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molbio 20120110 02 最近の更新履歴 Dr Hishiki's classroom (日紫喜研究室)

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(1)

第13回  10 章 一人ひとりが主

役の未来へ(1)

コリンズ「遺伝子医療革命」を読む

日紫喜 光良

(2)

この章の構成

イントロ

遺伝子治療

幹細胞治療

究極の自己細胞治療

未来を可能にする

• 夢を悪夢にしないために

私たちがとるべき行動

(3)

遺伝子と疾患と治療(薬物療法)との関係

遺伝子治療

図で、左には細胞の形質/表現型(phenotype)を変える要因が列挙されている。遺伝子の 改変・変異だけでなく環境(environment)や細胞へのシグナル分子(signaling molecule) なども細胞の形質/表現型を変えるはたらき-その一部は病気の原因-になる。

薬物療法はこれらの要因の効果を抑制(supress)あるいは促進(enhance)する。そのよう にして、薬物治療は、遺伝子の機能を操作しているといえる。

図:http://www.tdi.ox.ac.uk/overview さまざまな要因

細胞

病気(disease, disorder)の発生・治癒は細胞の形質/表現 型の変化と対応している。

(4)

例: ADA 欠損症

遺伝子治療

薬物療法

(5)

遺伝子治療の目的

ADA変異による重症複合型免疫不全症

SCID)の場合:

ADA遺伝子の正常なコピーを(相当な量の)免疫 細胞に挿入し、感染を防ぐという免疫系本来の機 能を取り戻させる。

細胞に入るだけではダメで、ゲノムに組み込まれ て、機能する遺伝子とならなくてはいけない。

• RNAに転写されて、タンパク質に翻訳される。

本書310

(6)

遺伝子治療が行わないこと

患者の生殖細胞のDNAの改変

現在行われている遺伝子治療のやりかたではその可能 性はほとんどないといえる。

どのようにすればほぼ完全にその可能性がないといえる か、国際的な協調体制(ICH)の中でガイドラインが作られ つつある。

参考:「ICH見解:生殖細胞への遺伝子治療用ベクターの 意図しない組み込みリスクに対応するための基本的な考 え方」

山口照英「遺伝子治療薬の安全性確保のための課題:ICH活動 とICH見解(腫瘍溶解性ウイルス、生殖細胞への挿入リスク、ウ イルス/ウイルスベクターの体外排出のリスク)」より

– http://www.nihs.go.jp/cgtp/cgtp/sec1/Homepage%20PDFs/index1- j3%20PDF/0-11.pdf

• PMDA資料

– http://www.pmda.go.jp/ich/w/gtdg_07_04_06.pdf

(7)

生体外遺伝子治療

• 1.患者から造血幹細胞を取り出す。

骨髄穿刺→骨髄細胞

末梢血→造血幹細胞を選択

顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)による前処理が必

• 2.培養した細胞に遺伝子治療ベクターを加 える。

ウイルス

• 3.処理した細胞を患者の血液に戻す。

一部が骨髄に生着して増殖する。

本書310頁

(8)

生体内遺伝子治療

• 1.遺伝子治療ベクターを用意する。

• 2.遺伝子治療ベクターを患者に注射して標 的臓器に直接届ける

(9)

遺伝子治療の対象疾患

生体外遺伝子治療

造血細胞の疾患

血液疾患

免疫系の疾患

生体内遺伝子治療

その他の組織の疾患

(10)

遺伝子治療の壁

送達の問題

ウイルスをベクターとしてうまく運用できるか

細胞膜と核膜をDNAが通り抜けるために

標的細胞までDNAを届けるために

機能の問題

ウイルスがゲノム上の目的とする場所に組み込 まれ、機能(転写、翻訳されること)するかどうか

免疫反応の問題

ウイルスが組み込まれた細胞が免疫系に排除さ れる

本書313頁、318頁

ウイルスにかわる遺伝子 送達手段の必要性

自己幹細胞 の利用

(11)

重症複合型免疫不全症( SCID)

(12)

レーバー先天黒内障( LCA

(13)

幹細胞の特徴

自己複製能:幹細胞を再び作る

分化能:刺激によって別の種類の細胞に変わる。

幹細胞治療

本書318頁

http://www.kanazawa- u.ac.jp/~ganken/hirao- hp/works.html

図は金沢大学 がん進展制 御研究所 遺伝子・染色体構 築研究分野HPから。体性幹 細胞の例。

(14)

幹細胞の種類(分化能から)

全能性:受精卵と卵割初期(~8個程度)の胚

多能性:内部細胞塊

胎盤以外の人体のあらゆる組織

始原生殖細胞への分化に成功(20118月、京大)

「多能性幹細胞で作製した生殖細胞に由来するマウスの産出に成功- 生殖細胞形成メカニズムの解明、不妊症の原因究明などに貢献-」

多分化能性:体性幹細胞(成体幹細胞)

骨髄(造血幹細胞):血液細胞、免疫細胞、その他

心筋細胞にも分化

皮膚 毛根

腸管粘膜 神経 など

(15)

幹細胞株の樹立法

体外受精余剰胚から作るES細胞

胚盤胞から内部細胞塊を取り出し培養する

体細胞核移植

体細胞から取り出した核を、核を取り除いた卵母細胞に 挿入し、卵に刺激を加える →卵割を開始し、胚盤胞にな る場合がある。

ヒトの体細胞を核を取り除かない卵母細胞に挿入すると胚盤胞を 形成

– "Human oocytes reprogram somatic cells to a pluripotent state", Nature 478, 70–75 (06 October 2011)

人工多能性幹細胞(iPS細胞)

– 4種類の転写因子遺伝子を体細胞ゲノムに挿入 →多能 性を獲得

挿入する遺伝子の種類・数について新知見続出 本書320

(16)

ES 細胞を利用することの倫理性

• 人間の生命が授精の瞬間から始まるという 考えがある

• その一方で、体外受精の余剰胚は冷凍して 保存されるが、いずれ廃棄される。

廃棄するものからES細胞を作って治療に使うほ うが倫理的ではないか?

(17)

ES 細胞作製の倫理指針

米国の場合:ES細胞株への連邦資金拠出の ガイドライン

– ES細胞の作成は体外受精の余剰胚から作成し た細胞株に限る

提供者からの同意が必要 適切な動機

• 日本:文部科学省「ライフサイエンスにおける 生命倫理に関する取り組み」のHP→ヒトES 細胞研究

– http://www.lifescience.mext.go.jp/bioethics/hit o_es.html

(18)

ES 細胞を用いた治療の研究

• 脊髄の神経細胞(→脊髄損傷の治療)

• 膵臓の膵島β細胞(インスリンを分泌する細 胞)

• 脳の大脳基底核の神経細胞(→パーキンソン 病の治療)

(19)

ES 細胞を用いた治療の問題点

細胞の送達

免疫系による拒絶

• →自己細胞からの幹細胞作成への期待

体細胞核移植によるES細胞 – iPS細胞

(20)

体細胞核移植による全能性細胞株

体細胞から核を採取

核を取り除いた卵細胞に挿入 →発生開始

胚を別の個体の子宮に入れ て個体を発生させると、「生殖ク ローニング」(クローン動物の作成)となる。

生殖クローニングが成功した生物の例:

ヒツジ(ドリー)、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ

種間で容易さに差がある。 個体に何らかの異常が見つかる。

参考資料:小倉淳郎「動物を用いた体細胞核移植クローンの現状 について」(第29回生命倫理専門調査会 ヒアリング資料 平成16 年3月30日)

• http://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/life/haihu29/siryo6.pdf 究極の自己細胞治療

(21)

ヒト体細胞性核移植の倫理性

• 全能性細胞を子宮に戻すことが倫理に反す る。

• 子宮に戻すことが禁止されれば倫理に反しな い。

本書324

(22)

人工多能性幹細胞( iPS 細胞)

山中伸弥

• 卵子の細胞質で発現している遺伝子から4つ を選んでマウス皮膚細胞に挿入→多能性を 獲得

人工多能性幹細胞(iPS細胞)

• のち、必要な遺伝子の数は1個に減らすこと が可能になった。

(23)

iPS 細胞による治療

• 本人の細胞から作ることができる→拒絶反応 のリスクがない。

• 導入する遺伝子によっては発がんのリスクあ り。

• 臓器再生研究が行われている臓器の例:肝 臓、心臓、腎臓、膵島細胞、脳の神経細胞

• 生体外遺伝子治療との組み合わせ

(24)

将来何が実現されるか?

全ゲノム解析が300ドル(2020年)

• プロバイオティック調製ミルク(2028

スマート・シャツ(2035

• 状況反応性のうつ病に対するパーソナル薬 物療法(2055

パーキンソン病のiPS細胞とナノテク・ロボット による治療(2069

未来を可能にする/夢を悪夢にしないために/私たちがとるべき行動

(25)

変革を実現するために何が必要か?

研究への投資の増加

• 医療記録の電子データ化と個人情報の保護

政策

政策決定のスピード化

医療保険システムの改革:予防医療も補償 不正行為の取締り

医療従事者の教育

• 倫理的問題の健全な議論をする場をつくり権 威を与えること

未来を可能にする/夢を悪夢にしないために/私たちがとるべき行動

本書335338

参照

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