φ ∂eφ
∂φ =−φ˙sinθer−φ˙cosθeθ. (2.62)
10-4.速度v=
dr
dt をer,eθ,eφを用いてv=vrer+vθeθ+vφeφの形で表せ。また速度の大きさv:=|v|
を求めよ。
【解答】速度の定義と(2.60)より
v= d
dt(rer) = ˙rer+re˙r= ˙rer+rθ˙eθ+rφ˙sinθeφ. (2.63)
その大きさは
v=√v2
r+v
2
θ+v
2
φ= √
˙
r2+ r2˙
θ2+ r2˙
φ2sin2
θ . (2.64)
10-5.加速度a=
d2r
dt2 をa=arer+aθeθ+aφeφ の形で表せ。
【解答】加速度の定義およびライプニッツ則と(2.60),(2.61),(2.62)より計算する:
a= d 2
dt2(rer) = ¨rer+ 2 ˙re˙r+re¨r
= ¨rer+ 2 ˙r( ˙θeθ+ ˙φsinθeφ)
+r[θ¨eθ+ ˙θ(−θ˙er+ ˙φcosθ) + ¨φsinθeφ+ ˙φθ˙cosθeφ+ ˙φ2sinθ(−sinθer−cosθeθ)]
= (¨r−rθ˙2−rφ˙2sin2θ)er+ (rθ¨+ 2 ˙rθ˙−rφ˙2sinθcosθ)eθ+ (rφ¨sinθ+ 2 ˙rφ˙sinθ+ 2rθ˙φ˙cosθ)eφ.