研修会に参加して
レファレンスサービス基礎研修に参加して
西 村 珠 江
平成28 年6月2日、千葉県総合教育センタ ーにて、平成 28年度レファレンス研修会が開 催された。講師は県立中央図書館の上席司書、 大森明香氏と、同じく県立中央図書館の司書、 根本進太郎氏だ。両氏の講義と事前に出された 演習問題でこの研修は構成されている。
レファレンスサービスについては在学中にも 学んだが、実際の現場に立つと当然座学や演習 の通りにはいかず、気づけば基本がおろそかに なっていた。その為、学び直しの機会として今 回のレファレンスサービス基礎研修は、自分に とって非常に有意義なものだった。
図書館の利用者から受けて来たレファレンス と自分の回答を振り返りながら、研修会で学ん だ事に加え、参加して感じた事や改めて考えた 事を述べていく。
●「レファレンスサービス」とは
初めの講義は、大森氏の「レファレンスサー ビス実践の基礎」である。この講義はまず、図 書館におけるレファレンスサービスの定義と、 レファレンスサービスの根拠から始まった。
レファレンスサービスとは、情報、あるいは 資料を求めている図書館利用者に対して、図書 館員がその必要とする情報を効率よく入手出来 るように仲介し、援助するサービスである。
また、関連するものとして「参考事務規程」 も紹介された。この規程では、図書館に質問・ 相談に来た利用者に対し、図書館の資料と機能 を活用して援助を行う「回答事務」と、質問が 予想される主題にあらかじめ必要な資料を整 備・作成する「参考資料の整備」が参考事務と
して定められている。
非常に個人的なことだが、この参考事務の解 説を聴いた時、納得すると同時に自分にはこの 視点がほぼ欠けていたことに気づきショックを 受けた。レファレンスを受けている時だけに意 識が向いて、定期的な選書の際にレファレンス サービスを意識する視点が欠けていることを気 付かされた。
●レファレンス全体の流れ
大森氏は続けて、実際のレファレンスサービ スについて講義を行った。その内容と、利用者 へのレファレンスインタビューについてである。 また質問・調査の流れだけでなく、記録や、質 問に備える為のツールの作成、サービスの測 定・評価についても話された。
レファレンスサービスは、実際に利用者から 質問を受け、調査回答する直接サービスと、レ ファレンス・コレクションの構築、自家製ツー ルの二次資料の作成、記録・評価等が含まれる 間接サービスに分けられる。
直接サービスは、質問受付・調査・回答に分 けられる。この中で質問受付に関しては、後述 のレファレンスインタビューに詳しく、そして 大森氏の講義の中で重点を置かれていた調査の 段階だが、これは質問の分析・探索戦略の決定 と、探索の実行を繰り返し、フィードバックし ていくことによってより質問者の求める回答に 近づけてゆく工程である。まず受けた質問を分 析し、質問種別を判じる。所蔵調査、資料調査、 事実調査、また、自館よりも該当の資料が豊富 な他館を紹介するか等の判断だ。それを踏まえ
た上で調査を行って行くが、この時基本とする のが、
・「参考書から一般書へ」
・「一般主題から専門主題へ」
という、資料と主題の専門性の流れである。 またこれをスムーズに行う為にも、レファレン スカウンターに座る時、手元には基本件名表目 標を備えておくと良いとの事だった。この基本 件名標目表で探索する資料の方針を立て、探し 出した資料を様々な角度から吟味し、できるだ け複数の信頼のおける情報源にあたり、裏をと る。
この時気をつけなければならない点として大 森氏が挙げられていた注意点の1つに「質問の ジャンルが自分の詳しい知識のジャンルである 時こそ注意するべきである」というものがあっ た。調査や質問の洗い出し、探し出した資料の 評価に不必要なフィルターがかかり、回答や質 問者の質問内容に対して誘導が働いてしまう恐 れがあるのだという。
この注意点は、自分にとって非常に耳の痛い ものであった。質問を受けた際、そのジャンル に対する自分が持っている知識量によって、資 料捜索の工程に違いが出ることがある。ジャン ルによる知識量は探索の短縮にはなるかも知れ ないが、そこに不必要なフィルターや誘導が発 生する可能性を常に心にとめておかなければな らないだろう。
その他、解答の制限についても改めて確認し、 意識しなくてはならないと感じた。数多ある質 問の中でも、解答を与えてはならない、また、 資料を提供する際も慎重でなければならない質 問がある。医療や法律についての専門的な相談、 身上相談、将来の予想にあたる問題がそれにあ たる。また、解答を与えてはならない質問とし て、児童の学校の宿題や、懸賞問題が挙げられ た。
こうして見ると、相談を受けた際に答えそう もない分類の質問が多いが、質問者の質問の仕 方によってはそれと気づかず解答をしてしまっ
ているかもしれない、と思い当たることがいく つかあったからである。
●利用者に対して
レファレンスの内容に続けて、大森氏は利用 者対応(レファレンスインタビュー)について も時間を多く割いて話をされた。
レファレンスインタビューにおける前提と姿 勢としては、
・「組織として応える」
・「個人的な知識で“答え”を提示するのでは なく、資料や情報源を提供する」
・「個人情報やプライバシーに注意する」 この3点が挙げられた。
2つ目については、前述した個人的な知識に よる不必要なフィルターと関連してくるだろう。 また3つ目の個人情報についてだが、相談者か ら聴き取る質問は必然的に、利用者が借りる本 の情報よりも具体的に、そして直接相談者のプ ライバシーや思想を表すものでもある。これら を踏まえての1つ目の「組織として応える」と いう注意点が存在し、そして重きを置かれるも のではないかと感じた。
また受付時のポイントとして、利用者の時間 が許されるのであれば一緒に調べる事、一緒に 調べられない時は、必要な事項を出来る限り聴 き取らなければならない事が挙げられた。単純 なレファレンスであっても、そのまま別の職員 や協力レファレンスに引き継ぐことになった場 合でも、支障がない聴き取りを心がける事が必 要となるだろう。
この聴き取りの際のポイントとして、以下の
“5W1H”が挙げられた。
―――――――――――――――――――――
1.What:内容の確認・吟味・明確化 2.Where:質問のきっかけ(典拠) 3.Who:誰に(水準)
4.When:いつまでに
5.How:どのくらい(分量・範囲・利用方法)
―――――――――――――――――――――
この中で内容の確認・明確化であるWhatが 最も重要であるだろう。
●自分の失敗と照らし合わせて
この5W1Hの中で、個人的に不十分な聴き 取りをしてしまった心当たりがある項目として、 Where(質問のきっかけ)がある。
自分は以前、貝の飼い方を知りたい、という 質問をされた親子連れの利用者の対応をした。 巻貝との事だったので、磯に棲む生物について の児童書を提供した。
そして提供する間際、世間話程度のつもりで 何処で貝を捕まえたのかと尋ねたところ、近所 の公園の池で見つけたとの回答があった。海水 棲ではなく、淡水棲の貝だったのである。自分 は慌てて資料を探し直すことを申し出たが、相 談者親子は時間がないとのことでそのまま帰ら れた。
不十分な聴き取りの結果、誤った資料を提供 したまま調査が終了してしまったこの体験は、 自分の記憶と心に非常に大きく残っている。
「レファレンスサービス実践の基礎」の講義 を聴き、全体を通してこの様なことがもう無い ように、基本をしっかりと踏まえてレファレン スに臨まねばならないと意識を新たにした。
●インターネットを活用した調査
「レファレンスサービス実践の基礎」に続き 後半の講義は、根本氏による「インターネット を活用した調べ方」である。
相談を受け付けた時、インターネットで探索
を行う場面は少なくない。手軽に多くの情報源 にあたる事が可能だからである。
しかしその反面、調査ツールや検索するキー ワード等を誤ると非常に多くのノイズが混ざり 逆に探索の妨げとなる場合も多い。
また、ネット上には存在するものの通常の検 索エンジンでは発見出来ないウェブページであ る場合や、ネット上に存在しないだけで紙媒体 の資料には存在する情報も多々ある。
この講義は、上記の様なインターネット探索 の課題に対する手段と、「所蔵調査」「資料調査」
「事実調査」の3つの調査種類に則した調査ツ ールやその活用法について話が進められる。
根本氏は始めに、検索の結果が膨大ですべて の情報に対して評価が出来ず情報のノイズを減 らす為の、「完全一致検索」「サイト内検索」「ペ ージ内検索」の3つの検索オプションを解説さ れた。
逆に、検索結果がない、要求に対して有力な 情報が見当たらない場合もある。
目的の情報がネットで検索をして見つからな い時、その目的の情報は“ネット上に”ないだ けという可能性が存在している。印刷資料にし かない情報や、印刷資料の方が効率的に調べら れる情報は依然として多い。
また、ネット上に目的の情報は存在するが、 通常の検索エンジンでは発見できない情報の可 能性もある。検索エンジンでは、「ロボット」が 収集出来る表層ウェブしか探すことが出来ない。
著作権の都合上収集を拒否しているページや Java スクリプト等の使用による技術的な都合 からリンクを辿れず収集できないページ、また、 常時ネット上に存在せず、ユーザーが指令を出 すごとに生成される固定のURLを持たないペ ージは深層ウェブと呼ばれ、通常の検索エンジ ンによる検索ではヒットしない。これにはオン ラインデータベースが該当し、深層ウェブの一 種とされる。
つまり探索において必要な情報が深層ウェブ
にある可能性は高く、探索をスムーズに進める には、質問の種類やジャンルに応じた様々なデ ータベースや検索エンジンを知ることが肝心な のだ。
●図書の所蔵調査
上記を踏まえた上で、インターネットを利用 しての所蔵調査はどの様に行えばよいだろうか。
先ず、原則としてキーワードが適当であるか どうかを見分けなければならない。
悪いキーワードに該当するのは、それだけで は検索対象となる情報が多すぎて絞り込みづら いキーワードである。この場合、著者名や出版 社名といった他の書誌情報と組み合わせての検 索が必要となる。
また対象が絞り込み易い、良いキーワードで あれば、検索項目やキーワードを少なくして、 広い範囲を対象に検索を行う。
この様な探索するキーワードの決定をしてか ら先ずは自館を調査する。キーワードが正しい 場合、自館で発見出来なければ他館の所蔵をあ たる事になる。最も身近なものは千葉県の図書 館を対象とした千葉県内図書館横断検索だが、 他にも全国の公共図書館の所蔵を調べる国立国 会図書館サーチ、所蔵地域に対しての目星があ るならば、カーリル・ローカルといったツール がある。また、著作権の保護期間が満了し、絶 版等で入手不可の資料の種類である場合は国立 国会図書館のデジタルコレクションでも資料の 探索が可能だ。公共図書館ではなく大学図書館 を対象とする場合は、CiNii Booksが役立つだ ろう。
選択したキーワード(書誌情報)が書名では なく他の項目や一記事のタイトルであった為に 発見できない場合もあるが、検索対象とされる 目次が充実しているデータベースを選択して、 検索範囲を広くする事で記事が掲載されている 本を発見出来る可能性が上がる。この場合、上 記でも挙げられた国立国会図書館サーチや、
「BOOK PAGE 本の年鑑」のウェブ版である
Webcat Plusの一致検索等が利用しやすい。
●間違った書誌情報から正しい書誌情報へ ここまで検索をする書誌情報が正しい前提で 話が進んで来たが、所蔵調査の依頼の中には利 用者の示してきた書誌情報が間違っているパタ ーンのレファレンスも多くある。初めに示され た書名に含まれる表記ゆれや、覚え違いなどが 原因であることが多い。
そう言った時は、文字の変換をせずに検索を 行ってみるか、単語単位に分解してAND検索 をすると、当て嵌まる資料が出て来る可能性が 高まる。また、それでも出て来ない場合は検索 エンジンにキーワードをかけてみると、類似し た単語もピックアップされる為発見の可能性が 上がる。
また根本氏は、書誌情報の正誤に関わらず注 意する点も挙げられた。版表示や巻号は検索結 果の一覧から選ぶものであり、検索窓には入力 しない。副題やシリーズ名は大量に出てきてし まう可能性がある為、中心的な書名とは分けて AND 検索にかける方が良い。外国人名の検索 は、原綴りが分かったらそれで再検索をかけた 方が良い。といった点である。
●新聞・雑誌記事の所蔵調査
レファレンスインタビューの間、または書誌 情報を確認する内に、対象が雑誌記事や新聞記 事、論文と判明する場合もある。この時、先ず どの雑誌等に目的の記事が掲載されているのか を調査する必要がある。学術誌や専門誌であれ ば、網羅的に検索が出来る国立国会図書館の雑 誌記事索引、日本の論文を検索できる CiNii Articles、研究機関が作成した資料を電子媒体 として公開した学術機関リポジトリを検索対象 とする Jairo、国内の学会が発行した電子ジャ ーナルを検索対象とするJ-Stageといった検索 ツールがある。Jairo に関しては、論文だけで なく、大学の講義で使用されたレジュメ等の資 料もあるので事項調査にも利用出来るだろう。
しかし、学術機関リポジトリとして公開されて いる論文は本格的に学術誌に掲載されたものと は僅かに違う可能性もある為、そこは留意した 方が良いだろう。
学術的な記事ではなく、一般紙や大衆紙の記 事 の 場 合 、 雑 誌 の オ ン ラ イ ン 書 店 で あ る Fujisan.co.jpが記事のタイトル情報を充実させ ている。東京都立図書館の蔵書検索では、検索 項目の「内容・目次」の欄に入力して検索を行 うと詳細な記事の検索が可能である。
記事の内容を絞った資料の検索ツールもある。 千葉県立図書館が作成した千葉県関係資料検索
「菜の花ライブラリー」内の千葉県関係新聞記 事・雑誌記事索引や、千葉県歴史関係雑誌記事 索引が一例だ。
蛇足になるが、独自に確認したところ、他県 にも類似の郷土関係資料の検索ツールを作成し ている県立図書館があった。特定の地域の記事 について尋ねられた際には活用していきたい。 こうしてどの資料に目的の記事や項目がある のかを確認してから、改めて自館・他館での所 蔵調査を行うのが雑誌や新聞記事の所蔵調査と なる。千葉県立図書館の新聞・雑誌総合目録検 索で県内の所蔵状況を一括で検索出来る他、国 立国会図書館蔵書検索(NDL-OPAC)で資料 種別を雑誌や新聞と指定すれば絞り込んでの所 蔵調査が可能だ。大学図書館ならば、前に述べ たCiNii Booksで雑誌を指定しての検索にすれ ば、どの図書館が当該雑誌のどの号を所蔵して いるか、また現在も継続して購入しているのか という点まで分かるようになっている。
●インターネットを活用した資料調査
根本氏は所蔵調査に引き続き、インターネッ トを利用しての資料調査の探索はどう行うかに ついての話を進められた。
ここでの資料調査は「あるテーマについて書 かれた本を探す場合」と「ある情報が載ってい る資料を探す場合」に分けられる。
前者の「あるテーマについて書かれた本を探
す場合」では、検索の足掛かりが3つ紹介され た。先ず、日本十進分類法の相関索引を参考に、 キーワードに対応する分類記号を確認し書架を 探索する方法。次に、書名検索や全項目検索で 目星をつけた資料から検索をするキーワードを 採用して再検索をする方法。最後に、目的のキ ーワードの上位の概念や件名をキーワードとし て検索を行う方法である。
2つ目の適当な資料からキーワードを採用す る方法では、以下のような採用するキーワード のポイントが挙げられた。
―――――――――――――――――――――
【件 名】その本の中心的なテーマとして決 められた言葉が充てられたもの。(統制語)人名 も当てはまる。
【分類記号】その資料がどの様な切り口や方面 から書かれているのかを表す。
【著 者 名】その分野を研究している著者であ れば、似た内容の著作を期待出来る為。
【参考文献】その本を執筆するにあたって参 考・引用された情報源である資料。
―――――――――――――――――――――
しかし、この様に分類や資料から情報を手繰 っていっても目的の資料が発見出来ないことも ある。その場合、別の切り口からの探索方法と して存在するのが3つめの、目的のキーワード の上位の概念や件名をキーワードとする方法で ある。目的の情報のテーマを内包する、範囲の 広い概念や件名を検索してヒットした資料の目 次や索引を調べていけば、当初のテーマに関す る記述が存在する可能性があるのだ。
この探索方法を行う時、自力で上位の件名が 発想出来れば良いが、あまり明るくないジャン ルの場合は難航する可能性がある。スムーズに 上位の概念や件名が発見できるように、基本件 名標目表やシソーラスがすぐアクセス出来る場 所にあると良いのではないかと感じた。
また、「ある情報が載っている資料を探す場 合」の資料調査の場合は、所蔵調査と同じ要領 で、目次情報の充実した中身の予測がつきやす
いデータベースを利用する方法と、資料の本文 を対象に検索する方法がある。
前者の場合は前述の国立国会図書館サーチや Webcat Plusの記述に詳しい。後者の場合は、 書誌情報や関連部分のページ数とその抜粋が表 示される Googleブックスや、なか見検索で本 文中の検索が可能な Amazon なか見検索等が 利用出来るだろう。
●インターネットを活用した事実調査
最後に事実調査である。根本氏は一般的な事 柄、統計、法令、古文書、「ある事柄についての 調べ方」についての調べ方、という5つの項目 に分けて、インターネット上で活用できるペー ジの紹介とその概要を説明された。
先ず「一般的な事柄」については、インター ネット上で公開されている辞書を活用する。コ トバンクと Weblio辞書が例として挙げられた が、コトバンクの様に責任表示のあるものが好 ましいとされた。Weblio辞書は様々なインター ネット上の辞書を一括で検索出来るが、中には 信用度の低いもの、またそのまま信じるのには 危険が伴うWikipediaも含まれているため、注 意が必要である。
統計についての事実調査では、総務省の統計 局 ホ ー ム ペ ー ジ と 、 政 府 統 計 の 総 合 窓 口
(e-Stat)が信頼度が高く様々なジャンルの統 計データへアクセス出来るものとして紹介され た。前述のサイト内検索や、ページ内検索等を 活用すれば、膨大なデータの中から目的とする データを発見しやすくなるだろう。
3つ目の法令の調査ツールとして、先ず官報 を対象とした、国立印刷局が公開しているイン ターネット版官報が挙げられる。これは平成15 年7月以降の官報を収録しているが、有料版と して官報情報検索サービスが存在し、こちらは 昭和22年5月以降の官報が収録されている。
また、現行法令を調べたい場合には、総務省 が公開している法令データ提供サービスが有効 である。検索語から法令を探すことも、法令の
名称から検索し条文を閲覧することも可能とな っている。
最高裁判所が公開している裁判例情報は、判 例を調査する時に有効である。判決文だけでは なく、判例の出た裁判所や裁判年月日からも検 索可能だ。判決の要旨と本文、登載されている 判例集の巻号などを閲覧出来る。要旨が閲覧出 来る為、内容の理解もし易い。また、第一法規 が有料でサービスを提供しているD1_Lawは、 裁判例情報よりも豊富な判例を収録している。
法令について調査出来る上記のツールの中で、 有料である官報情報検索サービスと D1_Law は県立図書館が導入している為、レファレンス 依頼を出す必要になった際の参考としたい。
古文書について調査出来るデータベースは、 書名から引くことが出来る日本古典籍総合目録 データベースがある。国文学研究資料館が公開 しているこのデータベースは、江戸末期までに 成立した書物の書誌情報を集積したもので、古 文書がどこに所蔵されているか、またその復刻 版等が存在するかどうかが分かるようになって いる。
最後に、「ある事柄についての調べ方」を調べ るツールだが、これはパスファインダーと呼ば れる。国立国会図書館が公開しているリサー チ・ナビの中にある「調べ方案内」のページで は、特定のテーマの調査に役立つ資料とその特 徴や使い方が紹介されている。調べ方一般から、 様々なジャンルの項目の調べ方まで幅広く取り 扱っている。
また、同リサーチ・ナビ内のレファレンス協 同データベース(以下レファ協)では、全国の 図書館が対応した事例を登録、蓄積してデータ ベース化していくことによって、他の図書館で 類似の質問や調査の依頼が来た際にヒントを得 ることが出来るようになっている。このレファ 協の中では、おすすめデータやレファ協内での アクセスランキングによる事例紹介、企画協力 員が選んだ、調査内容が模範的な事例の紹介が あり、図書館員のスキルアップにも役立つだろ
う。テーマ別一覧では、地震・災害関連情報や 著作権関係事例、夏休み定番事例一覧といった、 汎用性の高い事例をまとめて紹介しているペー ジもあり、有用性が高い。
●演習問題とまとめ
大森氏と根本氏の講義の後は、事前に出され た演習問題をグループ発表する時間である。
両氏の講義を聴いてから改めて調べる時間を 与えられたが、自分の調査の甘さが浮き彫りに なったようだった。問題によっては、ヒントと して出された参考図書の見方が誤っている問題 や、複数の情報源にあたらないまま解答してい たものがあった。
回答発表の際も、緊張もあっただろうが得た 情報を上手くまとめて伝えきれず、後から不十 分だったのではないかと感じる回答内容になっ てしまった。
この演習問題も含め、今回のレファレンス基 礎研修は、総じて自分の勉強不足と利用者対応 の未熟さを痛感するものであったと感じている。
特に大森氏、根本氏が揃って言われていた、 日頃のレファレンスに対する準備が大切である、 という意識が甘かった。自館が即座に利用出来 るレファレンスツールとして何が何処にあるの かというチェックと、過去の事例に習う為の事 例の蓄積と評価、どちらも中途半端な状態で質 問に対応してしまっていたように思う。
また、5W1Hを意識せず、レファレンスイ ンタビューがしっかり出来ていないまま調査し て、二度手間になる事態を幾度も招いていた。 このレファレンス基礎研修を受けてからは、 自館の参考資料を意識してチェックするように なり、以前に比べて少しだが落ち着いてレファ レンスインタビューや回答が出来るようになっ て来た。また、インターネット上での調査で利 用出来るページで未だブックマークをしていな いページを確認し、自館の受け付けるレファレ ンス傾向と照らし合わせてブックマークに追加 していくようにしている。
まだまだ未熟だとは思うが、改善の糸口が今 回の研修で掴めたように思う。この基礎を忘れ ず、より良い回答が提供出来るように励んで行 きたい。
(富里市立図書館 主事)
平成28年度児童サービス基礎研修会
伊 藤 陽 子
新任の職員を対象に行われる、児童サービス 基礎研修会に6月~10 月の間、全5回に渡り参 加させていただきました。
● 第1回 児童奉仕論
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そもそも児童サービスとは何なのか、その目 的や従事にあたり必要な事とは?という講義に ついて実体験を交えつつお話をしていただきま した。
その中で、必要なことの1つとして「一般的 な子どもの発達段階を大まかに知る」というこ とは、とても重要だと感じました。
その子の年齢を知ることで、どこまで話の内 容が伝わるのか、保護者または本人にどんな本 をオススメすることができるのか、普段あまり 意識することのない発達段階という基準から、 よりよいサービスへとつなげることができるの だと思いました。
後半はグループ討議・情報交換となり、図書 館の利用者減少や定着化、子どもへの注意をど こまでしてよいのか、選書する上での知識不足 について等、悩みは概ね同じで、その中で各図 書館での取り組みを話し合い、有意義な時間と なりました。
● 第2回 絵本・物語の選書
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第1回でも触れていた選書について、より詳 しく講義していただきました。
まず、一般書と児童書の選書基準の違い、内
容はもちろん製本状態まで確認するのが良いと いう指摘は、とても参考になりました。
また「児童図書館の蔵書の三層構造」の考え 方は、基本をしっかりと固めた上で最新作など の本から子どもを読書の入口へと導いていく、 といった頭では漠然と理解しているつもりにな っていた部分を明確にすることができました。
次に資料購入予算の内訳の目安として、40
%は新刊、60%は買い替えや複本に使用すると いった児童書ならではの基準も知ることがで きました。
では、実際にどのように購入する本を見極め れば良いのかということについては、「満 25 歳 以上の絵本を読んでいくことで自然と身につい ていく、そして長く読み継がれてきた絵本は、 より多くの子どもたちから愛され、また次の世 代の子どもたちからも変わらぬ愛着をもって読 まれる絵本なのだ」と教えていただきました。
●第3回 おはなし会の運営
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前半は絵本の読み聞かせの実習とおはなし会 を運営するための注意点やアドバイスについて でした。おはなし会にはどのような本が向いて いるのかから始まり、絵本の読み方、プログラ ムの考え方をわかりやすく解説していただきま した。
後半はノンフィクションの選書についてで、 ノンフィクションの特徴と、どの様なポイント を押さえれば良いのか等、事実を基にしている 分より細かなチェックが必要でした。
また、レビュースリップの作成ということで、 あらかじめ指定の本を全員が持参し、個人でチ ェック項目ごとに点数をつけ、その点数をつけ た理由や、本に対する感想等をグループで話し 合いました。グループごとの発表もそれぞれと らえ方が異なり、同じ本でも様々な意見がでる のだと改めて感じることができました。
● 第4回 レファレンスサービス
――――――――――――――――――――
今回もグループでの討議ということで、事前 に作成した回答を用い、その手順や使用した資 料について話し合いました。
使用した資料は、同じ本の場合もあれば私が 思いつかない所から答えを導いていたりと、自 分とは違う考え方は新たな視点を発見すること ができるので、とても参考になります。
また、回答の中でレファレンス協会に掲載さ れていた情報を使用する等、それまでの知識の 積み重ねが、また次からへ次へと繋がっていく ような気持ちでした。
● 第5回 講演「子どもにとって良い伝記と は」
――――――――――――――――――――― 研修の締め括りは、講師に田島多惠子氏をお 招きしての講演でした。
私は今まで伝記というと、子どもの頃に読ん だ漫画の伝記程度で、きちんとした形の伝記は ほとんど読んだことがありませんでした。
そんな中、課題の1つとしてレイチェル・カ ーソンの伝記があり、初めて彼女について意識 し本を読みました。そこにはなぜ『沈黙の春』 が生まれたのか、彼女の人生についてわかりや すい文体で書かれており、内容もとても面白い ものでした。
田島先生には、ご自身の図書館での体験や、 オススメの伝記、また読書の記録として使用し ている伝記のレビューシートをみせていただき ました。レビューシートには本の形態・作者・
本の要約・評価と、A4の用紙にびっしりと情 報が書き込まれており、もっとたくさんのレビ ューを読んでみたいと思うばかりでした。
評価のポイントとして、1人の人物について 複数冊読み比べること、新しい子ども向けの伝 記を評価する際は、まず大人向けの伝記から読 んでみることがあげられていました。
● 研 修 を 終 えて
――――――――――――――――――――
全体を振り返り、私は今回の研修で特に印象 に残っている点が2点あります。
やはり、まずは本を読むこと。たくさん読ん で自分の中に基本をしっかりともつこと。
次に、子ども1人ひとりとしっかり向き合い 対話し、その子が何を求めているのか少しでも 多くの情報を引き出し、よりよいサービスの向 上に努めること。
今回講師をしていただいた方々はもちろん、 一緒に研修に参加した皆さんの熱意にとても刺 激を受けました。この機会を無駄にすることの ないよう、学んだことを今後に少しずつでも生 かしていければと思います。貴重な時間をあり がとうございました。
(横芝光町立図書館・主事)