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OKUMURA, “Generalized-ensemble molecular dynamics simulation of a peptide by GEMB program II,” 2009 NCTS June Workshop on Critical Phenomena and Complex Systems, Taipei (Taiwan), June 2009

ドキュメント内 「分子研リポート2009」 (ページ 154-162)

2-6 財  政

December 5 Departure

H. OKUMURA, “Generalized-ensemble molecular dynamics simulation of a peptide by GEMB program II,” 2009 NCTS June Workshop on Critical Phenomena and Complex Systems, Taipei (Taiwan), June 2009

奥村久士 ,.「新しい拡張アンサンブル分子動力学法の生体系への応用:マルチバーリック・マルチサーマル法と部分的マル チカノニカル法」,.九州大学大学院理学府化学専攻 ,.2009年 11月.

B -8). 競争的資金

文部科学省科研費若手研究 ( B ) ,.「ナノスケールの非定常流を記述する流体力学の統計力学的検証」,. 奥村久士. (2005年 – 2007年 ).

C ). 研究活動の課題と展望

私がこれまでに開発した部分的マルチカノニカル法や剛体分子のシンプレクティック解法を用いれば全原子モデルでのタン パク質の折りたたみシミュレーションが実現できるのではないかと考えている。そこでプロテイン G の折りたたみシミュレーショ ンに挑戦したい。これは 56 残基からなるタンパク質でaへリックス構造とbシート構造の両方を持っている。このシミュレーショ ンをおこない,全原子モデルによるタンパク質の折りたたみを世界で初めて成功させたい。また,フォールディング病の原因 タンパク質の研究もおこないたい。フォールディング病の1つである透析アミロイドーシスの原因はb2ミクログロブリンである。

最近の実験的によるとアミロイド形成時には 29 番目のグリシン残基が反転している。この実験に対応するシミュレーションを おこない,何が原因なのか解明したい。またマルチバーリック・マルチサーマルシミュレーションをおこない高圧下での構造 変化も議論したい。

石 田 干 城(助教) (2004 年 11 月 1 日着任)

A -1).専門領域:理論化学,計算化学

A -2).研究課題:

a). 溶液内光励起反応過程の理論研究 b).分子動力学法に基づくイオン液体の研究

A -3).研究活動の概略と主な成果

a). 励起後特に約数十から数百フェムト秒前後で起こっているとされている励起状態における電子移動反応プロセスや 溶媒和過程の解析を可能にするため,溶媒分子の並進及び回転運動の効果をも取り入れた形での溶質分子周辺の溶 媒分子の分布関数を時間依存形式として定式化することを可能にした。これらの拡張された方法論と,時間依存 R I S M - S C F 法を用いることにより,溶質分子の電子状態に関する時間依存変化を記述する方法とを組み合わせ,溶 質分子としての色素分子の光励起電子移動反応プロセスの研究に応用した。その結果より,提案した方法論は溶液 内色素分子における光励起後の分子内電子移動反応過程の詳細な記述に有用であることがわかった。さらに短パル スレーザーによる分光実験データ等による報告例と比較したところ,分子内電子移動反応に必要とされる時間の見 積もりと非常によい一致が見られることが示された。また,励起状態での電子移動反応過程について従来から提唱 されてきた分子内構造変化が起点となる反応過程とは異なり,分子内での電子移動反応が構造変化に先だって起こ る過程が存在することも初めて示された。

b).イオン液体は陽イオンと陰イオンのペアで構成され,イオン分子間の相互作用の特性を分子レベルで理解することが 最重要課題の一つであると考えられる。特に,イオン液体中でのダイナミックスなどを実験観測する際には異なるイ オン種間の相互作用や分子内自由度の効果が顕著に表れることが期待される。しかしながら,実験データからこのよ うな効果について直接分子レベルでの解釈を試みることは困難であり,さらなる理解のためにはコンピュータ・シミュ レーションによる研究との比較・検討が有用である。従って,分子動力学シミュレーションの手法を用いることでイ オン液体中における陽イオン,および陰イオンの挙動に関して解析を行い,さらに実験観測との共同研究をとおして イオン間相互作用の特性についての研究を行った。研究結果より,イオン間相互作用の違いが超高速ダイナミックス の測定実験による観測スペクトルの強度の違いに大きく表れていることが始めて示された。またこれらの実験との共 同研究の結果はイオン液体中の陽・陰イオンの大きさの違いがイオン間相互作用ポテンシャルの違いに顕著に表れ,

イオン液体の挙動を制御する際の指針となっていることを暗に示していることも明らかになった。

B -1). 学術論文

T. ISHIDA, “Solvent Motions and Solvation Processes in a Short-Time Regime: Effects on Excited State Intramolecular Processes in Solution,” J. Phys. Chem. B, 113, 9255–9264 (2009).

T. ISHIDA, K. NISHIKAWA and H. SHIROTA, “Atom Substitution Effects of [XF6] in Ionic Liquids. 2. Theoretical Study,”

J. Phys. Chem. B 113, 9840–9851 (2009).

H. SHIROTA, K. NISHIKAWA and T. ISHIDA, “Atom Substitution Effects of [XF6] in Ionic Liquids. 1. Experimental Study,” J. Phys. Chem. B 113, 9831–9839 (2009).

B -4). 招待講演

T. ISHIDA, “Theoretical Investigation of Ionic Liquids: The Dynamical Behavior of Ions through Interionic Interactions,” 6th International Discussion Meeting on Relaxations in Complex Systems, Rome (Italy), August–September 2009.

B -10).競争的資金

文部科学省科研費特定領域研究(公募研究)「溶液内光励起反応プロセス,. と溶媒効果」,.石田干城.(2007年 ).

文部科学省科研費特定領域研究(公募研究),.「溶液内光励起反応プロセスと溶媒和ダイナミックス」,. 石田干城. (2008年 – 2009年 ).

文部科学省科研費特定領域研究(公募研究)「分子動力学法によ,. るイオン液体の理論的研究」,.石田干城.(2008年 –2009年 ).

C ). 研究活動の課題と展望

本年度は溶液内における光励起後の分子内電子移動反応の解析に必要な方法論に関する研究と,イオン液体中でのイオン 間ダイナミックスの分子動力学法による解析の2つを中心にして研究活動を計画し,行った。溶液内色素分子における励起 状態での分子内電子移動反応の研究においては理論的方法の拡張により計算効率の改善が可能となり,色素分子のような 比較的大きな分子を対象とした研究にも応用することが可能となり,多くの知見と進展を得ることができた。今後はさらに金 属錯体や生体分子系へと展開していきたい。また,イオン液体の研究については対象となる系の本質を探究するための方法 と理論研究としての着眼点が明らかになり,実験研究との共同研究を通して発展させることができた。今後もさらにイオン液

体のもつ特性を制御するための鍵となる物理的因子の研究を進めていきたい。

6-3 光分子科学研究領域

光分子科学第一研究部門

岡 本 裕 巳(教授) (2000 年 11 月 1 日着任)

A -1).専門領域:分子分光学,物理化学

A -2).研究課題:

a). 先端的な近接場分光法の開発

b).メソスコピックな構造を持つ有機分子集合体の構造とダイナミクスの観測 c). 金属微粒子の素励起波動関数のイメージングと微粒子内ダイナミクス d).金属微粒子及びその凝集体,配列体における電場増強効果と相互作用

A -3).研究活動の概略と主な成果

a). 分子・分子集合体におけるナノ構造の観察と,特徴的な光学的性質,励起状態の(超)高速ダイナミクス等を探る ための,近接場時間分解分光装置の開発を行い,並行して試料の測定を行っている。基本的な測定システムは既に 数年前に完成し,光学像の横方向分解能は 50. nm 程度,時間分解能は 100. f s 以上を同時に実現している。現在は,

更に短いレーザーパルスと空間位相変調による分散補償を導入した装置を開発しており,近接場で 20. f s レベルの超 高速測定が今少しで可能となる段階に来ている。これにより金微粒子のプラズモンの緩和を,近接場領域で実時間 で観測すること等が可能になると予測している。

b).所内外との共同研究として,L B 膜を生成する共役高分子化合物,糖鎖とカーボンナノチューブの複合体等に関して,

近接場分光法に基づいた研究を進行中である。ポリジアセチレン L B 膜では,膜の色相の差によるモルフォロジーの 違いや近接場光照射による構造変化,多光子重合反応を見いだし,解析を進めた。またポリジアセチレン膜を有す る金属微粒子の,キャラクタリゼーションに関する共同研究を開始した。糖鎖とカーボンナノチューブの複合体では,

ナノチューブ単体では見られない特徴的な分光学的性質の解析を行った。

c).各種形状金属微粒子の分光及びダイナミクスの測定を,単一微粒子内で空間を分解して行っている。貴金属微粒子 の近接場分光測定により,プラズモンモードの波動関数の二乗振幅に対応するイメージが得られることを見いだして いたが,その理論的解釈について,所外との共同研究を行い,微粒子と近接場測定系との相互作用に関する進んだ 解釈が可能となりつつある。また電子線描画による2次元金属ナノ構造で,プラズモン共鳴の特性の解明と制御を目 指した研究を行い,特徴的なプラズモンモードのイメージングや,ある種の金属微粒子で近接場光が異常に強く透 過するなど,興味深い光学特性を見いだし,その起源も理論解析によりほぼ明らかとなっている。

d).貴金属微粒子を凝集・配列した試料の近接場領域での光学的性質に関する研究を,所外との共同研究で行っている。

我々は近接場イメージングによって,微粒子凝集体における微粒子間空隙に生じる強い光電場とその表面増強ラマ ン散乱への寄与を,初めて実験的に実証することに成功している。これを発展させ,微粒子の形状・サイズと凝集 状態による電場増強の違い,微粒子間の電磁気学的な相互作用,周囲のクロモフォア分子との相互作用に関して研 究を進めている。また金属微粒子を用いた新たなイメージング法の開発,光反応場の研究への展開の可能性を探っ ている。

ドキュメント内 「分子研リポート2009」 (ページ 154-162)

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