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WHO/UNICEF(2006 ) Meeting the MDG drinking -water and sanitation target

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第3章 JICAの協力の方向性

付録 2. 主要ドナー・国際機関の環境(大気・水)に対する取り組み

73 WHO/UNICEF(2006 ) Meeting the MDG drinking -water and sanitation target

74 カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム

75 2007 年憲法 56, 66, 67 条等で、土地利用計画・策定における公聴会の開催や、環境に影響を及ぼす恐れのある計画・その 実施における住民参加等がうたわれている。タイ憲法裁判所翻訳(2007 年憲法英訳):

http://www.concourt.or.th/download/Constitution2007byIFES.pdf

付録 4.地域別の環境管理の現状と優先課題

であることから、当該分野の協力においては、対象課題を明確化し、相手国機関のキャパシティを精査し た上で、実際の対策につながる道筋を踏まえた段階的な対応が必要である。具体的には、法制度の整備や モニタリング能力強化等の行政の対処能力向上や環境管理計画の策定に対する協力、下水道整備や維持・

管理計画に対する協力、特定の汚染物質に対する対処能力の向上等が考えられる。なお、本地域の多くの 国で、環境行政の地方分権化が進んでいることから、関係機関の業務所掌・責任範囲を明確にした上で協 力することが重要である。酸性雨やメコン川の環境汚染など、国境を越えた環境問題についても注意が必 要である。

4-1-2 東アジア (1) 人口・経済・社会状況

人口約 1 3 億人。 GNI は約 2 兆 7,000 億ドル。中国では近年著しい経済成長を遂げつつも、環境問題、格差の 拡大にともなう社会的不安定等国内にさまざまな問題を抱えている。モンゴルでは、依然として所得水準が低く、

貧困削減が大きな課題となっている。

中国では、インドネシアの PROPER をモデルとし、 1998 年より 5,000 を超える企業を対象とし、大気汚染、水質、

有害物質等に関する情報開示プログラム( Green Watch Program )の実施や、 2006 年には過去 10 年( 1996 2005 年)の中国環境保護に関する白書を発表するなど、環境問題への取り組みが進められている。

(2) 大気汚染に関する地域の概況

特にエネルギーの 80 %弱を石炭に依存する中国で大気汚染が深刻となっており、工場の多くは国営である ことから、国による環境対策への取り組みが大きな課題である。沿岸部では経済発展による貨物自動車等車両 等の増加にともない排ガス等の増加が顕著となり、また、特に長江以南に分布して発生している酸性雨や、人 為的影響によるものと認識されつつある黄砂の問題等も深刻である。

(3) 水質汚濁に関する地域の概況

中国では急速な経済発展を遂げる一方で、工業化、及び都市部の人口増加等に起因する、水質汚濁等の 環境問題が深刻化している。同国では河川の総流域面積が全国土の 45 %、流域人口は総人口の 90 %を占 めており、 2001 年には 7 大水系

76

全体の 7 割で重度汚染が報告されるなど、都市部だけでなく、農村部におい ても深刻な問題となっている。また、全国 130 ヵ 所の湖沼調査では、 51 ヵ 所の湖沼で富栄養化が確認されてい る

77

(4) JICAの協力方針

実質的に対象国は中国とモンゴルのみであり、かつ、両国の置かれた状況は大きく異なることから、基本的 には国ごとに対応していく必要がある。中国については、急速な経済発展にともない深刻な環境問題が各地 で生じているが、他方で関係行政機関の対処能力も強化されつつある。今後は、日本の経験・技術がより生か せる分野を中心に、「日中友好環境保全センター」の拠点としての役割を活用し、実施中円借款案件の推進と 技術協力との連携を重視しつつ、日中共同で、中国の環境管理体制の強化をはかっていくことが重要である。

モンゴルにおいては人口が集中するウランバートル市において水、大気の汚染が深刻化しており、都市の環

76長江、黄河、珠江、松花江、淮河、海河、遼河

77劉啓明(2003)「中国農村地域の水環境の汚染問題」海外農業農村開発技術センター発行

ARDEC

(2003 年 2 月号)

付録 4.地域別の環境管理の現状と優先課題

境管理基盤強化のための協力が必要になっている。なお、中国については、我が国との距離も近く、気候変 動、黄砂、酸性雨など国境を越えた環境問題について、連携した取り組みを行うことが重要である。

4-1-3 大洋州 (1) 人口・経済・社会状況

人口約

900

万人、

GNI

は約

107

億ドルである。国土が広大な地域に散らばり、国内市場が小さく、国 際市場から地理的に遠い等、開発上の困難を抱えている。さらに、一次産業依存型経済であることから、

天災や国際市況といった外的要因に対して脆弱である。経済・社会基盤(

BHN

)の整備、行政サービス の向上と公共部門の縮小等が課題となっている。

(2) 大気汚染に関する地域の概況

フィジーのスバを除き深刻な問題とはなっていないが、車両の増加にともない大気汚染が顕在化中である。

(3) 水質汚濁に関する地域の概況

貧困地域が多く、非衛生的な廃棄物管理等による汚水に起因する水源での水質汚濁が問題となっており、

安全な飲料水の確保が急務となっている。また、観光客の増加による海域の水質汚濁が引き起こす観光資源

(珊瑚礁等)の劣化も大きな課題である。

(4) JICAの協力方針

大洋州諸国では、不適切な廃棄物管理や生活排水処理などによる飲料水源の水質汚染対策を重視する。

ただし、一般的に国の規模は小さく、環境行政も弱体であることに留意する。海抜が低い地域での協力に際し ては、海面上昇等温暖化の影響にも配慮する。

4-2 南西アジア

(1) 人口・経済・社会状況

人口約 15 億であるが、世界の貧困人口(貧困ライン: 1 米ドル/日以下の所得)の約半数を抱えている。人口 増加率はアフリカ地域・中東地域に次ぐ 1.5 %。 GNI は 1 兆 1,400 億ドルであり、経済成長率( GDP :国内総生 産の成長率)は 8.5 %と高いものの、一人あたり GNI は依然低い

78

。高い人口成長率、急速な郊外化、汚染物質 排出産業の進出に対処する環境管理体制の欠如により、経済・環境リスクが増大している。拡大する中小企業 への規制対策も課題となっている。経済成長とともに環境意識の高まりもみられ、例えばインドでは、環境情報 へのアクセス権を保障する法律( Right of Information Act

79

)が制定されている。

(2) 大気汚染に関する地域の概況

石炭燃料の使用や生産設備の老朽化、インフラ設備の未整備による汚染がみられる。特にインド、パキスタ

78 一人あたり GNI(WDI2007): 東南アジア・東アジア・大洋州 1,863 ドル、南西アジア 766 ドル、中米・カリブ・南米 4,767 ドル、サブサハラ・アフリカ 842 ドル、中東・北アフリカ 2,481 ドル、欧州・中央アジア 4,796 ドル

79 2005 年 6 月制定、同年 10 月施行

付録 4.地域別の環境管理の現状と優先課題

ンでは都市部における排ガスが深刻である。インドでは最高裁でさまざまな排出規制判決

80

が出されている。

ネパールでは道路未整備による砂塵飛散、パキスタンやバングラデシュではレンガ焼き炉からの排ガスも問 題となっている。

(3)水質汚濁に関する地域の概況

人口増加率は中東・アフリカ地域に次ぐ高さであり、かつ一人あたり利用可能な淡水資源量は 2,777 ㎥で中 東北アフリカに次ぐ低さにあり、淡水資源が欠乏している。改善された衛生設備へアクセス可能な人口比率は 37 %と、全世界でも最低の値である。浄水設備の適切な維持管理が欠如しており、水道水汚染による下痢や 寄生虫病が 2 大水系伝染病となっている。また、地下水の砒素含有(バングラデシュ、インド西ベンガル州で 報告)や、飲料水のフッ化物含有問題がある。水生生物種の宝庫である湿地周辺開発問題も進行している。

(4)JICAの協力方針

インドを中心に経済発展が続いているが、一般的に経済成長率は比較的高いものの、一人あたり GNI は低 位であるため、各国の経済水準や優先度に基づき、相手側の受入れ能力に留意しつつ、持続性を意識した支 援を選択的に実施していく。一人あたり利用可能な水資源量が他地域に比して少ないことから、特に下水道整

備や維持・管理計画への支援等、水質汚濁への対応を中心に検討していく。

特に、パキスタンでは、無償資金協力による環境モニタリング施設・機材の供与と技術協力を連携させる。

4-3 中米・カリブ、南米

(1) 人口・経済・社会状況

人口約 5 億 6,000 万人。人口の 4 分の 3 が都市部に居住(途上国グループで最大比率)。 GNI は 2 兆 8,600 億ドル(中進国の存在)で地域格差が大きい。内戦による、国土荒廃及び社会的インフラ整備の遅れや、公共 サービスに対する国民のコスト意識の低さがみられる。 1970 年代半ばから 1990 年代初期には command-and-control (指揮管理)方式の各種規制の設定により、環境関連政府機関の設置や、環境と自然資 源管理に対するガバナンス・アプローチが採用されたが、柔軟性の欠如、地域社会の特性や少数民族への考 慮が不十分であるとの批判を受け、 1990 年代後半からはより効率性・費用対効果の高い各種環境規制の導入 の試み(グアテマラ、エルサルバドル等)や、さまざまなステークホルダーとのコンサルテーション推進(ブラジ ル、メキシコ、コロンビア等)が見られる。

(2) 大気汚染に関する地域の概況

都市流入による人口増加、及びそれにともなう車両増加により、ガソリンやディーゼル等燃料の質に改善は みられるものの、都市部における排ガス等による大気汚染及びそれにともなう健康被害が増加し続けている。

ブラジルのサンパウロではすり鉢状の地形にあって中心地へ集中する道路網であり、メキシコのメキシコシテ ィ、チリのサンティアゴでは盆地状のため、大気の拡散が小さく、深刻な大気汚染が生じている。

80判決の内容については、国際協力機構/国際協力総合研修所(2005)『開発課題に対する効果的アプローチ(大気汚染)』

P.108 参照。

ドキュメント内 <4D F736F F D208AC28BAB8AC7979D C8E A548ACF2E646F63> (ページ 129-135)