マクロ経済学 I 第 15 講 講義ノート 1/ 2
15 金融市場の理解:信用創造
15.0 今回のアウトライン
A. 現金通貨が通貨や準通貨とどうして大きな差があるかを理解する B. 通貨乗数の計算ができるようになる
15.1 銀行と貨幣、通貨
A. 貨幣は中央銀行から出て、銀行を軸に流通する → (1) になる
1. 「銀行の銀行」の日本銀行から銀行を経由して市民は貨幣 (現金通貨) を受取 B. 銀行の 3 業務:預金 (受信)、貸付 (与信)、受送金する為替 (決済)
C. 銀行は預金から日銀への準備預金を引いた残りを貸付に使う
1. 銀行は市民の貨幣を預かって貸す:貸し借りは繰り返しで通貨は膨らむ
15.2 通貨乗数
A. 日本銀行から出た貨幣が市場でどの程度の通貨量になっているか
1. 貨幣 (現金通貨) について、貨幣を C と日銀にある準備預金を R の和をマネ タリーベース (ハイパワードマネー)H という
H = C + R (15.1)
2. 市場で流通する貨幣供給量 (Ms、通貨供給量:総通貨量のこと) は貨幣 C と 預金総額 D の和であり、マネーストック (マネーサプライ) ともいう
Ms =C + D (15.2)
3. マネタリーベースの何倍、貨幣供給量があるかを計算すると指標になる Ms
H =
C + D
C + R (15.3)
B. (15.3)式の比の指標Ms H を
(2) (信用乗数) という
Ver. 2.3 Masumi Kawade, 2017
マクロ経済学 I 第 15 講 講義ノート 2/ 2
C. 通貨乗数の分子と分母を D で割る事で (15.3) 式を別表現の準備ができる Ms
H =
C + D C + R =
C/D + 1 C/
D + R/D
(15.4)
D. C/Dを預金に対する現金比率 (現金比率)、R/Dを預金に占める準備預金比率 (準 備率) とすると、(15.3) 式と同じ通貨乗数でありながら別表現できる
Ms
H =
C/D + 1 C/
D+ R/D
(15.5)
= 現金比率 + 1
現金比率 + 準備率 (15.6)
1. 現金比率は預金に対する警戒度、準備率は中央銀行の銀行に対する警戒度で、 警戒度が低いほど両者の値が低い ⇒ 通貨乗数は上昇する
2. どちらの率が低くても通貨乗数は上昇し、高くなると低下する E. 信用に基づいて貨幣が発行量よりも多く流通することを(3)
15.3 練習問題
A. 家計の保有する現金が 80 兆円、企業や家計が保有する預金が 800 兆円、銀行 の準備預金が 8 兆円であった、次の問いに答えなさい
1. 貨幣供給量、マネタリーベースを求めて、通貨乗数を求めなさい
2. 預金に対する現金比率、預金に対する準備預金比率を求めて、通貨乗数を求 めなさい
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