メカニズムデザイン 宿題 7
奥村 恭平
∗†‡October 31, 2017
問: リスク回避的な入札者は一位価格入札と二位価格入札のどちらを好むか論評せよ。
結論から言うと,常にどちらかを好むということはない(ケースバイケース).解説
以下の議論では,symmetric, independent private valuesを仮定する.
いま,タイプωi のbidder iがpiを支払ったときの利得が,u
(
0) =
0, u′>
0, u′′<
0を満たす関 数u:R
+→ R
によって,u(
ωi−
pi)
と表されるとする.(uは任意のiについて共通しているとしてい る.)このuは,各bidderがrisk-averseであることを表現しており,各bidderは,Eω−i[
u(
ωi−
xi(
ω))]
を最大化するように行動する.Risk-neutralの設定におけるFPAとSPAの対称均衡戦略を,それぞれ βIN, βI INとし,risk-averseなときのFPAとSPAの対称均衡戦略をそれぞれβIA, βI IAと表すとする(いず
れもincreasing)と,まず,SPAにおいては,リスク態度に関係なく正直申告が優位戦略であることから,
∀
ωi; βI IA(
ωi) =
βI IN(
ωi) =
ωi となる.一方で,FPAにおいては,∀
ωi; βIA(
ωi) >
βIN(
ωi)
となることが示せる.1xiI,N
(
ω)
を,bidderが全員リスク中立的なときの買い手iのFPAでの支払いと し,同様にxiI I,N(
ω)
, xiI,A(
ω)
, xiI I,A(
ω)
を定義する.収入同値定理より,Eω−i[
xI I,N
i
(
ω)] =
Eω−i[
xI,N i
(
ω)]
であることに注意すると,
Eω−i
[
xI,Ai(
ω)] >
Eω−i[
xiI I,A(
ω)]
(1) がわかる.つまり,bidderがrisk-averseのとき,FPAでの期待支払額はSPAの場合と比べ多くなる.これだけをみると,risk-averseなbidderはSPAを好みそうだが,実はそうとも言えない. Bidder 1に着目する.今仮にbidder 1がオークションに勝つとする.このとき,bidder 1の支払い 額は,Y1:
=
maxj̸=1ωjとして,x1I,A
(
ω) =
βIA(
ω1)
, x1I I,A(
ω) =
Y1と表せる.つまり,FPAでは支払額に不確実性がない一方で,SPAでは支払額に不確実性が残ってしま う.2Risk-averseなbidderはこの不確実性を嫌うので,この点においては,SPAよりFPAを好む.
このように,期待支払額の大小と期待支払額の不確実性の間にトレードオフが存在するため,どちら を好むとは一概には言えない.(「このトレードオフの存在に気づけ」というのが問題の主旨でした.)
∗first-year master student at Graduate School of Economics, the University of Tokyo
†E-mail: [email protected]
‡誤り等見つけた場合は教えて頂ければ幸いです.質問がある場合も上のメールアドレスまでご連絡ください. 1証明は省略.(そんなに難しくはない.例えばKrishna(2009)の第4章に証明がある.)
2FPAでの期待利得とSPAの期待利得は,それぞれ以下のように表せる.(1)より,βIA(ω1) >E[Y1|Y1<ω1]に注意.
u(ω1−βIA(ω1))P(Y1<ω1), E[u(ω1−Y1) |Y1<ω1]P(Y1<ω1)
βIA(ω1) −E[Y1|Y1<ω1]の大きさ・Y1の分布・uの形状によって,二つのオークション形式における期待利得の大小関係は 変わり得る.グラフを描いて考えてみるとよい.
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