堺市監査委員公表第 40 号
地 方 自 治 法 第242条 第1項 の 規 定 に 基 づ き 平 成 22年3 月31日 に 監 査 委 員
に提出された住民監査請求について、同条第 4 項の規定により監査を行ったが、
同条第 8 項に定める監査委員の決定に至らなかったので、請求人への通知内容
を別紙のとおり公表する。
平成 22 年 5 月 30 日
住民監査請求に係る監査結果
(平成 22 年 3 月 31 日請求)
<堺市ブランド創造発信事業の支出について>
目
次
堺市監査委員公表第 40 号
第1 監査の請求 1 請求人
2 監査請求書等の提出 3 請求の趣旨
4 監査請求書
5 訂正、修正及び補正書等の提出
第2 監査の実施
1 要件審査及び請求の受理 2 監査を行った監査委員
3 請求人の証拠の提出及び陳述 4 監査対象部局
5 監査対象部局及び関係人からの事情聴取等
記
第1 監査の請求 1 請求人
1名(氏名は省略)
2 監査請求書等の提出
(1) 「住民監査請求書」の提出 平成22年3月31日
(2) 「22年3月31日付け 住民監査請求書についての訂正」の提出 平成22年4月2日
(3) 「2010年3月31日付け 住民監査請求についての訂正」の提出 平成22年4月21日
(4) 「3月31日住民監査請求、4月21日訂正についての修正について」の 提出
平成22年4月30日
3 請求の趣旨
平成22年3月31日に受付した住民監査請求書について、住民監査請求 の要件を備えているかを判断するにあたって不明な点があったため、同年 4月14日付けで文書により請求人に対して補正を求めたところ、同年4月 21日に請求人から「2010年3月31日付け 住民監査請求についての訂正」 が提出された。その際に請求人に質問を行い、
請求の趣旨は以下の①から④までであることを確認した。
① 堺市長は、17 年度から 20 年度までの「堺市ブランド創造発信事業事 業化調査業務」、「堺市ブランド創造発信事業事」による支出額4億2105 万3222円について、前堺市長、前財政局長、株式会社イリア(以下「イ リア」という。)及び関係者に対して、堺市が被った損害を回復するのに 必要な措置を取ること。
② 少なくとも堺市長は、前堺市長、前財政局長、イリア及び関係者に対 して、「堺市ブランド創造発信事業事」の 19 年度支出について、「19 年 度単年度実施計画書」が存在しない場合はその支出額 1 億4392 万 2222 円について、存在する場合は堺市が被った損害を回復するのに必要な措 置を取ること。
を回復するのに必要な措置を取ること。
④ また堺市長は、本事業の終了に当たり、少なくとも今日までの事業を 「覚書第 6 条の 2∼6 項」に基づいて検証し、イリア及び関係者に対して、 必要な負担金の返還請求を行うための措置を取ること。
4 監査請求書
提出された監査請求書は以下のとおりである。
1、本件に関わる経過について
本件については、堺市が行った平成19年11月30日(以下、年号略) からの「堺市ブランド創造発信事業」に関わる財務会計行為による公金 支出について、その対象期間を19年度分及び20年度分として住民監査 請求を行うものである。
しかしながら堺市はそれ以前に、本事業実施に当たり19年以降の同一 の契約締結会社とへ本事業の実しに向けた「調査委託業務」を 17 年度か ら実施しており、これらを抜きに本件の全体を把握することは出来ない ため、以下主な経緯について示す。
(1) 17、18年度における株式会社イリアとの一社随意契約 「堺市ブランド創造発信事業事業化調査業務」について
堺 市 前 木 原 敬 介 市 長 は 、 「 活 力 あ る オ ン リ ー ワ ン の ま ち づ く り 化 と 都 市 イ メ ー ジ の 向 上 に 大 き く 寄 与 す る こ と を 目 的 と し た 都 市 ブ ラ ン ド の 創 造 と 情 報 発 信 の 事 業 を 実 現 す る 」 こ と を め ざ 「 堺 市 ブ ラ ン ド 創 造 発 信 事 業 ( ニ ュ ー ヨ ー ク ギ ャ ラ リ ー シ ョ ッ プ 等 ) 事 業 化 調 査 業 務 」 を 17年5月24日∼7 月31日、2月1日∼3 月31日、18年4月1日∼8 月31の間、計9113 万6000 円の金額で、特別の理由があるとして「競 争入札」避け「株式会社イリア(東京都港区赤坂 6-5-16 代表者小林哲 也 、 以 下 株 式 会 社 略 ) 」 と の 間 で 、一 社 随 意 契 約 を 結 び そ の 業 務 委 託 を行った。
そしてイリアは、ニューヨークにおける新感覚和モダンのギャラリ ー シ ョ ッ プ の 設 置 な ど そ の 事 業 展 開 に つ い て 調 査 報 告 書 を 取 り ま と めるとともに、具体的な「新モダン感覚」商品の開発作成を行った。
堺市ブランド創造発信事業(ニューヨークギャラリーショップ等) 事業化調査業務
① 17年度
前半 5月24日∼7月31日随意契約 後半 2月1日∼3月31日随意契約 堺市予算額 計5031万2000万円 精算金額 計5031万2000万円 ② 18年度
4月1日∼8月31日随意契約 堺市予算額 計4082万4000円 精算金額 計4082万4000円
17年、18年度 支出総額 9113万6000円
(2) 19 年度における「堺市ブランド創造発信事業」の公募と株式会社イ リアの選定について
そ し て 、 こ れ ら の 結 果 を も と に 堺 市 は 、 「 日 本 全 国 あ る い は 世 界 中 からのデザイナー、アーティスト、伝統工芸技能者、新しい技術や素 材のエンジニアなどの方々が分野を越えて堺市を基点に交流し、協働 して創作活動を行うことで、他所にはない新しいものが生まれるよう な 文 化 ・ 流 行 の 発 信 地 と い う 堺 市 の 新し い 都 市 ブ ラ ン ド の 形 成 」 と 「 文 化 的 で ハ イ セ ン ス な 魅 力 あ ふ れ る 地 域の 創 出 、 新 し い デ ザ イ ン 要素と融合することによる地域の産業振興、デザイナーや技能者から 直接に指導や教育を受けられる機会の提供、さらには創造的な活動の 発信地としての認知や評判を高めていくなど、本事業の成果を活用し て国際的で文化的な都市としての実質とイメージを作り、市民や産業 の交流を促進し、活力ある市民の定住先として支持される、あるいは 地 域 産 業 の 振 興 に つ な げ る こ と 」 を 目 的 と す る 、『 堺 市 ブ ラ ン ド 創 造 事業』を19年8月3日∼10日の間でプロポーザル(企画提案による業 者選定)方式により公募を行った。
化の提案」と、③5つのファッションブランドによる気鋭デザイナー企 画展、④三つの企業と伝統文化の「伝統文化とハイテクの融合デモ展」 を 行 う と と も に 、 ⑤ 「 新 感 覚 和 モ ダ ン の夕 べ 」、 「堺 コ レ ク シ ョ ン フ ェ ア」などをセントラルステーションで行い、20 年度には堺市内でファ ッションの①「堺−NewYorkCollction」、②50∼100 坪のギャラリーシ ョ ッ プ の 設 置 な ど を 内 容 と す る 「 堺 市 ブ ラ ン ド 創 造 発 信 事 業 」 の 提 案 を行い、3 年間で「世界を巻き込んだ大きなムーブメントが引き起」こ り 、 「 海 外 ・ 国 内 の ト ッ プ デ ザ イ ナー 及 び 日 本 国 内 の 伝 統 技 能 者 ・ 企 業が幅広く堺市に結集してくる。定住・交流人口の増加が見込まれる」 とし、必要な助成金額は4億4050万円であった。
同事業選定委員会は参加した4社の中で、「最も優れた提案である」 としてイリア(担当者加藤)を選定し、堺市は同社と以降の協働事業を 行うことを決めた。わずか 1 週間の公募期間の中、過去 2 年間 9113 万 6000 円をかけ同目的の調査委託業務を行ってきたイリアが選定さ れたのはきわめて当然の結果であったという以外にない。
(3) 株式会社イリアとの協定書契約及び「実施計画」について
そ の 後 、 堺 市 と イ リ ア は 、 「 国 際 的 な 都 市 と し て の 実 質 と イ メ ー ジ を形作り、本事業の発展に寄与する地域を市内に創出することで、活 力 あ る 市 民 の 定 住 先 と し て 支 持 さ れ る ブ ラ ン ド 作 り を 目 的 と し て 実 施 す る 」こ と を そ の 事 業 目 的 と し て 定 め 全 国 初 と い わ れ る 「 協 働 方 式 」 による「堺市ブランド創造発信事業覚書」(事実証明書-4「覚書」の P2、 及び事実証明書-5)を11月30日に締結した。
また同日、イリアは堺市に3年間の事業を対象とする総額4億5000 万円に及ぶ「堺市堺市ブランド創造事業実施計画書」を提出した。
刃物を使ったレセプションを20 年の10 月、21年の 10月に開催、② ファッション展示会を20年の 9月、21年の 9月に開催するとし、イ リアを始めとした共同事業体の実施体制などが示された。
しかしながら 19年8月の公募提案書にあった「茶室移築」や」、「フ ァッションデザイナー企画展」、「伝統文化とハイテクの融合デモ展」、 「新 感 覚 和 モ ダ ン の 夕 べ 」、 「 堺 コ レ ク シ ョ ン フ ェ ア 」や 市 内 事 業 の 「 国 際ワークショップ」「国際フォーラム」などが削減されており、一方で、 事業収支については、事業売り上げの 5 億円が 7 億 1800 万円に、経 費8億8450万円が6億3400万円に、市負担金は4億4050万円から4 億 5000 万円へと修正されイリアの事業費積算根拠に多くの疑問を抱 かせる内容となっていた。
こうした状況が是正されないままに、20年 1月 11 日に堺市、イリ ア に 加 え て 堺 市 の 外 郭 団 体 で あ る財 団 法 人 堺 市 産 業 振 興 セ ン タ ー ( 理 事 長 内 原 達 夫 、 以 下 法 人 を 略 ) を 加 え た 三 者 に よ る 単 年 度 協 定 が 締 結 され、わずか3ヶ月で1億6000万円予算という19年度事業が始まっ た。
(4) 20年度「覚書」の変更から事業の中止まで
20年度の本事業の所管は、事業発案部局の財政局企画部から、産業 振興局に移管されることになった。また覚書の「事業目的」は、19年度 覚 書 で は 「 本 事 業 は 、 国 際 的 な 都 市と し て の 実 質 と イ メ ー ジ を 形 作 り 本事業の発展に寄与する地域を市内に創出することで、活力ある市民 の定住先として支持されるブランド作りを目的とする」から、「デザイ ンや文化を中心に、堺市を基点として海外との交易を行い、堺市の経 済力・知名度を高め、国際的な都市としての実質とイメージを形作る ことにより、活力ある市民の交流及び定住の促進並びに堺市の地域産 業の振興に資することを目的として実施する」というように、「ブラン ド 作 り 」か ら 「 地 域 産 業 の 振 興 」 に 軸 足 を 置 い た 目 標 へ と 改 め ら れ た 。 他方、堺市が実施計画と収支計画に基づき支出金額を決定することに 変更はないものの支払いについては、堺市産業振興センターへの運営 補助費として一旦支出し、同センターが負担金としてイリアへの支払 うという変更が行われている。
一方市当局は、堺市議会での事業の問題や今後の対応を問う質問に 次のように答弁を行っている。
きたものであり、その結果を踏まえての事業開始と失敗をしないため に 17 年度から順次、調査・実験を重ねてきたということで、その結 果を踏まえての事業開始ということであります」(20年 9月 18 日、平 成19年度決算審査特別委員会・財政総務資金課長)
また「米国の金融不安を背景に、世界的に経済が悪化している折では ございますが、すぐれた個性と普遍的な価値を有する製品や人材の発 信 に 努 め 、 景 気 動 向 に か か わ ら ず 成 功 す るよ う 取 り 組 ん で い き ま す 」 (20年 12 月 5日定例会本会議・産業振興局長)とのように、準備を充 分に行い、景気動向にかかわらず成功させるとの答弁であった。
し か し 、 こ う し た 市 議 会 で の 答弁 と は 裏 腹 に 、 次 に 示 す よ う に 20 年 度 に は 、 逆 に 次 々 と 海 外 事 業 、 国 内 事 業 と も に 計 画 の 中 止 、 縮 小 、 変更するという事態が進行した。これ以降、21 年9 月 27日投開票の 堺市長選挙で当選した竹山修身市長が初登庁した 10 月 8 日に事業の 中止を指示するまでの間、多額の公金支出が行われることになり、そ の成果も限られたごく一部留にまった。
2、 株式会社イリアの「堺ブランド創造発信事業実施計画書」の結果につい て
「19 年度事業実施計画」の 3 ヵ年計画に記載された主な実施事業の内、 「協働事業」についての実施状況は以下のとおりである。
① 堺市としての成果
ア、超有名クリエーターの中継 −行われず
イ、堺コレクションの開催(20年9月、21年11月) −行われず ウ、堺新感覚和モダンビジネスパークの実現
検 討 と 一 部 実 施 − 検 討 の み ② 国内事業
デザインビジネスセンターの設立
−当初予定20年8月−12月に設立、21年10月の堺市の事業中 止とともに撤退。
③ 海外事業
ア、ニューヨークの超ハイエンド層へ向けた販売事業 −行われず イ、先駆け事業
・北山安夫氏の庭園提供 −行われず
・嵐山吉兆の徳岡邦夫氏の特別晩餐会 −行われず ウ、ファッション卸販売事業
・国内若手ファッションデザイナーのニューヨークでの展示会 先駆け事業である、掘畑裕之氏の「まとう」ブランドのみが実施 される。
エ、ニューヨーク最新モードの周旋 −行われず ・デザインビジネスセンター制作のペーパーメディア−行われず オ、ニューヨーク現地法人の設立 −行われた
以上が、「堺ブランド創造発信事業実施計画書」=3 ヵ年計画の結果で あり、19、20年の2年間で3億2991万7000円もの多額の公金支出を行 いながら、主要なそのほとんどが実施されなかった。これらは「丸投げ」 と批判される(事実証明書-8)結果を招いた。
3、 「堺市ブランド創造発信事業」における 19 年度、20 年度の公金支出状 況について
次に、今日時点で確定されている19年度及び20年度の堺市の財務会 計上の公金の支出は以下のとおりである。
(1) 19年度 11月30日∼翌年3月31日
堺市は単年度契約に基づき負担金として支出した。 堺市予算額 1億6000 万円 (事実証明書− 9) 精算額 1億4392 万2222円 (事実証明書−10)
(2) 20年度 4月1日∼翌年 3月31日
堺市は単年度協定に基づき堺市産業振興センターへ運営補助金支出 を行い、堺市産業振興センターは負担金として支出した。
堺市予算額 2億5000 万円 (事実証明書−11) 精算額 1億8599万5000円 (事実証明書−12)
4、 違法な公金支出の内容について
いう本事業実施の根幹である異例の「協働事業・負担金方式」による事業 の実施方法、③事業中止や変更が行われた場合について、④実施された 事業とその支出金額について、そして、⑤実施責任と管理責任などにつ いての妥当性と合法性が問われるているのである。
(1) 事業目的の実現について
堺市の事業目的は、前述した 19 年公募の「公募の目的」、19 年度並 びに 20 年度における「覚書」のに記載された「目的」であり、その目的 実 現 の た め の 方 法 と し て 「 事 業 実 施 計 画 」 に 掲 げ た 事 業 が 達 成 さ れ な ければならなかった。これについては、「事業実施計画書」そのものが 中止と変更が繰り返され、壮大な事業計画に対して、成果として残っ た の は 掘 畑 裕 之 氏 の フ ァ ッ シ ョ ン ブ ラ ン ド 「 ま と う 」 の 展 示 会 と 商 談 会、「NORI」の販売にとどまり、イリアとの「協働事業」の中止ののちに 22 年において堺市が単独で実施したニューヨークでの 11 点の地場産 品の展示、商談会に留まることになった。
これらの結果、19 年公募の「 文化・流行の発信地 という堺市の 新 し い 都 市 ブ ラ ン ド の 形 成 」 や 「 文 化 的 で ハ イ セ ン ス な 魅 力 あ ふ れ る 地域の創出」、「新しいデザイン要素と融合することによる地域の産業 振興」、「デザイナーや技能者から直接に指導や教育を受けられる機会 の 提 供 」、 「活 力 あ る 市 民 の 定 住先 と し て 支 持 さ れ る ブ ラ ン ド 作 り 」 、 19 年覚書の「国際的な都市としての実質とイメージを形作り本事業の 発展に寄与する地域を市内に創出することで、活力ある市民の定住先 として支持されるブランド作り」、20年「覚書」の「デザインや文化を中 心に、堺市を基点として海外との交易を行い、堺市の経済力・知名度 を 高 め 、 国 際 的 な 都 市 と し て の 実 質 と イ メー ジ を 形 作 る こ と に よ り 、 活 力 あ る 市 民 の 交 流 及 び 定 住 の 促 進 並 び に 堺 市 の 地 域 産 業 の 振 興 に 資する」のいずれの目標も到達されたとは言えない。
による減額を行ってこなかった。
(2) 全国初といわれる「協働事業・負担金方式」について
本 事 業 運 営 の 基 本 は 全 国 初 と い わ れ る 自 治 体 と 企 業 に よ る 「 協働 事 業方式」によるとされ、その内容は、覚書第 1 条第 1 項、「海外事業」 とは本事業のうち、《Produced by SAKAI》ブランドに資する商品の製 作 及 び ニ ュ ー ヨ ー ク を 中 心 と し た 海 外 で の プ ロ モ ー シ ョ ン に 関 わ る 事業で、乙からの提案を基づき実施するものとする」及び2項、「国内 事 業 」 と は 、 本 事 業 の う ち 、 海 外 事業 の 枠 外 で 堺 市 の 発 展 に 寄 与 す る 事 業 と し て 、 乙 か ら の 提 案 を 基 に 実 施 す る事 業 と す る 」 と さ れ て い る ように、海外、国内事業ともに事業者からの提案に基づき行われるこ ととされた。
そもそも通常の「委託契約」による事業実施であれば工事委託、調査 委託、業務委託等を問わず、自治体による事業内容と支出見積もりを 基 に 契 約 行 為 が 行 わ れ 、 事 業 者 に よ り 事 業実 施 が さ れ る の で あ る が 、 こ の 点 が ま っ た く 異 な っ て お り 、 堺 市 も 当初 か ら 、 こ の 「 協 働 事 業 方 式 」 に つ い て 「 堺 市 が お 金 を 出 し て 民 間 に 従 事 し て も ら う の が 普 通 の 形式であり、民間からアドバイスをもらって堺市が従事するような形 式 は 初 め て で あ り 、 リ ス ク も あ る だ ろ う がが ん ば っ て い た だ き た い 」 (20年2月18日、第二回堺市ブランド創造発信事業実務者会議・堺市 側発言)との認識を持っていた。また、19 年公募時には本事業に継承 を鳴らす、貴重な意見も寄せられていた(−②)。
さらに本事業で最も問題なのは、①つめに、「補助金事業」等で行わ れ て い る 事 業 者 に 費 用 対 効 果 を 意 識 さ せ 適 正 支 出 を 行 わ せ し め る た め の 堺 市 と 事 業 者 の そ れ ぞ れ の 負 担 率 の 設 定 を 行 わ な か っ た 点 で あ る 。 ま た ② め に 、 堺 市 は 「 事 業 委 託 」 に よ る 「委 託 料 」 支 払 い で は な く 、 「負担金」支払いとした点である。
拠はどこにもないし、「負担金」であるからといって、各費目間流用や、 費目の上限値を超えてよいという根拠もない。
本事業においては商品の開発作成、販路開拓や商品販売などそれら の期限や目標設定が行われておらず、「客観的な目標の達成状況」につ いてこれを判断する成果指標も作成されていなかった。それゆえにこ の 「 収 支 見 積 書 」 の 各 事 業 の 「 費 目 上 限 額 」 が 唯 一 の 尺 度 と な り え た の であるが、堺市は自らこの財務会計規律をはずした。
これらにより、例えば堺市負担とされていた「ルート開拓費」なる販 路開拓費用は、年度見積もり書に設定された上限額をはるかに超える 支出が行われるなど、多額の支出を強いられることとなった。これら ルート開拓費用・プロモーション費用は、2年間だけで実に約1億615 万 円 に 上 る こ と と な っ た 。 な お 本 来 で あ れ ば 「 ル ー ト 開 拓 」 の よ う な 「無定量業務」については事業者の負担とすべきであった。いずれにし てもこうした結果をもたらしたいわゆる「協働事業・負担金方式」は極 めてずさんであり許されるものではない。
5、 堺市が被った損害の具体例について
次に 19 年度と 20 年度について、「3 ヵ年事業実施計画書」、「単年度事 業実施計画書」、「TASK予算管理表」等により、堺市が損害を被った具体 例として以下を例示する。
(1) 19年度事業分について
① 19 年度事業度の「単年度実施計画書」「単年度事業実施計画書」 未提出による「覚書第5条2項」違反について
「覚書第5条2」(事実証明書-4「覚書」のP3)が定める「初年度 に あ っ て は 単 年 度 契 約 の 締 結 ま で に 速 や か に ・ ・ ・ ・ 当 該 年 度 の 収 支 計画、並びに負担すべき負担金の年額及びその積算根拠を定めた実 施計画を甲に提出するものとする」と規定された当該年度の「実施 計画書」について、堺市産業振興局に存在の有無を問いただしたと ころ存在していないとの回答が行われた。
損害の具体例と金額 -1
これらの19年度支出行為の支出額は1億4392万2222円となる。
19年度実績の精算確定については、当時担当者からの聞き取りに よれば、帳簿、帳票類の確認は精算確定前には行われていなかった こと、また 19 年度「実績報告書」の虚偽報告に関してイリアから の 「 実 績 報 告 書 」 の 「 実 施 し た 事 業 の 概 要 」 で の 、「 堺 市 ブ ラ ン ド 発信創造事業を実施計画書に基づき、3カ年計画のうち、平成19年 度分を実施した。堺市内にデザインビジネスセンターを設立し、日 本国内からトップクラスランナーアーティスト・クリエーター・表 現者を堺市内に集め(ビジネスオフィス機能)、ニューヨーク(NY) の超ハイエンド層に向けて人材輸出事業の準備を行った」としてい るが、堺デザインビジネスセンターの設立は平成20年12月に行わ れたものでありこの事実はない。これは覚書第7条2(2)「報告等に 虚偽があった場合」に該当する、もしくは仮に故意でなくとも重大 な過失にあたる点を付け加える。
なお、19年度会計支出についてはその全支出を認めないものであ るが、これらについて今後、新たに「19年単年度実施計画書」の存 在が確認されたとしても、少なくとも以下の点については認められ ない。
② 国内事業分について
ア、堺コレクション(20年9月、21年11月)に関して
当初、3 年間計画で「デザインセンター」、「ビジネスパークの 検討・一部実施」とともに、国内事業での、3 本柱の一つであっ た「堺コレクション」(ファッションショー)は早くも19年度中 に中止が決定され、これに変わって20年度計画では、20年11月 のファッションセミナーが実施されることになった。
万円もの増加計上が行われている。
また「堺コレクション」の開催は19年度計画の主要な事業であ り、当時担当者への問い合わせにおいて、株式会社イリアは堺市 に事業変更の指示を求めなければならないが行われていない。こ れらは19年単年度協定書の第13条3の規定に違反している。
なお、これが事後的に承認されていたとしても、19年度「TASK 総予算管理表Ⅱ-01-01」における、予定上限額を超えるその差額 分905万円の支出は認められない。
損害の具体例と金額 -2
国内事業公募展の費目-905万円 (事業証明書-14、15)
イ、海外事業分について
a、 レセプション事業に関して
1 月当初の 3 ヵ年計画で予定していたハイエンド層を対象とし た2回の「ニューヨークディナーレセプション」(20年10月、21 年10月)は、早々に20年度実施計画では、21年5月の実施へと 変更され、さらに世界的な新型インフルエンザの流行により予定 した「レセプション」も中止となった。
そして「レセプション」とセットで販路拡大を狙っていた「堺 打刃物」、「庭」の販売もなしえなかった。
新型インフルエンザの流行による中止は、やむをえない合理的 理由があり 19 年度の準備諸経費等についても承認するのが妥当 であると考えるが、なお以下の点については認められない。
・ 「TASK総予算管理表Ⅰ-01-04」のディナーレセプションの会場・ 演出・運営に関わる経費であり、19年度での経費支出は考えられ ず、820万円の支出は認められない。
損害の具体例と金額 -3
海外事業 会場・運営・演出の費目-820万円 (事実証明書-14、15)
施に向けたインビテーションカード(招待状)も作られていない ためておらず、これら810 万円の支出は認められない。
損害の具体例と金額 -4
海外事業レセプションのカタログ・インビテのーションカードの 費目-810万円
(事実証明書-14、15)
b、 庭販売プロモーションに関して
「TASK総予算管理表Ⅰ-01-02」の庭等のプロモーションにつ いては、4の(2)、6の点から「ルート費」同様に本来認められ るものでないが、庭の販売実績は 19 年度以降においても 1 件 も無い。のちの 21 年度実施計画にも問題点が指摘されている とおり、販売後のアフターケアやこれを実施しえる現地事業者 との連携が出来ていないなど、事業自体の実現条件は整ってい なかった(事実証明書-16)わけであり、これら支出の 975 万 円は認められない。
損害の具体例と金額 -5
海外事業 庭プロモーションの費目-975万円 (事実証明書-14、15)
c、 「ルート費」に関して
また「TASK総予算管理表Ⅰ-02-01」の「ファッションルート 開発」の 1288 万 8000 円、「Ⅰ-02-02」の「新感覚和モダンル ート開発」の355万円の計1643万円8000円は、4の(2)の点か ら認められない。
また、19年度においてはショウルームの設置など具体的経費 も発生していない。
損害の具体例と金額 -6、7
海外事業 ファッションルート開発の費目-1288万円8000円 〃 新感覚和モダンルート開発の費目-355万円
(事実証明書-14、15)
19 年度事業の実績額の内の 30.5%、総額 4400 万円を占める「管 理費」についてであるが、当初「見積もり書」では、戦略・戦 術再検討、海外・国内分担調整、諸検討、評価の5項目であっ た。
これらは「TASK総予算管理表」の区分項目と著しくくいちが っていおり、プロジェクトマネージメントとして①戦略・戦術 再構築 600 万円、②海外・国内分担調整 2000 万円、③諸検討 600 万円、④評価 1600 万円とされていたものが、後付で(1)プ ロジェクトマネージメントでは、①スケジュール管理、②ドキ ュメント管理、③進捗管理、④品質管理、⑤組織・モチベーシ ョン管理、(2) 戦略調整・諸検討、(3) 評価と区分されて実績 報告がなされている。
これらの内容は事実証明書-17 に記載されているもの、全体 的にも内容が重複しているばかりか、各個別事業の業務に含ま れるべきもの、通常、支出要件に当たらないと考えられるもの までが含まれている。
「TASK総予算管理表」にあわせて考えてみても、調整業務と して必要と考えられる(1)の01スケジュール管理、02ドキュメ ント管理と重複している 03 進捗管理は不要であり、04 品質管 理、05組織・モチベーション管理などは、通常、考えら得ない 支 出 で あ る 。 ま た (2) 戦 略 調 整 ・ 諸 検 討 な ど は 本 来 業 務 の 中 に 含 ま れ て い る べ き 内 容 で あ る 。 さ ら に (3)の 評 価 に つ い て は 事 業者自身の自己管理の問題であり不要である。これらについて は必要以上に管理業務を膨らませているだけであり、19年度に おけるこれらの支出の計4100万円は認められない。
(事実証明書-14、15)
(2) 20年度事業分について
変 わ る 「 フ ァ ッ シ ョ ン 公 募 展 」 の 中 止 、「 堺 市 デ ザ イ ン ビ ジ ネ ス パ ー ク」構想の検討中止、21年度での「庭」販売の中止など、3カ年計画 の柱であった主要な事業はそのほとんどが中止となった。
① 国内事業分について
ア、公募展及びファッションセミナーに関して
19 年 計 画 で 予 定 さ れ て い た 「 堺 コ レ ク シ ョ ン 」 に 変 わ り 、 20 年 度 に は 次 の フ ァ ッ シ ョ ン ブ ラ ン ド を ニ ュ ー ヨ ー ク に 送 り 出 す 「 フ ァ ッ シ ョ ン 公 募 展 」 が 、 検 討 さ れ て い た も の の 、 結 局 は 20 年 11 月に掘畑裕之氏を招いてのセミナーに変更して実施するも のの、その後のファッションブランド事業展開にむけた計画や方 針が設定されておらず、その必要性はなかった。新感覚和モダン セミナーは 21 年 5月に実施、その後 21 年 10 月の本事業中止後 の堺市単独事業でのニューヨーク展示会で 11 点中 2 点のみ商談 に留まっており、費用対効果に大きな疑問が残るものの実際の事 業 実 施 が 行 わ れ て い る 点 か ら 、「 フ ァ ッ シ ョ ン セ ミ ナ ー 」 関 わ る 支出1856万4000円について認められない。
(事実証明書-17、18)
② 海外事業分について
ア、「ニューヨークディナーレセプション」に関して
21年5月に予定されていた「レセプション」は新型インフルエ ンザの関係により中止された。19 年度、20 年度をあわせて関係 費だけで6055万6000円が費消された。このことは合理的理由が あるとして認められるものの、20 年度支出の 3016 万 9000 円の内、 予算額は 1550 万円であり、市当局は各個別の費目間流用につい て、これについては4の(2)、6のとおり名ばかり上限値や負担率 がない基では、当初の予算設計が誤っていた以上、その上限値を 超 え る 分 は 事 業 者 側 負 担 と し な い 限 り 際 限 な い 事 業 費 の 膨 張 を もたらすことになるものであり、により予定額を超えた分は認め ることは出来ない。
損害の具体例と金額 -11
海外事業 レセプション(企画・実施)の費目の内
イ、「庭」プロモーションに関して
19年度と同じく、「庭」プロモーションについての1753万2000 円の支出は認められない。
損害の具体例と金額 −12
海外事業 庭プロモーションの費目-1753万2000円 (事実証明書-17、18)
ウ、「ルート費」に関して
20 年度 の 「 フ ァ ッ シ ョ ン ル ー ト 」、「 新 感 覚 和 モ ダ ン ル ー ト 」、 「地場産品ルート」開発は計 1200 万円の予算に対して 6548 万 6000円にも及んでいる。これについては4の(2)、6のとおり、「負 担金額」を設定し得ない自治体の公金支出についてはあってはな らないものであり、これを認めることは出来ない。さらにこれら については、予算額よりも5348万6000円も上回っており、約4.5 倍となっている。費目間流用と名ばかり上限値がいかに多額の公 金を失わせしめているのかが分る。
損害の具体例と金額 -13
海外事業 ファッションルート費の費目-3647万2000円 〃 新感覚和モダンルート費の費目-2040万円 〃 地場産ルート費の費目-861万4000円 (事実証明書-17、18)
エ、「管理費」に関して
先 に 前 述 の と お り 、「 ス ケ ジ ュ ー ル 管 理 費 」、「 ド キ ュ メ ン ト 管 理費」と重複している「進捗管理費」1150 万円、「品質管理費」 600 万円、「組織・モチベーション管理費」524 万 1000 円の支出 分について認められない。
損害の具体例と金額 -11
管理費 進捗管理費の費目-1150万円 〃 品質管理費の費目-600万円
6、 本件にかかわる違法事由について
堺市は 17 年度、18 年度と一社随意契約による「堺市ブランド創造発 信事業事業化調査業務」を株式会社イリアへと業務委託を行った。19年 の公募で2年間、委託料の9113万6000円をかけて調査業務を行ってき たイリアが選定されるのは当然の結果であった。
イリアは公募において事業の企画書である「提案書」を示し、また覚 書、協定書提出時に「実施計画」を示したが、前述のとおり「提案書」 と「実施計画」は異なり、また19年度においては示されるべきはずの「単 年度実施計画」も提出されなかった。
以降、堺市は「ブランド創造」の知見を有しない中で、全国初の事業 者側の提案に基づく支出が行われ、「協働事業・負担金方式」なる支出の 仕組みがつくられ、19年度で 1億4392 万2222円、20 年度で 1億8599 万5000円という多額の負担金が支出された。しかしながら負担率や費目 の予算上限を超える場合の事業者負担などの設定は行われておらず、そ のわずかな成果に比して多額の税金が支出されることとなった。また、 経済情勢等による影響を差し引いたとしても、ルート費などをはじめ上 記5の具体例で指摘したような支出がおこなわれ、さらに今日まで堺市 は「覚書6条の2∼6項」の「目的の到達」に対する事業査定と返金請求 を行っていない。このような極めてずさんな公金の支出行為は地方自治 法、地方財政法から見て許されない。
言うまでも無く、自治体の財務会計行為については、地方自治の基本 法である地方自治法はその第2条14項で、「地方公共団体は、その事務 を処理するにあたっては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最小の 経費で最大の効果をあげるようにしなければならない」と定め、地方財政 法2条で、「地方公共団体は、その財政の健全な経営に努め、いやしくも 国の政策に反し、又は、国の財政若しくは、地方公共団体の財政に塁を 及ぼすような施策をおこなってはならない」と規定している。
また、地方財政法第 4 条 1 は、「地方公共団体の経費は、その目的を 達成するための必要且つ最小限度をこえてこれを支出してはならない」 と規定しているところであり、これらは地方自治体の支出負担行為にお いても貫かれることは周知のところである。
なお、本事業における「支出負担行為」の決裁権者は、木原敬介前堺 市長であり、本事業における「協働事業・負担金方式」の決裁権者は、 松藤保孝前財政局長であった。
7、 求める措置と措置を求める相手方
以上17年からの経過を見てきたが、17年度から20年度までをあわせ れば4億2105万3222 円の支出となる。それに比べて得られた成果はあ まりにも少ない。「協働事業・負担金方式」という異例の仕組みを作りこ れほど多額の税金を費消した自治体は過去に例もがないと言える。
また本件については、そもそもの19年公募目標に掲げられていた「教 育に関する施策実現」が以降の事業実施計画の中に何一つ盛り込まれな かったことから見ても、本来の行政目標実現に向けて、真剣にこれら計 画が立案されたとは言いがたいということを付け加える。これらの公金 の違法、不正支出の是正について堺市長は次の措置を取ることを求める。
① 堺市長は、17 年度から 20 年度までの「堺市ブランド創造発信事業 事業化調査業務」、「堺市ブランド創造発信事業事」による支出額4億 2105 万 3222 円について、前堺市長、前財政局長、株式会社イリア及 び関係者に対して、堺市が被った損害を回復するのに必要な措置を取 ること。
② 少なくとも堺市長は、前堺市長、前財政局長、株式会社イリア及び 関係者に対して、「堺市ブランド創造発信事業事」の19年度支出につ いて、「19 年度単年度実施計画書」が存在しない場合はその支出額 1 億4392万2222円について、存在する場合は堺市が被った損害を回復 するのに必要な措置を取ること。
③ また同じく20年度支出分1億8599万5000円について、堺市長は、 前堺市長、前財政局長、株式会社イリア及び関係者に対して、堺市が 被った損害を回復するのに必要な措置を取ること。
④ また堺市長は、本事業の終了に当たり、少なくとも今日までの事業 を「覚書第 6 条の 2∼6 項」に基づいて検証し、株式会社イリア及び 関係者に対して、必要な負担金の返還請求を行うための措置を取るこ と。
を含むが、本件は 17 年度、18年度の「調査業務」を元に 4 年にわたり 事業が展開されてきた「堺市ブランド創造発信事業」にかかわるもので あり、これら当初事業の評価も今日時点からの総括によって行えるもの であり、それらの支出行為についても請求対象の期間に含まれるもので ある。
なお、平成19年度における支出については、本事業は「覚書第1条3 項」において「協働事業実施期間」について、覚書締結の日から平成22 年3月31日までの期間として定められ、並びに負担金の減額措置につい ても単年度主義を取らず事業期間終了後を想定しての行為となる点から 19年度について監査請求期間の対象範囲としえることは正当である。
以上、地方自治法第242条第1項の規定により別紙事実証明書をそろ え必要な措置を請求するものである。
以上
別紙事実証明書
[1] 平成19年度堺市ブランド創造発信事業 協働事業者の公募に関する 募集要項 平成19年8月3日
[2] 株式会社イリアの「参加表明書」 [3] 株式会社イリアの19年公募「提案書」
[4] 堺市ブランド創造発信事業 覚書 19年11月30日 [5] 堺市議会 議事録
[6] 堺市ブランド創造発信事業実施計画書 平成19年11月30日 [7] 堺市ブランド創造発信事業 覚書 平成20年4月1日
[8] 読売新聞 21年12月17日記事
[9] 堺市ブランド創造発信事業に関する協定書
[10] 堺市ブランド創造発信事業 平成19年度 事業完了届 [11] 平成20年度 堺市ブランド創造発信事業 協定書 [12] 堺市ブランド創造発信事業負担金額の確定について [14] 2007(平成19)年度 見積 内訳書
[15] プロジェクトTASK 総予算管理表 2007年度 [16] 「ファッションセミナー」に関する支出 [17] 事業費(見積内訳書)
(原文のとおり。なお、事実証明書の掲載は省略した。)
5 訂正、修正及び補正書等の提出 本件の住民監査請求書については、
① 平成22年4月2日に「22年3月31日付け 住民監査請求書について の訂正」及び「22年 3 月31 日付け 住民監査請求書についての追加資 料」が提出された。
② 平成 22年4月14日に、住民監査請求の要件を備えているかどうかを 判断するにあたって不明な点があるため補正を求めたところ、同年4月 21日に「2010年3月31日付け 住民監査請求についての訂正」及び「住 民監査請求書(資料・4/21までの訂正整理文)」が提出された。 ③ 平成 22年4月30日に「3月31日住民監査請求、4月21日訂正につい
ての修正について」が提出された。
上記の経過から、前記「4 監査請求書」については、補正等の後の監 査請求書の内容及び事実証明書を記載した。
第2 監査の実施
1 要件審査及び請求の受理
本件請求は、地方自治法第242条第1項に規定する要件を具備しているも のと認め、平成22年4月22日にこれを受理した。
2 監査を行った監査委員
平成22年4月22日、監査委員西林克敏、同吉川敏文、同木村正明、同 小杉茂雄が本件監査請求の受理を決定し、以降、同年5月23日まで監査を 行った。
同月24日以降は、監査委員加藤均、同米谷文克、同木村正明、同小杉茂 雄が監査を行った。
3 請求人の証拠の提出及び陳述
請求人から、地方自治法第242条第6項に規定する証拠の提出及び陳述 を行わない旨の申出書が、平成 22 年 4 月 26 日付けで提出されたことから、 請求人陳述等は実施しなかった。
4 監査対象部局
5 監査対象部局及び関係人からの事情聴取等
本件について、市長に対して請求に係る意見書の提出を求めるとともに、 平成22年4月30日、監査対象部局の職員から、本件請求に関する事実及 び意見について事情を聴取した。
また、地方自治法第 199条第8項の規定に基づき、財団法人堺市産業振 興センターに本件事業の関係人として、監査対象部局の職員からの事情聴 取への同席を求めたところ、同センターの職員2名が出席した。
事情聴取の概要は以下のとおりである。 (1) 事情を聴取した者
(財政局) 財政部長、財政部次長兼財政総務資金課長
(産業振興局)産業振興局長、商工労働部長、商工労働部次長兼産業政 策課長ほか
(財団法人 堺市産業振興センター)
事業担当次長兼事業企画課長、販路開拓課長
(2) 本件請求に関する意見等
ア 事業概要について
堺市ブランド創造発信事業(以下、「本件事業」という。)は、ニュ ーヨークを中心とした海外、また国内の各種事業を通じて、本市の知 名 度 向 上 と 情 報 発 信 、 地 域 産 業 の 振 興 等 を 目 的 に 始 め た 事 業 で あ る 。
具体的には、平成 19 年度から、民間事業者との協働事業としてニ ューヨークの活動拠点を活用した情報発信のほか、日本庭園、ファッ ション、プロダクツ等の海外販路開拓や、和モダンをテーマとする新 製品の企画・開発、人材の発掘・育成等に関する事業に取り組んでき た。
なお、平成19 年 11月 30 日締結の覚書第 2条第 3 項において「株 式会社イリアは、協働事業実施期間終了後においても、本事業の継続 に努力するものとする」と定めたとおり本件事業は、3 か年終了後の 平成 22 年 4 月 1 日以降には民間事業として継続することを前提とし ており、事業立ち上げに係る当初の3か年だけを本市との協働事業と し 、 そ の 費 用 の 一 部 を 負 担 金 と し て 本 市 が 支 出 す る こ と と し て い た 。
自治体と民間事業者が協働で実施する事業について、自治体がそ の事業費の一部を負担する場合、負担金による支出となるので、協 働事業・負担金方式となる。
なお、本件事業は、地方自治体が民間事業者と協働して海外で取 り組むソフト事業としては全国初の試みであるが、地方自治体が民 間事業者と協働し負担金支出する例は特別なものではない。
また、公募提案型の協働事業・負担金方式による事業についても、 本件事業開始以前から、他の自治体においても実施されているもの である。
(イ) 委託ではなく協働事業とした経緯
平成 19 年 2 月に事業企画提案の公募を行い、民間事業者などか ら 11 件の提案を受けた際に、国内外で評価されるためには、ビジ ネスマーケットを開拓し、実際に民間のノウハウを活用して販売す ることが必要という意見が出された。
これらを踏まえ、実際のビジネスまでも包括した事業になること が想定され、海外での著作権、特許権の侵害による損害賠償請求の 訴訟が想定されるとともに、それらのリスクを本市が負担すること の困難さも想定され、庁内において議論がなされた。
その結果、本市が事業主体となり、実施したい事業を仕様書によ り事業者に実施させる委託ではなく、民が事業主体となり、実際の 事業とリスクは民が負いつつも、知名度向上などの事業成果の一部 は本市に帰属できるよう協働事業・負担金方式を実施することとし、 その内容で平成19年8月に公募を行った。
なお、支出費目については、協働事業に対してその費用の一部を 負担するものであることから、負担金としたものである。
(ウ) 財団法人堺市産業振興センターへの補助金とした経緯
事 業 者 の 提 案 に 盛 り 込 ま れ て い た 海 外 販 路 開 拓 や 地 場 産 業 の 振 興は、財団法人堺市産業振興センター(以下「産業振興センター」 という。)の本来業務と合致することから、平成19年12月21日の トップ・マネジメント会議において、産業振興センターが所管する べきであるとの意見が出された。
これを受けて、平成 20年 1 月 11 日締結の平成 19 年度協定書で は、本市の補助者として産業振興センターを位置付け、本市、株式 会 社 イ リ ア ( 以 下 「 イ リ ア 」 と い う 。) 及 び 産 業 振 興 セ ン タ ー の 3 者による協定とした。
ける本件事業の負担金支出を盛り込んだ平成 20 年度事業計画書及 び収支予算書の議決や「堺市財団法人堺市産業振興センター補助金 交付要綱」の改正を経て、平成 20 年 4 月 1 日以降は本市が産業振 興センターへ補助金を支出し、産業振興センターがイリアに負担金 を支出することとなった。
なお、平成 20 年度の本件事業に係る産業振興センターへの補助 金支出については、平成20年度予算として、平成20年3月に市議 会の議決を得ている。
(エ) 負担金の限度額
負担金の限度額については、協定書において単年度の負担上限額 を定めているが、費目毎の上限値は定めてない。覚書及び協定書は、 本市が合理的な裁量に基づき、定められた限度額ないし上限額の範 囲内で、総額としての負担金額を定めることを予定しており、費目 毎の負担金を定めるとの規定とはなっていない。すなわち、費目間 の流用という問題がそもそも生じない規定となっている。
また、協定書に定める負担金額の上限については、議会の議決を 経た予算額に基づいており、これを超える支出は一切行っていない。
ウ 平成19年度の実施計画書について
平成 19 年度における、単年度の実施計画書の提出は受けていない が、イリアからは、協定書締結までに平成19年度から平成21年度ま での3か年の実施計画書(平成19年11月30日付け)と平成19年度 の見積書(平成20年1月9日付け)の提出を受けている。
この実施計画書には、平成 19 年度の収支計画、業務実施体制及び 負担すべき負担金額が記載されており、覚書第5条第2項違反にはあ たらないと考えている。
エ 平成 19 年度実績報告書におけるデザインビジネスセンターの記述 について
に 堺 市 内 に デ ザ イ ン ビ ジ ネ ス セ ン タ ー を 設 立 し て 行 う 人 材 輸 出 事 業 に関する準備を行ったという主旨であり、平成 19 年度中に堺市内に デザインビジネスセンターを設立したということではない。
株式会社堺デザインビジネスセンターの設立時期については、平成 19年 11 月 30 日付けの実施計画書に「2008 年 10 月」とあるとおり、 当初から平成20年度中を予定していたものである。
オ ファッション等公募展について
(ア) 平成19年度のファッション等公募展 ① 堺コレクション中止の経緯
ビジネスモデル構築のための事業者側の戦略は、まず、ニューヨ ークへの出口となる販路を構築し、具体的な出口があることをイン センティブとして、国内外の優れたプロダクツやクリエイターを公 募で集めるというものであった。
堺コレクションは、公募展のタスク内で予定していた事業である が、ビジネスモデル構築の観点から、ファッションショーと展示即 売会で構成する堺コレクションではなく、公募につなげるための事 例 発 表 セ ミ ナ ー を 実 施 す る 方 が 効 果 的 と の 事 業 者 側 の 提 案 が な さ れ 、 本 市 及 び 事 業 者 と の 協 議 の 上 そ の よ う に 変 更 し た も の で あ る 。 ② 事業内容変更の指示
イ リ ア は 本 市 に 事 業 変 更 の 指 示 を 求 め な け れ ば な ら な い が 行 わ れていないという点については、イリアは、事業が履行できなくな ったのではなく、ビジネスモデル構築のための効果的な手段として 本市と協議の上で事業内容を変更したものであり、協定書第 13 条 第3項違反には全くあたらないと考えている。
③ 平成19年度の公募展事業費
平成 19 年度協定書締結後、事業者において、ニューヨーク現地 事情の確認、ネットワークの再構築、正式メンバーの確定などの本 格調整を行うのと並行し、事業計画の具体化に伴う資金計画の精査 とタスク内容の再検討が行われた。
そのため、平成 20 年 3 月 31 日付けの平成19 年度実績報告書で は、平成 20 年 1 月 9 日付けの見積内訳書とは異なるタスクでの整 理がされているが、それらについては、本市と協議のうえ、事業者 において、より事業内容を精査し実効性を高める検討を加えた結果 である。
展準備経費」等の計上については、事業内容の変更に合わせて、当 初予定のニューヨークデザイナー招聘、会場、演出、運営、美術・ 衣装、告知・募集のための予算を、戦略・立ち上げ企画に組み替え たものであり、その結果として、平成 19 年度見積内訳書の「ファ ッションショーなど公募展準備経費」2 千万円のうち 600 万円であ った企画費が、実績報告書添付の「タスク総予算管理表」では、「フ ァ ッ シ ョ ン 等 公 募 展 」 の う ち の 「 公 募 展 ( 戦 略 ・ 立 ち 上 げ 企 画 )」 として予算額2千万円、実績額1,505万円となったもので、企画費 が増加したものではなく、協定書の負担金上限額を上回ってはいな い。
さらに、平成19年度の支出は、平成19年度協定書の定めに従っ て1億4,392万2,222円で確定し、その差額1,607万7,778円を返 還させており、その支出は適法・適正であると考えている。 (イ) 平成20年度のファッション等公募展
①「まとふ」の事例発表セミナー実施の経緯
平成 19 年度で述べたとおり、ビジネスモデル構築のための事業 者 側 の 戦 略 は 、 ま ず 、 ニ ュ ー ヨ ー ク へ の 出 口 と な る 販 路 を 構 築 し 、 具体的な出口があることをインセンティブとして、国内外の優れた プロダクツやクリエイターを公募で集めるというものであった。
そのため、ファッションショーと展示即売会で構成する堺コレク ションではなく、公募につなげるための事例発表セミナーを実施す る方が効果的との事業者の提案に基づき、本市と協議のうえ、ニュ ーヨークでの「まとふ」の販路開拓事例を紹介する事例発表セミナ ーを開催したものである。
② 平成20年度の公募展事業費
平成 20 年 11 月 10 日開催の事例発表セミナーは、ビジネスモデ ル構築の観点から、ファッションブランド「まとふ」のニューヨー ク で の 成 功 事 例 を 紹 介 し た 方 が 公 募 の 広 報 と し て 効 果 的 と の 考 え から、本市及び事業者との協議のうえ実施し、本件事業に関心を持 った方を中心に 150 名が参加され、平成 21年の 5月から 6 月実施 の商品及びクリエイターの公募につなげている。
なお、負担金の確定についてはエビデンスを検査し、協定書に定 める限度額の範囲内で適正に行っている。
カ ニューヨークレセプションについて
連演出」
ニューヨークでのレセプションは、当初から平成 20 年度と平成 21 年度の開催予定であり、平成 19 年度中の開催は予定していない。
しかしながら、文化の異なる海外で、日本の「食」と「庭」のプ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン を 通 じ 本 事 業 と 堺 の 知 名 度 向 上 を 図 る た め の レ セプションを成功させるには、平成 19 年度中から会場候補地の調 査、ニューヨーク地区での食関連のトレンド調査、関係機関への協 力 要 請 な ど の 準 備 作 業 が 必 要 で あ り 、 そ れ ら の 作 業 に 伴 う 人 件 費 675万円、経費145万円、合計820万円が発生していた。
PR・販売ツール開発についても、レセプション等で配布するカ タログ作成のため、作品やデザイナーに関する情報収集などを行っ ており、それらの作業に伴う人件費 740 万円、経費 70 万円、合計 810万円が発生していた。
これらの事業費については、この事実を確認したうえで、協定書 に定める負担金上限額の範囲内で適正に支出されている。
(イ) 平成20年度のディナーレセプション
本 件 事 業 は 、 実 際 の ビ ジ ネ ス ま で も 包 括 し た 内 容 の も の で あ り 、 海外で発生する恐れのある様々なリスクに対応するため、本市にリ スクが発生する委託ではなく、民が主体となり、実際の事業とリス クは民が負う協働事業としたものである。
本件事業の負担金額の上限については、議会の議決を得た予算額 に基づき、年度毎の協定書で全体の負担金上限額を設定しているの み で 、 当 該 事 業 の 性 格 上 、 費 目 毎 の 予 算 は 設 定 し て い な い 。 ま た 、 これを超える支出は一切行っておらず、事業費の膨張をもたらした 事実は全くない。
なお、平成20年度実績報告書添付「タスク総予算管理表」の「負 担金対象実績額」とは、負担金対象事業における事業者負担分も含 んだ実績額であり、当該事業の最終的な負担金相当額は 1,750 万 8 千円、請求人が主張するところの市の予算超過に相当する額は 200 万8千円程度となっている。
キ 庭等プロモーションについて
(ア) 平成19年度の庭等プロモーション
予想外の事態となり、実際の販売には結び付いていない。
高額商品であり、土木工事や継続的なアフターケアを必要とする 日本庭園の販売は、訴訟社会であるニューヨークにおいて、入念な リーガルチェックが必要であった。
また、実際の作庭に際しては、現地の造園会社等の協力が不可欠 であり、その提携先をどうするか等についても検討が必要であった。
こうした中、事業者は、これらの課題解決に向けた作業やプロモ ーション業務を行っており、人件費550万円、経費425万円、合計 975万円が発生していた。
これらの事業費については、その事実を確認した上で協定書に定 める負担金上限額の範囲内で支出したものであり、全く違法性はな いものと考えてる。
(イ) 平成20年度の庭等プロモーション
平成 20 年度についても、事業者は、現地造園業者との具体的な 連携など、課題解決に向けた作業やプロモーション業務を行ってお り、人件費1,262万5千円、経費386万7千円、合計1,649万2千 円が発生していた。
これらの事業費については、その事実を確認した上で、協定書に 定める負担金上限額の範囲内で支出したものであり、適法・適正な ものと考えている。
ク NYルート開拓について
(ア) 平成19年度のNYルート開拓
本件事業は、3 か年の協働事業実施期間終了後も、堺市内及び海 外で事業が継続することを目標としており、事業者にも覚書第2条 第3項でそう義務付けていた。
N Y ル ー ト 開 拓 は 、 ニ ュ ー ヨ ー ク へ の 出 口 と な る 販 路 を 構 築 し 、 具体的な出口があることをインセンティブとして、国内外の優れた プロダクツやクリエイターを公募で集め、継続的なビジネスを展開 するための、本事業にとって重要なタスクであり、その重要性から 負担金対象としている事業である。
覚書及び協定書上、NYルート開拓のような業務について、負担 金の支出を制限するような条項はなく、本市が負担金支出すること は、平成 19 年 11 月 30 日付けの実施計画書に記載されているもの であり、違法性はなかったものと考えている。
合わせ、物流会社や荷受場所の選定作業、価格設定のための現地調 査やデザイナー側との打ち合わせなど、販路構築に不可欠な準備作 業を行っており、人件費1,350万円、経費293万円、合計1,643万 円が発生していた。
これらの事業費については、その事実を確認した上で、協定書に 定める上限額の範囲内で負担金として支出しており、違法性は全く ないものと考えている。
(イ) 平成20年度のNYルート開拓
本件事業の負担金額の上限については、議会の議決を得た予算額 に基づき、年度毎の協定書で総額の上限を定めており、これを超え る支出は一切行っていない。
また、最終的なNYルート開拓の負担金対象実績額6,248万2千 円のうち、本市の負担金相当額は2,294万9千円であり、残る3,953 万3千円は事業者が負担した金額である。
平成 20 年度は、ビジネスモデル構築のため海外事業を先行させ たことから、海外事業の確定額を9,328万3千円としたが、海外事 業と国内事業の合計では、予算額1億7千万円に対し負担金支出は 1 億 4,350 万円であり、予算額を超えて支出したわけでも、また、 協定書に定める負担金の上限額を超えたわけでもない。
ケ 管理費について
(ア) プロジェクト・マネージメント ① スケジュール管理
プロジェクトの作業量と作業手順を業務単位ごとに見積り、その 日程を定めてプロジェクト全体の作業予定を作成し、実績を把握し て予定と乖離していないか監視するタスクの名称である。
② ドキュメント管理
本事業で作成・収集された資料の保管と、各事業者が作成するタ スク作業指示書、タスク作業報告書、タスク月次予算管理書、タス ク支出報告書、タスク作業月報などをチェックし取りまとめ、それ ら を も と に 四 半 期 ご と の 実 績 報 告 書 や 総 予 算 管 理 表 等 を 作 成 す る タスクの名称である。
③ 進捗管理
④ 品質管理
各タスクの達成状況を見極め、品質の高いプロジェクトに仕上げ るために必要な検討を行うタスクの名称である。
⑤ 組織・モチベーション管理
事 業 者 間 会 議 で の プ ロ ジ ェ ク ト ・ マ ネ ー ジ ャ ー と し て の 仕 切 り 、 全体会議への出席と報告、議事録の作成を行うタスクの名称である。 (イ) 戦略調整・諸検討及び評価
本事業における戦略調整・諸検討とは、海外事業及び国内事業の 推進にあたり詰めていかなければならない事項の戦略立案・諸検討、 実現のための調整などを行うフェーズの名称で、対象とする事業ご との3つのタスクで構成されている。
また、本事業における評価とは、海外事業及び国内事業の成果を 評価するために必要な作業を行うフェーズの名称で、対象とする事 業ごとの3つのタスクで構成されている。
どちらのフェーズも、平成 20 年度はプロジェクト・マネージメ ントと各事業に、平成 21 年度は各事業に包括して実施されたが、 平成 19 年度は本事業が始まったばかりであるため重要であり、独 立のフェーズ及びタスクとして実施された。
(ウ) 平成19年度の管理費
各タスクの違いは、先に述べたとおりであり、互いに関連してい るが、重複しているわけではない。
また、「戦略調整・諸検討」及び「評価」については、どちらも、 平成 20 年度はプロジェクト・マネージメントと各事業に、平成 21 年度は各事業に包括して実施されているが、平成 19 年度は、本事 業が始まったばかりのため重要性が高く、独立のフェーズ及びタス クとして実施された。
本件事業は、4名のタスク管理者のもと、総勢40名以上ものスタ ッ フ が 企 業 や 分 野 を 超 え て 海 外 事 業 及 び 国 内 事 業 の 各 タ ス ク に 従 事する大規模プロジェクトであり、また、全く新しいビジネスモデ ルを確立しようとするものであったため、平成 19 年度及び平成 20 年度の当初においては、各種調整事項を含む管理に属するタスクの 内 容 は 複 雑 か つ 高 度 で 作 業 量 も 膨 大 と な る こ と が 想 定 さ れ て い た 。
こうしたことから、独立したタスクとしたことは、本件事業の特 性からしても妥当であり、全く違法性はないものと考えている。
平成 20 年度にあっては四半期毎の実績報告書、その他の提出資料 等に基づき行っており、不適正な支出はない。
(エ) 平成20年度の管理費
各タスクの妥当性については、先ほど述べたとおり必要不可欠な もので、その作業実施を確認して支出しており、全く適正なもので あったと考えている。
コ 請求人の主張について (ア) 覚書に基づく減額措置
請求人は、「6、本件にかかわる違法事由について」の中で、「堺 市は、ブランド事業の知見を有しない中で、全国初の事業者側の提 案に基づく支出が行われ、協働事業・負担金方式なる支出の仕組み がつくられ、19 年度で 1 億 4,392 万 2,222円、20 年で 1 億 8,599 万5千円という多額の負担金が支出された」と主張しているが、公 募提案型の協働事業負担金方式について、決して「全国初」の「異 例の仕組み」でないことは先に述べたとおりである。
また、海外で展開する事業であり、本市がネットワークや知見を 有しないからこそ、委託ではなく協働事業としたものであり、議会 の 議 決 を 経 た 予 算 額 及 び 協 定 書 に 定 め る 上 限 額 を 超 え た 負 担 金 支 出を行っているわけでもなく、本件事業の協働事業・負担金方式に 違法性がないことは明らかである。
さ ら に 、 請 求 人 は 、「 し か し な が ら 負 担 率 や 費 目 の 予 算 上 限 を 超 える場合の事業者負担などの設定は行われておらず、そのわずかな 成果に比して多額の税金が支出されることとなった」と主張してい るが、先に平成 20 年度のルート開拓で述べたとおり、請求人は事 業者が負担した金額については全く認識していない。
それらのことから、事業開始後に発生した世界同時不況や新型イ ンフルエンザの影響など、明らかに事業者側の責任ではない大きな マイナス要因が作用していた中で、常に本市と協議しながら費用負 担をしつつ本件事業を実施した事業者に対し、覚書第6条第2項∼ 6 項の「事業の実施状況が著しく低い場合、若しくは本事業の目的 の達成状況に著しく問題がある場合に減額することができる」とす る規定に基づく減額査定を行う場合には当たらず、減額査定してい ないことが違法であるとの指摘は、全く当たらないと言わざるを得 ない。
減額に努めており、平成 20 年度には、デザインビジネスパークの 検 討 終 了 と 戦 略 調 整 ・ 諸 検 討 及 び 評 価 の 各 事 業 へ の 集 約 で 、 合 計 6,400万5千円を減額している。
(イ) 地方自治法及び地方財政法違反
地方自治法第 2 条第 14 項の規定についてであるが、事業費に関 しては、見積書をもとに庁内で査定し、議会の議決を受けた予算額 に基づき、各年度の協定書で負担金支出の上限額を定め、これを超 える支出は一切行っておらず、地方自治法第 2 条第 14 項の規定に 沿っている。
また、負担金額の確定は事業の実施状況と経理関係書類を確認し て行っており、適法に処理したものと考えている。
次に、地方財政法第 2 条の規定についてであるが、本件事業は、 当 時 総 務 省 が 実 施 し て い た 地 域 再 生 ア ド バ イ ザ ー の 活 用 を 図 る な ど国の政策に準じており、ましてや国の財政若しくは他の地方公共 団体の財政に累を及ぼしたわけでもない。
さらに、地方財政法第4条第1項の規定についてであるが、見積 書をもとに庁内で査定し、議会の議決を受けた予算額に基づき、各 年度の協定書で負担金支出の上限額を定め、負担金額の確定は事業 の実施状況と経理関係書類を確認しており、この規定に違反してい ないものと考えている。
サ 請求人の求める措置について
これまで述べたとおり、本件事業に関して不適正な支出や違法性は なく、また、本市が損害を被った事実もないことから、損害回復のた めの措置及び負担金の返還請求はあり得ないものと考えている。
第3 監査の結果
地方自治法第242条第8項は、住民監査請求に基づく監査及び勧告につ いての決定は、監査委員の合議によるものとすると規定している。
監 査 委 員 西 林 克 敏 、 同 吉 川 敏 文 、 同 木 村 正 明 、 同 小 杉 茂 雄 は 、 平 成 22 年4月22日に本件監査請求を受理して以降、関係局職員から事情を聴取す るなど、監査を行い、同年5月23日まで審議を重ね、監査結果の素案(以 下「素案」という。)を作成したが、記載内容の確認、精査を必要としたこ とから、監査の結果を決定するに至らなかった。