第四章 ケナフ靭皮繊維強化高分子複合材料の熱伝導特性に及ぼす繊維高次
3.3. ケナフ靭皮繊維強化ポリエチレンの熱的特性
3.3.2. ケナフ靭皮繊維強化ポリエチレンの熱伝導率に及ぼすルーメン構
影響
図4-22 のモデル図のように複合材料をPE とKF 細胞壁部およびルーメン
(空隙)の3相系とみなして、式(6)により複合材料の熱伝導率を推定した。結果
を図4-23に示す。なお、式中のλは熱伝導率、Vは体積分率を表し、下付の comは複合材料、KFはKFの細胞壁部、airは空気、lumenはルーメンをそれ ぞれ示す。
λcom=λPEVPE+λKFVKF+λairVlumen (6)
ルーメンの割合が増加するのに伴い、KF強化PE複合材料の熱伝導率が減 少することが分かる。また、KF含有率が同一の複合材料でもルーメン比率が 変わると熱伝導率が大きく変化することが分かる。さらに、ルーメン率 100
vol%と参照複合材料であるPEGBの値が一致している。つまり、空隙率によ
って複合材料の熱伝導率を制御できることが示唆される。したがって、KF強 化PEの熱伝導率はKF含有率だけで制御することは困難であり、目的に応じ たルーメンの大きさを設定した上、所定のルーメン構造を実現できる成形方法 を選択することが、複合材料の材料設計上非常に重要であると考えられる。
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図4-23 KF強化PEの熱伝導率に及ぼすKFルーメンの影響
図4-22 複合材料熱伝導率推定モデル
Porosity 0%
Porosity 10%
Porosity 30%
Porosity 50%
Porosity 100%
0.00 0.10 0.20 0.30 0.40 0.50 0.60
0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0
Thermal Cond. /W・m-1 ・K-1
Filler Content/vol%
PE PEKF
PEKFex PEGB
sl
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4. 結論
本研究で用いた KF の観察および押出成形工程による KF 形態の検討を行 った。また、KF強化PEの熱的特性について検討を行ったところ、以下のこ とが明らかになった。
KF寸法測定
・本研究で用いたKFは、繊維長は1.2~4.0 mmの範囲で分布し、最頻値は
2.2 mm、繊維幅は主に60~200 μmで分布し、最頻値は100 μm付近であっ
た。しかし、既存の研究より、押出成形工程により繊維長の分布が短繊維側 へシフトすることが示唆される。
・本研究で用いたKFルーメンサイズは0~100 μm2の範囲で分布し、最頻
値は10 μm2、繊維サイズに対するルーメンサイズの割合は0~0.3で分布
し、最頻値は0.04付近であった。既存の研究より、押出成形工程より繊維幅 の分布の広がりが狭まることが示唆される。
KF強化PEの密度測定およびKFルーメン観察
・マトリックスポリマーをPEとしたKF強化PEの密度測定より、熱キシ レンを用いた溶媒法と2軸押出機を用いた押出成形法では、KF含有率に対 する複合材料の密度の依存性に違いが見られた。つまり、成形方法によっ て、複合材料内のKFルーメン形状が変化をすることによる空隙率の違いに よるものだと示唆された。
・溶媒法を用いて作製したPEKF_sl内のKFのかさ密度は約1.2 ~ 1.3 g・
cm-3であり、KF膜壁の密度1.38 g・cm-3よりも小さくなった。つまり、KF ルーメンに由来する空隙が0.08~0.14あることが分かった。一方、押出成形 法で作製したPEKF_ex内のKFのかさ密度は約1.38g・cm-3であった。つ まり、KFルーメンに基づく空隙がほとんどないことが分かった。また、
PEKF_sl、PEKF_exのそれぞれの断面図より、PEKF_slにはルーメンが確
認できたが、PEKF_exにはルーメンが確認できなかった。
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KE強化PEの熱伝導率に及ぼすKF含有率の影響
KF強化PEの熱伝導率の実験値と推定値の比較より、PEKF_exのように フィラー内に空隙を有していない複合材料は2相系の複合則により、複合材 料の熱伝導率を推定することが可能であるが、PEKF_slのようにフィラー内 に空隙を有している複合材料は2相系の複合則により、複合材料の熱伝導率 を推定することは困難である。
KF強化PEの熱伝導率に及ぼすKFルーメンの影響
3相系の複合則を用いた複合材料の熱伝導率の推定結果より、ルーメンサ イズの増加に伴い、KF強化PEの熱伝導率が大きく減少することが示唆され た。これより、空隙率が大きくなると材質や形状によらず空隙率によって複 複合材料の熱伝導率を制御できることが示唆された。
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参考文献
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