平成29年度富山消化管撮影研究会9月定例会富山県健康増進センター
初心者講座異常像を気づくために(基礎編:隆起'性病変》
富山市医師会健康管理センター 松 原 篤 、 石 井 匡 史 はじめに
人は何かに気づいたとき、脳が活性化する といわれている。その瞬間、ひらめきは「ア ハ体験』と呼ばれ、脳科学の分野で注目され ている。茂木健一郎氏によってテレビ番組な どで紹介され、広く認知されるようになっ た。「交互に表示される微妙に異なった絵」 や「極端にコントラストを上げた画像」の違 いや正体を当てるクイズなどを、手軽にアハ
。『気づき」を起こすためには、観察、視点を変えるなど、さまざ まなスキルが求められる。
。『気づき』とは、誰かから教えられたり、指示されたりすること なしに、自分の内面から生じる感覚的な「発見』や「ひらめきL
鵜鐘鶏…躯
。気づき(受動的)
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図 1 気 づ き
体験が得られるコンテンツとして紹介してい
るが、中でも「徐々に変化していく画像」の変化した部分を当てるクイズが最も興味深い。そ の『アハ体験』が胃透視検査の異常像の気づきに通じるものがあると私は思い筆を執った。(図
1
)
検診時、透視観察の際に異常像(以下、胃形像とする)に気づき撮影することがある。撮影の基 本は如何に病変に気づき、撮影するかが我々の命題である。胃形像は二重造影法に限ったことで はなく、胃X線診断学の歴史的背景からみてもわかるように、充盈像や粘膜像あるいは圧迫法で 胃形像を観察する。吉田氏によると、胃X線二重造影法は充盈法と同じように胃の全体の形や辺 縁だけでなく胃の粘膜面を写し出すことができる。基準撮影法が導入され二重造影法を中心とし た撮影法が定着されるなか、旧撮影法より胃癌の発見率が高くなっている。本法は、手技が簡明 で胃全域の粘膜面の描出と良好の画質が得られることから、更に癌検診に一役を担うことができ るだろう。但し、良い面だけが打ち出されているが、悪い面(見逃される面)も隠れていること を知っておかなければいけない。二重造影像を
構成する基本像は溜まり像、はじき像、接線像 の3つの像である。(図)2)※'局所の異常とし てみられる胃癌は、粘膜層から粘膜下層深層に おける癌細胞とそれに伴う組織形態変化が肉 眼的な形態像として現れたものである。胃癌肉 眼分類から表在型、進行型に分けられる。表在
異常に気づくためには何が必要か?づくためには
・胃の異常所見は、基本的にはバリウムのはじき像と溜まり像 と接線像の組み合わせによって作られる像である。所見は、基本的にはバリ
・早期癌のような肉眼的な凹凸変化力軽微な病変では異常像 かどうかの認識は読影者(撮影者)によって差がみられる。
・何かおかしい、なにか変だとして認識されることが最小限の 条件である。
・異常であるかどうかの判定は撮影された画像の質によって 大きく左右される。
型は隆起型と陥凹型、進行型については腫癌型、!
周提形成を伴う潰傷型、びまん浸潤型に区分さ 図 2 気 づ く た め の 要 素
れ(図3.図4.図5)、腫痩を形成する胃病変に
は上皮 性と非上皮'性があり、非上皮 性の隆起 性病変には胃粘膜下腫傷(GISTを含む)や悪'性リ ンパ腫がある。ちなみに腫癌型は進行癌の全体の2%に過ぎない。隆起型は、病巣の大きさを始 め、形、高さ、表面'性状などが診断指標となる。
今回、時間の制約上、はじき像を中心に気づくために何が必要なのかを取り纏めました。気 づく力を磨くためには、まずは知らないことをたくさん学び自分の知見を広げることが肝要であ ろう。何事も学ぶ習'慣.学ぶ姿勢(心技体からの心構え)が身に付くと、気づく力も磨かれる。 検診時で気づいた症例を提示しますので皆様の撮影技術の一助になれれば幸いです。
1:馬場保昌、吉田諭史編「胃癌X線診断の究極」ベクトル・コア出版2016
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図3胃壁構造、胃癌の肉眼分類
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l【《・ (1IO. C1U) +Ⅱ霊 多くない
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起1W(大部分) I,Ⅱ凡0Ⅱ"+Ⅱc 多発の畑句火 少雄い(倉れ)
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早 期 が 鬼
多 発 側 が 鼻
多い。胆水(がん性脱脱炎)
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・いi)ゆる「Schnitdcrの転静」
胸 恥 燕 脈
多い(主に血行性)
・獅 形成
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・ 施 水 ( n 脈 施 m ik行性C:ノく部分)罰E・i81Icsi 】ヨ 弼年将.〃性 前座部 少ない(主にリンパ行性)
・肝門部よりび溌性に
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リンパ行燐(夢い) がん性リンパ補炎一,胸水
肝 移
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若年職女誕 休部.火縁側
図4組織別の特徴
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図5山田・福富の分類
一
午 2017/3/3
Ql.病変の部位は?
0.4 X線診断は?
1.隆起型分化型癌
2隆起型未分化型癌
3.多発I性良性漬傷
4.陥凹型分化型癌
5.陥凹型未分化型癌
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Q.5肉眼型所見は?
Q2.異常所見は?
1. O-Ha 2. O-Ec 3.Ⅲ型
4.2型進行がん 5.3型進行がん 斑
冊
樫 肌
像 蛎
緋 馴
臨 雲
損 な 中 の 整 欠 か 集 形 不 影 ず だ 円 縁 陰 わ ひ 類 辺
1 2 3 4 5
Q6.病変の部位は?
Q、3追加撮影の体位は?
1.背臥位二重造影水平位
2.右側臥位
3.腹臥位二重造影第1斜位
4.腹臥位二重造影第2斜位
5.立位充満像
蕊 2017/3/3
Q.10肉眼型所見は?
Q7.異常所見は?
1. O-IIa 2. o-Hc 3.Ⅲ型
4 . 2 型 進 行 が ん 5.3型進行がん 斑
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1 2 3 4 5
a n 深 達 度 診 断 は ?
Q8.背景粘膜は?
E S S m
一
一
M 訓
訓 岬
船
1 2 3 4 5
域
域
域
領
膜
域
領
領
腺
粘
領
腺
腺
底
縮
界
門
門
胃
萎
境
幽
噴
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