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Academic year: 2018

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世界が変わり、研究が変わり、アジ研も変わる ( 巻

頭エッセイ)

著者

平野 克己

権利

Copyr i ght s 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / I ns t i t ut e of D

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雑誌名

アジ研ワールド・トレンド

269

ページ

1- 1

発行年

2018- 03

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

(2)

今号をもって『アジ研ワールド・トレンド』は 幕を閉じる。政策評価・独立行政法人評価委員会 勧告(平成27年1月9日)においてアジア経済研究 所は、ジェトロ本部とは別に、国立研究開発法人 に準じて目標と評価軸を設定することになった。 国立研究開発法人規定が適用される機関のなかで 社会科学を専門とするのは当所だけだ。我々は未 開の道を単独行している。

国立研究開発法人の要諦は研究成果の最大化で あり、速やかな発信だ。それを、限られた経営資 源のなかで実現しなければならない。その方針に 沿ってアジ研は発信媒体改革を進めている。その 一環として本誌を閉じることになった。

現実世界の動きは速い。それを捕捉して軌道を 計算し、意味付けを行うのが研究だが、その作業 の難しさや忙しさも増大し、ときに研究者各個人 の能力限界を問うてくる。多様な情報を拾いまく り、幅広い学識でそれらを処理し続ける気力と知 性が要求されるが、それにはインセンティブと競 争が必要だ。人材が大学に流出していくのは仕方 ないとして、逆に、実績のある研究者を所外から 招聘する高度人材採用は我々にも許されている。 各自の努力が報われるインセンティブの多くは 研究所の外にある。日本の対外投資額や海外進出 企業数は前世紀末に比べ倍増したから、開発途上 国地域に対する一般的な関心レベルもあがった。 情報需要が増え、研究者がマスコミに登場する機 会も増えた。学界以外でも活躍の場が与えられる

プロフィール

ひらの かつみ/独立行政法人日本貿易振興機構理事 アジア経済研究所地域研究センター長等を経て現職。

主な著作に『経済大陸アフリカ』中公新書、2013年、『アフリカ問題:開発と援助の世界史』日本評論社、2009年など。

ようになっている。密度濃く世界と向き合うとい う点ではアジ研のほうが大学よりも有利だ。職場 の壁を取り払い、活躍の場を拡張してオープンな アジ研を実現することが、世界の動きについてい ける足腰の強い研究力を培ってくれると期待して いる。

社会科学とは本来、認識の科学だ。地域研究的 に言い直せば、日本人の通念では理解が届かない 他者社会の有り様と動きを、腑に落ちるように説 明する知的喜びである。認識科学であるから現実 には遅行する。ケインズ経済学が登場する前にナ チスドイツの公共投資政策があったし、極東アジ アの急成長が顕著になってから数年後に輸出志向 型工業化政策はモデル化された。現実界の錯綜し た雑多な動きのなかに新しい筋道を発見すること こそ、醍醐味だともいえる。しかし、学界には学 界なりのイナーティアが存在するから、そのなか に生息する研究者は既存の枠組みに固執しがちだ。 問題意識を現実世界におかず学界空間においてし まうのである。学界内で業績を重ねることは大切 だが、それだけだと思考が内向し、いつのまにか 時代に取り残されてしまう。社会科学の難しいと ころだ。

人間の想像力を超えて変転する現実世界は研究 課題に溢れている。その動きから外れない一つの 方法は常に政策を意識することであろう。これに も訓練がいるが、政策をみている人は現実に対す る感性が鋭くなる。アジ研の最終課題はここにある。

アジ研ワールド・トレンド 2018 3・4

エッセイ

巻頭

世界が変わり、

研究が変わり、

アジ研も変わる

平野克己

1

参照

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