本研究の提案手法では,プレイヤーが選手に対して指示を送った際に,どのような意図でどの ような指示を行ったのかをシステム側が理解する必要がある.そこで本研究で使用するゲームで は、それぞれの選手がどういう状況下にあるのかを認識するメタAI[31]を作った.
メタAIとはゲームシステムに宿るAI であり,ゲーム内に身体をもたないAI である.一般的 なゲームではメタAIが追加されることで,ユーザのスキルやゲーム進行を監視しながら,コンテ ンツを柔軟に生成・変化させていくことが可能となる.
本研究で使うゲーム内のメタAIが認識できる選手の状態は,すべてYESかNOかで答えられ る内容であり,その状態はゲーム中常に更新し続ける.選手が認識できる状態は以下の10通りで ある.
1. チームで一番ボールに近い 2. チームで二番目にボールに近い 3. 自分がボールを所持している 4. ボールを味方が所持している 5. 自分が敵陣にいるかどうか 6. 自分が右サイドにいるかどうか 7. 自分が左サイドにいるかどうか
8. 自分がセンターにいるかどうか
9. 自分が『上がれ』の指示を受けているかどうか 10. 自分が『下がれ』の指示を受けているかどうか
この10個の状態は22人の選手それぞれを対象に認識することができ,図3.1はある特定の選 手の状況を分かりやすく表示したものである.
図3.1 ステータスのイメージ
この研究では,各々の選手がどのような状態にあるかを表したものをステータスと呼ぶ.ス テータスは表3.1のように表す.選手IDとはそれぞれの選手を表す番号で,選手IDが1から11 の選手は指示が可能な味方チーム.選手IDが12から22の選手は敵対するチームの選手となる.
メタAIが認識できる状態に対して,YESの場合はYを,NOの場合はNを当てはめる.選手が 22人とメタAIが認識できる状態が10個あるため,この項目は全部で220項目あることになる.
このゲームではゲーム進行中,選手の状況を示したステータスを常に更新し続ける.このゲー
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ム進行中のステータスを現行ステータスと呼ぶ.
表3.1 ステータスを表にしたもの
選手ID
1 2 3 4 5 6 7 ... 22
1.チームで一番ボールに近い N N N N N Y N ... N 2.チームで二番目にボールに近い N N N N Y N N ... N 3.自分がボールを所持している N N N N Y N N ... N 4.ボールを味方が所持している Y Y Y Y Y Y Y ... N 5.自分が敵陣にいるかどうか Y Y Y N Y Y N ... N 6.自分が右サイドにいるかどうか N N N N N N N ... N 7.自分が左サイドにいるかどうか N N N N Y Y N ... N 8.自分がセンターにいるかどうか Y Y Y Y N N Y ... Y 9.自分が『上がれ』の指示を受けているかどうか Y Y Y Y Y Y Y ... N 10.自分が『下がれ』の指示を受けているかどうか N N N N N N N ... N
そしてプレイヤーが選手に対して指示を行う度に,その瞬間の現行ステータスを保存していく.
ここで保存されたステータスを保管ステータスと呼ぶ.保管ステータスはプレイヤーが指示を 行った回数分存在し,ステータスとは別にプレイヤーがそのとき何の指示を出したのかという情 報も同時に保存される.図3.2はステータスを保存していく過程のイメージである.この保管ス テータスを参考にし,自動指示を行うタイミングを決定する.
図3.2 ステータス保存のイメージ