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用途発明の審査・運用の在り方に関する調査研究

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Academic year: 2018

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(1)

成1 年度 特許庁産業財産権制度問題調査研究報告書

用途発明の審査・運用の在 方に関す

調査研究報告書

成17年3月

財団法人 知的財産研究所

(2)

お知 せ

成 7 日 決定さ 知的財産戦略大綱 おいて 従来 知的所 権 という用語 知的財産 知的財産権 工業所 権 という

用語 産業財産 産業財産権 改 ことと まし

本報告書 おいて 可能 限 新しい用語を使用してお ます

※法律名や組織名 ついて 一部従来 用語 まま使用してお ます

(3)

i

要 約

. 本調査研究の背景及び目的

技術の高度化、特許による保護 求められる分野の多様化等により、用途クレーム等に 対するニーズ 高ま ている 一方、用途発明に対する保護の取扱い 各国 異 てお り、多国間協議 、用途クレームを含 特殊クレームの解釈・運用について、共通の指 針を作成する方向 検討 されている また、我 国の審査基準 、用途発明の取扱い について、一般的 規定 設けられている け 判断基準 明確 く、業界等 らより 具体的 より分 りやすい審査基準 望まれている

さらに最近の動 として、200411月に、知的財産戦略本部の 医療関連行為の特許 保護の在り方に関する専門調査会 の とりまとめ の中 、用途発明の審査・運用に関 して一つの大 課題とも る方針 打 出された 医薬分野の発明を 物の発明 とし て、用途発明のクレーム形式 保護することも検討課題に り、用途発明の役割 ますま す 要に る

15年度に行 た 主要国における用途発明の審査・運用に関する調査研究 、 用途発明に関する技術分野 との問題点、裁判例の分析、及び欧米特許庁の現状を把握し た し し、その結果に基 いた現状における問題点の整理、その解決策の提案等、今後 の我 国における用途発明の解釈・運用の在り方について十分 審議を行うこと

た そこ 、本調査研究 、昨年度の調査結果に基 いて用途発明の審査・運用の在 り方を討議し、これらの議論の結果を踏まえて、用途発明に関する審査基準の改訂作業へ の着手を可能にすることを目的とした

Ⅱ. 昨年度の調査研究結果の総括と本年度の調査研究方針

1. 昨年度の調査研究 抽出された課題の整理

我 国において 、用途発明と ある物の特定の性質に着目してその物の利用方法を発 見したことに基 く発明 物の発明の場合も方法の発明の場合もある と解され、用途発 明のクレーム記載形式 、 用途を限定した物 、 方法 及び 使用 のクレーム あ る た し、医薬用途 方法 及び 使用 のクレーム 認められ い 米国 、 用途発明 方法の発明 としてのみ取り扱われ、医薬用途についても、方法クレーム 表現される 欧州 、医薬分野以外 、 方法 及び 使用 のクレームのみ 認めら れる 、医薬分野 、第一医薬用途 特例として許され、第 医薬用途として ケイケ 型クレーム 表現される

(4)

ii

我 国における用途発明の新規性判断について 、特許・実用新案審査基準の第Ⅱ部 第 2章 新規性・進歩性1.5.2(2) 物の用途を用いてその物を特定しようとする記載 用途 限定 ある場合 の判断基準 適用される 、その解説文 解 不明確 ため具体的

分 りやすい審査基準 望まれている

昨年度の調査研究 、技術分野として、医薬、化粧品・食品、化学、合金の4分野に 分けて、以下のよう 課題及びニーズを抽出した

医薬分野

・従来 ら知られるクレームのワーデ゛ンエに基 く特殊用途クレームと に、治療に 係る方法クレームを回避するために発生する特殊用途クレーム 存在する

・ 化合物X ら るR 容体拮抗剤 や R 容体拮抗作用化合物 ら るY疾患治療 剤 のよう 薬理ベカニズム R 容体拮抗 特定されたクレームの記載要件に関する

審査基準 明確 い

・我 国 、医薬用途発明における薬理試験データ 出願時に必要 あり、後 ら提出 しても認められ い 開示要件違反を回復するために薬理データを後に提出すること

る う について 、 極 一 してい い

②化粧品・食品分野

・化粧品・食品分野 、公知の天然素材の新た 機能の発見に基 く発明 、剤クレー ム 表現されること 多く、表現形式をより統一化すること 望ましい

・クレーム形式 ~化粧方法 ある発明 あ ても、 手術、治療又 診断する方法 に該当すると判断される場合 産業 利用すること る発明 に該当し いとされ る

化学分野

実務 の問題 生 てい いものと思われる 合金分野

・過去の産業 審査基準において、クレーム中に用途 又 性質 を明示すべ 規定 あ たこと ら、現在 も、新規の合金も公知の合金も区 せ に用途限定記載をしている

・ ~の組成を有する耐熱性合金 のよう 性質を用いて特定されたクレーム表現 権利範 囲 不明確に るし、同 組成・組織の合金に対して、性質や機能 特定された用途特許

複数成立する可能性 ある

. 本年度の調査研究方針

記の昨年度調査研究 抽出された課題をその要因 とに、様々 クレーム表現 存在 すること 、 医薬分野において方法クレーム 認められ いこと 及び 記載要件の面 ら見た問題 と大 く つに分類し、これらの課題 とに本年度の調査研究を進める方針 とした

(5)

iii

・様々 クレーム表現

一つの用途発明に対して、 物の発明 としても 方法の発明 としても表現可能 あり、 様々 クレーム形式 存在し、その解釈 複雑 ものと ている クレーム記載表現 、 出願人のニーズに合わせて選択される 、出願人の希望 おり認められ い場合も少 く く、この点 も問題 生 る 化学 化粧品・食品を含 や合金の分野 、用途限 定のクレーム表現 、用途発明を意味するの 、用途限定記載のある新規 物の発明を意 味するの 不明確 場合 あり、特に合金分野 用途のみ ら 性質により物を特定す る記載も見られ、その解釈の面 問題 生 る可能性 ある そこ 、本調査研究 以 下の つの項目に分けて検討した

発明のカゾゴリーに対応する様々 クレーム表現 存在すること

②素材産業において用途限定した素材のクレーム 権利化を目指すこと 合金分野における用途及び性質限定の記載

・方法クレーム 認められ いこと

、人間を手術、治療又 診断する方法 、産業 利用すること る発明 に 該当し いため、医薬の用途発明 方法の発明としてのクレーム表現 認められ い そのため、従来、医薬用途発明の多く 剤 形式のクレームによ て保護されて た し し、近年著しい進歩を遂 た医療技術に関する発明や臨床段階の研究における発明等

多く出願されるように り、方法クレーム 認められ いことによる問題 生 ている 本調査研究 、この問題を医薬分野のみに見られる特有の課題として検討した

・記載要件における課題

成7年に行われた審査基準の改正によ てクレーム記載の自由度 広 られた 、用 途発明のクレーム表現に関して 不明 点 多く、記載要件の面 ら問題点 い を検 討する方針とした 特に医薬の分野 、疾患関連遺伝子の発見と薬理ベカニズムの解明 に伴 て新たに見られるように た 化合物X ら るR 容体拮抗剤 や R 容体 拮抗作用化合物 ら るY疾患治療剤 のよう 剤クレームに対する記載要件 第 36条 第6項 、及び薬理試験データも含めた発明の詳細 説明の記載要件 第36条第4項第1 号 に関しても再度検討した

・国際的比較及び法的 面 らの検証

記の課題 とに検討した結果について、国際的ハーモヂイズの面 ら考察をし、さら に、権利付与段階及び権利行使段階における法的 面 ら検証をした

(6)

iv

Ⅲ. 発明のカゾゴリーに対応する様々 クレーム表現

用途発明 え方及び新規性 断手法 指標 し 審査基準 .5. い 用途

発明 向け 考え 使用さ 異 特 適

し 位置付けを含 明確化し 記載 望 ク ム記載 又 い

該当 技術思想 発明 実体を踏 え 断 考え 記載 趣旨

疑問 余地 あ 場合 ク ム範囲を広く解釈 等 第三者 信頼保護 配慮 あ う

用途発明 物 ク ム 表現さ 場合 基本的 異 二 解釈 考え 一 用途発明 特徴を新規 用途 開発 自体 あ え ク ム中 用途限定 い

公知 物 用途 新規性を認 得 立場 用途 説 あ う一

用途発明 特徴を用途 適し 構造 いし形態 あ え 新規性を認 物自体

い こ を必要 立場 形態 説 あ 利点 問題点 あ

基本的 従来 保護 在 方 維持を 視 あ 用途 説を採 考え

他方 審査基準をハ モナイズ く実務 修正を目的 あ 非 薬分

い 形態 説を採 こ 考え 際 出願人等 十分 説明 求

あ う

用途 説 下 用途 同一性 断 当 適用範囲 異同 いう基準 妥当性

議論 得 用途 技術的 可能 否 実質的 断を許容 配慮 望

他方 形態 説 従う し 審査基準 い 機能 特性等 .5. 用途限定

.5. をあえ 必然性 い 思わ 形態 説を基調 し 物

し 新規性付与 ラベ 等 表示 形態を擬制 考え方 あ 得 一

般的基準 し 適さ い 思わ 擬制 許容 物 し 実体的 を常

要求 考え方 少 く 薬用途発明 え方 し 無理 あ 思わ

他 剤 ク ム 多く用途発明を含意 あ こ 新規性 断

基準を左右さ こ 困難 物 ク ム 単 一類型 思わ さ 方法

使用を含 ク ム い 物 ク ム 断基準 わ 用途 可

能 新規性を認 得 こ 妥当 考え

Ⅳ. 技術分野 との課題と解決策の検討

A. 素材産業における 用途限定した素材のクレーム による特許保護

公知の物質Zの用途発明を特許 保護する場合、 物質Z ら る製品A という形式 のクレーム 保護すれ 、製品Aの製造販売会社 、自社の製品を直接特許 保護するこ

(7)

v

と る 素材ベーカー 、製造販売している素材の用途発明を保護する場合も、 自社 の製品の物質名 曒尾に るクレーム 例:殺虫用の化合物Z や 材料や組成物を曒尾 とするクレーム のように用途限定した素材のクレーム 権利化 れ 、直接、競合会 社 他の素材ベーカー に権利行使 るの 、ニーズを満たすクレームと考えられる 現行審査基準の第Ⅱ部第21.5.2(2)の新規性判断基準において、 殺虫用の化合物Z 例示された説明箇所 、 場合 あることによ て不明確に ている 化合物Z 固有の化学物質名 あり、形容詞や修飾語を付けてもその構造 同一 あるの 、 そ の用途に特に適した物 を満たすと 考えられ い そのため、 ②その用途にのみも ら使用される物 ある う 判断する必要 ある 、審査基準に 具体的 条件 示 されておら 技術分野 との判断にゆ ている

物の発明 として表現する用途発明のクレーム構成の場合、 公知の特定物 ら る… 用の不特定物 例:化合物 Z ら る殺虫用組成物 という形式を採る場合 多く、 つの特定要件によ て不特定の物の範囲 限定される し し、 化合物Z のように 既 に特定された固有の物質名 に対して 、それ以 狭い範囲に特定すること い そこ 、用途限定する対象と る 物 特定されてい い物 一般に 普通名詞 表記 される あることを条件として う 検討した

剤型等の形態、包装、表示等 区 る場合に 、 の判断基準 適用 ると考 えられる 、実態として用途を発見した物自体と区 い場合もある このように構 造的に区 い場合に、 ②その用途にのみも ら使用される物 の新規性判断 適 用され、その意味 、② 用途発明に対する判断基準ととらえること る 公知の 物の用途と適用範囲において区 可能 あれ 、 その用途にのみも ら使用される物

あると判断して う という考察を行 た

B. 合金分野における用途及び性質限定に関する問題

材料の発明の多く 、目的とする化学的性質、物理的性質をい にして実現する とい う研究開発の成果として生まれる 合金分野の場合も同様 ある 、合金分野の発明に 請求項に 用途 及び 性質 の記載されているもの 多い 本稿 、昨年に引 続 これらの文言の持つ意味と、用途限定に関する審査基準との適合性について考察した

用途発明という概念 、特定の分野に限定されて適用されるもの く、合金分野の 発明の中にもいわゆる用途発明の定義に即した開発パターンを伴う発明 あり得ること、 特許請求の範囲や明細書の記載を見ても、通常 ある物の特定の性質に着目してその物 の利用方法を発見したことに基 く発明 という用途発明の開発パターンに当て まる 否 を区 すること いこと、合金分野の発明の場合に 用途や性質の記載により 物 特定されること 多いこと ら、他の分野と同様に 発見的 用途を付した特許

(8)

vi

性のある物の発明 と ありふれた用途を付した特許性のある物の発明 の両方 存在し 得ることに加えて、 用途により物 特定された特許性のある物の発明 というものも存在 する このよう 合金の分野において 用途 を記載すること く、あるい 用途 物を特定し いと仮定して、他の表現方法 発明を適切に表現 るの う という考 察を行 た

その 、用途限定の審査基準として示されている② その用途にのみも ら使用さ れる物 という表現の解釈 うあるべ 、使用状態 区 ることをも て新規性 認められている事例との整合性、化合物の発明とその他の発明との違いを中心に検討を 行 た

また、 性質 を 用途 として判断する現行の基準 、合金の発明をとらえる 適 切 あるものの、その表現 物を特定しているの 否 外見 ら 判断 いと いう問題 あり、共通の審査基準の下 この問題を解決する方法についての提案を行 た

. 医療分野特有の課題

本項 、昨年度調査研究に引 続いて、医薬用途発明に係る特許 あ て、方法の要 素をクレーム中に有する場合に認められる発明の本質と技術的範囲とのズレの問題につい てその成因を解析し、問題解決の可能性及び限界を検討した

調査及び研究の方法として 、医薬の使用方法に係る技術的特徴を有する用途発明の事 例を取り 、それらの特許の成立クレームについて検討を行 た 具体的に 、成立ク レームの構造を解析し、発明の本質と比較を行い、その結果を踏まえて考察を行 た

記検討の結果、医薬用途発明に係る特許 、物をクレームの態様とし、物、用途及び 方法の3要素 ら構成されており、用途及び方法の要素 物発明の限定要件として構成さ れていた し し ら、医薬用途発明において 、方法要素 クレームの技術的範囲を 特定する の取扱い 明確 いこと ら、技術的範囲の限定において、その範囲 不 明確と り、権利の安定性を欠くこと、また、発明内容と 直接関連し い語句を して クレーム対象と ている物発明を限定しているクレープンエに問題 あること、

明ら と た 医薬用途 、物と方法 選択された場合に発明 特定される要素 ある こと ら、それらの要素との関係 要 あると考えられた 一方、医薬用途発明におけ る各要素のクレーム中 の取扱いに関して審査基準 に 明確 規定 認められ

た 、判例 の検討 ら、用途発明を物の属性の発見に基 く発明とみ していること ら、用途あるい 物のい れ 新規 あれ 発明に新規性 あると判断 るものと考 えられた 方法要素の取扱いについて 、明確 記載 く、物の属性として扱うこと

い 、方法を限定することによ て用途 大 く影響されること ら、両者 医薬 用途発明を特定する 切り すことの い要素として判断されるべ と考えら

(9)

vii

れ、方法 限定された物と方法 限定された用途の新規性 判断された後、い れ 新 規 ある場合を用途発明の新規性の判断として検討すべ ものと考えられた し し ら、この手法によ て特許性の判断 可能と る用途発明 限られたケーケにと まるも のと思われ、また、物の特許において 、物また 物の属性のみ 発明の新規性判断の基 本と るとする考え方もあるの 、今後、方法を態様とした医薬用途発明の特許保護の在 り方についても検討されるべ ものと考えられた

. 記載要件の面 ら見た検討

昨年度の本委員会報告において、我 国の現行審査基準 用途発明に関する判断基準 必 しも明確 いことを指摘した そこ 本年度 、各技術分野に最も適した用途発 明に関する判断を事例として示し、その解釈と運用を明確にすることによ て、結果予測 性の高い審査 安定して行われることを目的として審査基準を改定すること 提案された 現行の審査基準の中 用途発明について触れているの 、第Ⅱ部第 章 1.5.2(2) ある

、この基準 物の異同を判断するャーャ あり、このャーャを用途発明にそのまま当て めること い 同 物の用途発明の異同 その用途 見るという、用途発明の審 査基準を新たに設けるべ ある このと 、用途発明を物の一連の一般的使用方法を内 包している発明ととらえれ 、同 物の用途について、一般的 使用方法の範囲を超えた 特殊 使用方法 修飾することによ て、いわ 位概念の用途に対して下位概念の用途 を特定したものとして表現 る 例え 、医薬用途における 用法・用 特定され た用途 、医薬用途の選択発明と考えること る

一方、権利範囲の不明確 特許の成立を防 ために 、用途発明 あること 明確と るよう 曒尾表現 各技術分野において例示されるべ ある 薬理ベカニズム 表現さ れた曒尾表現 、技術常識を参酌することによ て特定の疾患治療用途に該当すること 明ら 場合以外 、不明確とするの 好ましい さらに、化合物を構造的に何ら特定せ

に機能・特性等のみ 表現するクレーム 、このよう 表現以外に 発明を適切に特定 すること い場合にのみ認めることとし、これ以 の例外を設けて ら い

現行の審査基準 掲 るhow to useとhow to make 実施可能要件を満たすとい う審査 、発明追試のインケダラクションを詳細に記載すれ 足りると主張され兼 い 、実施可能要件と 個に、必要 薬理データに基 用途発明を十分に開示させる サポーダ要件の運用 好ましい

筆者 サポーダ要件と実施可能要件とを区 する考え方を採るの 、この区 、出願 後に提出された薬理データの参酌されるべ 範囲を合理的に説明 ると考えている ら に他 ら い 発明の完成・曑完成という判断を我 国の記載要件の判断基準として正面 らとらえ、完成している発明、す わ サポーダ要件を具備している用途発明の実施可

(10)

viii

能要件不備を解消するために 、一定の範囲 薬理データの追加提出も容認する基準を検 討することを提案したい

. 国際的比較の面 ら見た検討

特許要件の国際的比較について 、既に昨年の報告書に述べた そこ 、今回 、我 国特許庁 始めて作成している 医薬発明 の審査基準に関連して、再度国際的比較の観 点 ら考察を加えた 諸外国と我 国 、サポーダ要件や実施可能要件等の扱いに相違

あり、今後、ハーモヂイズの観点 ら更 る議論を深める必要 あると考えられる

. 法的検討

1. 我 国における用途特許の特許法 の位置付け

基本的事項の要約にと まり具体的 提言に 至ら た 、本研究会において こ の点に関して、医薬分野とその他分野を分析した示唆に富 提案 されており、今後、 立法論も含め、国際的 調和も考慮し、具体的検討を 続する必要 ある

. 医薬関係

1 において、知的財産戦略本部の医療関連行為専門調査会報告 とりまとめ に示 された、医薬発明に関する 物の発明 としての特許付与という政策 の合意の解釈と方 向性を検討した また、 る政策合意を前提とする立法論として、不特許事由及び医師 免責規定の立法の必要性について付言した

において 、 医薬発明の権利付与段階 新規性・進歩性 の課題 を検討した 医薬発明 の判断プュコケとして 、物の用途発明としての位置付けを出発点として整 理し、医薬発明 方法的 技術思想によ て特定される場合について、 人間を手術、治療 又 診断する方法 の要件における審査 く、 物の特許 としての 医薬発明 の新 規性及び進歩性の有無の問題として特許付与性を判断すること 妥当 あると考えられた 具体的に のように方法的 技術思想を評価する という点について 、用途発明の意義 に照らし、物また 医薬用途という つの構成要件において判断すること 妥当 あると 考えられた

3 医薬発明の権利行使段階の課題 として 、用途発明の効力の原則論として、ク レーム 特定された用途以外の用途 特許発明の技術的範囲に含まれ いことを確認した さらに、直接侵害行為の範囲として共同直接侵害の成否についても検討した 間接侵害に

(11)

ix

ついて 成 14年改正特許法 101条 号及び4号を適用した判決に照らし、従来と 格 段に広い範囲の間接侵害 成立することを報告した

3. その他分野における議論の検討

用途発明に関する法的検討について 、昨年度本委員会報告書において、日本の裁判例 の検討、特許権の効力範囲に関する全般的 検討を既に行 ているところ ある そのた め、本年度における法的検討項目として 、新た 検討課題として生 て た医療関連発 明における用途発明としての取扱いをめ る法的検討 本報告書第 章2. 林委員執筆部 分 に加えて、そもそも用途発明について 、一般的 発明と比べ、権利付与段階及び権 利行使段階において、法的に 異に取り扱われ けれ ら い あるい 取り扱うこと に何ら の合理的根拠 見出せる 局面や合理的根拠 存在するの 否 についての検討、 また仮にも よう 局面 存在すると考えられる場合に 解釈論 い る対応 考えら れるの について、本報告書における他の検討項目 ら提示された議論を踏まえて行 た 用途発明についての定義概念について 、現行の特許庁審査基準において用いられている 定義 ある ある物の特定の性質に着目して、その物の利用方法を発見したことに基 く 発明 特許庁 特許実用新案審査基準第Ⅱ部 第 章 新規性・進歩性1.5.2特定の表現を 有する請求項における発明の認定の具体的手法 物の用途を用いてその物を特定しよ うとする記載 用途限定 ある場合 を前提としている

具体的に 、権利付与段階と権利行使段階に分けて、 用途発明 という特定の発明類型 を特許法の解釈適用に際して 異に取り扱われる局面 存在するの 、あるとすれ い

る場合 あ て、その方向性として のよう もの 考えられるの 、とい た視点 に立 て法的検討を行 て た 権利付与段階における課題として 、新規性要件の評価 とワーデ゛ンエとして、用途発明について特段の扱いを定めている現行審査基準について の機能についての検討、その他の特許要件と用途発明の関係、薬理試験データと実施可能 要件についても検討を行 た 権利行使段階における課題として 、様々 ワーデ゛ンエ のクレームと発明のカゾゴリー、発明のカゾゴリーと効力範囲の解釈の側面 ら検討を行

これらについての端的 結論として 、以下のようにまとめられよう

ま 、新規性・進歩性の各要件の解釈適用の場面 、技術的思想のう 用途面に創作的 価値 あるという部分を適正に評価すること 法的に 要請されるところ あ て、その 目的を実現するという観点 ら明確 審査基準を策定する必要性 見い される 、その 具体的内容として りの自由度 あり、法的 束縛 緩いものと考えられる 薬理試 験データと記載要件について 、基本的に医薬用途発明 あることの特殊性 く、医 薬関連発明一般の問題として検討されるべ あると考えられる また、現行の審査基準

(12)

x

認められている 使用 クレームの取扱いをめ て 、法的に必 しも明確 根拠を 背景とすること く 方法 カゾゴリーとしての分類に 固定 されている 、権利行使 段階の局面を考慮すると、裁判所におけるクレーム解釈による変動の可能性 具体的に 、 使用 クレームを 物 の発明とするという変動 をも考慮すると、審査基準としての 扱いについても若 緩和する方向 見直す余地も見い せるといえる

. 総括

用途発明に関する我 国における問題点に関して 、当初予想された以 に、解釈及び 対応 しい点 多々あり、問題によ て 白熱の議論 戦わされた そして、本調査研 究における議論において、必 しも統一的 結論に至ら たものも多々ある 、それ ら 、い れも熱心 深い議論を伴うもの あり、必 や、今後の審査基準の改訂や用途 発明の解釈・運用の改善にあた て 要 資料と るものと思われる

(13)
(14)

めに

本調査研究 、昨年度の 主要国における用途発明の審査・運用に関する調査研究 を 更に発展させる形 続して行 たもの ある 昨年度 、用途発明に関する技術分野 との問題点の抽出、関連する裁判例の分析、及び欧米特許庁の現状を把握し、 成 15 年 度調査研究報告書としてまとめた

医療分野を めとする技術の高度化、特許による保護 求められる分野の多様化等に より、用途発明に対するニーズ ますます高ま ており、本年度の調査研究 、我 国 における用途発明の審査・運用の在り方について十分審議し、これらの議論の結果を踏ま えて、審査基準の改訂作業に着手 るようにすることを目的とした

本調査研究において 、昨年度に引 続 、第一線 活躍中の、法 、特許実務の専門 家、及び用途発明に関連の深い企業の実務経験者 ら る委員会を発足させた 昨年度に 整理した課題 とに、各委員 らその解決策の発表とそれに対する議論を 、さらに国 際的 比較、法的 観点 らも十分 討議 された

昨年1122日に 、知的財産戦略本部の医療関連行為の特許保護の在り方に関する専 門調査会の 医療関連行為の特許保護の在り方について とりまとめ 出され、医薬発 明に関する審査基準改訂に資する検討 急務と た とりまとめ の内容 ら、用途発 明の役割 ますます 要に るものと思われ、そのため、委員の方々に 大変無理 ケケ グューャをお願いすることに た

本報告書 、我 国の将来の用途発明に関する審査・運用の在り方についての委員会 の検討内容及び提言をまとめたもの ある 医薬発明も含めて用途発明に関する基準を今 後作成する 、本報告書 良 参考資料と れ 幸い ある

最後に、本調査研究の遂行に当たり、 指導 協力を頂いた委員長 め委員の方々に、 この場を借りて深く感謝する次第 ある

173

財団法人 知的財産研究所

(15)

用途発明の審査・運用の在り方に関する調査研究 委員会名簿

委員長

木 祐輔 木国際特許事務所 所長 弁理士

委員

稲場 均 持田製薬株式会社 知的財産部 専門部長 知財担当 大久保 育子 協和発酵工業株式会社 知的財産部

加藤 実 花王株式会社 知的財産コンター 部長 弁理士 関 義朗 金属工業株式会社 知的財産部 参事

高橋 秀一 武田薬品工業株式会社 知的財産部 シニ゚マネグャー 弁理士 林 い み 永代総合法 事務所 弁護士

嶋 竜太 筑波大学大学院 ビグネケ科学研究科 企業法学専攻 助教授 室伏 良信 ファイギー株式会社 知的財産部 部長 弁理士

浅野 敏彦 () 知的財産研究所 研究部 主任研究員

アノギーバー

井 正 特許庁 特許審査第一部 調整課 審査基準室 室長 田中 耕一郎 特許庁 特許審査第一部 調整課 審査基準室 室長補 引地 進 特許庁 特許審査第一部 調整課 審査基準室 室長補 高山 芳之 特許庁 総務部 技術調査課 課長補

嶋田 研 特許庁 総務部 総務課 工業所有権制度改正審議室 特許・実用新案制度係長

井 猛 特許庁 特許審査第 部 金属電気化学 審査官 関 政立 特許庁 特許審査第 部 医療 主任 席審査官

城 春実 東京高等裁判所 知的財産第 部 判事 芦原 康裕 内 官 知的財産戦略推進事務局 参事官補

事務局

浅野 敏彦 () 知的財産研究所 研究部 主任研究員 熊坂 昸 () 知的財産研究所 研究部 主任研究員 田 昌浩 () 知的財産研究所 研究部 研究第 部長

(16)

目 次 要約

めに 委員会名簿 目次

I. 序

1. 背景 ・・・ 1

. 本調査研究の目的 ・・・ 2

3. 本調査研究の進め方 ・・・ 3

4. 本調査研究の対象 ・・・ 3

Ⅱ. 用途発明の審査・運用における課題の整理

-昨年度の調査研究結果の総括と本年度の調査研究方針-

1. めに ・・・ 4

. 日米欧における用途発明の扱い ・・・ 4

1 用途発明のクレーム形式 用途発明の記載要件

3. 審査基準における用途発明の扱い ・・・ 5

4. 技術分野 との課題 ・・・ 6

1 医薬分野

化粧品・食品分野 3 化学分野

4 合金分野

. 抽出された課題の整理と本年度の調査研究方針 ・・・8 1 様々 クレーム表現

方法クレーム 認められ いことによる医薬分野の課題 3 記載要件における課題

4 国際的比較及び法的 面 らの検証

(17)

Ⅲ. 発明のカゾゴリーに対応する様々 クレーム表現

1. 審査基準における用途発明の位置付け ・・・11

1 出願人側の事情 制度 基準 の原因 3 問題点解決のための検討 4 問題点解決策の提案

. も ら使用される への該当性 のように判断すべ ・・・14 1 出願人側の事情

制度 基準 の原因 3 問題点解決のための検討 4 問題点解決策の提案

3. 新規性の判断基準 -物のクレーム- ・・・17

1 出願人側の事情 制度 基準 の原因 3 問題点解決のための検討

4 用途発明のとらえ方における解釈の相違 それ れの解釈に依る利害得失

剤のクレームについての考察

7 問題点解決策の提案 物のクレームに関して

4. 使用及び使用方法のクレーム ・・・40

1 出願人側の事情 制度 基準 の原因 3 問題点解決のための検討 4 問題点解決策の提案

Ⅳ. 技術分野 との課題と解決策の検討

A. 素材産業における 用途限定した素材のクレーム による特許保護

1. 背景と原因 ・・・ 46

(18)

1 出願人側の原因 制度 基準 の原因

. 問題点解決策の提案 ・・・ 51

1 用途発明のクレームの構成

殺虫用の化合物Z の新規性判断基準 3 ~ ら る・・・用材料 の新規性判断

4 その用途に特に適した物 の新規性判断基準

②その用途にのみも ら使用される物 の新規性判断基準

B. 合金分野における用途及び性質限定の記載

1. 合金分野に用途発明 存在する ・・・57

1 技術分野と用途発明 合金の発明行為

. 用途発明と用途記載発明の区 ・・・58

1 合金の発明における用途の意味

出願人の選択 その1 ・・・用途の記載 必須 否 3 出願人の選択 その ・・・ 使用 クレームとの比較 4 制度 基準 の原因

問題点解決策の提案 考え方とその根拠を中心に

3. 性質限定記載について ・・・69

1 出願人側の事情 制度 基準 の原因

3 問題点解決策の提案 考え方とその根拠を中心に

. 医療分野特有の課題

1. 緒言 ・・・73

. 方法及び結果 ・・・73

1 調査・研究の方法

調査・研究の対象とした事例 3 クレーム構造の解析

(19)

3. 考察 ・・・81

4. まとめ ・・・91

. 記載要件の面 ら見た検討

1. 課題の整理 ・・・93

1 昨年度報告の結論

用途発明の成立時期と実務的意義 3 用途発明保護における我 国の立場

. 特定の表現を有する請求項における発明の認定の具体的手法

の課題とその解決策 ・・・96

1 用途限定物と用途発明

用途発明に関する従来の基準 3 課題の解決策

3. 医薬発明 -専門調査会答申への対応の可能性- ・・・100

4. 第36条第6項 について ・・・101

1 クレームの曒尾表現と明確性要件

クレーム中の薬理ベカニズムの記載と明確性要件

. 第36条第41号 について ・・・103 1 サポーダ要件と実施可能要件

実験データの出願後の提出

. 国際的比較の面 ら見た検討

1. めに ・・・106

. 医薬発明 の審査基準の前提 ・・・106

3. 3661号について ・・・108

4. 3662号について ・・・110

. 実施可能要件について ・・・110

. 新規性について ・・・114

7. 39条について ・・・119

. 最後に ・・・120

(20)

. 法的検討

1. 我 国における用途発明の特許法 の位置付け ・・・121 1 用途発明の意義

用途発明の、発明のカゾゴリー分類

. 医薬関係 ・・・122

1 知財戦略本部医療関連行為専門調査会報告書 とりまとめ の方向性についての解釈論 らの理解

医薬発明の権利付与段階 新規性・進歩性 における課題 3 医薬発明の権利行使段階における課題

3. その他分野における議論の検討 ・・・152

1 検討の方向性

権利付与段階における課題 3 権利行使段階における課題

4 用途発明の本質と特許法による保護-審査基準の役割意義

. 総括 ・・・168

参考資料

資料1 医療関連行為の特許保護の在り方について とりまとめ

知的財産戦略本部 医療関連行為の特許保護の在り方に関する専門調査会

資料 特許・実用新案審査基準 特許庁 の抜粋 第1章

2.2 36条第6 第1号、第 3.1 36条第4項、 3.2 実施可能要件 第Ⅱ部

1.5.2 特定の表現を有する請求項における発明の認定の具体的手法

(21)

本報告書 、委員会 の議論をうけて各委員 執筆している

このため、各章の内容について 、必 しも委員全員の統一的見解 い 各章の執筆分担 下記のとおり ある

. 事務局

Ⅱ. 事務局

Ⅲ. 加藤 実

Ⅳ.A. 浅野 敏彦

Ⅳ.B. 関 義朗

Ⅳ. . 稲場 均 ・ 大久保 育子

. 高橋 秀一

. 室伏 良信

.1. . 林 い み

.3. 嶋 竜太

. 木 祐輔

(22)
(23)

-1-

I. 序

1. 背景

技術の高度化、特許による保護 求められる分野の多様化等により、用途クレーム等に 対するニーズ 高ま ている また、実体特許法条約及び改正特許協力条約ガイチライン に向けた多国間協議 、用途クレームを含 特殊クレームの解釈・運用について、共通 の指針を作成する方向 検討 されている

1

一方、用途発明に対する保護の取扱い 各国 異 ている 例え 、米国 用途 特定された公知物質に新規性を認め いため、物 くすべて方法の発明として保護さ れる 欧州 、非医薬用途 方法の発明として保護される 、医薬用途 第一医薬用途 発明と第 以降の医薬用途発明に分類し、前者に 物の発明として特許 付与される 、 後者 製造のための医薬の使用 という特殊 形態 特許 付与されている ところ 、 日本 、第一、第 以降の医薬用途発明もすべて物の発明として特許 付与される一方、 方法 も使用 も保護される た し、医療方法を除く という複雑 状態に ており、 用途発明の保護の在り方を整理すること 望まれている

また、我 国の審査基準 、用途発明の取り扱いについて、一般的 規定 設けられ ている け 判断基準 明確 く、業界等 らより具体的 より分 りやすい審査基準 望まれている 審査基準に 、公知物に用途限定 ある場合、 その用途に特に適した 物、②その用途にのみも ら使用される物、又 その用途に特に適し、 つその用途 にのみも ら使用される物のい れ を意味している を判断し、 ~ のい れ に 該当し いと に 、新規性を否定すると記載されている

さらに最近の動 として、200411月に、知的財産戦略本部の 医療関連行為の特許 保護の在り方に関する専門調査会

2

の とりまとめ の中 、用途発明の審査・運用に関

1 http://www.wipo.int/meetings/en/details.jsp?meeting_id=5084 WIPOにおける特許法常設委員会(SCP)10回会 2004510日~14 資料SCP/10/6 Practice Guidelines under the Substantive Patent Law Treaty 用途クレームに関する以下のガイチライン案 記載されている

145 Rule 13, paragraph (4)(c). This subparagraph concerns a claim defining a product by its particular use (product-by-use claim). Such a claim should be construed as the product being limited to the particular use. Whether the product is new or not and whether the particular use of such product is new or not having regard to the prior art are not a question of interpretation, but a question of patentability of the claimed invention. In assessing the patentability of such a product-by-use claim, whether the claimed product is particularly suitable for the stated use or is applied only for the purpose of the stated use may be taken into consideration. A known product which prima facie is the same as the product defined in the claim, but which is in a form which would render it unsuitable for the stated use, would not deprive the claim of novelty, but if the known product is in a form in which it is in fact suitable for the stated use, though it has never been described for that use, it would deprive the claim of novelty. For example, a claim to a known substance or composition for the first use in surgical, therapeutic and/or diagnostic methods that is presented in a form such as: “substance or composition X” followed by the indication of the use, for instance “…for use as a medicament”, “…as an antibacterial agent” or “…for curing disease Y” would be regarded as restricted to the substance or composition when presented or packaged for the use.

2 第1回 20031031 11 20041122 知的財産の創造、保護及び活用に関する推進計 20037 23(1) 医療関連行為の特許保護の在り方を検討する 医療関連行為の特許法

(24)

-2-

して一つの大 課題とも る方針 打 出された す わ 、 医薬の製造・販売のため に医薬の新しい効能・効果を発現させる方法 の技術について、物の特許による保護の拡 大の可能性を、他分野の例や医薬における特許例 を参考に権利の効力の問題にも配慮 しつつ可能 限り追求し、それを審査基準等に明確化することにより、物の特許として保 護すべ あるという結論 ある

医薬分野の発明を 物の発明 として、用途発明のクレーム形式 保護することも検討 課題に り、用途クレームの役割 ますます 要に る そのために 、 物の発明 に対 する審査の判断基準を従来通り適用 るの 、権利化された特許クレーム 権利行使の 段階において適切 効力を果たすの 、 医師の行為に係る技術 との区 明確に る の 、とい た困 課題について検討し けれ ら い

本来、用途発明のクレーム表現 物の発明 とすべ 、 方法の発明 とすべ 医薬分野のみを切り して考えるの 、全分野共通の基準を検討すべ あるの そこ に 、さらに根本的課題 されている

以 のよう 背景の下 、我 国における用途発明に関する適正 解釈・運用の在り方 を模索すること 急務 ある

. 本調査研究の目的

本調査研究 、昨年度 成 15 年度 に行 た 主要国における用途発明の審査・運 用に関する調査研究 の続 ある 昨年度の調査研究 、用途発明に関する技術分野 との問題点、裁判例の分析、業界毎のニーズ、及び欧米特許庁の現状を把握し、ファク ダ・ファインデ゛ンエの点 満足のいく調査結果 得られた し し、委員会 、調 査結果の報告及びその質疑応答のみ 時間切れと り、その結果に基 いた現状における 問題点の整理、その解決策の提案等、今後の我 国における用途発明の解釈・運用の在り

方に関係する十分 審議を行うこと た

そこ 、本調査研究 、昨年度の調査結果に基 く審議を基本としつつ、用途発明に 関する我 国における問題点、及び欧米の現状との相違点を明確化し、我 国の審査基準 改訂への提言も含めた用途発明の解釈・運用の在り方を討議することを目的とする さら に、これらの議論の結果を踏まえて、用途発明に関する審査基準の改訂作業への着手を可 能にすることを目的とする

お、用途クレームを含 特殊クレームの解釈・運用について 、実体特許法条約等 共通の指針を作成する方向 検討されており、本調査研究 、これらに関する議論に精力 的に取り組 ために必要不可欠 もの もある

取扱いについて幅広く検討するための場を設け、2004年度中の早い時期に結論を得る との提言 されている

(25)

-3-

3. 本調査研究の進め方

本調査研究 、昨年度の調査研究と同様に、10名の委員 ら る委員会を発足させた 委員会の進め方として最初に、 用途発明の新規性の判断基準 、 用途発明の記載要件に関 する審査基準 及び 医療方法の発明に関する審査基準 の つのゾーマに分け、委員

~3名 つのエャープとして、理想の審査基準改正案について具体的に検討した ところ

、用途発明に対する考え方 、委員によ て異 ること 判明し、統一した案の作成ま に 至ら 、本調査研究課題の解決 い に困 ある 改めて認識された し し、 その後数回の委員会において、それ れの考え方について発表及び討議を繰り返すう に、 問題点 整理されるとともに解決案も同 方向性に集約されてい 、委員会開催の意義

大 ものと た

今回の調査研究 、昨年度の調査研究結果を整理した 、問題点の要因を大 く つに分類し、 様々 クレーム表現による問題 、 方法クレーム 認められ いことによる 医薬分野特有の問題 及び 記載要件の面 ら見た問題 と課題 に検討した さらに、 これらの課題解決策の提案それ れに対して、国際的ハーモヂイズの面 ら見た検討、権 利付与段階及び権利行使段階の両面 らの法的検討を加えている

4. 本調査研究の対象

本調査研究において検討する対象 、基本的に 用途発明 ある 、用途発明のクレー ム形式をしている発明も広く対象とした 即 、本調査研究委員会 、これらの純粋に 用途発明 い発明も含めた広い意味 の クレームの中に何ら の用途に関連する 記載を含ん もの を扱 ている

この用途関連発明の範疇において、本調査研究 特に中心として取り扱う範囲 、 公知 物質についての新た 用途、機能、又 性質の発見に基 く発明 とする この範囲中に

、 属性 同 使い方 違う発明 、 投与 ・投与間隔等 特定された医薬用途として の発明 のよう ケーケも含まれている

また、本調査研究において用いられる 用途クレーム と 、用途発明における特許請 求の範囲 使用される請求項の記載表現 クレーム形式 全体を指し、 用途限定した物の クレーム 、 剤クレーム 、 使用クレーム 、 方法クレーム 含まれるものと定義する

事務局

(26)

Ⅱ 用途発明の審査・運用に ける課題の整理

-昨 度の調査研究結果の総括 本 度の調査研究方針-

1 に

昨 度 成 15 度 の調査研究 主要国に ける用途発明の審査・運用に関する調 査研究 に い 用途発明に関する様々 問題点を抽出した 本調査研究 昨 の 調査結果を踏まえ その問題点を整理した 審査基準改訂 視野に入れ その解決 策に い 十分に審議し 用途発明の審査・運用の在り方に い 提言する の ある 本調査研究報告書 昨 度の調査研究 出された課題 に分け しく検討した結 果を次編以降 報告する ここ 昨 度の調査研究 出された課題を簡潔に整理し た それに沿 た本 度の調査研究方針に い 述べる

2 日米欧に ける用途発明の扱い

WIPO ける実体特許法条約 SPLT の検討に プュジクト・バイ・ユース・ クレーム及びユース・クレームを含 特殊クレームの解釈・運用に い 議論され いる 用途発明に関する審査・運用 極特許庁間 一致し い いこ ら 特許制度の国際 的調和の観点 ら 今後の議論の対象 いる

1

昨 度の調査研究 米国及び欧州の特許法 事務所を通 用途発明に関する海 外調査を実施し 以 に示すよう 極に ける違い 明ら に た

1 用途発明のクレーム形式

国に い 用途発明 ある物の特定の性質に着目し その物の利用方法を発 見したこ に基 く発明 物の発明の場合 方法の発明の場合 ある 解される

クレーム形式 し 用途を限定した物 し のクレーム 例: ~ ら る・・・用剤

~ ら る・・・用組成物 方法のクレーム 例: ~を用いる・・・方法 及び 使用ク レーム 例: ・・・ し の~の使用 ある た し 薬用途 方法クレーム 及び使用クレーム 認 られ い

米国 用途発明 方法の発明 し のみ取り扱われる 公知の物質を用途 限

1 15 主要国に ける用途発明の審査・運用に関する調査研究報告書 2004 財団法人知的財産研究所 1 頁 .1.背景 及びその参考資料6 WIPO ける実体特許法条約(SPLT)の検討状況に

2 前記報告書213242 .海外調査報告4.調査結果 3

前記報告書228235 .4.(3) 各種発明例のクレーム形式に関する調査結果の日米欧比較

4 特許・実用新案審査基準 特許庁 の第Ⅱ部 第2 新規性・進歩性1.5.2(2)の(注)

-4-

(27)

定するクレーム 例:剤クレーム 純粋 プュジクト・クレーム し 審査され 新 規性を認 られ い 薬用途に い 方法クレーム 表現される

欧州 方法クレーム及び使用クレームのみ 認 られる 薬分野を除く 薬分 野のみ 公知の物質また 組成物の第一 薬用途 例: 薬 し 使用するた の化合 物 X 特例 し 許される 欧州特許条約第54 条第 5 項 第二 薬用途のクレーム 形式 し スイス型クレーム 例:・・・の治療用薬剤の製造のた の化合物Xの使用

表現される

6

2 用途発明の記載要件

特に 薬分野に ける用途発明の記載要件に い 以 のよう 極 の相違 見ら れた

②,8

化合物X ら るR 容体拮抗剤 いうクレーム 米国 生体内 起こる R 容体拮抗 いうイベント 化合物Xに固有の の され 新規性 否定される場合 ある 欧州 R 容体拮抗剤 不明確 あり ナトの病態 し の具体的に現れる

特定の疾患用途を明確にすべ される これに対し 国 薬用途発明のク

レームに疾患名や病態を のように記載すべ 示され い い

R 容体拮抗作用化合物 Y疾患治療剤 いうクレーム 米欧 合物を何ら構造的に限定し い いこ を理由に不明確 される 国に い 明確 性を維持するこ 困難 思われた

開示要件違反を回復するた に薬理タータを後に提出するこ る う に い 極 一致し い い

3 審査基準に ける用途発明の扱い

国の現行審査基準に い 用途発明のみを独立さ 扱 た基準 い

9

用途 発明の新規性判断に い 特許・実用新案審査基準の第Ⅱ部 第2章 新規性・進歩性 1.5.2(2) 物の用途を用い その物を特定しよう する記載 用途限定 ある場合 判断基準 適用される

10

5

前記報告書214218 .4.(1) 米国特許商標庁に ける審査・運用 クレーム解釈

6 前記報告書218226 .4.(2) 欧州特許庁に ける審査・運用 クレーム解釈 7 前記報告書235240 .4.(4) 特許要件に関する調査結果

8

前記報告書128140 .B.1.薬理ベカニズム 薬用途 及び141147 .B.2.出願後の薬理タータの提出

9 5 6月に現行の審査基準 公表される以前 一般審査基準 単一化合物の用途発明 10

特許・実用新案審査基準 特許庁 の第Ⅱ部 第2 新規性・進歩性1.5.2(2)の(注)に (2)の取扱い 用途

-5-

(28)

-6-

ここ の新規性判断基準 以下の通り ある

明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識をも考慮して、その記載 、 その用途 に特に適した物、②その用途にのみも ら使用される物、又 その用途に特に適し、

つその用途にのみも ら使用される物のい れを意味している を判断する

の例として ~の形状を有するクレーン用フック 、②の例として 特定の組成を有す る指輪用合金 、 の例として 水 着水用飛行機 、 ~ のい れ も いものとし て 殺虫用の化合物Z のクレーム例を示して解説している

し し、その解説文 解 不明確 ため、業界等 ら 具体的 分 りやすい審査基 準 望まれている

また、昨年度の調査研究 、関連判例の分析

11

と特許権の効力範囲に関する検討

12

も行 た 用途関連発明の特許権の効力範囲 、特許法 の発明のカゾゴリー 物の発明、方 法の発明 への対応付けの確定、及び各用途クレームの解釈の過程によ て確定される そのため、用途関連発明の特殊性を反映させた 、解釈基準の明確化及びその法的根拠 の対応付け 最大の課題 あると考えられる

13

4. 技術分野 との課題

技術分野として、医薬、化粧品・食品、化学、合金の4分野に分けて、各分野における 問題点及びニーズを抽出した 出された課題を項目 とに以下に示す

1 医薬分野

ⅰ 特殊用途クレーム

14

例え 、米国において方法クレーム 出願 録された特許 、日本における 録時に 、 変形剤のよう 物のクレームやケイケ型クレームに補正される この場合、日本における クレーム 、発明の本質を十分に カバー てい いものと考えられる

従来 ら知られるクレームのワーデ゛ンエに基 く特殊用途クレームと に、治療に 係る方法クレームを回避するために発生する特殊用途クレーム 存在する

限定の表現形式 い表現形式の用途発明にも適用されうる と記載されている

11

前記報告書8289 . 国の用途関連発明に関する裁判例

12 前記報告書90104 . 用途関連発明の特許権の効力範囲

13

前記報告書101102 . 5. 用途関連発明クレームの取扱いをめ る本質的?問題

14 前記報告書105127 .A. 特殊用途クレーム 医療・薬業に与える影響と問題解決の可能性

(29)

薬理ベカニズム 記載要件

1イ

化合物 X ら るR 容体拮抗剤 や R 容体拮抗作用化合物 ら る Y疾患治 療剤 のよう 薬理ベカニズム R 容体拮抗 特定されたクレームの記載要件に関す る審査基準 明確 い

用途発明に ける薬理タータ提出の時期

16

国 薬用途発明に ける薬理試験タータ 出願時に必要 あり 後 ら提出 し 認 られ い

1②

し し 開示要件違反を回復するた に薬理タータの提出 認 られる 否 極 一致し い い 薬用途発明に ける薬理タータ 実施可能要

件 く記載要件 考えるべ い

2 化粧品・食品分野

剤クレーム の表現

18

化粧品・食品分野 公知の天然素材の新た 機能の発見に基 く発明 多い この 場合 物自体の発明 した の新規性の問題 及び方法の発明 した の産業 利用 性の問題 ら 用途クレーム 剤クレーム 表現されるこ 多い

し し 用途発明の審査に ける二 以 の用途を対比する同一性の判断基準 明確 い また 剤クレームの表現形式をより統一化するこ 望ましい

産業 利用性

19

国 有効成分を化粧用途 ナトに適用する方法 あ クレームの形式

~化粧方法 ある発明 あ 実質的に治療方法等に該当し 手術 治療又 診断する方法 に該当する の 判断される場合 あり その場合 産業 利用するこ

る発明 に該当し い されるた 米国 認 られ いる 方法クレーム を

直ちに使用するこ る いえ い

3 化学分野

化学分野に い 発明に る化学物質の用途に言及したクレーム記載 少 く

14

前記報告書105127 .A. 特殊用途クレーム 療・薬業に与える影響 問題解決の可能性

15 前記報告書128140 .B.1.薬理ベカニズム 薬用途 16

前記報告書141147 .B.2. 出願後の薬理タータの提出

17 制吐剤事件 東京高裁 8 行ケ 201 H.10.10.30 18

前記報告書150151 .C.3. 用途発明に関する問題の所在

19 前記報告書181 .C.6.(3).( ) 療処置方法の産業 利用性

-7-

(30)

い 用途発明の出願自体 少 く 実務 の問題 生 い い の 思われる

平0

合金分野

用途限定記載

平1

過去の産業 審査基準に い クレーム中に用途 又 性質 を明示すべ 規定 あ たこ ら 現在 新規の合金 公知の合金 区 に用途限定記載をし いる そのた 審査官 その文言を う判断した 不明 権利範囲の判断 困難 ある

性質 記載された発明

平平

~の組成を有する耐熱性合金 のよう 性質を用い 特定されたクレーム表現 審 査の過程 用途発明 解されたの その物自体を意味する の 解されたの 不明 発明の権利範囲 不明確に る また 同 組成・組織の合金に対し 性質や機能 特 定された用途特許 複数成立する可能性 ある

抽出された課題の整理 本 度の調査研究方針

記の昨 度調査研究 抽出された課題をその要因 に 様々 クレーム表現 存 在するこ 薬分野に い 方法クレーム 認 られ いこ 及び 記載要件の面 ら見た問題 大 く に分類した これらの課題 項目 に分け 本 度の調 査研究を進 る方針 した

様々 クレーム表現

国 用途関連発明に対し 様々 クレーム表現 ワータィンエ 可能 あり それ 原因 る問題 存在し いる

一 の用途発明に対し 物の発明 し 方法の発明 し 表現可能 あり さらに 物 の表現に い 製品 剤 組成物 合金 物質名等を末尾 する様々 クレーム形式 存在する これらの用語の使い分けやクレーム構成の表現方法によ その解釈 さらに複雑 の る

また 物の発明 し 表現する 方法の発明 表現する 出願人のニーズに 合わ 選択される 出願人の希望 りのクレーム表現 審査の過程 認 られ い

20 前記報告書184185 .D.3. 化学分野に ける用途発明 21

前記報告書197199 .E.5. 合金分野の発明に ける用途記載の問題点

22 前記報告書201202 .E.6. 解決策の提案 問題点1及び2

-8-

(31)

場合 少 く く この点 問題 生 る

化学 化粧品・食品を含 や合金の分野 用途限定のクレーム表現 用途発明 を意味するの 用途限定記載のある新規 物の発明を意味するの 不明確 場合 あり その解釈の面 問題 生 る可能性 ある 特に合金分野 新規合金 用途発明 を 区 するこ く 用途のみ ら 性質により物を特定する記載 見られ より複雑 状

態に いる

そこ 本調査研究 これらの課題を更に整理し 以 の の項目に分け 検討 した

発明のカテゴリーに対応する様々 クレーム表現 存在するこ 素材産業に い 用途限定した素材のクレーム 権利化を目指すこ 合金分野に ける用途及び性質限定の記載

方法クレーム 認 られ いこ による 薬分野の課題

人間を手術 治療又 診断する方法 産業 利用するこ る発明 に 該当し いた 薬の用途発明 方法の発明 し のクレーム表現 認 られ い

平年

そのた 従来 薬用途発明の多く 剤 形式のクレームによ 保護され た し し 近 著しい進歩を遂 た 療技術に関する発明や臨床段階の研究に ける発明等

多く出願されるように り これらの発明に い 方法クレーム 認 られ いこ による問題 生 いる

本調査研究 この問題を 薬分野のみに見られる特有の課題 し 検討する方針 した

記載要件に ける課題

前述したように 用途発明の新規性判断に い 特許・実用新案審査基準の第Ⅱ部 第 2章 新規性・進歩性1.5.2(2)の判断基準 適用される ここ 示された のい に該当する を判断 い場合 第36 条第6項第 2号違反 りうる旨の記載 あ る 成7 に行われた審査基準の改正によ クレーム記載の自由度 広 られた 用途発明のクレーム表現に関し 不明 点 多く 記載要件の面 ら問題点 い を 検討する方針 した

特に 薬の分野 疾患関連遺伝子の発見 薬理ベカニズムの解明に伴 新規創

23 特許・実用新案審査基準 特許庁 の第Ⅱ部 第1 産業 利用するこ る発明 2.1 (1)

-9-

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