入門物理学 A
練習問題 4 月 20 日 ( 単位と有効数字 ) 解答例・解説
1. 以下の単位換算を行いなさい。
(a) 20 cm = ? km (b) 5 m2 = ? cm2
(a) c は 10−2, k は 103 を表す接頭語であるので、20 × 10
−2
m=? × 103 m が成り立つ。 したがって、103 で両辺を割る(10
−3
をかけると)、20 × 10
−2
× 10−3 =? となる。従って、
? = 20 × 10−5 となる。
(b) 1 m2 = (100 cm)2 = 1002 cm2 = 10000 cm2 である。したがって、5 m2= 50000 cm2 。
(解説) 指数法則 10a+b = 10a× 10b, 10−a = 101a に慣れましょう。この手の計算は、大 きな数字の計算の基本になります。万有引力の回でも出現しますので、是非できるように しておきましょう。 (b) は 1 m2=(100 cm)2 のブロックが 5 個あると考えます。(a) は 2 × 10−4, (b) は 5 × 104 と指数表示で書いてももちろんOK です。
2. 1年間は何秒間か計算し、指数表示で表しなさい。大雑把な予想と計算の結果を比較 しなさい。1 年はここでは 365.25 日とする。
1 年 = 365.25 日 =365.25 × 24 時間 = 365.25 × 24 × 60 分 = 365.25 × 24 × 60 × 60 秒
=31557600 秒 = 3.1557600 ×107 秒
(解説) これは、電卓を使っても良いので、落ち着いて 1 日 = 24 時間 · · · などを使って いけば良いです。指数表示に直す際は、一番最初の位を除いて、1 の位まで何桁あるかを 数えると、そのまま指数が出てきます。また、電卓が使えない場合は
1 年 ∼ 400 日 ∼ 400 × 20 時間 ∼ 400 × 20 時間 × 4000 秒 =32000000 秒
程度の大雑把な計算でも見積もりができます(∼ は be similar to で大体等しいの意味で す。有効数字 1 桁で大雑把な見積もりをすると、計算ミス防止に役立ちます)。
3. 有効数字を考慮して次の計算を行いなさい。
(a) 25.7+10.06 (b) 25.7 × 10.03 (c) 25.7/10.03 (d) 123.45 − 123.43
(a) 25.7 が 1/10 の位までしかないので、1/100 の位まで計算して四捨五入する。すなわ ち、25.7 + 10.06 = 35.7̸6 = 35.8
(b) (c) 掛け算、割り算の場合は、有効数字の桁数が少ない方に計算結果を合わせる。今の場 合、25.7 が有効数字 3 桁、10.03 が有効数字 4 桁なので、4 桁目まで計算して、4 桁目を四 捨五入し、結果は3 桁とする。すなわち、25.7 × 10.03 = 257.̸ 7 · · · = 258, 25.7/10.03 = 2.56̸2 · · · = 2.56 となる。
(d) 普通に計算を行う。123.45 − 123.43 = 0.02
(解説) 有効数字を考慮した計算では、少し不確実な桁の 1 桁先まで計算し、計算した一番 小さな位を四捨五入して結果を出す のが原則である。(d) は有効数字 5 桁同士の引き算 であるが、答えは有効数字 1 桁になっている。このように値の近い数同士を引き算する と、有効数字の桁数が減少することを、桁落ち といい、実験誤差の計算でよく現れる。コ ンピュータを用いた計算では注意する必要がある計算とされる。
4. 1 光年は何 m か計算しなさい。光の速度は 299792458 m/s = 2.99792458 × 108 m/s で ある。
1 光年は 1 ユリウス年 (= 365.25 日) の間に光が進む距離と決められている。従って、 2. の結果と (距離)=(速度) × (時間) を用い、
(2.99792458 × 108 m/s) × (3.1557600 × 107 s)
= (2.99792458 × 3.1557600) × 107+8 m
= 9.460730473580800 × 1015 m
となる。
練習問題 4 月 27 日 ( 速度・加速度 ) 解答例・解説
1. 時刻 t = 2 s に位置 x = 5 m にいた物体が、速度 v = −3 m/s で移動する。 t = 5 s には物体はどこにいるか?v − t グラフと x − t グラフを書きなさい。また v = 3 m/s の 場合はどうか?
(変位)=(速度)×(時間)つまり、∆x = v∆t を用いる。
この場合、速度v = −3 [m/s] で ∆t = 5 − 2 = 3 秒間動いたので、変位 ∆x は −3 [m/s] × 3 [s] = −9 [m] となる。したがって、求める位置は、もともと x = 5 [m] にいたので、 5 + ∆x = 5 + (−9) = −4 [m] となる。
速度が v = 3 m/s の時は、速度 v = 3 m/s で ∆t = 3 秒間動いたので、変位 ∆x は 3 [m/s] × 3 [s] = 9 [m]。
したがって、求める位置は 5 + ∆x = 5 + 9 = 14 [m] となる。v − t グラフ、x − t グラフ は省略。
(解説) v − t グラフ, x − t グラフに慣れる問題。v = −3 [m/s] と v = 3 [m/s] は、速さは どちらも同じ3 [m/s] ですが、速度は違います。速さと速度の違いを覚えましょう。
2. もともと原点にいた物体が、西に速さ 5 [m/s] で 5 秒間進んだ後、東に速さ 4 [m/s] で 6 秒間進んだ。物体はどこにいるか。また、平均速度を求めなさい。
東向きを x 軸の正の向きにとる。すると、最初の 5 秒間は −5 [m/s] で進むので、その 間の変位は ∆x1 = −5 [m/s] × 5 [s] = −25 [m] であり、次の 6 秒間は 4 [m/s] で進むの で、その間の変位は∆x2 = 6 [m/s] × 4 [s] = 24 [m] である。
したがって、物体はもともと原点にいたので移動後の位置は、
0 + ∆x1+ ∆x2 = −25 + 24 = −1 [m] となる。東の向きを x 軸の正の向きにとったので、 原点から西向きに 1 m 進んだ所にいることになる。
また、その間の平均速度は(∆x1+ ∆x2)/(5 + 6) = −111 [m/s] となる。すなわち、東向き に −1
11 m/s の速度で動いたことになる。
(解説) 座標軸が設定されていない問題もあるので、そのような場合 自分で座標軸を設定す ることを覚えましょう。西向きを x 軸の正の向きとすると、位置は 0 + ∆x1 + ∆x2 =
25 + (−24) = 1 [m], 平均速度は (∆x1+ ∆x2)/(5 + 6) = 1
11 [m/s] と上と逆符合で計算さ れますが、最終結果は同じになります。
また、平均速度という概念に慣れましょう。
3. x 軸上に静止していた (速度 0 [m/s]) 物体が時刻 t = 0 [s] に運動を始めた。
(1) 時刻 t = 1.5 [s] に物体は速度 3.0 [m/s] になった。この間の加速度を求めなさい。 (2) その後物体は減速し、時刻 t = 3.5 [s] に物体は速度 −2.0 [m/s] となった。時刻 t = 1.5 [s] から t = 3.5 [s] の間の加速度を求めなさい。
両方とも (加速度) = (速度の変化)/(時間) 、つまり a = ∆v
∆t を用いる。 (1) 速度変化 ∆v は ∆v = 3.0 [m/s] − 0 [m/s] = 3.0 [m/s],
時間∆t は ∆t = 1.5 [s] − 0 [s] = 1.5 [s] となる。 したがって、加速度 a は a =
∆v
∆t =
3.0 [m/s]
1.5 [s] = 2.0 [m/s
2] となる。
(2) 速度変化 ∆v は ∆v = −2.0 [m/s] − 3.0 [m/s] = −5.0 [m/s], 時間∆t は ∆t = 3.5 [s] − 1.5 [s] = 2.0 [s] となる。
したがって、加速度 a は a =
∆v
∆t =
−5.0 [m/s]
2.0 [s] = −2.5 [m/s2] となる。
(解説) (2) は負の加速度 (減速) ということに慣れてもらうための問題です。
4. 静止していた自動車が一定の加速度で加速して 5 秒間加速し、 54 [km/時] の速度に なった。その後 5 分間車はその速度を保って走り、また 5 秒間一定の加速度で減速して 停車した。
(a) 54 [km/時] を [m/s] 単位に単位換算せよ。
(b) 車は何 m 走ったか?(Hint: v − t グラフをまず書きなさい。)
(a) 54 [km/時] = 54 × 1000 [m] 60 × 60 [s] =
54000 [m]
3600 [s] = 15 [m/s]
(b) v − t グラフを書き、計算を進める。初めの 5 秒間と終わりの 5 秒間では、それぞれ (1/2) × 5 × 15 = 37.5 [m] 走った。また、中間の 5 分 = 5 × 60 秒 = 300 秒間では、等速 度で走ったので、15 [m/s] × 300 [s] = 4500 [m] 走ったことになる。
したがって、求める答えは、4500 [m] + 2 × 37.5 [m] = 4575 [m] となる。
レポート問題 5 月 11 日 解答例・解説
(1) 指数計算・有効数字
地球は太陽を中心とした半径約 1 億 5 千万 km (約 1 天文単位) の円軌道 (正確にはわず かに楕円である) を、1 年間 (約 365.25 日) かけて公転している。常に一定の速さで公転 しているとして、地球の公転の速さを有効数字 2 桁で km/s 単位で答えなさい。円周率 は 3.14 としなさい
(解答例)
公転軌道の長さは 2 × 3.14 × (1.5 × 108 km) = 9.4̸ 2 × 108 km である。その長さを 365.25 × 24 × 60 × 60 = 31557600 = 3.1558 × 107 s かけて進むので、求めるべき速度は公 転軌道の長さを時間で割り、(9.4×108km)/(3.1558×107s) = 9.4/3.1558×108−7= 3.0×101 km/s となる。
(解説) km/s とあるので、1 年間を秒に直しましょう (練習問題でやりましたね?)。桁を 間違えないように注意(勿体無い! )。
(2) 等加速度運動
時速72 km で直線上を進んでいた自動車がブレーキをかけて、一定の加速度で減速し 100 m 走って止まった。この時の加速度を求めなさい。ただし進行方向を正として座標軸を 取りなさい。
(Hint: ブレーキをかけ始めてから止まるまでの時間を T とし、T で走行距離を表しなさ い)
(解答例)
時速 72 km を m/s に直すと、72 km/時 = 72 × 1000 m 60 × 60 s =
72000 m
3600 s = 20 m/s であ る。ブレーキをかけ始めた時刻を t = 0 s, 停止した時刻を t = T として、v − t グラ フを書く。一定の加速度で減速するので、v − t グラフは直線となり、また移動距離は (1/2) × 20 [m/s] × T [s] = 10T [m] となる。従って、10T = 100 なので、T = 10[s]。 20 m/s から停止 (0 m/s) するまでに 10 秒かかっているので、求めるべき加速度は ((0 − 20) m/s)/10 s = −2 m/s2 となる。
(解説) まず単位を直しましょう。また、(v − t グラフの面積)=(移動距離)、(加速度)=(速 度変化)/(時間) を覚えましょう。
(3) 放射年代測定
以下の文を読んで、問いに答えなさい。
第 2 回 (4/20) の授業では飛ばしたが、長い時間の測定には放射性核種が利用され、考古 学において動植物の年代測定等に用いられる。
原子の中心部には小さな原子核があり、更に原子核は陽子と中性子から構成される。従っ て、原子核は陽子と中性子それぞれの個数によって指定され、その一つ一つを原子核の核 種と呼ぶ。また、核種の中には他の核種 (あるいは同一核種の他のエネルギー状態) に変 わりやすいものもあり、変わりやすいものを「不安定」、変わりにくいものを「安定」と 呼ぶ。また、不安定な核種を放射性核種と呼び、核種等が変わることを「崩壊する」と呼 ぶ。更に核種が崩壊する割合は一定であり、ある核種が半分に減る期間を「半減期」と呼 ぶ。自然界には安定な核種が約270 種類、放射性核種が約 30 種類あると言われている。
核種 14C (炭素 14)は陽子 6 個、中性子 8 個からなる放射性核種であり、半減期 5730 年で安定な核種である14N (窒素 14、陽子 7 個、中性子 7 個からなる) に崩壊する。逆に
14C は宇宙線 (宇宙の中に飛び交う高エネルギー放射線) の反応で 14N から生成されるの で、大気中の 14C の量は時代によらず一定に保たれる。動植物が生きている間は 14C が 大気や食物連鎖を通じて取り入れられるが、死後はそれらの代謝が止まり、半減期に従い 減少する (つまり死後 5730 年経過すると割合は半分になる)。
(a) 地中から出土した枯木を調べると、含まれる 14C の割合は現在の 1/8 に減少してい た。この木は何年前に枯れたと推定できるだろうか。
(解答例)
3 回半減期を迎えると14C の割合が現在の 1/8 になるので、この枯木は 5730 × 3 = 17190 年前に枯れたと推測できる。
(b) 他に放射年代測定に使われる核種の例と、その半減期及び測定用途を少なくとも 1 つ 調べなさい。
(コメント) 40K −40 Ar (カリウム-アルゴン法、約 13 億年、マグマが固化してからの時 間を計測)、235U −207Pb (半減期 7 億年、ウラン-鉛法) 238U −206 Pb (半減期 45 億年、 ウラン-鉛法、地球の年齢などの測定)、フィッショントラック法 (238U の自発核分裂が起 こす飛跡密度を観測) 等沢山ある。詳しい解説は、FN の高校物理 (というには詳しすぎ ますが、fnorio.com/0078radioactiveage 0/radioactive age0.htm) や、山賀進さんのサイト (www.s-yamaga.jp/nanimono/chikyu/nendaisokuteiho-03.htm) 等がある。
入門物理学 A
練習問題 5 月 18 日 ( 二次元の運動・相対運動 )
1. 等速円運動は等速と名が付いているが、加速度を持った運動か、そうでないか。理由 を付けて答えなさい。
(解答例)
等速円運動は速さは一定であるが、速度ベクトルの方向は円の接線方向なので、時々刻々 と変わっていく。従って、速度ベクトルが変化するので、等速円運動は加速度を持った運 動である。
2. A さんは速度ベクトル −v→A= (2, −2), B さんは −v→B = (−1, 2) で歩き始めた。それぞれ 一定の速度ベクトルで歩くものとして、速度ベクトルの単位は m/s とする。
A さんと B さんは 1 分後に出会った。歩き始めた時の A さんから B さんへのベクトル
−→AB 及び歩き始めた時の A さんと B さんの距離を求めなさい。
(解答例)
A さんが歩き始めていた時にいた点を A, B さんが歩き始めていた時にいた点を B, 二人 が出会った点を C としよう。A さんは速度ベクトル −→vA で60 秒間歩いたので、A さんの 変位ベクトルは
−→AC = 60−→vA= (60 × 2, 60 × −2) = (120, −120) である。
また、B さんは速度ベクトル −v→B で 60 秒間歩いたので、B さんの変位ベクトルは−−→BC = 60−v→B = (60 × −1, 60 × 2) = (−60, 120) である。
従って、
−→AB =−→AC +−−→CB =−→AC −−−→BC = (120, −120) − (−60, 120) = (180, −240) となる。
歩き始めた時の A さんと B さんの距離は−→AB = (180, −240) の大きさなので、求める距 離 AB は AB =
√1802+ 2402 = 300 [m] となる。
3. (モンキーハンティング)
A さんは木の上の猿に餌をあげようと、時刻 t = 0 s に餌を猿に ⃗v = (20, 20) の速度で猿 に目掛けて投げた。この時の A さんの位置を原点 (0,0) とし、速度の単位は m/s , 位置 の単位はm としよう。また、x 軸を水平方向 (猿のいる方向) にとり、y 軸を上向きの方 向としよう。猿は餌を投げられた時位置ベクトル⃗x = (40, 40) から真下に速度 0 m/s で 落下し始めた。
(1) (a) まず餌が猿に届くには餌の水平飛距離が猿のいるところまで飛ぶ必要がある。餌 の x 座標が 40 m になる時刻を求めなさい。
(b) その時餌の y 座標はどのようになっているか、v − t グラフを書いて求めなさい。餌 は重力により−10 m/s
2
の加速度を受けるとしなさい。 (c) (a) で求めた時刻の時、猿はどこにいるか。
(2) 同じ問題を相対運動の考えに立って考えてみよう。 (a) 餌の猿に対する相対加速度ベクトルを求めなさい。 (b) 餌の猿に対する相対速度ベクトルを求めなさい。
(c) (b) の結果から猿が餌を受け取るにはどのような条件が必要になるだろうか?
(解答例)
(1) (a) 餌が A さんの手を離れてから餌には水平方向の力が働かない。従って慣性の法則 から餌は水平 (x 軸) 方向には 20 m/s で進み続ける。従って、40 m 進むには 40/20 = 2 秒かかる。
(b) y 軸方向の速度は t = 0 s の時に 20 m/s であり、加速度は -10 m/s2 であ るの で、t = 2 s の時には 20 + (−10) × 2 = 0 m/s である。従って、餌は y 軸方向には (1/2) × 20 [m/s] × 2 s = 20 m 進んだ。すなわち、餌の y 座標は 20 m である。
(c) 猿は 2 秒間で、y 軸方の速度が速度 0 m/s から −20 m/s になった。従って、猿の y 方向の変位は (1/2) × (−20 [m/s]) × 2 s = −20 m である。従って、時刻 t = 2 s の時の 猿の y 座標は 40 + (−20) = 20 m である。x 方向には運動していないので、 猿の x 座標 は 40 m。従って、猿も餌も座標 (40,20) にあるので猿は餌を受け取ることができる。
(2) (a) 餌も猿も y 軸方向に −10 m/s2 の加速度を受けており、両者の加速度ベクトルは (0, −10) である。従って、餌の猿に対する相対加速度ベクトルは (0, −10)−(0, −10) = (0, 0) (単位 : m/s2) である。
(b) 餌の猿に対する相対加速度ベクトルが (0,0) であるので、餌の猿に対する相対速度ベ クトルは、時間によらず一定である。すなわち、最初から変わらず (20,20) である。 (c) 相対速度ベクトルが A さんから 猿の方向を向いているので、猿は餌を受け取ること ができる(ただし、猿が地面に着くまでに餌が到着する必要がある)。
練習問題 6 月 1 日 ( 力・運動方程式 )
1. (運動方程式)
質量がそれぞれ 3 kg, 5 kg の物体 A, B を接して摩擦の無視できる水平面上におく。 図のように、A を右向きに 40 N の力で押した。
(1) 物体の加速度はいくらか?
(2) A と B が押し合う力の大きさを求めなさい。
(3) 物体は押し始める前静止していたとしよう。2 秒間押し続けると、物体はその間に 何 m 動くか?
(解答例)
(1) A と B を合わせた (3+5) = 8 kg の物体を 40 N の力で押すので、加速度は 40 N/8 kg = 5 m/s2 。
(2) 求める力の大きさを F [N] としよう。A には 右向きに 40 [N] の力と左向きに F [N] の力が作用しているので、差し引き右向きに 40 − F [N] の力が作用していることになる。 また、B には作用・反作用の法則から右向きに F [N] の力が作用している。したがって、 運動方程式はA, B それぞれで、
A: 3 kg × 5 m/s2 = 40 − F [N] B: 5 kg × 5 m/s2 = F [N]
となり、どちらかを解けば良い。したがって、求める力の大きさは F [N] = 25 [N]
(3) v − t グラフを書き、(v − t グラフの面積)=(移動距離) を用いる。2 秒間で 5 m/s2
× 2 [s]= 10 [m/s] の速度になるので、求める移動距離は三角形の面積となり、(1/2) × 2 [s] × 10 [m/s] = 10 [m] となる。
2. (雨粒の落下 (空気抵抗))
半径 0.1 mm までの小さな雨粒では、粘性抵抗を受けながら空中を落下すると言われてい る。この問題では、半径 r = 0.10 mm の雨粒の運動を考えることにより、粘性抵抗の効 果を考える。z 軸の正の方向を鉛直下向きに取り、時刻 t = 0 [s] での雨粒の位置を z = 0
[m] とする。簡単のため、重力加速度を g = 10 m/s2 とする。
(a) 水の密度は 1000 kg/m3 である。球の体積は円周率を π (ここでは 3.14 としよう), 半 径をr として (4/3)πr3 で表される。雨粒を球として考え、その質量 m を有効数字 2 桁 で求めなさい。
まずは、抵抗がない場合を考えよう。時刻t = 0 [s] のとき、高さ 2000 m から雨粒が速度 0 m/s で落下し始めるとする。雨粒は重力の力を受けて加速する。
(b) z 軸方向の加速度を a として、雨粒を近似的に質点とみなし、雨粒に対する z 軸方向 の運動方程式を書きなさい。
(c) z = 2000 [m] の時、雨粒は地面に到達している。 v − t グラフを書き、その面積を考 えることによって、雨粒が地面に到達した時刻を求めなさい。また、その時の速度は時速 何 km だろうか?
次は、重力と、粘性抵抗による力−kv を受けながら、落下していく雨粒の運動を考えよ う。
(d) z 軸方向の加速度を a として、雨粒を近似的に質点とみなし、雨粒に対する z 軸方向 の運動方程式を書きなさい。
(e) 運動方程式を考慮しながら雨粒の v − t グラフを書くと、ある速度 (終端速度) に徐々 に近づく曲線になる。その速度は時速何 km だろうか? k = 3.4 × 10−8 [N·s/m] として 計算しなさい。
(解答例)
(a) 0.10 mm = 1.0×10−4m であるので、雨粒の体積は有効数字 2 桁で求めると、(4/3)π × (1.0 × 10−4)3 = 4.2 × 10−12 [m3] となる。(質量)=(体積) × (密度) なので、m = 4.2 × 10−12 [m3] × 1000 [kg/m3] = 4.2 × 10−9 [kg] 。
(b) 雨粒にかかる力は、空気抵抗を無視した時、重力のみである。重力は鉛直下向きに mg であり、z 軸の方向と一致する。したがって、運動方程式は ma = mg となる。
(c) 前問より雨粒は加速度 g で落下する。したがって、求める時刻を T とすると、その
時の速度は gT である。v − t グラフを書き、(v − t グラフの面積)=(移動距離) を用い る。移動距離は三角形の面積で、z = (1/2) × T [s] ×gT [m/s] = (1/2)gT2 [m] となる。 従って、2000 = (1/2)gT2 となれば良い。g = 10 [m/s2] を代入すると、T2 = 400 [s2]。 従って、T = 20 [s] であり、この時の速度は gT = 10 [m/s2] × 20 [s] = 200 [m/s] である。 km/h 単位に換算すると、200 [m/s] = 200×(1/1000) km
1/3600h = 720 km/h となる。
(d) 雨粒にかかる力は、重力 mg と粘性抵抗 −kv である。したがって、運動方程式は ma = mg − kv となる。
(e) 雨粒は速度を v = 0 から徐々に増してゆくが、速さが大きくなるにつれて抵抗力が増 すので、加速度は小さくなる。そして、v∞ =
mg k =
(4.2 × 10−9) × 10
3.4 × 10−8 = 1.2 m/s となる と、加速度がなくなる(終端速度)。実際には終端速度より少し遅い速度でほぼ等速度の運 動になる。終端速度を時速に換算すると、1.2 [m/s] = 1.2×(1/1000) km
1/3600 h = 4.3 km/h となる。
練習問題 6 月 8 日 ( 力 (2) ・等速円運動 )
1. (摩擦力)
5 kg の物体が粗い (=摩擦の無視できない) 床に横たわっている。この物体に水平方向に 力を加えて動かそうとした。床と物体の静止摩擦係数は 0.5, 動摩擦係数は 0.2, 重力加速 度は10 m/s
2
とする。
(1) 水平方向に 20 N, あるいは 40 N の力を加えたときには、どのような摩擦力が何 N の 大きさで働くか。
(2) 水平方向に 40 N の力を加えた時、物体の加速度はどのようになるか。
(解答例)
(1) 質量 m = 5 kg の物体には地球から下向きに、 5 [kg] × 10 [m/s2] = 50 [N] の重力 がかかる。 したがって、力の釣り合いから物体には床から上向きに重力と同じ大きさの、 すなわち50 [N] の垂直抗力がかかる。(最大静止摩擦力) = (静止摩擦係数) × (垂直抗力) であるので、最大静止摩擦力 Fmax は Fmax = 0.5× 50 [N] = 25 [N] となる。
したがって、20 [N] の力を加えたときには、この力は最大静止摩擦力 25 [N] より小さ いので物体は動かない。したがって、加えた力の向きと逆向きに同じ大きさである20 [N] の静止摩擦力が働く。
40 [N] の力を加えた時には、この力は最大静止摩擦力より大きいので、物体が動く。し たがって、物体には加えた力の向きと逆向きに動摩擦力が働く。(動摩擦力) = (動摩擦係 数) × (垂直抗力) であるので、動摩擦力 は 0.2 × 50[N] = 10 [N] となる。
(2) 水平方向には、動摩擦力を差し引いた F = 40 − 10 = 30 [N] の力がかかる。よって、 求める加速度 a は a = F/m = 30 [N]/5 [kg] = 6 m/s2 となり、向きは力を加えた向きで ある。
2. (トリチェリの実験)
水銀の密度は13.5951 ×103 kg/m3 である。
(a) 縦 1 m、横 1 m、高さ 0.76 m の直方体に水銀が満たされている。この水銀柱の質量 を求めなさい。
(b) 重力加速度を 9.80665 m/s2 とする。この水銀柱による圧力は何 Pa か。
(解答例)
(a) 直方体の体積 V は V = 1 [m] × 1 [m] × 0.76 [m] = 0.76 [m3] である。したがって、 (質量 m) = (密度) × (体積) = 13.5951 ×103× 0.76 =1.033227 ×104 [kg] となる。
(b) 水銀柱に働く重力は g を重力加速度として、mg = 1.03327×104×9.80665 = 1.01325× 105 [N] である (正確には、水銀柱をその場所に押しとどめる重力と大きさの等しい垂直 抗力の、その反作用が水銀が面を押す力である)。この力が 1 [m2] の面積にかかるので、 求める圧力は1.01325 × 105 [N]/ 1 [m2] = 1.01325 × 105 [Pa]
3. (等速円運動)
ハンマー投げはハンマーを投げる競技である。
ハンマーの質量を7.26 kg、ハンマーが描く円軌道の半径 (= ワイヤーの長さ+腕の長さ) を 1.7 m とする。ハンマーは 1 秒間に 2.5 回転しているとしよう。
(a) ハンマーの速さ (b) 加速度ベクトルの大きさ (c) 選手が手で引っ張っている力 (=向 心力) の大きさを求めなさい。また、選手の体重を 100 kg とすると、向心力の大きさは 選手の重さの何倍か。重力加速度を 9.8 m/s
2
、円周率を 3.14 として答えなさい。
(解答例)
(a) ハンマーの角速度 ω は ω = 2.5 × 2π = 15.7 [rad]、回転半径 r = 1.7 [m] なので、速 さ v は v = rω = 1.7 × 15.7 = 26.69 [m/s] となる。
(b) ハンマーの加速度ベクトルの大きさ a は a = rω2 = 1.7 × 15.7 × 15.7 = 419.033 [m/s2] である。
(c) 選手が手で引っ張る力は、ハンマーの質量 m = 7.26 [kg] なので、ma = 7.26×419.033 = 3042.17958 [N] である。体重が 100 kg の人に働く重力は 100 [kg] ×9.8[m/s2] = 980 [N] なので、3042.17958/980=3.104 · · · 倍、すなわち約 3.1 倍である。
入門物理学 A ( 旧原子から宇宙まで I)
レポート問題第 2 回 (6/15 , 福川 出題 )
注意事項
1. 紙の場合は、A4 で提出してください。電子機器で作成したものか、手書きかは問い ません。氏名と学籍番号を記入してください。授業中に提出できない場合は、メー ルでの提出でもかまいません。連絡先は[email protected] です。講義 スライドは https://sites.google.com/site/kfukukawa00/hosei2017 にあります。 (メールでの提出の場合、講義のレポートと分かるように件名を書いてください。) 2. レポートを返却します。解説後の授業後に来てください。
3. レポートはコピーを取っておくことを勧めます。
4. 計算問題は途中計算がある場合は、過程も含めて書いてください。単位がある量は 単位もつけてください。
5. 電卓は自由に使ってください。試験も電卓持ち込み可にする予定です。
提出締切 6/29 ( 木 ) 授業中の最初
(1) 運動方程式 (アトウッド (Atwood) の器械)
アトウッドの器械とは、数学者・物理学者であった George Atwood (英、1745 – 1807) により1784 年に発表された実験装置で、18 世紀から 19 世紀に広く用いられた。現在でも ニュートンの運動の 3 法則を確かめるものとして、教育用として用いられることがある。
図 1: アトウッドの器械 アトウッドの器械は、図 1 のような器械である。滑
車と糸の間の摩擦はなく、また滑車の質量は無視でき るものとしよう。更に糸は途中でたるんだり、切れた りしないとしよう。すると、質量がm1, m2(m1 > m2) である2 つの質点は (以下、単に質点 m1, m2 と書く) 同じ加速度の大きさ a で運動する。糸の重さを無視す ると、2 質点 m1, m2 は同じ大きさT の張力 (tension) を受けることになる。
(a) 質点 m1 及び質点 m2 が受ける力を考え、2 つの 質点それぞれに対してm1, m2, a, T , 重力加速度 g を 用いて運動方程式を書きなさい(加速度の向きが 2 つ の質点で違うことに注意しなさい)。
(b) 図 1 のように、具体的に m1 = 8 kg と m2 = 2 kg と値を決めると、(a) で書いた式は a と T に対する連立方程式になる。これを解いて、a と T を求めなさい。重力加速度は g = 10 m/s2 としなさい。
(解答例)
(a) 運動方程式は、
質点m1: m1a = m1g − T 質点m2: m2a = T − m2g となる。
(b) 与えられた数値を代入していくと、運動方程式は、 質点m1: 8a = 80 − T 質点 m2: 2a = T − 20
となる。二つの式を辺々加えると、10a = 60 であるので、a = 6 m/s2 が得られる。 このa の値をどちらかの運動方程式に代入して T を求めると、T = 32 N が得られる。 (コメント) 最後の結論で単位を書いていない人が多かったです。物理量は、数字と単位 がワンセットなので、最終結果には必ず単位を書くように心がけてください。
(2) 浮力 (アルキメデスの王冠)
アルキメデスはシラクサのヒエロン王から、作られた王冠が純金か、銀が混ぜられてい るか調査を依頼された。アルキメデスはこの問題を考えている時に浴場に行き、答えを思 いついた(Eureka, Eureka ! と叫び、裸のままシラクサの街を駆け抜けたと言われる)。金 の密度は20 g/cm3 (正確には 19.32 g/cm3), 銀の密度は 10 g/cm3 (正確には 10.50 g/cm3), 水の密度は 1 g/cm3 としてこの問題を考えてみよう。重力加速度は g = 10 m/s2 としな さい。
(a) 王冠の質量が 5 kg だったとしよう。全て金で作られたとすると、体積は 何 cm3 とな るだろうか。
(b) (a) と同じ質量 5kg の王冠があったとする。質量のうち 4 kg が金、1 kg が銀からな るとすると、体積はどうなるだろうか。
(a) と (b) の王冠は天秤を用いると、同じ質量なので地上では釣り合う。これらの王冠を
水中に全て沈めてみる。
(c) アルキメデスの原理を用いて、(a) と (b) それぞれの場合について、働く浮力を求め なさい。また、2 つの王冠を水中に沈めた時天秤はどちらの方に傾くか?
(解答例)
(a) 質量を密度で割ると体積が得られる。従って、(求める体積) = 5 [kg]/20 [g/cm3] = 5000 [g]/20 [g/cm3] = 250 cm3 となる。
(b) (a) と同様に計算できる。(求める体積) = 4 [kg]/20 [g/cm3]+1 [kg]/10 [g/cm3] =4000 [g]/20 [g/cm3]+1000 [g]/10 [g/cm3] = 300 cm3 となる。
(c) 浮力は (物体が押しのけた水の体積) × (水の密度) × (重力加速度) で計算される。 したがって、純金製の王冠は 250 [cm3] × 1 [g/cm3] × 10 [m/s2] = 250 [g] × 10 [m/s2] = 0.25 [kg] × 10 [m/s2] = 2.5 [N] の浮力を受ける。
また、銀が混じった王冠は 300 [cm3] × 1 [g/cm3] × 10 [m/s2] = 300 [g] × 10 [m/s2] = 0.3 [kg] × 10 [m/s2] = 3 [N] の浮力を受ける。銀が混じった王冠の方が浮力を受けるので、 水の中で感じる重さは減る。従って、2 つの王冠を水中に沈めた時、天秤は純金製の王冠 の方に傾く。
(コメント) 浮力は上下の水圧の差で発生するので、水の質量と浮力が関係していることが ポイントです。浮力の式に水の密度が入ってくるのはそのためです。また、2500 N, 3000 N と書いていた回答が目立ちました。問題文では単位が g で与えられており、SI 基本単 位の kg の 1/1000 であることを確認しましょう。平均点は大問 (1) (2) 合わせて 10 点満 点中8.1 点でした。
練習問題 7 月 6 日 ( 万有引力・エネルギー (1))
1. 重力と万有引力
重力加速度の主な原因は、地球と地上の物体の間の万有引力である。簡単のため、地球は 球形であるとしよう (実際には、地球は 1/300 程度級から外れている)。地球と物体の万 有引力の大きさは、地球の中心に全質量が集まったと考えて良いことが知られている。
(1) 自由落下運動の際、質量 m の物体にかかっている力を地球からの万有引力であると 考え、運動方程式を書き、物体の加速度 g (= 重力加速度) を表す数式を書きなさい。た だし、物体と地面との距離は地球半径に比べて無視して良いものとする。また、万有引力 定数を G, 地球の質量を mE, 地球の半径を RE としなさい。
(2) 実際には 万有引力定数 G = 6.67428 × 10−11 [N · m2/s2],
地球の質量 mE = 5.972 × 1024 kg, 地球の半径 RE = 6371 km = 6.371 × 106 m である。 これらの値を代入し、重力加速度 g を求めなさい。
(解答例)
(1) 物体にかかっている万有引力の大きさ F は F = GmmE RE2
であるので、 運動方程式はmg = F , すなわち mg = GmmE
RE2
と書き表される。 従って、物体の加速度g はその式を両辺 m で割った g = GmE
RE2 となる。
(2) 与えられた数字を代入する。 g = GmE
RE2
= (6.67428 × 10−11) × (5.972 × 1024) (6.371 × 106)2
= 6.67428 × 5.972 6.3712 × 10
−11+24−6×2
= 0.98199 · · · × 101 ≃ 9.820 [m/s2] したがって、g = 9.820 [m/s2] と求められる。
2. 第一宇宙速度
物体を地上から水平方向に非常に速く打ち出すことを考える。ある速度に達すると、物体 は地面に落ちずに等速円運動を行うことができる。その時の速さを第一宇宙速度と呼び、 人工衛星を打ち上げる時には最低でも第一宇宙速度以上の速さで飛ばす必要がある。
(1) 地球の半径を RE, 角速度を ω として、地表すれすれを飛ぶ物体の速さ v1 と加速度の
大きさ a を表す式を書きなさい。
(2) (1) で書いた v1 と a の式から、a を v1 と RE を用いて表しなさい。
(3) 物体にかかっている力は地球との万有引力である。物体の質量を m とし、運動方程 式を書いて速さ v1 を求めなさい。数値や文字は上の大問で与えた数値を用いて良い。
(解答例)
(1) これは公式に代入すれば良い。v1 = RE ω, a = RE ω2
(2) v1 = REω から ω = v1 RE
である。これを a の式に代入して、a = v1
2
RE
(3) 先ほどの大問と同様に運動方程式を立てると、ma = GmmE RE2
(2) で求めた a を代入すると、mv1
2
RE
= GmmE RE2
. これを v1 について解くと、v1 =
√ GmE RE
. 万有引力定数等の数字を代入すると、
v1 =
√
(6.67428 × 10−11) × (5.972 × 1024) 6.371 × 106 =
√6.256 × 10−11+24−6=√6.256 × 107
= √62.56 × 106 =√62.56 × 103 = 7909 [m/s]
練習問題 7 月 13 日 ( エネルギー (2))
1. 重力
高さh の場所から質量 m の質点を t = 0 の時に速さ 0 で落下させる。 (1) 重力加速度を g とする。地上に着いた時の速さ V はいくらか。 v-t グラフを書いて求めなさい。
(Hint: 地上に着いた時の時刻を t = T として考えなさい。)
(2) 力学的エネルギー保存則を用いて地上に着いた時の速さ V を求めなさい。
(解答例)
(1) 地上に着いた時間を t = T とする。その時の速さは V = gT となり、物体は等加速 度運動を行うので、v-t グラフは (v, t) = (0, 0) と (v, t) = (gT, T ) を結んだ直線となる。 v-t グラフの面積が物体が落下した距離 h なので、(1/2)gT2 = h である。これを解くと、 T =√ 2h
g . 従って、地上に着いた時の速さ V は V = gT =√2gh となる。
(2) t = 0 の時の力学的エネルギーは、ポテンシャルエネルギーのみであり、 mgh であ る。また t = T の時の力学的エネルギーは、ポテンシャルエネルギーが 0 なので、1
2mV
2
である。力学的エネルギー保存則からこれらが等しいので、mgh = 1 2mV
2 が成立する。 この式を V について解くと、V =√2gh となる。
2. 第二宇宙速度
地上から人工衛星を打ち上げることを考える。万有引力定数を G, 人工衛星の質量を m, 地球の質量をmE, 地球の半径を RE とする。
(1) 地表から速さ v で人工衛星を打ち上げる時の力学的エネルギー E はいくらか。 (2) 力学的エネルギー保存則から、無限遠点まで人工衛星が到達する条件を記しなさい。 また、そうなるためには v はある値 v2 以上である必要があるが、v2 を求める式を書き なさい。また、この速度は第一宇宙速度v1 =
√ GmE RE
(人工衛星が地表すれすれを円運動 する軌道速度) の何倍か。
(3) 万有引力定数 G = 6.67428 × 10−11 [N · m2/s2],
地球の質量 mE = 5.972 × 1024 kg , 地球の半径 RE = 6371 km = 6.371 × 106 m を代入
し、v2 を具体的に求めよ。この速さは第二宇宙速度と呼ばれる。
(解答例)
(1) 運動エネルギーは 1 2mv
2 であり、万有引力のポテンシャルエネルギーは −
GmmE
RE
で ある。従って、力学的エネルギー E はこれらの和である E = 1
2mv
2− GmmE RE
となる。
(2) 無限遠点でのポテンシャルエネルギーは 0 なので、そこでの速さが 0 以上であれば、 人工衛星は無限遠点に到達できる。従って、力学的エネルギーに対しての条件は E ≥ 0 である。したがって(1) から、
1 2mv
2−GmmE
RE ≥ 0 であり、この不等式を v について解 くと、v ≥
√ 2GmE RE
となる。したがって、v2 =
√ 2GmE RE
=√2v1 である。
(3) v2 の式に万有引力定数等の数字を代入すると、
v2 =
√
2 × (6.67428 × 10−11) × (5.972 × 1024) 6.371 × 106 =
√12.51 × 10−11+24−6 =√12.51 × 107
= √1.251 × 108 =√1.251 × 104 = 11180 [m/s]
したがって、第二宇宙速度は秒速約 11.2 km となる。