マンガビジネスの仕組みを探る!

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マンガビジネスの仕組みを探る!

大学院経済学研究科 准教授

岡田

おかだ

美弥子

み や こ

(経済学部経営学科)

専門分野 : 国際比較経営論,経営戦略論

研究のキーワード : 企業,経営,マンガ,ビジネスシステム,エンターテイメント

何を目指しているのですか?

みなさんは「クール・ジャパン」という言葉を知っていますか?世界では、日本のファッ

ションや料理、マンガ、アニメ、音楽などの文化が注目を浴びています。私たち日本人が

日常的に楽しんでいるこれらの文化は、海外の人たちにとって、クール、つまりカッコい

いと思われているのです。これらの日本文化は産業としても注目され、日本文化の海外進

出を促進するために、経済産業省は2011年から「クール・ジャパン/クリエイティブ産業

政策」を推進しています。日本文化の中で、私はマンガビジネス(コミックだけでなく、

アニメやキャラクター商品事業も含む)の仕組みを研究しています。エンターテイメント

の国際市場をみると、音楽や映画は米国が強いのに、なぜマンガやアニメは日本が強いの

かという疑問をもったことが、この研究を始めるきっかけでした。世界中で人気がある日

本のマンガのビジネスシステムを分析し、最終的にはエンターテイメント・ビジネスの国

際競争力の解明を目指しています。

どんな対象にどんな調査をしているのですか?

私がマンガビジネスと呼んでいるのは、コミックと、コミックから派生したアニメとキャ

ラクター商品の事業です。「ドラえもん」や「ONE PIECE」などの具体的な作品に当て

はめてみるとわかりやすいでしょう。コミックを読んで、その作品のテレビアニメを観た

り、キャラクター商品を買ったりした経験はありませんか?それらの事業を担っている出

版社や、アニメプロダクション、テレビ局、キャラクター商品を作っている企業などが、

私の調査の対象です。コミックの人気作品をどのように生み出しているのか、テレビアニ

メの視聴率をどのように高めているの

か、キャラクター商品が売れるために

どのような工夫をしているのか、そし

て、それらの3つの事業がうまく連携

を取るにはどうすればよいのかなどに

ついて、さまざまな企業の人たちにイ

ンタビュー調査をしています。企業だ

けでなく、時には、作品を描くマンガ

家の方にお話を聴きに行くこともあり

ます。 社会

図1 マンガのビジネスシステム

最終学歴:神戸大学大学院経営学研究科

コミック事業

コミック事業

コミック事業

テレビアニメ 事業

テレビアニメ 事業

テレビアニメ

事業

キャラクター 商品事業

キャラクター 商品事業

キャラクター

商品事業

商品化権

ライセンス料・ スポンサー料

商品化権

映像化権 ライセンス料

ライセンス料・ スポンサー料

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日本国内だけでなく、海外で日本のコ

ミックやアニメを流通させている企業にイ

ンタビュー調査をすることもあります。特

にアジアの国では日本のマンガの人気が高

いので、書店に並ぶコミックのほとんどは

日本作品です。しかし、いくら日本作品の

人気があっても、海外では、コミックが書

店ではなく路上の売店で売られている国や、

テレビアニメの放送形態が違う国もあるの

で、日本国内のビジネスの方法がそのまま

通用するわけではありません。また、海賊

版が横行している国では、著作権を守るための活動も行わなければなりません。このよう

に、ビジネスの海外進出が抱える多くの問題についても調査を行っているのです。

変わりゆくマンガビジネス

私が研究を始めた1995年と比べると、マンガビジネスは変化してきています。もっとも

大きな変化は電子化です。インターネットの普及に伴って、携帯でコミックを読んだり、

ネットでアニメが観られるようになってきました。アニメに関しては、製作段階でもコン

ピュータが使われるようになっています。電子化は、作品づくりのコストを削減したり、

消費者の手に届くまでの時間が短縮されるなどのメリットがある一方で、簡単にコピーさ

れてしまうというデメリットもあります。コミックやアニメを手がけている企業にとって

は、コピー対策という新たな課題が生まれています。もう1つの大きな変化は、事業領域

の拡大です。コミックやアニメから広がる事業は、キャラクター商品以外にも、小説やド

ラマ、映画、音楽(アニメソング)、テーマパーク、企業のイメージキャラクターなど多岐

に渡ります。事業領域が広がると、その作品やキャラクターの認知度が上がるのはいいこ

とですが、それらの事業に関わる企業が増えることで、ビジネスは複雑になってきます。

たとえば、1つの事業でキャラクターのイメージを損ねてしまったら、他の事業にも悪影

響が及んでしまうため、作品やキャラクター管理の重要性は増してきます。このように変

化していくマンガビジネスを、さらに研究していきたいと思っています。

次に何を目指しますか?

マンガビジネスの研究はこれからも続けていきますが、他のエンターテイメント・ビジ

ネスも研究したいと考えています。日本なら、「クール・ジャパン」に含まれている音楽や

吉本興業などのお笑いも面白そうですし、海外なら、カナダで誕生した芸術性の高いサー

カス団シルク・ドゥ・ソレイユにも興味があります。何よりも、私たちを楽しませたり感

動させたりすることに懸命に努力するエンターテイメント・ビジネスの人々の姿こそ、私

に感動を与えてくれます。ですから、これからもエンターテイメントを経営学の視点で見

つめていきたいと思っています。

図2 香港の書店に並ぶ日本のコミック作品

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参照

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