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Johnson & Johnston Associates Inc., v

ドキュメント内 US Patent Proceeding (ページ 57-67)

R.E. Service Co., Inc. and Mark Frater  

CAFC大法廷判決  Decided: 2002 年 03 月 28 日 

Summarized by Tatsuo YABE

 

on April 09, 2002

Revised on April 14, 2002

  

###############以下判決文要約##############

 

判決主文: 

カリフォルニア州北部地区地裁の判決(RES が鋼製基板を使用する行為は Johnston の米国特許第 5,153,050 号を均等論適用の基に故意侵害と判断する)を取消す。

 

背景: 

Johnston は米国特許第 5,153,050 号を基に RES をカリフォルニア地裁に提訴した。 当該地裁において 陪審は、被告 RES は均等論の基に当該 050 特許を故意侵害しているとし、Johnston に対して

1,138,764 米国ドルの損害賠償額の支払を命じる評決に至った。 当該地裁の判決では損害賠償額が 増大されるとともに、弁護士費用その他の支払が RES に課せられた。  Johnson & Johnston Accocs. v. 

R.E. Serc. Co., No. C97-04382 CRB (N.D. Cal. 1998)   本 CAFC における 3 人の判事の前での口答陳述 が 1999 年 12 月 7 日に実施され、当法廷は均等論に関する問題に関して大法廷での口答審理を実施 することを決定した。  Johnson & Johnston Assocs. v. R.E. Serv. Co., 238 F.3d 1347 (Fed. Cir. 2001)。 

大法廷における口答審理は 2001 年 10 月 3 日に行われた。

 

   

問題となった特許: 

米国特許第 5,153,050 号(発行日: 1992 年 10 月 6 日)

 

プリント基板の製造に関する特許であり、特に作業者が手で取り扱うときの損傷を防止するための脆 い銅製のホイルをより剛性のあるアルミの基板シートに接着することをクレームしている。 当該アルミ 基板シートによって作業者は脆い銅製のホイルの損傷することなく取り扱うことができ、加熱ステップを 経た後は、当該アルミ製の基板シートを取外し再使用することが可能である。

 

以下図 5 を参照下さい:

 

 

 

Ci: 保護された銅製のホイール内側面

 

Ai: アルミ製基板の内側面

 

40:   バンド状で柔軟な接着部(アルミ基板と銅製ホイールを接着する)

 

CZ: 上記によって生成される保護された中央領域

     

050 特許の明細書コラム 8 の 21−30 行目には、さらに、基板の材料に関して以下のように記載されて いる:

 

アルミは基板に好適な材料であるが、それ以外の材料、例えば、ステンレス鋼或いはニッケル合金な ども使用可能である。 所定の状況下では………、ポリプロピレンも使用可能である。

 

クレーム 1 は以下の通りである:

 

1. A component for use in manufacturing articles such as printed circuit boards comprising:

 

a laminate constructed of a sheet of copper foil which, in a finished printed circuit board, constitutes  a functional element and a sheet of aluminum which constitutes a discardable element;

 

one surface of each of the copper sheet and the aluminum sheet being essentially uncontaminated  and engageable with each other at an interface,

 

a band of flexible adhesive joining the uncontaminated surfaces of the sheets together at their  borders and defining a substantially uncontaminated central zone inwardly of the edges of the sheets  and unjoined at the interface. 

 

  判決文の抄訳: 

 (I)  

1997 年から RES はプリント基板をアルミ基板の代わりに鋼製の基板を用いて製造していた。 Johnston は侵害の訴えをカリフォルニア州北部地区地裁に起こした。

 

RES は均等論の適用に関してMaxwell 判決を引用し、Johnston の 050 特許は鋼製基板を開示してい るがクレームしていないので、鋼製基板は公共に与えられたものであると主張した。

 

Johnston はYBM 判決を引用し、鋼製の基板は公共に与えられたものではないと反論した。

 

   

(II)  

控訴において RES は銅 − 鋼製基板の積層体と銅 − アルミ製基板の積層体との均等性に対する 事実認定に対して不服を申し立てなかった。 しかし Maxwell 事件を引用し、Johnston は鋼製の基板を クレームせずに、クレームをアルミ製基板に特定したので、このクレームされなかった主題は公共に与 えられたものであると主張した。 Johnston は YBM 事件を引用し、鋼製の基板は公共に与えられたも のではないと反論した。 即ち、両当事者は本事件における均等論の適用に関して Maxwell 判決或い は YBM 判決のどちらを適用するのかを論争している。

 

Maxwell 事件の特許は、ペアとなる靴を一対の状態に維持しておくためのシステムに関しクレームして いる。Maxwell は靴の内ソールと外ソールとの間に設けられた締結タブをクレームしたが、締結タブを裏 地の縫目に縫いつける実施形態を開示したがクレームしなかった(米国特許第 4,624,060 号)。   開示 されたがクレームされなかった主題は公共に与えられたものであるとする確立された規則によって、

Baker 社は、開示されたがクレームされなかった主題を使用することによって当該特許を侵害すること はできないとした。  Maxwell, 86 F.3d at 1106 (quoting Unique Concepts, Inc. v. Brown, 939 F.2d 1558,  1562-63, 19 USPQ2d 1500, 1504 (Fed. Cir. 1991)

 

YBM 事件において、問題となる特許は特定組成(酸素含有量 6000〜35000PPM)を含む磁石合金をク レームしている。 被疑侵害社は類似した磁石合金を使用しており、被疑侵害物は 439 特許に開示され ているがクレームされていないとされる 5450〜6000PPM の酸素含有量を備えている。 YBM 事件にお いて、当法廷は、Maxwell 判決は引用されたがクレームされなかった主題には均等論の適用が及ばな いとする新しいルールを決めたものではないと述べた。 Maxwell 事件と識別するべく、当法廷は、以下 のように説明した:

 

Maxwell は、クレームされた形態と識別されるクレームされていない代替案の審査を回避した。 明細書 に十分に開示された2つの実施形態が明白に識別されるものなので連邦裁判所は Maxwell がクレーム されていない形態をクレームされた形態の均等物であるとして特許権を行使するのを否定した。

 

即ち、YBM 事件は、Maxwell 判決をクレームされた発明から識別されるクレームされていない代替案を 特許明細書が開示している状況において限定的に適用すると述べた。

 

   

(III)  

最高裁及び当法廷では、特許の保護範囲を定義するクレームの原理に基づいて判断している。 クレ ームは特許の保護範囲を通知するものである。 クレームは審査中における米国特許庁審査官に対す る通知の機能と、特許発行後潜在的な競合他社を含む公共に対する通知の機能を果たしている。 結 局は明細書の開示ではなくクレームが特許権者の排他権に対する指針を与える。

 

さらに、侵害法(侵害の法理)は被疑侵害物と裁判所で権利範囲が解釈されたクレームとを比較するこ とである。 文言上或いは均等論適用の有無に拘わらず、侵害は被疑侵害品と明細書の好適実施形 態或いは特許権者の市場での実施形態とを比較することによって判断されるものではない。

 

クレームされていないものは公共の所有物である。 クレームされていないものは特許権者によって発 明されておらず、発明の前に既に周知であり使用されていたという推定を受ける、そして、そのような推 定は一般的に真である。 それがどちらであれ、発明者自身の行為によって、それ(クレームされていな い主題)を公共の所有物にしたのである。 特許は、発行されるやいなやその証拠となる。 公共は疑う ことなくそれ(特許で明確にクレームされていない主題)を使用することができる権利を有する。

 

均等論は特許クレームの排他権を文言の権利範囲より拡大する。  最高裁は Graver Tank & Mfg. Co. 

v. Linde Air Prods. Co (Graver II)において近代の均等論を最初に適用した。  当該事件において最高 裁は「均等は特許の内容、先行技術、及び、その事件の独自性に鑑みて決定されなければならない」

と言及した。 (中略) 最高裁の判示及び Graver II の経緯によると、特許権者はクレームしていない主 題を公共に提供しなかった。 関連するクレームは広すぎると裁判所は判示したが、事実、特許権者は 均等物主題をクレームした。

 

1997 年(Maxwell 判決後 1 年以内)に最高裁は Warner-Jenkinson 事件において均等論に関して言及し た。 当該裁判において Warner-Jenkinson は最高裁に均等論の適用の禁止を言及せしめようと誘導を 試みた。 最高裁はその誘導に応じなかった。 特許権者である Warner−Jenkison は審査経過中 に ph の下限値を 6.0 に補正した。 被疑侵害品は ph 5.0 における濾過手法にて作動している。 最 高裁は、下限値を ph  6.0 に補正したこと自体がクレームの重要な構成要素になる、しかし、それ自体 によって当該補正された要件に対して均等論の適用を必ずしも否定することにはならないと言及した。 

当最高裁は、審査経過において ph  を 6.0 に補正した特許権者の理由を判断するために本法廷に差 戻した。

 

Warner-Jenkinson の発行された特許には超濾過プロセスにおける混合物の  ph  が 5.0 であることを 開示或いは示唆していなかった。 事実、当該特許明細書にはクレームされた ph 域(ph 6.0-8.0)が好 適な ph 域であると記載されていた (米国特許第 4,560,746 号コラム7の 59−61 行目参照)。  このよう に Warner - Jenkinson は特許権者が明細書に開示しているがクレームされていない主題が公共に提 供されているという本事件の争点に関して言及していない。

 

上記した Warner-Jenkinson 事件後 1 年以内に本 CAFC 法廷において YBM 事件が判決された。

 

   

(V)  

Maxwell 判決で言及されているように、特許明細書起案者が開示するがクレームすることを避ける主題 がある場合に、この行為自体によって当該クレームされていない主題は公共に提供されたことになる。 

このように意図的にクレームされなかった主題に均等論を適用して後に取り返そうとすることは特許権 者の排他権の範囲を定義するという最も重要なクレームの機能と矛盾する。  Sage Prods. Inc. v. 

Devon Indus., Inc., 126 F. 3d 1420, 1424, 44 USPQ2d 1103, 1107 (Fed. Cir. 1997)

 

公共が侵害を回避するために依存するクレームの重要な構造及び機能限定を解除するように均等論 を適用することはできない。

 

特許権者は米国特許庁での入念な審査を避けるべく発明を狭くクレームし、権利行使をするときに明 細書に均等物を開示しているとして均等論を適用し侵害とすることはできない。 もしそれが可能である

ドキュメント内 US Patent Proceeding (ページ 57-67)