本県では現在,仙台市設置局(将監局等 6 局),県設 置局(名取自排局等 3 局),石巻市設置局(八幡町交差 点局)の計 10 局で自動車排出ガスによる汚染状況の常 時監視を行っている。そこで,沿道における NO2濃度 と自動車交通量の関連を解明するため,NO2の日平均値 の年間 98%値が環境基準のゾーン下限値 0.04ppm を達 成しているか,すなわち県の自動車交通環境負荷低減計 画の環境目標でもある環境基準のゾーン下限値の達成状 況について,昭和 60 年度から平成 17 年度までの 21 年 間にわたり自動車排出ガス測定局の測定結果を調べた。
2.2 結果および考察
2.2.1 平日の昼間 12 時間の自動車交通量
自動車排出ガス測定局直近における自動車交通量 は,平成 11 年度の交通センサスによる平日の昼間 12 時間の自動車類交通量を調べると,将監局 49,600(台 /12h),台原局 42,200(台 /12h),名取自排局 36,100(台 表 1 Calm 時の平均濃度と平日 12 時間の交通量の相関係数
(データ数は,7 調査地点の平均データ数であり,約 1 ヶ月のうち何時間が Calm だったかを示す)
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/12h),東六局・苦竹局 30,500(台 /12h),八幡町交差 点局 23,100(台 /12h),五橋局 22,700(台 /12h),長命局 22,200(台 /12h),塩釜自排局 21,600(台 /12h),木町局 18,300(台 /12h),古川自排局 18,000(台 /12h)であった。
このうち東六局は平成 11 年度までの測定であり,将監局 は平成 10 年度までは泉-2 局の名称であった。
2.2.2 環境基準のゾーン下限値の達成率
(泉-2 局,将監局,台原局,名取自排局,東六局,苦 竹局)の自動車交通量が多いグループと,(八幡町交差点 局,五橋局,長命局,塩釜自排局,木町局,古川自排局)
の自動車交通量が少ないグループとでは,環境基準のゾー ン下限値の達成率が 2%(2/87)と 55%(53/97)であり その達成状況は大きく異なっていた(図 1)。なかでも,平 成 12 年度から平成 17 年度までの 6 年間の自動車排出ガ ス測定局の測定結果は,自動車交通量が多いグループと 少ないグループの達成率が 9%(2/23)と 86%(30/35)
であり,環境基準のゾーン下限値の達成状況には明瞭な差 異があった。
2.2.3 自動車交通量の伸び率
平成 6 年度と平成 11 年度及び平成 17 年度の道路交通 センサスから,自動車排出ガス測定局直近における自動 車交通量の伸び率を調べたところ,平日の昼間 12 時間 では H11/H6 は 0.99 ~ 1.17 の範囲で平均は 1.08 であり,
H17/H11 は 0.75 ~ 1.11 の範囲で平均は 0.95 であった。
平日 24 時間も似たような伸び率であった。
2.2.4 環境基準のゾーン下限値の達成率に差異が 生じる原因
環境基準のゾーン下限値の達成率に差異が生じた原因 を調べたところ,① NOXの測定法が平成 9 年度に従来の 湿式から新たに乾式に切り替わったことと,②国の自動車 単体対策(自動車構造改善対策,低公害車等普及対策)
の効果が考えられた。平成 10 年度末以降,木町局と古川 自排局の更新をかわきりに,各局で順次乾式に変更され,
現在は計 6 局(台原局,名取自排局,長命局,塩釜自排局)
が乾式となっている。測定機が湿式から乾式に変わった際 に,測定結果が(- 0.013 ~+ 0.003)ppm の幅で変動し 平均は- 0.007ppm であった。また,資料1)によると,宮 城県内の自動車保有台数の推移(H9 ~ H16)は年々増加
している。一方,窒素酸化物排出量経年変化(H11,H14
~ H17)は年々減少傾向にあり,これは寄与率の最も大き い普通貨物の排出量減少と乗用車についての低公害車普 及によるとされている。
2.2.5 環境基準のゾーン下限値達成のスクリーニング 平成 11 年度の道路交通センサスの調査総括表を用い て,宮城県内(仙台市内を除く)の道路交通センサスの 調査単位区間について,NO2の環境基準のゾーン下限値 0.04ppm についての達成状況のスクリーニングを試み た。
平日の昼間 12 時間の自動車類交通量は,交通量が 多いグループは(将監局 49,600 台~苦竹局 30,500 台)
であり,交通量が少ないグループは(八幡町交差点局 23,100 台~古川自排局 18,000 台)である。
そこで 2.2.2 の結果を踏まえ,平日の昼間 12 時間の自 動車類交通量が 30,500 台以上の調査単位区間が,NO2
の環境基準のゾーン下限値 0.04ppm を超過すると推定 して道路交通センサスを調べたところ,仙台市を除く,
一般国道 4 号の 7 区間と一般国道 286 号の 1 区間,及び 主要地方道仙台松島線の 1 区間,主要地方道仙台塩釜線 の 1 区間の合計 10 調査単位区間であった。同様に,平 日の昼間 12 時間の自動車類交通量が(23,200 ~ 30,400)
台の調査単位区間が,NO2の環境基準のゾーン下限値 0.04ppm を達成するか不明と推定して道路交通センサス を調べたところ,仙台市を除く,東北縦貫自動車道弘 前線の 4 区間と一般国道 4 号の 2 区間,及び一般国道 45 号の 1 区間の合計 7 調査単位区間であった。最後に,
平日の昼間 12 時間の自動車類交通量が 23,100 台以下の 576 調査単位区間は,NO2の環境基準のゾーン下限値 0.04ppm を概ね達成すると推定される。
3 まとめ
3.1 大気環境測定車の収集データによる Calm 時の NOX濃度と自動車交通量
道路近傍での自動車排出ガスによる汚染状況は,気 象条件による拡散への影響が少ない Calm 時に的をしぼ ると,自動車交通量との関連性が考えられる。そこで,
道路交通センサスの自動車交通量データ(昼間,夜
図 1 二酸化窒素(NO2)の日平均値の年間 98%値の経年変化
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間)と,過去 7 年間の幹線道路周辺における Calm 時の NOX濃度(夏期,冬期)の関連を解析した結果,冬期 の夜間が危険率 1%で有意な相関があることがわかり,
これは大気安定度と拡散の面からも大いに頷ける結果 であった。
3.2 自 動 車 排 出 ガ ス 測 定 局 に お け る 二 酸 化 窒 素
(NO2)の環境基準達成状況と自動車交通量 沿道における NO2濃度と自動車交通量の関連を解明 するため,環境基準のゾーン下限値の達成状況につい て,昭和 60 年度から平成 17 年度までの 21 年間にわた る自動車排出ガス測定局の測定結果(NO2の日平均値の 年間 98%値)を解析した。その結果,平日の昼間 12 時 間の自動車交通量が 30,500 台以上のグループと,23,100 台以下のグループで達成状況に明瞭な差異があった。こ のことを踏まえて,宮城県内(仙台市内を除く)の道路
交通センサスの調査単位区間について,NO2の環境基準 のゾーン下限値 0.04ppm についての達成状況のスクリー ニングを試み,超過・達成の 2 グループとデータがない ため達成するか不明の計 3 グループに分類してみた。こ の分類結果を用いることにより,宮城県自動車交通環境 負荷低減計画の施策体系における交通流対策のうち,環 境基準の達成を目指したバイパス等の整備など道路網整 備対策に資することができる。
参考文献
1) 宮城県:宮城県自動車交通公害対策推進協議会検討 部会(平成 18 年 5 月 30 日に開催)
2) 宮城県:道路交通量調査総括表(平成 6 年度,平成 11 年度,平成 17 年度)
3) 宮城県:公害資料(昭和 60 年度~平成 17 年度)