地元水産資源を有効活用!
絶品『あみえび醤油』で
魚醤のイメージを打ち破れ!
斯業水産有限会社
﹃ 地 産 地 消 ﹄ 。 近 年 頓 に 聞 く 言 葉 だ 。 地 域 で 生 産 さ れ た 農 林 水 産 物 を 、 そ の 生 産 さ
れ た 地 域 内 に お い て 消 費 す る 取 り 組 み の こ と だ が 、 そ れ は 食 料 自 給 率 の 向 上 や 、
直 売 所 や 加 工 に よ る ﹃ 6 次 産 業 化 ﹄ に も つ な が る も の と し て も 期 待 さ れ て い る 。 そ
の 取 り 組 み で 、 疲 弊 し た 地 元 ・ 酒 田 の 漁 業 に 活 気 を 取 り 戻 す べ く 奮 闘 す る 新 栄 水
産 を 訪 ね た 。
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絵 に 描 い た よ う な
タ メ 上 司 の お か げ で
独 立 を 決 意 − ・
山形県酒田市にある新栄水産有
限会社は、その名の通り新鋭の鮮
魚介類卸売り業者だ。最後発であ
りながらも、今や地元で一目置か
れる存在である。
会社設立は平成6年。社長・高
橋精一氏は強い独立心や功名心が
あってスタートしたわけではない
そうだ。
﹁私は高校を卒業すると、山形
県漁協に入組しました。必ずしも
望んでサラリーマンになったわけ
ではなかったんですよ。性格的に
ごますりが嫌いで、組織の中で上
手く立ち回るというのが苦手なも
のですから。それに、そもそも漁
協の職員は漁師や消費者のために
今に生きる庄内武士の一分
﹃奉職﹄するものですよね。それが
自らの組織のため、職員のために
働くという環境が、いかにもサラ
リーマン的でいやだった。特に上
司が最近のドラマじゃないですが、
﹃部下の手柄は上司のもの!上
司の失敗は部下の責任﹄というタ
メな中間管理職の典型でした。こ
ういう人とは生涯一緒に仕事をし
たくないと思って漁協を飛び出し
たんです。それが32歳の時でした。
まだ充分若かったので、女房子供
は何をやってでも食わせていける
と思っていた。今思えば無鉄砲だっ
たかもしれませんね﹂
ー ︵ サ
その後、紆余曲折を経て新栄水
産を設立。山形県の庄内浜で取れ
た新鮮な魚介類を卸している。
﹁最初は卸売りがメインでした
が、それだけでは経営的に行き詰
る。そこで、庄内浜で捕れるが売
れなくなった魚種、価値が低下し
た魚種に付加価値をつけてどう売
るか、あるいはそうしてできた加
工品をどうやって全国にアピール
するのか、そういうことに取り組
んでいます。今は生鮮が7割、加
工が3割になっています﹂
生鮮品は築地の卸売市場や、北
関東の市場向けに出荷されてい
代表取締役高橋精一氏
● プロフィール
たかはレせいいち氏… 昭和32年山形県遊佐町生まれ。県立加茂水 産高等学校卒業後山形県漁業協同組合入祖。平成6年新栄水産有 限会社設立。
翻
る。もちろん地元用としては生協
に、あるいはマルイチ産商と言う
大手水産物卸売会社を通じてスー
パーへと卸される。
その生鮮品の中でも、新栄水産
イチ押しなのが岩牡堀だ。
﹁岩牡蛎の取扱量で我が社は県
内トップを占めています。山形県
遊佐地区の烏海山のミネラル豊富
な伏流水と、そこに育つプランク
トンを食べて成長した﹃天然岩牡
蛎﹄です﹂
毎年6月から産卵期を迎える8
月のお盆頃まで、その美味しさか
ら地元はもとより観光客などにも
注目されている岩牡蛎は貴重な地
元水産資源だ。
﹁最近は、岩牡蛎があちこちの
産地から出てきていますが、山形
のものこそ最高だと私は思ってい
ます。県内での競合が少ないので、
ほぼ独占に近い状態で取り扱って
いるんですよ﹂
そして冬の主力は鍛錬。
﹁山口や島根、新潟、秋田から
も仕入れています。こういった鍋
商材の場合、産地を固定しないで、
安定供給を目指しています﹂
こうした市場を通しての卸売の
他にも、生鮮品を直接消費者へ販 売するチャネルも開いている。ネッ
ト通販だ。プロが厳選した庄内浜
の季節の魚介類が気軽にセットで
楽しめるようにもなっているのた。
地元資源を
有効活用する
﹃あみえび醤油﹄誕生−。
会社の業績は、高橋社長の様々
な創意工夫で安定的に推移してい
る。しかし危機感は大きい。
﹁この酒田の港から上がる魚種は
約50種、県内では4社の卸売業者
があります。山形の水産業のピー
クは年間売上72億。今は27億まで
落ち込んでいるのです。これは我
が社のみならず県内漁業の危機と
言っていいでしょう。そこで目を
つけたのが未利用の水産資源、あ
るいは低価格過ぎて商売にならな
い水産物です。そういうものを利
用して、付加価値のある加工品を
開発していかなければならないと
思い至りました。我々卸売の人間
も、生産者の生き残りに寄与しな
ければ共倒れになりますからね﹂
その未利用の水産資源の一つが
﹃あみえび﹄である。一段的には釣
り餌や養殖魚の飼料として用いら
49 20j 4位嗣∴∴∴開脚脚
れることの多いエビの一種だ。
﹁この地域では、本来あみえびを
生で食べていました。しかし、異
物の混入や書生虫の問題などでそ
の食べ方に問題が出てきた。それ
で売れなくなって捕ることを止め
てしまっていたんです。昔のよう
に魚屋での対面販売なら知識のあ
る人間が食べ方等の指導もできま
したが、今の量販店でのパック販
売では、面倒は避けたいというこ
とで外されてしまうんです。これ
をどうにかしたいという思いで考
え出したのが魚醤です。漁協の協
力を得てその開発に成功しました。
甲殻類を使った魚醤の開発は、国
内では初めてのことです﹂
﹃あみえび醤油﹄と名付けられ
たこの魚醤は、経済産業省が認め
る﹃農商工等連携事業﹄ にも認定
された。
この ﹃農商工等連携事業﹄とは、
地域の基幹産業である農林水産業、
商業、工業等の産業間での連携︵農
商工連携︶を強化し、その相乗効
果を地域の活性化につなげる事業。
﹃あみえび醤油﹄は昨年夏にこの認
定を受けた。
﹁日本の食生活にあって、甲殻類
︵海老や蟹︶ は非常に好まれ多く 食されています。また、基本的調
味料と言えば醤油や味噌ですよね。
その海老で作る醤油なのですから、
受け入れられないわけがない﹂
そもそも魚醤は、中国・韓国を
はじめ東南アジア一帯で万能調味
料として古くから親しまれている。
タイの ﹃ナンプラー﹄、ベトナムの
﹃ヌクマム≒ カンボジアの﹃タク
トレイ﹄など、各地の食文化に根
付いているのだ。
日本でも古来は醤と呼ばれ、平
安時代の諸制度を記した延書式に
は﹃鯖醤﹄ ﹃鯛醤﹄などの記述があ
り、平城京や平安京の市でも売ら
れていたと言われている。
秋田の﹃しょっつる﹄、石川の﹃い
しる﹄、香川の ﹃いかなご醤油﹄は
日本三大魚醤と言われ、その土地
土地で愛されている素朴な旨味調
味料だ。
﹁魚醤は国内で馴染みが薄いので、
これをどう普及させていくのか。
市場開拓が大きな課題です。使っ
ていただければ、一般消費者にも
喜んでいただける味だし、プロは
その使い勝手の良さを評価してく
れています﹂
そこでネーミングに一工夫して
いる。﹃あみえび醤油﹄と言う名に
隔
冷凍鹿で保存、お家で簡単「焼魚」
∴◆ 三 十 二 1 − ∴∴ 」 [∴ ■‘ ∴ ∴
〇 ・r m国書臆臆臆S S
tr. _
〝、 ヽ
−よす∴∴ ノ ノ ー
ヽ\章 、ヾ、、 葦 墓 室 茎 婆 妾 撃
./田 園こ葛 ∴ ̄ ̄  ̄ ̄i
一二 ノ
ー
一 書
、ヾ、、 、\
′
’言∴ : こ て  ̄ ノ基軸 屯 菓
ヽ
\* 「ヾ1−、−i
′ 1 ●
;S
\
\ −
氏 / i −
檎  ̄∴ ∴ 専田 宮 /
_−一事−一㌧  ̄” ヽ−● 二㌧
一.」 − I
J
ゝ こ
■1.等 碧 雲 二 一㌦∴− i・ ・ i
● ′
50
今に生きる庄内武士の一分
﹃魚醤﹄感はないし、﹃天然うまみ
調味料﹄を謳うことで自然食品で
あることを前面に押し出している。
﹁魚醤という馴染みの薄いもの
から、天然うまみ調味料という呼
称で普及を図っています。メディ
アにも多数取り上げていただきま
したし、料理のコンテスト等でも
使っていただいています。おかげ
さまで、少しずつですが認知が上
がってきているところです。まず
は、一般流通に乗るだけの実績を
作って、そののちに商品ラインナッ
プの拡充を図りたいですね﹂
現在は、地元土産物屋や首都圏
の物産展での販売、レストラン等
での使用がメイン。これをゆくゆ
くは全国展開できるまでに育て上
げることが目標となっている。
す べ て は
地 元 漁 業 の た め に − 。
地元漁業の活性化なくして自社
の発展はない。そのために様々な
チャレンジを続ける新栄水産であ
るが、一社で世の中の流れを変え
られるほど事態は簡単ではないこ
とも重々承知している。例えば昨
今の魚離れ。 と一つとっても魚消費の低 の大手流通にはそういう機 と教えてくれたものですが、 昔なら町の魚屋さんがいろ 一サ
﹁丸物の魚を﹃どうやっ
するの?﹄と消費者が思った
はありませんよね。この
下につながっているのでは
ないでしょうか。業界全体
で考えなければいけない大
す﹂
そして、生産者の衰退も
き問題である。
﹁1次産業が上手くいか
ば、2次産業も裏返し、3
もうまくいかなくなる。﹃
業化﹄が言われる現在、
本 圏 6 次 な 出 田 、 I / T ・ 圏 _ く 、 翌
ヽ 〃
‡ ∴ 噛 : 十 ° 、 宝
器 藷 ネ \ 還 T 、 肇
る1次産業を立て直さないでどう
するのか。人が生きていく上での
根幹を成すのが1次産業です。安
定的な食糧供給なくして発展はあ
り得ません。利益優先、効率優先
ばかりを追求するがために、食品
の多様性が失われるのではないか
と危惧しています。売る側の都合
ばかりで、本当の意味での〝食べ
る喜び〟が軽んじられている現状
に大いに憤りを感じているのです。
原点に帰って、捕る喜び、作る喜び、
売る喜び、食べる喜びを共有でき る豊かな食文化の再構築が必要で
はないでしょうか。今の価格あり
きの売る側の都合ばかりが優先さ
れる食の流通形態は間違っている
と思います。魚離れを食い止める
ために、価格を下げることばかり
に目が向きますが、適正価格にな
らないと、業界の健全な成長は望
めません。今言われる6次産業化
もこれでは決して上手くいかない﹂
地元酒田の漁業を憂い、延いて
は国の食をも考える。一企業の社
長が何を大層なと思う向きもある だろう。しかし、国民一人ひとり
の意識が変わらなければ、大きな
流れを変えることはできないはず
だ。
一方、自らの足元をさらに強固
なものにすることも忘れてはいな
い。
﹁パートを含めて10数人の会社で
すが、これを安定軌道に乗せるこ
とが喫緊の課題です。そのために
も地元庄内浜の元気を取り戻さな
いといけません。生産者に夢を与
えないとダメなんです。あみえび
然り、岩牡蛎も然り。希望に満ち
た生産現場を作るために、我が社
は先頭に立って頑張っていきます
よ﹂
日本の大切な食文化である魚に
かける熱き思い。そして大きな地
元愛。このエネルギーがある限り、
新栄水産の挑戦は決して終わるこ
とはない。S
●薪栄水産有限会社
〒998−0838
山形県酒田市山居町2−14−22 TELO234−21−2755 ht t p://www.s hi ne主Sui s an.com
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