5.3 本研究の限界点と発展計画
5.3.4 適用範囲の拡大
第3章の課題で述べたように,本研究で示した事例の観察対象チームの教員が担当する教科(す なわち,技術科と美術科)以外の教科を対象とする場合においても,授業研究で取り上げるべき題 材の条件が共通しているかどうかについては,本研究では確認できていない.また,第4章の課題 で述べたように,第4章では大学教員を対象とした実践による結果に基づいた結論を示したが,初 等・中等教育での実施や,授業形態が異なった場合や多様な経験年数の教員と協同で行う場合につ いても,本研究と同様の結論が得られるのかなどについて,確認することができていない.さらに,
数回シリーズで実践するタイプ,一学期に一度実施されるタイプ,ならびに短期集中型など,研修 には多様な形態が考え得るが,本研究で提案した方法がどのようなタイプの研修形態に適用できる か,より効果的な形態はどのようなものなのかなどについての検討も未着手である.
今後はこれまでの実践を類型化し,研修形態の対象を広げて実践を重ねながら,本研究の成果の 汎用性や有効性などについてさらに検証していく必要がある.
図5-2 内発的改善の基本サイクル(佐古 2006)
69 参考文献
秋田喜代美,佐藤学,岩川直樹(1991)教師の授業に関する実践的知識の成長 : 熟練教師と初任 教師の比較検討,発達心理学研究2(2),pp.88-98.
有馬道久(2014)授業過程における教師の視線行動と反省的思考に関する研究 : 熟練教師と初任 教師の比較を通して,広島大学大学院教育学研究科紀要,第一部, 学習開発関連領域 (63), pp.9-17.
木原俊行編集(2016)教育工学的な視点に基づく教師教育ハンドブック,p.13.
千々布敏弥(2016)第7章 現職教員を対象とする行政研修プログラムの改革,木原俊行・寺嶋浩 介・島田希編著,教育工学的アプローチによる教師教育—学び続ける教師を育てる・支えるー,
教育工学選書Ⅱ第10巻,ミネルヴァ書房,京都.pp.123-141.
坂本篤史(2013)協同的な省察場面を通した教師の学習過程,風間書房,東京.
島田希(2016)資料 教師教育に関係する学会や協議会等の動き,木原俊行・寺嶋浩介・島田希編 著,教育工学的アプローチによる教師教育-学び続ける教師を育てる・支える-,教育工学選 書Ⅱ第10巻,ミネルヴァ書房,京都,pp.209-219.
佐古秀一(2006)第10章 学校組織開発,篠原清昭編著,スクールマネジメント,ミネルヴァ書 房,京都,pp.155-175.
70
付 記
• 第2 章は,望月ほか(2011a, 2011b)で発表した研究を発展させて,その成果をまとめた望 月(2013a)に基づいている.
• 第3章は,望月ほか(2012, 2013b, 2014a)で発表した研究を発展させて,その成果をまとめ た望月(2015a)に基づいている.
• 第4章は,望月ほか(2014b, 2015b, 2015c)で発表した研究を発展させて,その成果をまと めた古田(2018)に基づいている.
古田紫帆(2018)授業認知の即時的な共有に基づく授業の再設計の事例研究,日本教育工学会 論文誌41(4)(印刷中).
望月紫帆・西之園晴夫・坪井良夫(2011a)チームで推進する授業研究の研修プログラムの事例研 究,第27回日本教育工学会第27回全国大会論文集,pp.557-558.
望月紫帆・西之園晴夫・坪井良夫(2011b)チームで推進する授業研究の研修プログラムの事例研 究Ⅱ,日本教育工学会研究報告集11(4),pp.15-18.
望月紫帆・西之園晴夫・坪井良夫(2012)多様な専門領域の教員同士による授業開発の事例研究,
日本教育実践学会第15回研究大会論文集,pp.106-107.
望月紫帆・西之園晴夫・坪井良夫(2013a)チームで推進する授業研究の研修プログラムの開発事 例,日本教育工学会論文誌37(1),pp.47-56.
望月紫帆・西之園晴夫・坪井良夫(2013b)多様な専門領域の教員同士による授業開発の事例研究
Ⅱ,日本教育工学会第29回全国大会論文集,pp.639-640.
望月紫帆・西之園晴夫・坪井良夫(2014a)多様な専門領域の教員同士による授業開発の事例研究
Ⅲ,日本教育工学会研究報告集 14(1),pp.163-166.
望月紫帆・高橋朋子・西之園晴夫・東郷多津(2014b)複数の観察者による即時的な授業認知を活 用した授業改善,日本教育工学会第30回大会論文集,pp.663-664.
望月紫帆・西之園晴夫・坪井良夫(2015a)異なる教科の教員同士による授業開発の事例研究,日 本教育工学会論文誌39(3),pp.181-190.
望月紫帆(2015b)授業鑑識力の向上を目的とした授業研究の類型化,日本教育工学会研究報告集 15(3),pp.43-46.
望月紫帆・高橋朋子・東郷多津・西之園晴夫(2015c)複数の観察者による即時的な授業認知を活
71
用した授業改善II,日本教育工学会第31回全国大会論文集,pp.125-126.