দဥࡉུๅ
情 な
ん か
わ か
り ま
せ ん ――
か ?
入 門
編 ・
小 説
2
心 情
の ﹁
書 き
方 ・
読 み
方 ﹂
目 標
﹁ 心
情 の
書 き
方 読
み 方
﹂ を
マ ス
タ ー
入 試
小 説
の 設
問 パ
タ ー
ン に
慣 れ
る
あ ん
と ん
ね ー
け ど
ほ ん
こ ん
や れ
よ !
...
たい した こと ない けど
、本 気で やれ よ!
――
千葉 県の 落花 房雄 さん
দဥࡉུๅ
自 分 の 心 情 も わ か ら な い の に ⋮ ⋮
この回の目標は小説読解の本命、心情の読み取り、です。
﹁他人の考えていることなんか正確に読み取ることができるんで
すか?﹂という疑問をいだいているあなた、実に鋭い。そのとおり
です。他人の考えていることなど本当はわかるはずがありません。
下手をすれば、自分が﹁なぜあのとき、あんなことをしたのかいま
だにわからない﹂ことさえあるのですから。
仮に本人が言ったことだってどこまで信用できるか⋮⋮。
だから学習してもむだ⋮⋮いやいやちがいます。﹁小説における
登場人物の心情﹂なら読み取ることができますし、そのことを通じ
て、多くの人間に共通の考え方・感じ方・言葉の用い方などを知る
ことは大切なことです。
作者とその代理人はウソをつかない
人間はウソをつきます。いや、別にあなたを大ウソつきだといっ
ているわけではありませんが、ウソを一回もついたことのない人は、
ちょっと想像がつかないと思います。
だから、心情など読み取れない、となるわけです。
でも、小説においては次のルールがあります。 ﹁語り手はウソをつかない﹂
語り手とは小説を物語っている作者または主人公のことです。
次の文を読んでください。
...
﹁ああ、また記号を間違えて書いちゃった﹂と伊藤は肩
を落とした。彼は自分が情けなくて泣きたい気分だった。
この文では、作者が伊藤について書いています。この場合、伊
のセリフが彼の心情を正しく伝えているかはわかりません。ですが
説明の部分﹁泣きたい気分だった﹂は正しい説明である、という
が小説世界のルールです。これを疑ったら、読んでもわけがわか
ません。つまり、作者による説明は、原則として正しいのです。
では、次の文をどうぞ。
...
私は﹁ああ、また記号を間違えて書いちゃった﹂と言っ
て、肩を落として見せた。だが、そのときの私の本心はち
がった。失敗がうれしかったのだ。
このような、主人公自身が物語るパターンの小説では、主人公
第2回 入門編:小説2
দဥࡉུๅ
いというのが原則です。ですから、このときは﹁うれし
いのです。
リフと地の文でできています。セリフでない部分を﹁地
びます。﹁地の文﹂は、作者による説明です。ですから、
いということがルールなのです。
題作成者は﹁これが正解だ・他は×﹂と確実にいえるよ
作る、ということはおぼえていますね。ということは、
が地の文とセリフのどちらを重要視するか、もうわかり
い、地の文です。地の文こそ正しいといえるからなので
セリフをあまり重要視すると﹁本当にそうか?﹂と突っ
られるという危険があるのです。セリフはあまり信用な
しろ、セリフと本心のギャップが問題のネタになると考
いいくらいです。
ン ガ で は 、 心 情 は こ う 描 か れ る
題の実例です。解答を書いてください。
■ 例 題 1 A
次のマンガを読んで、問いに答えなさい。また怪我⋮誰を出す⋮弱ったな 監督!ぼくが出ます使ってください
むむ、しかし⋮
大丈夫です切り抜けて見せます
①
②
③
④
! A [ ] し よ
⑤ い!っええ ⋮え です 怪我で退場 ああ、また何?
দဥࡉུๅ
問1 コマ④で監督は、なぜ困っているのでしょうか。そ
の理由として最もふさわしいものを、次の中から一つ選
んで記号で答えなさい。
ア この補欠選手の技術が信用できず、試合に出して大丈
夫なのか心配だから。
イ この補欠選手は先週怪我をしたばかりで治っていない
おそれがあるから。
ウ この補欠選手はウクライナ国籍のため、試合に使うの
は規則違反だから。
エ この補欠選手が今日の夜、何を食べるつもりでいるの
かわからないから。
問2 コマ⑤のセリフの続きを想像して五字から十字で答
えなさい。なお、句読点や記号は用いないこと。 問1は、変な問題だと思いましたね。ウやエを選んだ人は少な
でしょう。苦しまぎれにアを選んだ人が多いのではないでしょうか
本当は﹁正解なし﹂です⋮⋮すみません。ひどいことですが、ど
を入れても一応正解になってしまいます。なぜかというと、マン
本体が説明不足だからです。﹁エなんか関係ないだろう﹂といい
い気持ちはわかりますが、絶対にありえないとはいいきれません
と、いうよりも、どの選択肢でも、確実に﹁これだ﹂といえる根
がないのです。
この例題、﹁このような問題を作ってはいけない﹂という例な
です。
問2は﹁がんばってこい︵七字︶﹂であるとか﹁全力で戦ってこい︵
字︶﹂などでしょう。他にも正解はありえます。似たようなセリ
で指定字数に収まっていれば正解です。こちらは、それまでの流
からそう言わざるをえないところでしょう。
では、問1を納得できる問題にするためにはどうすればいい
しょうか。それは、説明を補足して、理由を推測できるようにし
やることです。では、改良型の問題です。同じマンガで、少しア
ンジしました。解答してください。
第2回 入門編:小説2
দဥࡉུๅ
B
次のマンガを読んで、問いに答えなさい。②
③
④
⑤
⑥
監督!ぼくが出ます使ってください
むむ、しかし⋮
大丈夫です切り抜けて見せます え⋮ええいっ! 何?
よし[
A ]
! 問1 コマ④で監督は、なぜ困っているのでしょうか。そ
の理由として最もふさわしいものを、次の中から一つ選
んで記号で答えなさい。
ア この補欠選手の技術が信用できず、試合に出して大丈
夫なのか心配だから。
イ この補欠選手は先週怪我をしたばかりで治っていない
おそれがあるから。
ウ この補欠選手はウクライナ国籍のため、試合に使うの
は規則違反だから。
エ この補欠選手が今日の夜、何を食べるつもりでいるの
かわからないから。
問2 コマ⑥のセリフを言っている監督の心境の説明とし
て最もふさわしいものを、次の中から一つ選んで記号で
答えなさい。
ア 選手のケガのことを多少心配しながらも、全力でのぞ
むよう応援している。
イ 選手の技術がどうしても信用できず、送り出したこと
を後悔している。
দဥࡉུๅ
ウ 選手の国籍がばれることが心配で、力強く送り出しな
がらも気が気でない。
エ 選手のケガが治っていないことに気付いたが、覚悟を
決めて無事を祈っている。
こんどは解けたのではないでしょうか。
問1は、今度こそウとエは﹁退場﹂です。⑤のコマが入ったこと
で、この選手の事情がわかりましたね。イが正解です。
問2で可能性があるのはアとエですが、エを選ぶ根拠はマンガの
中にありません。可能性として絶対無いとはいえませんが、ここは
アを選ぶべきです。設問を読み直すとわかります。﹁最もふさわし
いもの﹂と書いてあります。﹁正しいもの﹂ではありません。アと
エを比べて、より多くの人が納得できるものを選べということです。
エは、かなり無理な解釈をしないと成り立ちません。
このようにマンガでも、心情を理解させるためにいろいろな方法
を使うことがわかったと思います。そこで、もう一回、同じ場面を
アレンジします。セリフは変えません。解いてください。
■ 例 題 1 C
次のマンガを読んで、問いに答えなさい。①
②
③
④
⑤
⑥
また怪我⋮誰を出す⋮弱ったな 監督!ぼくが出ます使ってください
むむ、しかし⋮
大丈夫です切り抜けて見せます え⋮ええいっ! ああ、また怪我で退場です
何?
ほら・・・ね⋮大丈夫でしょ
いや⋮むむ⋮ よし[
A ]
!
うっ⋮
第2回 入門編:小説2
দဥࡉུๅ
省略
コマ⑥のセリフを言っている監督の心境の説明とし
もふさわしいものを、次の中から一つ選んで記号で
なさい。
手のケガのことを多少心配しながらも、全力でのぞ
う応援している。
手の技術がどうしても信用できず、送り出したこと
悔している。
手の国籍がばれることが心配で、力強く送り出しな
も気が気でない。
手のケガが治っていないことに気付いたが、覚悟を
て無事を祈っている。
わりましたね。なぜなら、セリフは変わっていないのに、
ってしまったからです。そう、今度は﹁ケガが治ってい
がわかってしまったのです。そのせいで、セリフどおり
なくなってしまいました。 こちらの正解は例題1Bとは変わってエです。
何が心情を読み取る手がかりになりましたか。
前のページのマンガのコマ⑤と⑥の﹁手がかり﹂の部分にマーク
してください。
できましたね。
絵柄では﹁汗﹂ですね。面白いことに、この汗はもともと文章に
おける﹁冷や汗をかいた﹂からマンガに転用されたのだと思います。
そして、マンガの表現技法だったマークが、最近では文章に﹁逆輸
入﹂されて使われるようになりました。おっと、逆輸入なんてちょっ
と気取った表現でしたね︵汗
︶――
やれやれ、こんな感じですね。
また、コマ⑤⑥の人物の表情︵後頭部まで︶同じ絵なのに﹁汗﹂
のせいで表情が違って見えますね。かなり効果の大きいマークなの
です。次に、セリフのわく︵ふきだし︶の外にあるセリフとも心情
ともつかない言葉﹁う⋮﹂﹁いや⋮むむ⋮﹂など。これで、セリフ
が本心とは異なっていることを暗示します。最後に擬音語﹁グキュ﹂
ですね。これらの部品が描き加えられたため、絵とセリフはまった
く同じですが、異なったストーリーになってしまいました。
マンガはこれでおしまいです。
দဥࡉུๅ
マ ン ガ が わ か れ ば 小 説 も 同 じ
実は、小説の表現は、たった今、マンガで見たのと同じように組
み立てられているのです。実例として、同じ場面の例題です。設問
を読んだら、どこが心情を理解するための手がかりになるか、線を
引くなどしてください。
■ 例 題 2 A
次の文章を読んで、問いに答えなさい。黒田は先週の試合でケガをして、補欠になった。しかし、
今日の試合でまたケガ人が出てもう選手がいない。彼は監
督に﹁自分が出る﹂と名乗り出た。監督はうつむいて考え
込んでしまった。
﹁ほら、ね、大丈夫でしょ﹂彼は笑顔で先週怪我をした
左肩をぐるぐる回しながら監督に言った。
﹁ほお⋮⋮﹂
監督はもう一度うつむいたが、顔を上げて言った。
﹁ ①よし、行ってこい!﹂
言い終えると力強くコートをにらんだ。 問 ――線①を言っている監督の心境の説明として最もふ
さわしいものを、次の中から一つ選んで記号で答えなさ
い。
ア 選手のケガのことを多少心配しながらも、全力でのぞ
むよう応援している。
イ 選手の技術がどうしても信用できず、送り出したこと
を後悔している。
ウ 選手の国籍がばれることが心配で、力強く送り出しな
がらも気が気でない。
エ 選手のケガが治っていないことに気付いたが、覚悟を
決めて無事を祈っている。
解説はもういりませんね。しつこいようですが、次に、今の設
のアレンジ版です。
■ 例 題 2 B
次の文章を読んで、問いに答えなさい。黒田は先週の試合でケガをして、補欠になった。しかし、
今日の試合でまたケガ人が出てもう選手がいない。彼は監
第2回 入門編:小説2
দဥࡉུๅ
が出る﹂と名乗り出た。監督はうつむいて考え
った。
、大丈夫でしょ﹂彼は笑顔で先週怪我をした
ぐる回しながら監督に言った。が、その表情に
がみが走った。
の小さな変化を見のがさなかった。
う一度うつむいたが、顔を上げて言った。
行ってこい!﹂
ると祈るような表情になった。
①を言っている監督の心境の説明として最もふ
ものを、次の中から一つ選んで記号で答えなさ
ケガのことを多少心配しながらも、全力でのぞ
援している。
技術がどうしても信用できず、送り出したこと
ている。
国籍がばれることが心配で、力強く送り出しな
が気でない。
ケガが治っていないことに気付いたが、覚悟を
事を祈っている。
正解が変わりましたね。キーワード︵部分︶は﹁表情にかすかな
ゆがみが走った﹂﹁小さな変化を見のがさなかった﹂﹁祈るような表
情になった﹂などです。こうやって、心情を理解するための手がか
りが、文章に書き込まれているのです。
入 試 問 題 に 見 る セ リ フ の 表 裏
■ 例 題 3 長 崎 県 2 0 0 9 年 度
江戸時代、しっかり者の十一歳の少女、加代が、金持ち
の﹁笹屋の旦 だん那 な﹂嘉 か平 へいに、おじの信吉を養子にもらってく
れるように突然、頼み込む。
...
弟を抱いて、加代は、いきなり地面に片手を突いた。
﹁笹屋の旦那様⋮⋮お願い申します。兄ちゃんを貰 もらって
下さいまし﹂
দဥࡉུๅ
最後
に例
題3
の正
解を
書い
てお
きま
す。
問1
エ
問2
機械
に使
われ
てい
る︵
こと
。︶
問3
ア
問4
①
今の
世に
生き
てい
る人
間の
生き
様
②
人間
だか
らで
きる
こと
前回
の内
容も
あわ
せて
ポイ
ント
をま
とめ
ます
。
小 説
読 解
の ス
テ ッ
プ
0
﹁ 導
入 ﹂
か ら
メ モ
を 作
る
1
設 問
を 読
み ﹁
何 ﹂
を ﹁
ど う
﹂ 答
え る
か 、
に マ
ー ク
2
本 文
か ら
解 答
の 素
材 を
﹁ 探
す ﹂
3
解 答
す る
解 答
の ル
ー ル
1 ﹁
∼ 字
以 内
﹂ は
8 0
パ ー
セ ン
ト 以
上 書
く
2
指 定
が な
く て
も 文
中 の
言 葉
を 用
い る
小 説
の 基
本 パ
タ ー
ン
1
人 物
の 間
に 何
か ト
ラ ブ
ル が
あ る
2
事 件
が 起
こ る
3
状 態
が よ
く な
る
心 情
読 み
取 り
の ポ
イ ン
ト
1
セ リ
フ は
描 写
に よ
っ て
意 味
が 変
わ る
2
作 者
の 書
い た
地 の
文 の
描 写
3
セ リ
フ と
そ の
前 後
の 説
明
第2回 入門編:小説2
い じ
く そ
とて も面 倒く さい
∼
――
長崎 県の 粕寺 さん ご一 家