練習問題
川田恵介
問 1
エージェントとプリンシパルからなる組織を想定し、以下を仮定する。
• エージェントは貢献水準e= {0, 1}を選択する。
• 組織は、事業に成功した場合y、失敗した場合0の収入を挙げる。
• 組織が成功する確率は貢献水準によって決定され、貢献水準1の場合p1、貢献水準0の場合p0とする (p1> p0)。
• 貢献費用はc(0) = 0、c(1) = 1。
• プリンシパルの利得は、エージェントを雇用した場合は「組織の収入−エージェントへの報酬」、雇用 しなかった場合は「0」、として定義される。
• エージェントの利得は、プリンシパルに雇用された場合は「エージェントへの報酬−貢献費用」、雇用 されなかった場合は「A」、として定義される。
• プリンシパルは自身の利得最大化を目指して報酬契約を設定する。
• エージェントにとって、プリンシパルに雇用されることと雇用されないことが無差別な場合、雇用され
ることを選択する。同様に、貢献水準1を選ぶことと0を選ぶことが無差別な場合、貢献水準1を選択 する。
1-1 今、事業が成功したか否かに応じて報酬契約(w0:失敗した場合の報酬、w1:成功した場合の報酬)を 設定できるとする。この場合のエージェントのIC条件を記せ。
1-2 プリンシパルがエージェントに貢献水準1を選択されるような報酬契約を提示した場合のほうが、プリ
ンシパルの利得が高くなる条件を導出せよ。
1-3 1-2で求めた条件が成立しているとする。この場合のエージェントのIR条件を導出せよ。 1-4 プリンシパルの利得を最大にする報酬契約が満たすべき条件を導出せよ。
1-5 エージェントの利得を最大にする報酬契約が満たすべき条件を導出せよ。
問 2
今二人の就活生(Aさん, Bさん)、ある産業の企業に応募書類を送るか否かを決定する。
• 就活生Aのこの産業における生産性をyA、Bの生産性をyBであり、yA> yBを仮定する。
• 完全競争市場を想定し、就活生の賃金は、その産業に応募した就活生の期待生産性と等しくなる。
• この産業に応募する費用はtであるとする。 1
• 就活生aがこの産業で働いた場合内発的効用hAを、就活生bが働いた場合hBを感じる。
• この産業の企業に応募書類を送らなかった場合、就活生は他の産業における就職活動に多くの時間を割 くことができる。aさんが送らなかった場合の期待効用はAa、bさんが送らなかった場合の期待効用は Abである。
2-1 aさんだけが応募する均衡、aさんとbさんがともに応募する均衡、それぞれにおける賃金、利得を導
出せよ。
2-2 aさんとbさんの利得の総和が、aさんとbさんがともに応募する均衡に比べて、aさんだけが応募す
る均衡のほうが高くなる条件を求めよ。
2-3 aさんだけが応募する均衡が成立する条件を求めよ。
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